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シャーリイ・ジャクスン『丘の屋敷』(創元推理文庫)

2019年10月03日 | 小説・漫画・書籍

昨日、読み終わりました。

 

『丘の屋敷』シャーリイ・ジャクスン著 創元推理文庫

まさに、ゴシックホラーという作品。

この作品が書かれたのは1959年なので、そのくらいの時代が舞台のようですが、その物語世界において、80年前に建てられたというお屋敷が描かれています。

大富豪が、自分の家族、そして、ゆくゆくはその子孫までが、ずっと幸せに暮らせることを願って建てたであろう、豪華なお屋敷。

けれども、その富豪一家は、度重なる不幸により、そのお屋敷で幸せに暮らすことはなく。

以来、呪われた屋敷と言われるようになった・・・。

そんな幽霊屋敷を調査しようとする心霊研究家の教授と協力者たちが、期間限定で、そのお屋敷で生活するのですが、なんともいえない屋敷の重苦しい雰囲気や冷気、怪現象によって、段々と協力者のひとりの女性が精神に異常を来たしてきて・・・というストーリーです。

 

怖かったです。

ただただ、怖かった!!

 

と言っても、具体的に怖いシーンが連続する・・・という訳ではないのです。

じゃあ、何が怖いのかというと。

読み手の想像力を掻き立ててやまない文章・・・でしょうか。

とにかく、文章のひとつひとつが、イマジネーションを刺激するのです。

1800年代後半に建てられた壮麗なお屋敷。

不幸な出来事が続き、誰も住まなくなった閉ざされたお屋敷。

そのひんやりとした空気や、誰も住んでいないのに、きちんと管理されているが故の、美しいままの内装。

夜になると訪れる重くのしかかる闇。

などなど、幽霊屋敷の雰囲気が頭の中にどんどん浮かんできて・・・。それが凄く怖かったのです。

 

そして、このお屋敷の不気味な空気に段々と感化されて行く、一人の女性。

冒頭から、彼女の心理状態、虚言の数々は気になっていたのですが、それが、やがて、狂気へと変わって行く様子に、こちらも感化されそうで。

なんとも言えない不安感に苛まれました。

 

一気に物語の世界に引き込まれて、読んでいる時に、ふと、自分の背後が気になるような落ち着かなさ。

あるはずのない視線を感じるような不気味さ。

そんな不安感を抱きつつ、読みました。

でも、こういう雰囲気、大好きなのです。ゴシックホラーな世界を楽しむことが出来ました。

この作家さんの他の作品も読んでみたいです。



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