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インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

続メントー作家の訃報(藤田宜永先生へ)

2020-02-01 19:53:44 | カルチャー(祭)・アート・本
直木賞作家の藤田宜永さん死去ー福井出身

私とは縁のあった作家の訃報の続編をお届けします。
一夜明けて、動画ニュースがアップされていたので、ご紹介。
昨日はさすがに落ち込んで、ベンガル湾に白い野菊を流した後、眠れない深夜に弔い酒。
なんといっても、12月4日にメールを戴いてすぐにお返事せず、お亡くなりになった翌日に返信したことが悔まれる。

人は待ってくれない、やはりこちらの事情はどうであれ、二ヶ月近くも放置すべきではなかった。
結局、一期一会のご縁を大切に出来なかったということで。
軽井沢まで訪ねようと思えばいつでも訪ねられたのに、遠慮してしまい、果たせなかったことも残念。
それ以前に福井での講演会のときに、サイン会が終わるまで辛抱強く待ってご挨拶すべきだった。もっともっといろいろお話したいこともあったのに、ぐずぐずしたり、先延ばしにしたりで永久にチャンスを喪ってしまった。
今後の執筆のことなど、相談に乗ってもらいたかったのだが、メールでそうお願いしたときはもう亡き人だった。

が、今頃は向こうの世界で病苦から解放されてほっと寛ぎ、安らいでおられることだろう。

四月に戻り、金沢に半年間滞在する予定なので、この間、故人の作品を読み直してみたい。著書が八十数冊あるので、未読のものもたくさんある。

昨年11月身内を亡くした私にはダブルショックだったが、いくら嘆いても故人が生き返るわけでないので、天国で幸せに暮らしていると考えて、諦めるしかない。

藤田宜永先生へ

宜永先生、生前は拙作を何度もご拝読いただき感想をお送りくださるなど、ひとかたならぬお世話になり誠にありがとうございました。
拙著「車の荒木鬼」の帯への推薦文も改めて篤く御礼申し上げます。
僭越ながら、作家として成功された人生をまっとうされたこと、大変慶ばしく思います。
大勢の読者を喜ばせる使命を果たされた今は、天国でどうか安らかにお眠りくださいますように。
もう一度お目にかかりたかったと残念ですが、ご高著を紐解かせてていただき、在りし日の先生を偲ばせていただきます。
合掌!

(私の感謝の祈りがどうか、先生に伝わりますように!)
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ハロウィーンのお出かけ

2019-10-31 17:44:55 | カルチャー(祭)・アート・本
今日はハロウィーン、昨年HMのビル前に仮装した若い男女の集団が繰り出して面白かったので、今年も午後から街中へ。
徒歩で本多の森まで出て、美術館や博物館、能楽堂など文化施設が密集する緑豊かなエリア、秋の今はほのかなオレンジや黄に色づいている並木道をを遊歩した後、広坂通りのしいのき迎賓館でガラス工芸アートの展示を楽しんだ。
その後、109ビルの四階に入っているでサイゼリヤでハンバーグランチとドリンクバーの遅い昼食、二時間粘ってアンデルセン童話を紐解き、今街中の玉川図書館に来ている。

これから徒歩で香林坊から片町に戻り、仮想集団を見学する予定。今年のコスチュームはどんなだろう。負けないように、私も赤のベレーとショールと、年甲斐もなくド派手に。
楽しみだ。
金沢に入ったのが十日、十月もはや終わろうとしている。
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たかがハーモニカされどハーモニカ

2018-03-15 16:48:42 | カルチャー(祭)・アート・本
風邪気味で少し元気がなかったのだが、音楽を聴けば意気が上がるかと思い、重い腰を上げて駅前の県立音楽堂へ向かった。

今日は午後二時から、ハーモニカとピアノの合奏コンサートがあるのである。ハーモニカかあと少し見下していたら、これがすばらしかった。

ハーモニカ奏者と伴奏のピアニストの二人の女性グループの名はミルフーユといって、結成四年とか。金沢では、ピアノとハーモニカの合奏は珍しいとかで、北陸では唯一のものかもしれない。
4,50代とおぼしき二人は赤と黒のロングドレス、ハーモニカ奏者のスカーレットが鮮やかだ。

ハーモニカって、アコーディオンの音色に似ているというのも初めて知ったし、転調ではハーモニカを変えるということや、三つくらい併用すること、バスハーモニカといって長い低音用のもあることを知った。

