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これはnoteにエッセイとして書く予定のメモなのですが、金木犀の思い出です。
高校時代。
学校には金木犀の大きな木が何本かあって、秋になると本校舎三階の三年生の教室まで香りが運ばれてきていた。
窓を開けての授業中には、爽やかで少し冷たい風と一緒に金木犀の香りが教室を駆け抜けた。
田舎の学校のこと、冷暖房は冬の間の石油ストーブしかなくて、そのほかの季節は雨の降る日以外は大抵少しだけ窓は開いていた。教室は狭く、体の大きさを持て余していた高校生がぎっしり詰まっていると暑苦しかったから。
冬は冬で、一酸化炭素中毒にならないよう休み時間には窓を強制的に開けられて震えたりもしたのだが。
ある日クラスの男の子が
「蛍光ペンの匂いがするな!」
と呟いた。
その頃、蛍光ペンには甘い香りが付いているものがあり、金木犀によく似た甘い香りが定番だった。
わたしは「情緒のない奴だ」と心の中で小馬鹿にしていた。蛍光ペンの人工的な匂いと、静かに香り立つような金木犀は全く次元の違うものだと思っていた。
少し背伸びした本を好んで読んでいたあの頃のわたしは心の中で、子供じみた振る舞いの多い体育会系の男子を小馬鹿にしていたのだ。
わたしのギターの足台を使って遊んでいるのを発見した時など、腹が立つより先に「馬鹿なんじゃないの?」という目をしていたと思う。
と、今日はここまで。
次は文化祭。
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