「料理の本はいっぱいあるんやけど、あんまし料理はせえへんわ」
このあいだ、カウンターでそういう話を聞きました。
料理本は料理のためだけではありません。
「料理本は小説」なのです。
例えば、「カレーライス」の作り方(クックパッドを参考にしました)
<材料>
ジャガイモ(大) 3個
たまねぎ 2個半
人参 1本
牛肉 200g
赤ワイン(牛肉にかける分) 大さじ3
水 500cc
炒め油 適量
にんにくみじん切り 大さじ2/3
カレールー 1箱
みりん 大さじ1
(煮込み調味料)
醤油 小さじ2
固形ブイヨン・ローリエ 各1個
ケチャップ・ウスターソース 各大さじ1
A トマトソース・ヨーグルト 各大さじ3
B 赤ワイン・コーヒー 各80cc
クミンシード 3〜6振り
<作り方>
1 玉ねぎ1個を粗みじん切りにし、フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、飴色になるまで弱火で炒める。
2 フライパンの玉ねぎを時々かき混ぜながら3~6の工程を行う。
3 ジャガイモ・人参は一口大より少し大きめに、玉ねぎは1.5cm幅のくし切りにする。牛肉は一口大に切り赤ワインをかけておく。
4 バター10gを熱し、牛肉を炒め皿に移しておく。
5 鍋に油とにんにくのみじん切りにしたものを熱し、香りが立ったらジャガイモ・人参と玉ねぎ1個分を、弱〜中火で約10分炒める。
6 5に4と1を加え、水と煮込み調味料を加え灰汁を取りながら、最低でも20分煮込む。途中カレールーを加える。
7 10分煮込んだ後、残りの1/2の玉ねぎとみりんを加えておく。
8 水気が少なくなってきたら、水・調味料A又はBを加え煮込む。現状よりサラッとが良ければ水やA、ドロっとしたければBを加える。
9 仕上げに、クミンシードを振りかけ混ぜ合わせる。
10 器に盛り、お好みで生クリーム又はコーヒーフレッシュをかけたら、出来上がり♪
まぁ、こんな感じでしょう。
(写真はイメージです)
これを想像力を駆使して、ドラマや物語として読むのです。
<材料> これがキャスト(出演者)です。
<作り方>がシナリオですね。今回は冒険モノにしてみました。
第一話:ミジンが黙々と武術の訓練をしてます。灼熱の太陽が照り付け、飴色に日焼けしています。焦らずじっくりと力を付けていきますが、彼にはまだ自分が目指す場所が見つかっていません。
第二話:ミジンが努力している間、違うストーリーが始まるきっかけを暗示しています。
第三話:仲良し4人組のちょっと太ったジャガー、赤毛のキャロ、辛辣なジョークをいうオニオ、そして、ビーフィーの登場です。ビーフィーは、お金持ちの家の子で、親に内緒でこっそり赤ワインを飲んでいます。彼らは同じ学園の生徒です。いつも空想の世界の冒険の話をしています。
第四話:ビーフィーは退屈な学園生活に飽き、ジャガー、キャロ、オニオと別れ、ひとり冒険の旅にでます。ちょっと苦労をして別の場所で暮らすことになります。
第五話:残った3人は成長して、一緒に同じ船(ガーリックオイル号)に乗り込み旅にでます。
第六話:突然3人の前に消息不明だったビーフィーが現れます。さらに厳しい修行を終えたミジンが仲間に加わります。でもみんなまだ若く、ぶつかったり、喧嘩がたえません。そんな時、別のグループ「ニコミ・チョー・ミリョウ」が船に乗り込みます。彼らは巧みにジャガー達の良いところを引き出します。(脇役としてとても重要な役どころです) やがて4人の心が打ち解けあった時、彼らの人生を変える一大事件が起こります。カレールの登場です。まっすぐ素直に育ってきた彼らにとって、コクと深みのあるカレールのインパクトは強烈でした。
ガーリックオイル号の船首で叫びます。「カレーライスに俺はなる!」
第七話:カレールの影響を受け、人生の方向性が定めた4人はミリン達と出会いながら、どんどん深みを増していきます。
第八話:トマソとヨーグ、レッドとコヒーに助けられたりしながら、一人前に成長していきます。
第九話:数々の冒険を経て落ち着きがでてきた彼らでしたが、何かもの足りないと感じます。そんなある日、刺激的な女性クミンと出会います。
第十話(最終回):ついに彼らの旅は終着を迎えます。香り、旨み、刺激を兼ね備えたカレーライスとなって。陸に降り立った彼らのそばには色白のクリムやフレシュが立ち、彼らの長い冒険の終わりを祝福しているようでした。(パチパチ)
いかがでしたか?
チョー退屈なときに、料理本で楽しむ方法でした。