<巴里の空の下>、<シェルブールの雨傘>に始まって、<山寺の和尚さん>、中島みゆきの<糸>などなど、ハーモニカ奏者の主催する教室の生徒さん十二名との合奏もあった。

聴きごたえのある熱演だった。
吹き方は口で吹いて舌で伴奏、半音階がないので、二つ使うこと、あとメジャーとマイナー、計三つ併用、目をつむって聞いていると、確かにアコーディオンに聴こえなくもない。

先般のユニセフのコンサートの時は二胡の合奏があったが、楽器ができる人がうらやましい。ハーモニカなら手軽だが、肺活量ないしなあ。
肺活量といえば、七十代の森山良子のそれは素晴らしい。さすがプロ、声量が並大抵でない。

金沢滞在もひと月を切った。

目いっぱい文化的催しを堪能したい。

それと、短編小説のほうも清書してしかるべきところに送ろうと思っている。



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圧巻の小説書

2018-03-07 16:04:45 | カルチャー(祭)・アート・本
金沢滞在も余すところ四十日、この四か月半ほどで180冊くらい読んだと思うが、ベストは、パウロ・コエーリョの「星の巡礼」だった。
訳は精神世界書の第一人者、山川夫妻。かなり分厚いハードカバーの文庫本だったが、二日で読破、パウロの作品は原書ですでに二冊読んでいたので、これで三度目だったが、やはり読ませる。

スペインとフランスにまたがる巡礼路、サンティアゴ・デ・コンポステーラを歩いてみたくなった。

お薦め復刻版は、カドカワ書店から。ぜひご一読いただきたい。人生を変えるほどのインパクトを秘めたブラジルの著名作家の処女作、全世界で売れているベストセラー書でもある。
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感動のマークエステル展

2018-03-07 15:25:06 | カルチャー(祭)・アート・本
昨日、歩いて石引町まで出(徒歩で二十五分ほど)、まず県立美術館地階の無料展示を見た後、広阪通りに出、しいのき迎賓館で開催されていた初日のマークエステル展を堪能してきた。

そんなに期待していたわけでなかったが、プロの手腕はさすがに素晴らしかった。その前県立美術館で見たアマチュアの絵がすべて吹き飛んでしまった。フランスのコートダジュールの岬上にある八百年の伝統を誇る由緒ある名門ホテル一家に育ったマークエステルは、星の岬(カップエステル)という名のそのホテルに宿泊する各界の名士たちとまだ若い青春期に知遇を得る。ケネディ米大統領や、チャールズ・チャップリン、モナコのグレース王妃、アラン・ドロンなど錚々たるメンバーたちから、のちに芸術家として立つインスピレーションを受ける。しかも、近所には有名な画家シャガールが住んでおり、多感な芸術志向の青年に大きな影響を与えた。そのため、彼の作風はシャガールを思わせる幻想性と神秘性にあふれ、色鮮やかな色彩が特徴だ。油彩にはじまり、手彩ジグレー(デジタルによる着色吹付)版画、ブロンズ像、ガラス工芸品、陶器の絵付けとジャンルが多彩だが、一番展示点数が多かった絵がなんといっても素晴らしかった。

シャガールの絵の空を飛ぶ男女が、マークエステルの場合、日本の古事記の神々になる。これまで日本国内の九十の神社に奉納してきた経歴があり、今回も南町の尾山神社に作品(加賀百万石の礎を築いた前田利家とお松の方)を奉納、その後のしいのき迎賓館でのA・Bギャラリーでの無料展示だったわけだ。どうしたらこんなに素晴らしい色が出せるんだろうと、色遣いにおいて本物の花をはるかに凌駕するイマージネーション豊かな豊饒な色彩、原色のめくるめく色が駆使された作品群は、見ていて飽きない。美しくわかりやすく、美術の素人でも一目で魅了される作品だ。

天照大神はじめ、イザナギノミコトやイザナミノミコトが自然を背景に配された少しオリエンタル風の絵はじめ、静物画であるブーケ(花瓶の生け花)がテーマの絵がたくさんあり、とにかくありとあらゆる原色が駆使さ、手変え品替えの豊饒さに感嘆、何度も巡回、ちょうど入口の奥の座席に作者が常駐しており、決め手は色で、赤が愛、青が希望、紫が悟りなど、色が決まれば作品はおのずと完成すると、片言の日本語で述べておられた。

