日々是好日・・・とは限らない

島暮らし8年目。犬の幸せは人の幸せ。NO DOG NO LIFE

最期の日の話

2019-01-26 18:26:29 | 
メイの最期の日の話です。
2回に分けようかと思ったけど、途中普通じゃない精神状態だったりしたので
さらっと読んで、その後すぐ忘れてもらいたい。

1週間ほど前から、メイの血糖値が常時30ぐらいになり、
夜も2時間おきのブドウ糖が必要になった頃から、
何時に何をあげたかメモを取っていました。
これは最期の2日の記録。

<1/21> 
21:00 下痢・嘔吐
23:00 ブドウ糖を10cc。
<1/22>
1:30 消化サポート缶小さじ1にプレドニン、ランソプラゾール
2:00 尿
4:00 尿 ブドウ糖10cc ニュートリプラス1㎝
6:00 消化サポート缶小さじ1にプレドニン、ランソプラゾール フォロミュウ 
血糖値25
7:00 缶詰小さじ1 尿
8:00 缶詰小1 ブドウ糖10cc
9:00 缶詰小1 介護食小1 ブドウ糖10cc 尿
10:00 缶詰小1 ブドウ糖10cc 練乳葛湯小1
10:40 血糖値31 缶詰小1 ブドウ糖10cc ニュートリプラス8㎜
11:40 缶詰小1.5 プレドニン ジアゾキシド ブドウ糖10cc
12:00 練乳葛湯大1
13:40 缶詰小1 練乳葛湯大1 ブドウ糖10cc ニュートリプラス5㎜
14:40 缶詰小1.5 ブドウ糖10cc
15:15 血糖値36
15:30 缶詰大2 ランソプラゾール プレドニン フォロミュウ 尿
16:15 ブドウ糖10cc
17:00 缶詰小1 ブドウ糖10cc ニュートリカル5㎜
18:00 缶詰小1 ブドウ糖10cc ニュートリカル5㎜
19:00 缶詰小1 ジアゾキシド 尿
20:45 血糖値31
21:00 缶詰小1 プレドニン ブドウ糖10cc
23:00 缶詰小1 ブドウ糖 10cc
<1/23>
1:00 缶詰小1 ブドウ糖10cc
2:00 下痢大量
3:00 ブドウ糖10cc
4:00 ブドウ糖10cc 震え
4:30 ブドウ糖10cc 震え 
4:50 ブドウ糖10cc 震え
ここから10分間隔 ブドウ糖20cc~50cc 痙攣・恐怖感
これ以上続けても苦しむ時間を長引かせるだけと判断、
5:50 ブドウ糖終了を決定しました。
6時過ぎに大痙攣をおこしてから
14:10に永眠するまでおよそ9時間

6:48血糖値はLOW(20以下)
低血糖で脳にダメージを受ければ、すぐ呼吸や心臓が止まって楽になれると思ったのですが、
インスリノーマ以外は他に病気がなく、低血糖状態から抜け出せば普通に歩き走れるメイの体は
そう簡単に命を諦めませんでした。

覚醒と大痙攣を延々繰り返す。
痙攣の時間も数分なんて易しいものではなく、一旦始まれば数十分以上。
10時過ぎから始まった大痙攣は、数時間続きました。

目を剥いて、立ち上がらんばかりの力で硬直、痙攣し、
全力疾走のようなドドドドという心拍と、ハッハッハッという呼吸。
合間には、聞いたこともないキャオーン、アオーンという悲痛な叫び。

寝たまま全力疾走する体を2人がかりで抑え込み
「もう逝きなさい」「楽になりなさい」と話しかけるのに、
「まだ逝きたくない」「死にたくない」と必死で生きようとしてました。


脳のエネルギー源であるブドウ糖は、とっくに尽きたはずなのに
何時まで経っても心臓も呼吸も止まらない。
何で死ねないの?

途中、何度も元気なメイを無理やり殺しているような感覚に襲われました。
でも、ここまできたら後戻りはできないの。
何時になっても治まらない痙攣に、
このまま明日まで死にきれなかったらどうしよう?

