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路地町家

再生保存した小さな町家のお話です。
それに京都のこと。感動したこと。時には猫も登場したり。。。

ベンガラ補修

2010-01-22 | 改修の記録
路地町家の改修を依頼した京町家作事組は、今年で設立10周年を迎え
記念事業として、ファサードの補修をして下さるとのこと。
小さいながらもこの町家も申し込んでおきました。

気になる傷みはなかったのですが
一階の軒裏のベンガラが、塗りっぱなしで
高いところなので自分で油拭きもできず、気になっていたのです。
手の届く格子は、私が油拭きしていましたから、色の違いもあって・・・
(普通は、ベンガラを塗った後、油を浸み込ませた布で油を刷り込み定着させるのです。)

そんな経緯で、今日大工さんと設計士さんが来てくださいました。

チェックの結果、二階の窓下の漆喰壁がベンガラの飛沫で汚れていて。。
壁下の横木(名前忘れました)のベンガラ塗りの油拭きが甘かったのが原因だとか。
雨で溶けたベンガラが跳ねたようです。



結局その横木と一階軒裏の二箇所、油拭き(刷り込む)をしてもらうことになりました。

あいにく大工さんは首を痛めていて作業は無理なようす。
設計の末川さんが一人で引き受けてくださいました。



寒い中、上を向いての作業は大変でしたが一気に仕上げていただき
本当にありがとうございました。
おかげで軒裏も綺麗になり広くなったように感じます。
二階の外壁もこれで、まずは安心!
町家は手入れしてあげると、活き返りますね。

お世話になりました!


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ヒノキの井戸囲

2009-01-14 | 改修の記録
こちらは改修後の井戸。
設計士さんが図面を引いてくださいました。
腕の良い大工さんが寸分の狂いも無く
ヒノキの木組みで作ってくださいました。

井戸蓋は、青竹で作ることもありますが
青竹は油分をもっているため、屋外の井戸に使うことが多く
屋内のトオリニワにある井戸の場合
油抜きした白い竹でも良く、返って長く使用できるとのことでした。

竹屋さんに指導を仰ぎ
墨染めの棕櫚縄を使って、自分で編み上げました。

思い出の井戸蓋です。
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古い井戸

2009-01-14 | 改修の記録
トオリニワにある古い井戸は、セメントが普及していない時代の物。
井戸囲いは、三和土(たたき)の要領で作られ
漆喰で塗りこめられていたようです。

流し部分を取り除くと
写真のように井戸の側面に亀裂が入り、脆くなっていました。

①埋め戻してしまうか
②井戸囲いを作り直すか

迷いましたが、当時のハシリニワの形式を残すために
井戸囲いの新調を選択しました。
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火袋(ひぶくろ)

2009-01-08 | 改修の記録
京町家では、火を使う場所がハシリニワだけになるよう作られています。
そしてハシリニワの天井は、大屋根まで吹き抜けになっていて
この高い空間を「火袋」と呼びます。

「火袋」は、火災に配慮して作られた空間で
もし火を出してしまっても、天井への燃え移りを防いでくれます。
また高温の煙の充満も防ぎ、高窓を開けると換気も出来ます。

その分冬は寒いトオリニワですが、返って居間の温かさが際立ち
家庭の団欒を濃密にさせる効果があったように思います。
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秋の夜長に・・・

2008-10-06 | 改修の記録
秋の夜長、温かな灯りが恋しくなります。
だから急に思い出したわけでもないのですが
この和風の行灯、なんともいい雰囲気ではありませんか!!

昨年、この町家改修にあたり、伝統工法を学ぶ若い人たちの実習を受け入れ
改修に加わってもらいました。
改修が終了した時、その若い棟梁塾生さん達から、この手作りの行灯をいただきました。とても味のあるシェードです。
この小さな灯りが、町家にこんなにも似合うなんて~~! 

ついつい点してしまいます。
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歪み突き

2008-09-20 | 改修の記録
次は、南に傾いた家を建て起こす作業です。ジャッキで正しい位置まで持ち上げた柱を今度はワイヤーで引き起こします。しかも其々の柱を注意深く少しづつジャッキで引っ張ります。 ひずみで、古い壁土がぱらぱらと落ちて来るのですが・・・この作業を「歪み(イガミ)突き」と云うそうです。

前に書いた「土壁」の記事中の左官の仕事はこの後の工程になります。アップ順間違えました~
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土壁

2008-09-19 | 改修の記録
壁もひどく傷んでいました。風雨にさらされている漆喰壁は、軽く落としてみるとほとんど崩れ落ち、竹を編む木舞掻きからやり直しです。壁の向こうとこっちで縄を渡しながら、息の合った作業で、綺麗に編まれます。

この上に、藁の混ざった荒壁土を塗り、更に細かな仕上げの土を、外に面した方は白漆喰で仕上げです。 合板の壁とは雲泥の差。 土壁は人に優しい~~
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と簡単に言っても・・・

2008-09-15 | 改修の記録
天然木に鉄の金具、重量は相当なもの。運び出すだけでも大変でした。
この町家は深い路地奥にあるため、背中合わせにあるガレージを借り上げ、家財の搬出入や工事部材の出し入れも行ったのですが、高低差がありガレージは3mほど下にあります。

2階の窓から、長持ちを出すのは至難の業。運び入れるのもまた大変!
大工さん達、本当に有難うございました。
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改修、柱の根継ぎ

2008-09-15 | 改修の記録
柱の腐った部分を切り取り、新しい木材で「根継ぎ」をしました。この工程は、伝統工法を学んでいる若い大工さんの手によるものです。柱に切り込みをいれ、組木細工のようにピッタリと嵌め込まれました。 お見事!!

若いけれど精度の良い仕事をしてくれる大工さんでした。 将来が楽しみです!
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改修、柱のジャッキアップ

2008-09-15 | 改修の記録
80年の間に柱の根元は腐り地盤の沈み込みもあって、それぞれに随分下がっていました。これが床の傾きの原因! すべての柱を注意深くジャッキアップして、正しい位置まで持ち上げました。 これを「揚げ前」といいます。
この作業は伝統工法を継承するベテラン大工さんの腕の見せ所。家が「ミシッ!」と音を立てながら、80年ぶりに水平になっていきました。
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改修後の軒先

2008-09-15 | 改修の記録
格子や柱にベンガラを塗り、松煙を混ぜた油で磨くと、何十年ぶりかで人目に触れる軒裏の木組みも、軽やかな直線美を見せてくれました。何だか涼しげですっきりしました~
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改修中の軒先

2008-09-14 | 改修の記録
昨年の改修で、この漆喰の塗りこめを剥がしてみると、見事に当時の軽やかな木組みが現れた。
改修の総指揮官である工務店の社長曰く 「これこそ町家本来の姿、きれいどすな!」
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改修前の軒先

2008-09-14 | 改修の記録
築80年になる町家は、戦争を体験している。戦時中、このあたりは戦火による延焼を防ぐため、様々な命令が出されたとのこと。「一階の軒裏は火が這って行くから、漆喰で塗り固めるように!」と命令が出され、この家もそれに従ったようです。

本当はそんなことをしても、何の役にも立たなかったらしい。

他にも「上から落とされた焼夷弾が、二階の床で止まると火事になるから 一階の天井は抜くように!」流石にこれに従った家は少なかったとか・・・
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