目つぶしを食らうようなカラフルさなのに、洗われるような透明感のある原色で、並みの人には出せない色遣い、清々しくフレッシュで、純粋な子供の心を失わない氏の面目躍如たるところ、磨き抜かれた魂、清浄なハートの具現ともいえ、今年75歳という長年のプロの鍛錬のたまもの、さすがとうならされる手腕である。日本人には出せない色だなあと思う。作風に和洋折衷が生きている。また、シャガールの影響も随所に見られ、幻想的な美画でもある。

あいにく老眼鏡を忘れてきて細部を子細にチェックできなかったのが残念だが、11日まで展示予定なので、近日中にもう一度再訪するつもりだ。
まさしく圧巻の芸術作品、とくと堪能した後、ワインで一杯やりたくなったのはいうまでもない。
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お気に入りの旧県庁舎

2018-02-27 15:35:34 | カルチャー(祭)・アート・本
本日は一週間ぶりに繁華街に出た。
快晴だが、やや風が強く、二ケタ台の11度の気温感はない。
広阪にあるしいのき迎賓館へ。私のお気に入りのスポットである。大正十三年(1924)創立の旧県庁舎で、大正期モダニズムあふれる建築デザインで、前庭には樹齢三百年の天然記念物物・堂型のしいの木が二本あり、格調高い外観、一階の一段降りたスペースでは月二回無料コンサートが催され、同階の両翼にある小部屋二つ(ギャラリー室)で、無料の展示も開催されている。

私は観光客に有名な21世紀美術館より、こちらのこじんまりとしたスペースの瀟洒な催しが好きで、しょっちゅう出入りしている。座席スペースもゆったりして、トイレ休憩にもいい。
21世紀美術館は観光客があふれかえり、だだっ広く展示も見にくいし、無料の催しに関しては内容もいまいち。
しいのき迎賓館のギャリースペースのほうがずっとしゃれているのだ。本日ものぞいたら、油絵展と水墨画・書画展をやっていて、小スペースながら見ごたえがあった。
大理石張りの階段を上って(踊り場の高方の壁にははステンドグラスがはめ込まれている)、二階に行くと、高級フランス料理店があり、その裏の広いスペースが全面ガラス張りになっており、金沢城の石垣を一面に見渡せて眺望抜群。いまだ残雪の残る広大な広場、その向こうに金沢城公園の石垣と、一見の価値はある絶景が開ける。春は桜、夏は青葉、秋は紅葉、冬は雪の、ピンク・緑・赤・白の移り変わりが古都ならではの美しさだ。

今日の催しについて一言。油絵のほうは日本の村の鎮守のお祭りがテーマになった鮮やかな原色を駆使したもの。普通村の風景画というと水彩の和画を思い浮かべるが、こってり原色の質感のあるエキゾチックな絵で、土の色は鮮やかなオレンジ、赤い鬼面をかぶった村人の行列や、赤い鳥居、巫女や神主、五色ののぼり、カラフルなバルーン、ヤギやキツネなど、原始的な画法のアニメチックと言えなくもない面白い絵だった。

水墨画のほうは、薄墨色のしだれ桜や、桜梅の競美など、こちらもなかなか見もの、書画も勇壮な字体あり、雅で繊細な流れるような書体ありで、筆が立つ人がうらやましくなるのはこんなときだ。風流な毛筆、ああ、自分にも書けたらなとうらやみつつ、あまりに達筆すぎて読むのに苦労した。
双の扇に水墨画をあしらい、金粉を散らした、三日月と滝、満月と波をあしらった作品も目を惹きつけた。

知人友人に毛筆の達人がいて(一人は師範免状を持ち書道教室を開催)、ああ、筆が立ったら色紙や自著にサインしたりできるほか、手紙なども風流になるのになあとわが身の才のなさが悔やまれることである。
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プリーのビーチカーニバル(写真)

2017-01-28 15:51:31 | カルチャー(祭)・アート・本
先週の土曜日から開催された当地プリーのビーチ祭りに先日行ってきた。
浜沿いに西の方角に向かって歩いて一キロほどの地点が始まりで、五つ星ホテルのメイフェアや州政府経営のツーリストバンガローがある辺りしか見なかったが、この手の催しには行き飽きているので、格別目新しいこともなく、歌や踊りの舞台、ハンドクラフトグッズの露店、子供用の仮設遊園地と付近を一周して帰ってきた。
会場は西端の浜まで続いているので、もう少し先に行けば競技会なども見れたかもしれないが、すでにサンセットタイムで薄暗くなりつつあったので、きびすを返した。

