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インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

私の選挙予報

2014-05-15 22:42:39 | 政治・社会・経済
先ごろ36日間の長期にわたって行われた2014インド総選挙の結果がいよいよ、明日公表される。

これに先立つこと、私の予報を述べておくと。

最大野党、インド人民党(BJP)300席前後
最大与党、国民会議派(Congress I)100席を割る
新党、庶民党(Aam Aadmi Party) 二ケタ台

である。
インド人民党が圧勝であることはほぼ間違いない。
メディアはダークホースの庶民党は5-6席と予想していたが、私は二桁台になると踏んでいる。

名門政治家一家、ガンジー家を輩出してきた与党ではあったが、この十年の失政、汚職に次ぐぐ汚職に国民はほとほと嫌気が指していた。
インフレと経済停滞、一期目はソニア(夫は暗殺されたラジヴ・ガンジー、祖母はインディラ、イタリア生まれの未亡人)党総裁と、ソニアが指名したシン首相が絶妙なコンビ力を発揮したのだが、二期目はメッキが剥がれ落ちた。

結局は、ソニアが影のPM的実権を握り、シン首相は言いなりのウイークな名ばかりのトップ、政策的実権を持たない弱さが裏目に出て、野党の攻撃の的にさらされた。実際、シン首相はいちいちソニアにお伺いを立てていたらしい事実も、元メディアアドバイザーの暴露本で暴かれた。
そもそもは2004年の総選挙勝利に際して、ソニアが国民の強い希望に背いて首相の座を退け、代わりにマンモハン・シンを任命したことから来ている。

野党は、イタリア出生の女性が国のトップに立つなど、世も末と嘆き、国の主権が脅かされるといわんばかりの喧々囂々の非難の嵐に見舞われるさなか、ソニアが首相職を退けた経緯があったのだ。

まあ、日本で言えば、ソニアは日本の前政権の小沢、みたいなもんだったわけである。

というわけで、実質的権限を持たないシン首相に閣僚は従わず、したい放題、シン自身も優柔不断で強権を発動して汚職大臣をコントロールできず、次から次へと巨額の疑獄事件が発生したというわけである。

国民はよって、強い首相を求めている。
減速経済を一転して上向きにし、牽引する指導力、そして、BRICSの一環としてさらなる発展を遂げるエレファント大国を、「よき統治、経済発展」をスローガンに掲げるナレンドラ・モディ首相候補に求めているというわけだ。

現グジャラート州首相のモディには2002年のグジャラート騒動で(イスラム過激派によるヒンドゥ教徒の列車焼き討ち事件が契機となって両教徒の暴動発生)、2000余名のイスラム教徒を見殺しにしたとががあり、アメリカ政府がいまだにビザをおろさない失態があるのだが(最近最高裁から無罪のお墨付きをもらった)。
そもそも所属するインド人民党がヒンドゥ至上主義を理念に掲げる右翼党で、イスラム教徒の有権者はコミュナル(宗教寄り)なBJPには反感を抱いているのだ。

人口最大州ウッタルプラデシュでのイスラム民専住地域での集会が、警備への配慮から選挙管理委員会に許可されなかったのは、そういう背景もあったのだ(これを勿怪の幸い、ラフール・ガンジーはイスラム住民地域で大集会を開き、支持する群衆にもみくちゃにされる大歓迎を受けた)。

が、モディは巧妙に戦略を練り、さしあたってはヒンドゥ色は弱め、経済繁栄を前面に押し出し、若い有権者の気を惹き、各地の遊説を大盛況に沸きかえらせた。
ヘリコプターを駆使して30万キロを網羅、アメリカ大統領並みの広範な選挙戦を展開した。
与党をはるかにしのぐ選挙資金で、派手なキャンペーンを繰り広げ、またモディが抜かりなく、各地ごとに演説を変えてローカル色豊かな内容にして民衆を惹きつけ、集会はどこも黒山の群集でにぎわった。
野党は一説に5000-10000クロール、750億円から1500億円の膨大な金額を惜しげもなく費消したといわれる。

キャンペーンでも、与党は完全に遅れを取っていた。
ガンジー家の長男ラフールもカリスマ性がいまいちで、モディの収容人員に比べると、格段に数が落ちた。

さて、いよいよ明日だ。
与野党の対決結果ははっきりしているが、庶民党がどこまで票を伸ばすかが楽しみだ。
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インド総選挙日程終了と総括

2014-05-13 23:01:49 | 政治・社会・経済
先月七日から今月十二日まで、九回に分けて行われた2014インド総選挙が無事終了した。
全体の投票率は66%と、過去最高の1984年の64%(インディラ・ガンジーが暗殺されたあと急遽催されたせい)を上回り、2009年の前回と比べると、8%もアップ、いかに有権者が今回の選挙に熱意を持って臨んでいたかがおわかりいただけよう。

政権交代を望む若い声、汚職撲滅の市民運動隆盛で中流民の権利意識が高まっていたこともあり、市民活動家上がりのアルヴィンド・ケジリワル氏が新結成した庶民党への期待もあって、酷暑期をものともせず、全土93万箇所の投票所には長蛇の列、女性有権者が男性を上回ったのも、ウーマンパワーを思わせ、保守的な男尊女卑社会インドでは注目すべき現象だった。
過激派の呼びかける投票ボイコットも、さして影響しなかった。

