インドの2014年4月は、総選挙たけなわ。
夏本番で暑くるしい中、候補者はキャンペーンに駆けずり回っている。
以下、ワンポイントこぼれ話。
*反汚職の市民活動家上がりのケジリワル(Arbind Kejriwal)氏が結成した新党、庶民党(Aam Aadmi Party)だが、党首が殴られるなどの暴行を受ける事件が相次いでいる。いずれも、小競り合い程度だが、五度目の最近は、オートリキシャの車夫が花輪を捧げる機を利用して力任せに党首の左頬に平手打ちを食らわせた。
ケジリワル氏は警備薄で(本人の希望による)一般民が暴行しやすい隙だらけ、加害者のドライバーは、庶民党が車夫一人ずつから10ルピーの寄付を集めたにもかかわらず、援護策がないとの怒りに駆られて殴ったとのこと。
先のデリー政権49日間辞任劇で、期待していたのに落胆させられたこともあったようだ。
翌日、ケジリワル氏は、加害者宅に花束をもって訪問、ガンジギリといわれる非暴力、腕力より花をの平和手段に訴え、加害者も非を悔いた。
*昨日の敵は今日の友。ご都合主義者(オポチュニスト)のインドの政治家は、理念などなきに等しく、情勢を見て有利な側にころころ転向する。最大野党のインド人民党(BJP=Bharatiya Janata Party)の圧勝がささやかされる昨今、コミュナル(ヒンドゥ右翼)との攻撃の矢にさらされていた野党は政教分離(世俗主義)が理念の地方党からも引っ張りだこ、勝算の低い与党・国民会議派(Congress I)を捨てて、鞍替えする昨日の友が続出、今日の敵と化している。
*マニフェストとは、空約束の別表現、選挙が終わったら、忘却の彼方に飛んでいく。過半数勝利予想に意気軒昂な野党・インド人民党はぎりぎり直前になって公表、首相候補のナレンドラ・モディ(Narendra Modi、現グジャラート州首相)がヒンドゥ右寄り色を弱める文面にしたせいとか。発展・繁栄をスローガンに掲げるも、小売業の外資参入には消極的、全土に林立するパパママストア擁護のため。
先に発表された与党国民会議派のマニフェストを絵空事の『ジョーク』と嘲り笑ったインド人民党だったが、その与党からはうちのコピーとの非難を浴びせかけられた。
*ホロスコープ専門家は商売大繁盛。インドでは星占いは、誕生時にチャート図を作成して人生指針とするほど人気。浮き渋みの烈しいスター稼業や、選挙の勝ち負けが気になる政治家は常に星占い師に頼る。よって、選挙中は占い師にとって大の稼ぎ時、ヘリコプターを差し向けられ、政治家のもとに走る有名占い師もいるとか。
内陸部のウッタルプラデシュ州の前首相ラルー・プラサド・ヤダブ(Lalu Prasad Yadav)は近年落ち目だが、今選挙においては、占い師のアドバイスを真に受けてネガティヴパワーを発しているという私邸の池を埋めた。
*選挙中は治安悪化で、厳重な警備が敷かれる。当オディッシャ州ではナクサライト(インド共産党毛沢東主義派、経済成長から取り残され、貧困や格差に不満を持つ農村住民や低カースト層の間で勢力拡大)といわれる極左ゲリラの襲撃(投票ボイコットの薦め含む)に州政府は神経を尖らせている。すでにチャティスガル州やビハール州でも、銃殺事件が起こっている。テロの脅威もあって、全土的に警戒体制。
なお、選挙当日は禁酒となりリカーショップも臨時休業、どうしても飲みたい人は割高の闇酒を買うしかない(左党は自衛策として前もって買っておくのが一番)。
▽以下は、インドの政治体制について。
インドの政治システムは英国式の議員内閣制度、共和制、連邦制が基盤になっている。29州と7連邦直轄地域である諸州の連邦であるインド共和国は、連邦議会(国会)と州議会から成る。
国家元首である大統領は、国会の上下両院と州議会議員で構成される選挙会によって選出され、任期5年、実権はないが、内閣の助言によって国務を行う。大統領の下、立法(国会)、行政(政府)、司法が独立した三権分立が明確に図られ、議院内閣制は、普通選挙によって政権交代可能で、首相と州知事は大統領によって任免され、州首相は州知事によって任免される。
国会は、上院のラジャ・サバ(州議院、250名、任期6年、2年ごとに3分の1改選)と、下院のロク・サバ(人民議院、545名、任期5年)の二院制から成り、下院が国民全体を代表し、上院が州を代表する仕組みになっている。12億の人口の3分の2の約8億人が18歳以上の有権者だけに、世界最大の民主主義国家を誇る由縁でもある。
首相は、人民による直接選挙で選ばれた下院議員の過半数を占めた第一党の長が任命されるのが一般的だが、現マンモハン・シン首相(2014年3月時点)は、与党(Congress I, 国民会議派)総裁のソニア・ガンジーが2004年、首相職を退けた代わりに指名、大統領によって任命されたものである。