以下、写真をどうぞ


ベンガル海に沈まんとする壮麗な入日。夕空にはうろこ雲が広がり、橙がかったこんじきの
落日との対照が美しかった


浜の一角に設けられたステージ上の女性司会者と、背後
に控える現地クラシックダンサーたち

以下のミニ写真はクリックすると、拡大されます。







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無人島に女一人男31人(書評)

2017-01-13 18:42:18 | カルチャー(祭)・アート・本
しばらく音楽の話題が続いたので、本道に戻って文学のトピック、日本から持ち帰った文庫の書評を試みたい。

「東京島」(新潮文庫/桐野夏生・2010年、谷崎潤一郎賞)。私より三歳年上の金沢出身直木賞作家の作品を読むのは、「ナニカアル」(島清恋愛文学賞、読売文学賞受賞)に続いて二度目だが、前著の林芙美子をモデルにした作品のほうが力がこもっていてよかった。
「東京島」は無人島に四十代の女主人公が夫とともに流れ着き、その後若い男性一団が漂流してくるという筋書きだが、実際にあった出来事(アナタハンの女王事件、戦中から戦後にかけて(1945ー1950年)、太平洋マリアナ諸島に位置する小島・アナタハンに日本人の女が1人と男が32人取り残されてしまった。軍に救助されるまでの6年間、女をめぐっての殺人や行方不明者が相次いだ事件。関連記事はこちら)がヒントになったことは間違いない。

初めて純文学雑誌に連載した小説だったらしいが、かなり通俗でブラックユーモアというか、ナンセンス物、ただし筆力はあるストーリーテラーなので、タイムパスにはいい。エンタテイメントとして読むには面白いかもしれない。私は彼女のペンネームの下の名前(大庭みな子の小説のヒロイン名からとったらしい)が好きで、金沢出身だし、ずっと気になっていた作家ではあったのだが、読み出したのは最近である。近年は純文学分野にもトライしているようで、確かに筆力のある作家ではある。

「核の信託」(アジア文化社/五十嵐勉、2016年)。昨年十二月文芸思潮誌編集室(九品仏)をお訪ねしたとき、劇化されたDVDとともにご贈呈いただいた単行本だが、第二次世界大戦中の日本への原爆投下に至るまでの米側の手に汗握る臨場のドラマが展開され、一都市が破壊される威力の新型爆弾、B29二千機が落とすのと同様の破壊力を持つ恐ろしい原爆の使用についての人道的な見地から、発明した科学者たちが懊悩する場面が赤裸々に描かれ、ドラマチックな展開の戯曲である。
核を国連の手にゆだねる建白書をルーズベルト大統領に提出する科学者連の良心と、対する第三次世界大戦をそそのかし、世界制覇のためにも無警告で原爆を投下せよと強要する財閥執事サンギエの悪意が拮抗、ラストは国連委託を決めたルーズベルトをサンギエが銃殺する波乱万丈の大団円で締めくくられる。フィクションだが、歴史的事実を踏まえたドキュメントタッチで、全編緊迫感に満ちている。
芝居の方も原作者の意図をよく汲み取って大熱演、いい仕上がりになっていた。さすが、五十嵐勉という感じで、戯曲にも才能があられるのに感服した。

「うわさの神仏ー日本闇世界めぐり」(集英社文庫/加門七海<ホラー/伝奇小説家でもある>。2001年)。寺社巡り、オカルト大好きの“神仏ゴシップ芸能記者”を自称する著者だけあって、ともすれば難解な説明に終わりがちな神仏の世界をわかりやすく説いている。私も神社仏閣巡りは好きなほうだが(ずいぶんお守りがたまってしまった。ご朱印というのも九品仏の浄真寺で初めて入手<参拝したという印の捺印が押された薄紙。有料>。下の写真参照)、神社用語とか、諸仏像のユーモラスな解説とか、陰陽道などなど、学ばせてもらった。ただ難解さを避けるためか、歴史的事実を省いている箇所がいくつもあり、そこを踏み込んでさらにわかりやすく説明してもらえればもっとよかったと思う。
仏様にもイケメンがいるという発想は愉快。美形の神様、確かにいるよなあ。あと、神社にたたりがあるって話はわが経験からも納得できた(昔ののろいの五寸釘人形を打ち込んだ大木のある神社が金沢のマンションの近くにある)。ちなみに。著者は幽霊が見える霊体質の持ち主だそうだが、成仏させることは出来ないらしい。