全土買収の札束やアルコール&ドラッグが飛び交い、電子投票機がひったくられたり、小競り合いによる死傷者も出たが、総じて平和裏に締めくくられた。

36日間にわたる長い長い選挙カーニバルは終わった。
有権者が8億1400万(うち投票者は5億4千万)という世界最大の民主主義国家の、選挙サーカス、お祭り騒ぎだった。

注目された三大候補は、最大野党インド人民党(BJP)の首相候補、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)、最大与党、国民会議派(Congress I)の副総裁、名門政治家一家の長男、ラフール・ガンジー(Rahul Gandhi)、前述の庶民党(Aam Aadmi Party)総裁、ケジリワル(Arvind Kejriwal)だ。

すでに、開票予想が出回っており、インド人民党が圧勝と踏む報道番組が大方、270-280下院議員(ロク・サバ)席数で過半数を占めると見られているが、なかには300を越すと予想するニュース班も。

インド人民党は意気軒昂、一方の国民会議派側はすでに敗色の色濃く、責任の擦り付け合いまではじめている。あげくに、ラフール・ガンジーは、たとえ負けても閣僚ではなかったのだから、関係ないととってつけたような弁明までするリーダーまで現れた。インド政界のファーストファミリーの貴公子、プリンスの責任回避、の代弁である。

開票予想に大喜びの野党と一転、渋い顔、暗澹ムードの与党である。

経済発展をスローガンに掲げるモディ首相誕生を見越して、ボンベイ証券取引所の株指数は24550ポイントと、異常な跳ね上がり方、二日で1600pの高騰だった。
モディ効果はすごい!

さあ、開票まであと三日。
予想通り、BJP圧勝か、結果が待たれる。
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総選挙結果予報

2014-05-12 22:37:50 | 政治・社会・経済
昨日、PCを延々三時間打っていたら、またしてもブラックアウトで焦った。
いったん消してトライしたが、始動しない。
これはいよいよお陀仏かと、翌日メカニックを呼んだらすぐ直してもらえた。

ウイルスではないらしい。
パワー(電力)の問題というのだが、ひやひやだ。

つまり、長い時間やるなということらしい。

新マシンを設置するまではなんとか旧でもたせないといけないので、ほどほどにしないと。

昨夜はそんなわけでショックで寝不足につぐ寝不足、一日たったら簡単に直してもらえてほっとしたが、これから気をつけよう。

なんとなく危なっかしい感じで、早くニューマシンが設置されてほしい。

こればかりはインド、焦ってもしょうがないのだが、南のバンガロール在住のエンジニアの息子にパーツをオンラインで購入してもらい、うちに送ってもらうよう手配したので、予想以上に日数がかかる。

ブランド製品にすれば、楽だったかなあ。
Best Configurationにするからと息子が、組み立て式自家製品(assembly)を薦めるので、そうしたのだが。

ジュリーにうつつを抜かさず、本日は掌編小説を前もって印刷しておいた。

いつ何時の警戒態勢で、仕事優先しなくっちゃ。

閑話休題。

本日、テレビの報道番組で、インド総選挙の16日開票前の予想(Exit Poll)を提示していた。
今日12日で最終九回が終了したことを受けてである。

India Today
最大野党、インド人民党(BJP,Bharatiya Janata Party) 277±11
最大与党、国民会議派(CONGRESS I) 115±5
その他 156±6

New Dehli Television
最大野党、インド人民党(BJP,Bharatiya Janata Party) 279
最大与党、国民会議派(CONGRESS I) 108
その他 156

両局とも野党圧勝の予想だが、過半数を割ると、地方の小党との連立政権になって、NDA(National Democratic Alliance、国民民主連合)、国民会議派中心の連立政権だと、UPA(United Progressive Alliance、統一進歩連合)となる。
それ以外だと、共産党はじめのThird Frontだが、こちらは可能性は少ない。むしろ、前二者のどちらかへの閣外協力がありえそうだ。

わくわく、結果が楽しみだ。

とにかく、前のマンモハン・シン首相が影武者的存在の与党総裁ソニアの言いなりで、からきし威厳がなかったので、新首相には強力な指導力を期待したい。
インド人民党はヒンドゥ至上主義とコミュナルなのが難だが、モディ現グジャラート州首相(中央首相候補)の手腕は期待できる。
モディ首相誕生となれば、経済面では大きな飛躍が見込めそう。
グジャラート州同様、国を発展へと牽引していけるか、お手並み拝見、といったところである。

モディ首相誕生はほぼ間違いない。

*ボンベイ証券取引所(BSE)も、株指数がついに24000ポイントを突破、ナスダック市場(NSE)は7000ポイント超、天井突き抜けてとどまるところを知らない勢い。BSEはすでに二日で、1200ポイント以上の高騰である。まこと、モディ効果は恐るべし!
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推敲片付いて選挙を斜め読み

