

今日は「ミステリー記念日」だそうです。
昨日、読み終わりました。
『丘の屋敷』シャーリイ・ジャクスン著 創元推理文庫
まさに、ゴシックホラーという作品。
この作品が書かれたのは1959年なので、そのくらいの時代が舞台のようですが、その物語世界において、80年前に建てられたというお屋敷が描かれています。
大富豪が、自分の家族、そして、ゆくゆくはその子孫までが、ずっと幸せに暮らせることを願って建てたであろう、豪華なお屋敷。
けれども、その富豪一家は、度重なる不幸により、そのお屋敷で幸せに暮らすことはなく。
以来、呪われた屋敷と言われるようになった・・・。
そんな幽霊屋敷を調査しようとする心霊研究家の教授と協力者たちが、期間限定で、そのお屋敷で生活するのですが、なんともいえない屋敷の重苦しい雰囲気や冷気、怪現象によって、段々と協力者のひとりの女性が精神に異常を来たしてきて・・・というストーリーです。
怖かったです。
ただただ、怖かった!!
と言っても、具体的に怖いシーンが連続する・・・という訳ではないのです。
じゃあ、何が怖いのかというと。
読み手の想像力を掻き立ててやまない文章・・・でしょうか。
とにかく、文章のひとつひとつが、イマジネーションを刺激するのです。
1800年代後半に建てられた壮麗なお屋敷。
不幸な出来事が続き、誰も住まなくなった閉ざされたお屋敷。
そのひんやりとした空気や、誰も住んでいないのに、きちんと管理されているが故の、美しいままの内装。
夜になると訪れる重くのしかかる闇。
などなど、幽霊屋敷の雰囲気が頭の中にどんどん浮かんできて・・・。それが凄く怖かったのです。
そして、このお屋敷の不気味な空気に段々と感化されて行く、一人の女性。
冒頭から、彼女の心理状態、虚言の数々は気になっていたのですが、それが、やがて、狂気へと変わって行く様子に、こちらも感化されそうで。
なんとも言えない不安感に苛まれました。
一気に物語の世界に引き込まれて、読んでいる時に、ふと、自分の背後が気になるような落ち着かなさ。
あるはずのない視線を感じるような不気味さ。
そんな不安感を抱きつつ、読みました。
でも、こういう雰囲気、大好きなのです。ゴシックホラーな世界を楽しむことが出来ました。
この作家さんの他の作品も読んでみたいです。
数日前のお話ですが。
角川ホラー文庫『バチカン奇跡調査官』シリーズの新刊、『バチカン奇跡調査官 アダムの誘惑』、読み終わりました。
一見、奇跡に見える不可能な事象を、2人の天才神父が調査し、奇跡を科学的に解明していく・・・というミステリ。
番外編も含め、今回が、19巻目なのですよね。
私が読み始めたころには、まだ4巻しか出てなかった、このシリーズ。
ずーーーっと追いかけています。
そして、気が付けば、もう19冊もシリーズが出て、一昨年はアニメ化にもなったりと、とても嬉しいのです。
まだまだ黒幕との対決は窺えませんが・・・でも、このまま、ずーーーっと続いて欲しい気持ちでいっぱいです。
有り得ない事象を、科学で解明していくっていうミステリー、大好き。
で。
今回の「アダムの誘惑」は、というと。
平賀とロベルトが、奇跡調査ではなく、プライベートの旅先で巻き込まれた事件を解明するというストーリー。
シリーズ2巻目から登場しているFBI捜査官のビル・サスキンスの結婚式で司祭をすることになり、フロリダに飛んだ2人。
けれども、挙式目前に新郎であるビルが失踪。
そして、ビルを追っている内に、その近辺で連続溺死事件で起こっていることが判明し、ビルもその事件を追っていた模様。
しかも、その溺死。
ただの溺死では無くて、とても不可解な状況なのです。
例えば、大の大人が子供用の水深10cmくらいのビニールプールで死んでいたり・・・というもの。
薬物やアルコール、病気による意識障害もないのに、咳嗽反射も見られない、穏やか過ぎる溺死体。それも、何件も立て続けに・・・。
このままでは失踪しているビルも危険なのではないかとハラハラしながら(でも、ビルはメインキャラクターだから、絶対、助かると信じてはいました)、読み進めました。
物語の舞台が、私も訪れたことのあるフロリダというのも、親近感が持てて、読んでて楽しかったです。
今回の奇跡は、脳の作り、脳の作用に纏わる奇跡。
未だ、医学でも完全には解明されない、人間の脳の不可思議な領域について。
とても興味深くて、面白かったです。
また、その反面、もし、この物語で描かれているような脳の作用を引き起こす「何らかの物資」が現実にあったとしたら、集団洗脳をすることも可能ですし、凄く怖いと思いました。
そして、現実にありそうな気もするのが怖い所。
物語中では、悪の組織のガルドウネ達が、実際に、その物質を使い、信者のような熱狂的支持者を着々と集めているようでしたし。
ラストシーンはゾッとなりましたです。
一方、家族をガルドウネに乗っ取られていることが5巻で判明したビル。
この決着も、まだ付いてないままですよね。
そもそも、今回のビルの結婚というのも、ガルドウネの動きを探るために、女性工作員のエリザベートと、偽りの婚約者を演じていたところから発したこと。
ネタバレになるので、結婚まで発展した経緯は、ここでは黙っておきますが・・・わたし的には、この女性工作員エリザベートも信用していません。
あくまで「偽装」の恋人同士、婚約者同士という関係を守ろうとする堅物なビルに対して、積極的に、本物の恋人同士になろうとするエリザベート。
でも、それが、単なる、任務を通しての恋心ではないことは一目瞭然。
彼女はビルと結婚することも「任務」らしいですし・・・果たして、信用していいのかどうか。
まさかとは思うけど、彼女も、ガルドウネ・・・ジュリア側の人間で、二重スパイなのではないかなぁと思ってみたり。
なので、今回、ビルの結婚が流れたのは、ちょっとホッとしました。
元々、結婚への気持ちも、マヤカシみたいなものでしたし、ね。
うん!!
私は、エリザベート、信頼できないなぁ。。。
それにしても。
ラストシーンでは、敵は着々と力を付けてきているし、ビルの家族は乗っ取られてて悪人だし、わたし的にはエリザベートも信用できないし、そしてそして、バチカンから失踪したローレンの行動も謎のままだし。
きっと、平賀やロベルト達の想像もつかない大きなスケールで何かが起こっているのではないかなぁ思います。
で、ローレンは全てを見通して、1人で戦っているのかな??
本編は、また暫く新刊は出ないのでしょうが・・・続きがとても楽しみです。
そしてそして。
最近は、奇跡調査というより、プライベートな時に事件に巻き込まれたり、スパイ的なことをしたり・・・が多い、平賀とロベルト。
たまには、初期の頃のような、いかにも~な奇跡調査に外国の教会に赴いて欲しいなぁ思ってみたり。
何はともあれ、続きが楽しみ過ぎます。
角川ホラー文庫『バチカン奇跡調査官』、大好きなシリーズです\(^o^)/