見続けることに限界を感じ、12:30に動物病院に「楽にしてあげたい」と電話しました。
あいにく先生が不在で、もし帰ってくる時間になっても治まらないなら
麻酔で楽にしてもらうようお願いし、電話を切った途端。
話を聞いていたかのようにメイの痙攣が治まりました。

メイの体をさすっていた夫が、メイの鼻に自分の鼻と額をつけた瞬間
「あ、みつけた!」何も見ていなかった目の焦点が合い、目的を持って全力疾走を始めたと。
その後、夫に言われて私も同じように顔を近づけ、
夫がメイを抱いた瞬間痙攣が治まったそうです。
メイは、ママとボスを探して走ってたんだね。
ようやく見つけて安心したんだよと、夫は言いました。

その後はわずかに痙攣したけど本当に穏やかで。
↓旅立つわずか7分前の写真です。

夫が抱き、私が顔を見せて話しかけているうちに、スーッと目の光が消えました。

やっと逝けた。それが直後の正直な感想。

でもしばらくしてから、自分の手で犬を殺したような罪悪感で胸が詰まり、
2日ほど居ても立っても居られないような状態でした。

ブドウ糖を切らなかったら今頃生きていたかも、
下痢が止まるまでステロイドを大量に飲ませればよかったのかも、
死ななくて良いのに無理やり殺したのでは。
グルグル考えて吐きそうでした。

「まだ一緒にいたい、まだ死にたくない。」そう言って頑張ってたんじゃないか。
それなのに安楽死の電話を聞いたから、仕方なく身を引いたのかも。
そう考えると苦しくて辛くて涙が止まらなくて。

ところが昨日の午後、写真の現像に出かける車の中でグルグル考える私に
「でもママ、私を苦しめたくなくて決めたんでしょ」
「最善を選んでくれたんでしょ」
ふとメイがそう言っているように感じた途端、
胸の中のつかえが一気に消えて楽になりました。
ああ、メイはわかってたんだ。
勝手な妄想かもしれないけど、突然そう思ったのね。

おかげで、昨日の夜はゆっくり眠れて
今日は五感が戻ったような不思議な感じ。

こんなこと言うとオカシイ人みたいで嫌なんだけど、
死に際の極限状態になると、いつもと違うチャンネルが開くんじゃないかな。
普通ではあり得ない不思議な事が起こるとか。
メイの最期の数時間は、明らかに説明不能なの。
血糖測定器は、最後メイの血を血液と認識しなかったのね。
限界値以下ではなく、エラー。ただの水分。
じゃあ、あの数時間疾走し続けたエネルギーは一体どこから湧いてきたんだろう?
命って科学じゃ説明できないと思った。

メイの言う通り、私たちは最善を尽くしたと思う。
メイが下痢した時点で、血糖値コントロールはブドウ糖に頼らざるを得なかった。
ブドウ糖をやれば一時血糖値は上がる。でもインスリンが出る。
インスリンが出れば、血糖値が下がる。上げるにはまたブドウ糖。
この無限ループから抜け出す方法はなく、ご飯を食べられない以上
遅かれ早かれ低血糖の発作が起こったに違いないの。

長い時間苦しめたくなくて、あの時ブドウ糖をやめる決断をしたんだった。
どう頑張っても、10分毎にブドウ糖を飲ませ続けることはできないもんね。
残念だけど、どのみち結果は変わらなかったかな。
こんなに突然、最期の日を迎えるなんて想像してなかったけど、
これがメイの運命だったと思うしかありません。

自分の手で最愛の娘を旅立たせる決断をするのは何より辛かった。
同時に、病院で死なせずにすんでよかった。

でもさ、ずっと一緒だってあれほど言っておいたのに、
どうして最後ママとボスを見失ったわけ?って聞いたの。
そしたらね「切羽詰まったら、あたしもなんかパニクっちゃったのよね。」
「でもあたし、頑張ったでしょ?」って。
そんな所もまた、メイらしいと思ったんでした。

心の中で勝手に会話してすっかり変な人になってますが、
あながち間違ってない気がするのよね。