3月の午後、少しの間、寒さが残る庭に目をむけたら・・・
凍えた手先をこすり合わせて歩いたあの道と
春黄金花やまぼうしの花の色に染まった庭の木々が
頭の中で一瞬パッと交差した。
-春は近い。
春は、毫釐のはやさでやってくる。
ときおり気まぐれに吹きつける無慙酷薄な北西の風や
凍てつく雪時雨にさらされながらも
草木はにげる事なく堂々と体深で踏んばり、新しい息吹を芽生えさせる。
幾代も流れて続けている時の中で、
あたりまえのいとなみとして、いとも易く可憐に力強く。
さあ! ならい、つちかい、つくそう! 怯弱な心を拭いとれ!