夏本番で暑くるしい中、候補者はキャンペーンに駆けずり回っている。
以下、ワンポイントこぼれ話。
*反汚職の市民活動家上がりのケジリワル(Arbind Kejriwal)氏が結成した新党、庶民党(Aam Aadmi Party)だが、党首が殴られるなどの暴行を受ける事件が相次いでいる。いずれも、小競り合い程度だが、五度目の最近は、オートリキシャの車夫が花輪を捧げる機を利用して力任せに党首の左頬に平手打ちを食らわせた。
ケジリワル氏は警備薄で(本人の希望による)一般民が暴行しやすい隙だらけ、加害者のドライバーは、庶民党が車夫一人ずつから10ルピーの寄付を集めたにもかかわらず、援護策がないとの怒りに駆られて殴ったとのこと。
先のデリー政権49日間辞任劇で、期待していたのに落胆させられたこともあったようだ。
翌日、ケジリワル氏は、加害者宅に花束をもって訪問、ガンジギリといわれる非暴力、腕力より花をの平和手段に訴え、加害者も非を悔いた。
*昨日の敵は今日の友。ご都合主義者(オポチュニスト)のインドの政治家は、理念などなきに等しく、情勢を見て有利な側にころころ転向する。最大野党のインド人民党(BJP=Bharatiya Janata Party)の圧勝がささやかされる昨今、コミュナル(ヒンドゥ右翼)との攻撃の矢にさらされていた野党は政教分離(世俗主義)が理念の地方党からも引っ張りだこ、勝算の低い与党・国民会議派(Congress I)を捨てて、鞍替えする昨日の友が続出、今日の敵と化している。
*マニフェストとは、空約束の別表現、選挙が終わったら、忘却の彼方に飛んでいく。過半数勝利予想に意気軒昂な野党・インド人民党はぎりぎり直前になって公表、首相候補のナレンドラ・モディ(Narendra Modi、現グジャラート州首相)がヒンドゥ右寄り色を弱める文面にしたせいとか。発展・繁栄をスローガンに掲げるも、小売業の外資参入には消極的、全土に林立するパパママストア擁護のため。
先に発表された与党国民会議派のマニフェストを絵空事の『ジョーク』と嘲り笑ったインド人民党だったが、その与党からはうちのコピーとの非難を浴びせかけられた。
*ホロスコープ専門家は商売大繁盛。インドでは星占いは、誕生時にチャート図を作成して人生指針とするほど人気。浮き渋みの烈しいスター稼業や、選挙の勝ち負けが気になる政治家は常に星占い師に頼る。よって、選挙中は占い師にとって大の稼ぎ時、ヘリコプターを差し向けられ、政治家のもとに走る有名占い師もいるとか。
内陸部のウッタルプラデシュ州の前首相ラルー・プラサド・ヤダブ(Lalu Prasad Yadav)は近年落ち目だが、今選挙においては、占い師のアドバイスを真に受けてネガティヴパワーを発しているという私邸の池を埋めた。
*選挙中は治安悪化で、厳重な警備が敷かれる。当オディッシャ州ではナクサライト(インド共産党毛沢東主義派、経済成長から取り残され、貧困や格差に不満を持つ農村住民や低カースト層の間で勢力拡大)といわれる極左ゲリラの襲撃(投票ボイコットの薦め含む)に州政府は神経を尖らせている。すでにチャティスガル州やビハール州でも、銃殺事件が起こっている。テロの脅威もあって、全土的に警戒体制。
なお、選挙当日は禁酒となりリカーショップも臨時休業、どうしても飲みたい人は割高の闇酒を買うしかない(左党は自衛策として前もって買っておくのが一番)。
▽以下は、インドの政治体制について。
インドの政治システムは英国式の議員内閣制度、共和制、連邦制が基盤になっている。29州と7連邦直轄地域である諸州の連邦であるインド共和国は、連邦議会(国会)と州議会から成る。
国家元首である大統領は、国会の上下両院と州議会議員で構成される選挙会によって選出され、任期5年、実権はないが、内閣の助言によって国務を行う。大統領の下、立法(国会)、行政(政府)、司法が独立した三権分立が明確に図られ、議院内閣制は、普通選挙によって政権交代可能で、首相と州知事は大統領によって任免され、州首相は州知事によって任免される。
国会は、上院のラジャ・サバ(州議院、250名、任期6年、2年ごとに3分の1改選)と、下院のロク・サバ(人民議院、545名、任期5年)の二院制から成り、下院が国民全体を代表し、上院が州を代表する仕組みになっている。12億の人口の3分の2の約8億人が18歳以上の有権者だけに、世界最大の民主主義国家を誇る由縁でもある。
首相は、人民による直接選挙で選ばれた下院議員の過半数を占めた第一党の長が任命されるのが一般的だが、現マンモハン・シン首相(2014年3月時点)は、与党(Congress I, 国民会議派)総裁のソニア・ガンジーが2004年、首相職を退けた代わりに指名、大統領によって任命されたものである。