私の母の実家は信州にあります。信州の、私のおば(私の母の義理の妹）は季節毎に、いつも適当に見繕っては季節の旬のあれこれのものを送ってくれるのですが、真夏のこの時期には、おばから、おば自身によるお手製の、とっておきの美味しい紫蘇ジュースが届きました。私は、今年の暑さには何故かとても参ってしまっていて、毎日、仕事が終わると、疲れきった身体を引きずるようにしてやっとの思いで家路につくのですが、そんな私にも、おばのおかげで、特製の紫蘇ジュースが、ささやかな楽しみとして、私の帰りを待っていてくれるようになりました。帰宅するとすぐに、コップに山盛りの氷を入れて、冷た～い紫蘇ジュースを水で何倍かに程よく薄めて、‘くいーっと’一気に飲み干すのです。すると暑さでぐったりとして、すっかり活力を失っていた、私の身体の細胞の隅々にまで紫蘇ジュースに含まれている命のエキスが染み渡っていくような気持ちになれるのです。まさに、‘生き返るとはこのことか！’と思えるような大名気分に浸ってしまえるのです。「おばちゃん！有難う！」と手を合わせるこの瞬間は、’猛暑の夜にビヤガーデンで飲む冷え切ったビールが何より好き‘という人の気持ちが心底、理解できる瞬間でもあります。