右は浄真寺のご朱印で寺名と日付の墨字入りで九体の阿弥陀仏の判が
捺されている。左は足腰にいい仏足のストラップお守り。


「寺泊・わが風車」(新潮文庫/水上勉、1984年)。表題作の短編が川端康成賞を受賞しただけあって、秀逸。すずりを洗って出直したいと考えている私にとって、これくらいの枚数の短編なら体力のない今でも、少しずつ書いていけばなんとかなるかもとの希望も植えつけさせてくれた(もちろん、筆力ではとうてい及ばぬにしろ)。私淑する水上勉は、同郷の福井県出身である(若狭)。過去社会派ミステリー作家を気取ったこともあったが、「飢餓海峡」(往時ベストセラーになった)は上だけ読んで、下巻は読む気がしなかった。やっぱり純文学作品が光る。三十枚の短さで人間がよく描けており、自然描写ひとつとっても、観察眼が鋭く、良質の叙情に満ち溢れ、さすがとうならせられる。

☆一口メモ(アナタハンの女王事件=wikiより一部引用)
日本の信託統治領であったサイパン島から北方約117キロに位置するアナタハン島は、東西の長さ約9キロ・幅3.7キロの小島で、最高点は海抜788メートルというなだらかな小島であった。この島に派遣された32人の男と1人の女「比嘉和子」と共同生活していくうちに、男性達がその女性を巡って争うようになり、男性がが々に行方不明になったり殺害されたりした。
第二次世界大戦末期に、南洋興発株式会社社員の妻である比嘉和子、同社社員の男性上司、帝国陸海軍の軍人・軍属31人の計32人(日本人)は、この島に派遣され全南洋開発からの物資を受けつつ自給自足の生活を共同で送っていた。しかし、そのうち全員が1人の女性を巡って争うようになり、1945年8月の終戦までに行方不明者が2人出た。
この島に残留する日本人がいることを知ったアメリカ軍は、終戦後に拡声器で島の住人達に日本の敗戦を知らせたが、アナタハン島の日本人は信じず島を離れようとしなかった。
1946年8月、彼らは島内に墜落したアメリカ軍のボーイングB-29の残骸を発見し、残骸の中から発見された4丁の拳銃を組み変え、2丁の拳銃が作られた。これ以降、銃の存在が権力の象徴となり、以来女性を巡って、男性達の間で公然と殺し合いが行われるようになった。
この後、1950年6月、アメリカ船の救出によって女性が脱出し、翌1951年6月には生き残った男性19人も救出された。この時点までにで死亡した男性は行方不明を含め13人にのぼった。
一連の怪事件がその後大々的に報道され、日本国内で「アナタハンブーム」となり、女性のブロマイドが売れた。男を惑わす女として報道され、大衆の好奇の目に晒され、映画化もされた。


*おまけ。「舟を編む」(光文社文庫/三浦しをん、2015年)。2011年単行本刊行、2012年本屋大賞を受賞し話題になった作品ゆえ、既読の方もあろう。元編集者の私には、言葉の大海を泳ぎきる辞書編集部の縁の下の力持ち的奮闘が、読み応えがあった。綿密な調査取材がされた傑作。2006年に直木賞を受賞した「まほろ駅前多田便利軒」は感心しなかったが、こちらは超面白かった。持ち帰った中では水上勉に次ぐ次点、だったので、末尾に付記させていただいた。以下、ウイキから一部引用。
女性ファッション雑誌『CLASSY.』に、2009年11月号から2011年7月号にかけて連載され、2011年9月16日に光文社より単行本が刊行された。2012年、本屋大賞を受賞。
「玄武書房」に勤める変人編集部員・馬締光也が、新しく刊行する辞書『大渡海』の編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられ、個性豊かな編纂者たちが辞書の世界に没頭していく姿を描いた作品。「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味でこの書名が付いている。執筆にあたって、岩波書店および小学館の辞書編集部の取材を行なっている。
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アルフィー関連秘蔵本の内訳(写真入り)

