ひとり井戸端会議

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都議選と総選挙の関係。それとウヨク

2009年07月13日 | 国政事情考察
早期解散は困難か 「麻生降ろし」の加速確実(朝日新聞) - goo ニュース

 自民党の細田博之幹事長と河村官房長官は12日夜、東京都内のホテルで会談し、都議選の厳しい情勢を踏まえ、今後の政権運営について意見交換した。細田氏は11日のテレビ番組では「麻生総理・総裁のもとで解散総選挙をして民意を問う。それしかない」と語っており、あくまでも首相を支える考えだ。
 首相は11日、自民党の武田良太衆院議員に「選挙目当てに自民党が姑息(こそく)な行動を取ると受け取られたら、自民党は終わってしまう」と語り、都議選で敗れても続投し、解散する決意を伝えた。首相に近い菅義偉選挙対策副委員長も12日午前のテレビ番組で「総理は強い意志で解散には臨むと思う」と改めて強調した。



 麻生首相は「都議選はあくまでも地方選だ。都議選の争点は基本的に東京都政の諸課題について都民が判断するもの。国政に直接関連するものではない。」(ロイター)と述べたそうだが、これは正論である。都議選はあくまでも東京都の都議会議員の選挙であって、政権選択の選挙ではないからだ。

 しかし、このように割り切るのは必ずしも適切ではない場合もある。それは今回のように民意が明らかに自民・公明の与党に嫌気が差し、それが前回の参院選から尾を引き、主要都市の首長選、県知事選で次々と与党が擁立した候補が落選し、野党が推した候補が当選している場合だ。これは大きな病気の前の初期症状のようなもので、「所詮は総選挙ではない」と割り切ってしまうと、国民からのシグナルを見誤ることになる。

 もちろん、とは言っても例外はある。たとえば、一昨年の参院選で自民は惨敗したが、その参院選の直前に行われた群馬県知事選では自民が「公認した」候補が当選しているし、先の都知事選では石原慎太郎が野党推薦の候補を下して3選目を決めている。よって、都議会選挙と総選挙は区別して考える必要はある。



 ところで、今回の都議選の結果を見て、ウヨクたちからは「馬鹿な国民がマスコミに流されて民主に投票した」、「民主になったら日本が終わる」との声が聞かれるが、こういう主張について少し考えてみる。

 毎日新聞の速報によれば、「民主党(現有34議席)が各選挙区で票を伸ばし、54議席を獲得、初めて第1党となった。麻生政権の支持率低迷で逆風にさらされた自民党(同48議席)は38議席に大幅後退。公明党は現有に1議席を加え23議席とした」とあるように、都議選であっても与党は「ボロ負け」はしていない。むしろ公明など議席を増やしている。

 このように、「腐っても自民」なのであり、確かに負けはしたもののこれぐらいの議席数を公明と合わせて維持できたならば、いくら民主が54議席を獲得できても好き放題なことはできない。そもそも都議会は共産党以外オール与党と言っても過言ではないし、この程度の負け方ならむしろ与党は安堵しているぐらいではないか。



 したがって、思うにいくら民主が追い風に乗っているとは言っても、総選挙でも自民は確実に現議席よりは減ることは間違いないし(だいたい、今の議席数は小泉氏がいなければ成せなかった数字であり、例外と考えたほうがいい。)、下野する可能性は極めて高いだろうが、決してタダでは死なないに違いない。

 自民が影響力を全て殺がれてしまうほどの「ボロ負け」をすることはないだろう。たとえ負けてもある程度の影響力(発言力や議席数等)を有して下野するだろう。ちなみに、自民が野党になると非常に手ごわいというのは永田町の常識である。

 先ほども言ったように「腐っても自民」であり、彼らが国政、経済、外交に及ぼす影響力は議席を減らして野党になっても強いだろうし、何と言っても小泉政治によって衰えたとは言われるものの、様々な団体等に対するパイプの太さは民主の比ではないはずだ。警察とも関わりが深いため、民主のスキャンダルを徹底的に暴きだすだろう。

 よって、いくら次の総選挙で民主が与党になれても(単独与党になれる可能性は誰が考えても皆無だろう。)、民主がマニフェストや政策インデックスに掲げるような荒唐無稽な政策を思うままに実現できる可能性は極めて低いし、与党になれば厭が応でも現実的な路線を取らざるを得なくなる。

 これまでの野党の時代のように聞こえのいい理想を掲げ、大風呂敷だけを広げていればいいというわけにはいかなくなる。彼らの政策は、下野した自民によって悉く骨抜きもしくはオシャカにされるだろう。



 次に、「マスコミに流されて投票した」と言うが、たいていの有権者は政治に関する情報はそのマスコミから手に入れるしかないのだから、それは仕方ないだろう。だいたい、マスコミに流されないで投票できる者など一体どれぐらいいるのか。私からすれば、「マスコミに流されて投票した」という主張自体、ある一定のイデオロギーに「流されて」いるとしか思えないのだが。

 確かに、有権者一人ひとりが各政党のマニフェストや政治家の主張をきちんと吟味した上で投票できればいいが、それは理想でしかない。そもそもそんなことをいちいちしているほど有権者は暇ではないだろう。だからこそ、そうした情報を提供するマスコミを頼りに、有権者はどの政党に投票しようか決めるのである。では聞くが、これまでの選挙で「マスコミに流されないで」投票した選挙はあったのか?



 結局、良くも悪くもこれが民主主義であって、これが嫌というのなら呉智英のように民主主義を否定するしかないだろう。しかしイギリスの首相であったチャーチルが、「民主主義は最悪の政体だ。しかし、今まで行われてきたあらゆる政治体制を除けばだが」と言っているように、他の政体ではもっと酷い政治がなされることも付言しておきたい。

 民主になったら日本が終わると思いこんでいる諸子よ、案ずることなかれ。自民は君たちが思うほどヘボくない。

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