ひとり井戸端会議

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共産党みたいなことを言う民主党

2008年02月06日 | 社会保障関係
 「授業料標準額」を支給、民主が高校無償化法案

 民主党が今国会に提出を予定している高校の授業料無償化法案の骨子が5日、明らかになった。
 高校、高等専門学校などに通う生徒の家庭に、国が示す授業料の標準額の範囲内で授業料を支給するのが柱。また、子供が私立に通う年収500万円以下の家庭には、標準額の2倍を支給する。同標準額は、今年度は全日制で年間11万8800円(毎月9900円)だった。同党は、関連予算は年間で約4324億円と試算している。
 骨子によると、支給対象は、国公私立の高校、高等専門学校、専修学校に通う生徒の家庭などで、全日制は原則3年間。定時制や通信制は4年間まで支給する。事務費を含めて費用は全額、国が負担する。






 

 前に共産党の穀田氏の講演を聴きにいったことがあるが、彼も同じようなことを言っていたが、いつから民主党は共産党の真似事(二番煎じ?)をするようになったのか。

 そもそも、民主党は本来「小さな政府」を指向していたのではなかったのか?だとしたら、この提案はその方針とまるで矛盾したものである。「小さな政府」にするのか、「大きな政府」にするのか、民主党はまずそこからはっきりとビジョンを示すべきだ。

 憲法26条には「教育を受ける権利」が規定されている。義務教育の国庫負担もこの理念を現実化するためのものだ。しかし、この26条には同時に「義務教育は、これを無償とする」とも定めている。つまり、憲法の想定している無償で施される教育は、中学校までのものだ。すなわち、高等学校教育を無償にする理由を、憲法から導き出すことはできない。

 それから、全日制の高校でかかる費用は月約9900円とあるが、これは平均的なサラリーマンの給料約1日分程度であるという。この程度の負担までも国民からの税金でカバーさせるつもりなのか。これは、高校などの授業料が無償になっても、その跳ね返りが結局税金となって国民にのしかかかかってくるという構図以外の何ものでもない。

 これは繰り返し言われていることだが、ヨーロッパ諸国の学費無償の背景には、いわゆる「高福祉・高負担」というものがある。つまりは、「質の高いそれ相応のサービスを受けたいのなら、それ相応の高額な税金を払え」ということだ。(うろ覚えで恐縮だが)スウェーデンでは、給料の約6割以上は税金に消えるという。
 
 そして最近では、大学に関して言えば、学費無償の先進国とも言えるドイツの大学でさえも、2004年に大学等の機関が学費を徴収することを禁止する法律の違法性をめぐり訴訟が起こされ、裁判所は学費制度を導入することは可能とする判決を出したのだという。その結果、キリスト教民主同盟が州政府となっている州を中心にして、ドイツ全土の大学ではないが、2006年から授業料の徴収が開始され、しかもその額は年々上がっているという。ちなみにオーストラリアの大学では、授業料支払いを猶予してもらい、就職後に給料から天引きを行うという制度があり、多くの学生が利用しているのだという。

 ひるがえって日本国内に目を転じてみると、今は25円のガソリン代だけでも国政が紛糾しているというのに、これ以上税金を上げるということになったら、国民の反応は火を見るよりも明らかである。

 しかも理解に苦しむのは、「私立学校」までその支給の対象にしていることだ。私立学校には、もう既に全体で何百億円という額の補助金を、文部科学省が支給している。一例を挙げると、平成16年度、文部科学省が関西学院大学に補助金として交付した金額は約24億8500万円である。これ以上、いわば屋上に屋根を設けるかたちで支給する必要は全くない。私立と名乗りながら、その財政の実態は、政府からのヒモ付きの給付に頼っているのだ。ならば私立学校は、その補助金から奨学金を捻出したらどうだ。

 民主党案よりも、各学校ごとの奨学金の充実を図ったほうがより有意義である。はっきり言わせてもらうが、義務教育では教育の機会均等という憲法上の要請があるので仕方はないが、高校以上の教育では、できる生徒や学生を対象に奨学金というかたちで資金を援助してやるほうが、この国のためにもいい。

 いたずらにカネをばら撒かれても、その尻拭いをさせられるのは国民だということが、民主党にはどうやら理解できないらしい。

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