2016-12-23 14:42:09 | カルチャー(祭)・アート・本
前の記事で番外写真として載せたアルフィー関連書について、簡略に題名や版元、値段、ページ数、発行年などの情報を付記しておきたい。




↑こちらのミニ写真をクリックすれば、拡大されて、各書のカバーがよくご覧になれます。


では早速、上記写真の時計回りにジグザグ順で紹介していきたい。

「THE ALFEE BOOK - LONG WAY TO FREEDOM」Vol.1(CBSソニー出版、1987.8.5、2300円、190P)函をはずしたカバーはオレンジ色の雲

「THE ALFEE BOOK - LONG WAY TO FREEDOM」Vol.2(CBSソニー出版、1987.12.15、2500円、202P)函をはずしたカバーはピンクの雲

「The AlFEE-40th Anniversary Special Book」(ぴあ、2014、207P)
40周年記念に出されたアルバム集

「The Alfee File」(音楽専科社、2000年、801P)
1979年再デビュー来の20周年記念に出されたアルバム集で800ページ以上の分厚さ。広げているうちに本それ自体の重みで綴じが甘くなってきて1ページ剥がれてしまい、冷や汗、アルフィーの三十年来のファンであるYさんの秘蔵本なのにどうしよう。というわけで、充分読み込めなかった。2000年刊行の大事なご本をこれ以上、傷つけられない。元編集者の私見を云えば、二冊に分冊してもらえれば、読みやすかったと思う。あと、800ページ以上で雑誌の綴じでは、やはり甘いと思う。それはさておき、Yさん、その節は本当に失礼申し上げました。ダメージ平にご容赦ください。

「THE ALFEE 1986.8.3 TOKYO BAY AREA」(自由国民社、1986.9.15、99P)
伝説の十万人コンサート、ページの間からも昭和の熱気が伝わってくる、一押しの秘蔵アルバム集。

「ALFEE-BE AWARE OF ALFEE'S LAW」(CBSソニー出版、1200円、1983、128P+PH=140P)

「MEET THE ALFEE(アルフィー対談集)」<シンプジャーナル別冊、自由国民社、1985、1300円、175P>
芸能界の女性アイドルと、男性シンガーたちのとの対談集。山下久美子、竹下景子、ピンクレディのケイら女性との対話よりも、西条秀樹や吉田拓郎との対談の方が実がある。

「蜂の王様」(山川健一、角川書店、1989、1000円、194P)
高見沢俊彦が実名で登場するドキュメンタリータッチのフィクション。大学時代の恋人とのいきさつを赤裸々に綴った内容に、発売当時は物議をかもし、少女ファンが離れていったというが、ショッキングな内容ではなく、むしろ純愛物語、恋人を別の男に獲られて失恋という顛末だ。高見沢俊彦像は、高級カーマニアである著者の山川本人が投影され、フィクションがかなり混じっている。高見沢さんご本人に言わせれば、俺はあんなにかっこよくないとのこと、対する友人作家・山川は、フィクションだからいいじゃないかと答えたとのことだ。

「OVER DRIVE」(八曜社、1982、950円、257P)

「プラネット アルフィー」(近代映画社、1984、1000円、261P)

「夢さがしーアルフィー・高見沢俊彦物語」(渡辺芳子、1983、950円、227P)
大学時代の同級生が書いた、スターミュージシャンとしての夢を実現するまでの高見沢俊彦の自伝

「Dear アルフィー」(饗庭和子、文芸社、1997、1000円、153P)
ロックバンド・THE ALFEEの熱烈ファンの恋日記。好きなミュージシャンには呼ばれるという箇所が、わがことにも通じ、面白かった。他愛ないといってしまえばそれまでなのだが、一流の作家が書いたのではない普通のファンの生の声が、一読の価値あり。

「もうひとつのALFEE STORY」(小野緑、学習研究社、1300円、1990 223P)
アルフィーのスタッフ、裏方たちの外伝。アルフィーに惚れこんだスタッフの熱意と誠意ある仕事、縁の下の力持ちによって人気グループが支えられていることがわかる。いいスタッフに恵まれたアルフィーは果報者だ。


*興味のある方はアマゾンで検索してみてください。絶版もあるかもしれませんが、古書ということで特価で売り出されている可能性も。ただし、「蜂の王様」は少しも衝撃的な内容でなく、期待はずれに終わるかも。
高見沢さんと山川さんの対談記事を見つけたので、ついでにアップしておきます。
「蜂の王様」の主人公との対話
T.Takamizawa 高見沢俊彦 VS 山川健一

最後に高見沢さんの神がかり的パフォーマンスをどうぞ。
先月13日の福井ライヴでも、「孤独の影」のギターソロや、「君に逢ったのはいつだろう」のエンジェルギター伴奏に情感のこもったラブソングで神ってました!!!

[HD] THE ALFEE 高見沢さん ギターソロ Takamiy(長いストレートヘア振り乱してのハードなヴィンテージ物レスポール独奏、しびれる!)
孤独の影(前・後奏のギターソロに注目!)
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愛の骸(むくろ)が累々(アルフィー・埋もれた名ラブソング)

2016-09-07 17:32:46 | カルチャー(祭)・アート・本
アルフィーの名ラブソング第二弾である。
以下、最近よくハミングしている気に入りの歌をどうぞ。

Last Stage
1:10あたりからスタートです。

狭いステージの上でいつも
かわいた心癒すために
作り笑いを売り物にして
一杯の水とひきかえてきた

休むことも許されず俺は
なんの為に心を削ってきたのか
時を唄い夢を叫び
気がつけば冷たい風の中

黄昏の街に夕日が沈む
まるで燃え尽きた愛のように
Loneliness I cry for everyone
涙あふれて
ラスト・ステージ もう二度と
愛の唄は歌わない


愛と挫折をくり返しながら
痛みをすべて唄に託してきた
遠い想い出奏でるメロディ
あの夏へはもう誰も戻れない
祈るように星空を見つめてる
充たされぬ心をいたわるように
Loneliness I cry for everyone
涙あふれて
ラスト・ステージ もう二度と
愛の唄は歌わない

誰にも本当の夢など語れない
これ以上俺は孤独になりたくない
疲れた体を癒す場所は
君のその胸の中
掴んだ夢と失した愛が
心の中で揺れている

…以下略

♪もう愛の唄は歌わない♪って、ちょっとどきりとする文句。振り返ってみれば、高見沢俊彦の328オリジナル曲のほとんどがラブソング、食傷してもおかしくない。
♪つかんだ夢となくした愛が心の中で揺れてる♪
夢(ミュージシャンとしての成功)を追求するために犠牲にした愛の数々、ロストラブの代償の上に築いた成功、喪失した愛の屍が累々と横たわっているようだ。

かくいう私も書くために犠牲にしてきたことは数知れない。
もちろん恋も犠牲になった。ある意味、家庭も。いい妻、いい母親にもなれなかった。

高見沢俊彦がラブソングを書くとき、脳裏にあるのはどの女性だろう。
小泉今日子(楽曲「木枯らしを抱いて」を提供したことで親密になったとの噂がささやかれたが、小泉側の事務所がもみ消したとのこと)、二児の母リョウコさん、はたまた……。ラストステージに歌われてる女性はきっと最愛の人だろうな。
ラブソングを休むことなく書きつづけたシンガソングライターの本音が赤裸々に明かされた歌詞で胸を打つ。

客席の赤とグリーンのペンライトのコンビが幻想的。
真夏の夜の祭典にふさわしい、最後の打ち上げ花火も華麗。2004年のサマーイベントだが、野外会場のよさは花火を打ち上げられること。でも、騒音苦情とかで会場を見つけるのが大変らしく、近年復活したサマーイベントは埼玉スーパーアリーナなど屋内施設で行われるらしい。
野外会場での壮大なスペクタル、一度観てみたかったな。

以下、ウイキから一部引用。
サマーイベント
アルフィーは夏の風物詩として野外で大規模なコンサートを行ってきた。数回の例外はあるが例年屋根のない場所で行われ、原則として同じ場所での公演は控えてきた。しかし晩年は場所探しの難航から、これらの原則は守ることが徐々に困難となっていた。
2007年にはそれまで25年間連続して行ってきた夏のイベントを一時休止、2009年8月8日、9日に開催された「YOKOHAMA PERFECT BURN」をもって、長年続けてきた夏の野外イベントは終了した。その後屋内ではあるが、さいたまスーパーアリーナで夏のイベントが3公演開催されている。

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