2014-05-12 00:22:25 | 政治・社会・経済
ああ、やっと二編の新作の推敲を終えた。
一息だ。
ビールで打ち上げしたいところだが、寝不足なので、本日はよく寝てから、明日かな。

今のところ、旧もウィンドウズ7に変えたので、快調。
新しいマシンは、まだパーツが二つ送られてきていないとかで、結局今月いっぱいかかってしまいそうだ。

よって、プリンターも一時的に旧のほうにつないでもらった。

7はまだ使い始めて間もないが、ユーザーフレンドリーの評判どおり、使いやすい。

インドは酷暑たけなわ、明日が総選挙の最終回、第九局面である。
16日が開票。
やっぱり、野党のインド人民党の圧勝、ナレンドラ・モディ首相誕生だよなあ。

対抗馬として、与党の国民会議派、ラフール・ガンジー副総裁、新党の庶民党総裁、アルヴィンド・ケジリワルがあがっているが、キャンペーン活動に関してはダンチで引き離している。

「経済繁栄、よき統治」をスローガンに掲げるモディブームに全土沸き立っているのである。

フェイスブックとツイッターの、三大物候補者の比較数値をあげると。

モディ
1300万(フェイスブックのライクス)
3900万(ツイッターのフォロワー)

ラフール
320万
17万5千

ケジリワル
541万2千
177万

モディはケータイで8億以上といわれる有権者の四分の一強の2億3千万人をカバーしているとも言う。ネットキャンペーンは九州語で展開しているそうな。テレビなどのマスコミでの取り上げられ方でも、トップだ。
自州グジャラート(現州首相)を繁栄州にのし上がらせた辣腕への期待が高まり、産業界から豊富な資金が流れ込んでいるので、与党をしのぐ派手なキャンペーン活動も可能なわけだ。

モディ旋風吹き荒れる全土。

モディ首相誕生を見越して、株指数は23000ポイントを越す、うなぎのぼり。

しかし、庶民党総裁ケジリワルがどこまで、モディの票田に食い込むかも、見物。
内陸部の人口最大州ウッタルプラデシュの有名聖地、ヴァラナシ地区から両候補は出馬しているのだ。

開票の16日が楽しみ。

また、折々選挙情報、お伝えしたい。
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2014インド総選挙、終盤で白熱

2014-05-09 23:44:13 | 政治・社会・経済
インド総選挙たけなわ、先ごろ第八回目、7州で64下院議員議席が競われ、6000万人の有権者が投票所に押しかけた。
西ベンガル州は81%と最高の投票率をマーク、一方イスラム教徒が九割方を占める暴動地帯、北西山間地のジャンムー・カシミ・-ル州は45%と最下位だった。

今回の総選挙には、2009年に比べ、有権者の権利意識の高まり、変化を望む声が圧倒的で、投票に駆けつける若者も多い。
8%も投票率がアップしたというのだから、いかに今選挙が関心をもたれているか、おわかりいただけよう。

与党国民会議派傘下の連立政権の十年の悪政、汚職三昧にほとほと嫌気が差したことからくる、政権交代を望む声の強まりである。
12日に最終九回目を終わると、全日程を消化、あとは16日の開票を待つだけ。

各党の遊説戦は熾烈になるばかりで、個人攻撃で、ヘイトスピーチも。
理念や政策そっちのけで、低級な舌鋒戦がマスコミで批判される昨今。

野党インド人民党の首相候補、ナレンドラ・モディと、与党国民会議派副総裁のラフール・ガンジー(インドの名門政治家一家ガンジー家の長男、暗殺されたラジヴの息子、母はイタリア生まれの総裁ソニア、祖母はインディラ)の泥のなすりつけつけ試合は、応援に駆けつけたラフールの妹プリヤンカにまで飛び火、互いの演説の揚げ足取るような非難の応酬が続いている。
プリヤンカがモディの演説を低級(ニーチェ)と非難するや、モディは、どうせ私はニーチェ階級出身、銀のスプーンで育った最上階級とは違うとこじつけ、カーストカードを引き出す権謀術数。モディは、父親がティーショップを営んでいた貧民階級出身、バックワードカーストなのだが、それを売りにしているのである。

ラフールよりも、プリヤンカのほうが祖母のインディラ似でカリスマ性があり、ナチュラルコミュニケーター、民衆に混ざって気さくだが、現時点では二児の母の主婦専業、出馬予定はなく、もっぱら母と兄の応援演説に借り出されるのみだ。
モディとプリヤンカの代理戦争は日々、白熱化している。

12日無事最終回を済ませての、四日後の開票がひとえに待ちわびられる。
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2014インド総選挙こぼれ話6

2014-04-30 01:56:47 | 政治・社会・経済
インド総選挙も、全九回の六回まで終わり、終盤に突入。
こぼれ話第六弾は、有権者の買収法を箇条書きにあげてみよう。

*新聞紙の中に現金入り封筒を差し挟み、有権者の戸口へ。

*朝の牛乳配布とともに現金をさりげなく手渡す。

*地域の食事会の際、皿代わりのバナナの葉の下や、葉っぱのお皿の下に現金を忍ばせる。

*ライバル候補のリーダーを買収して、キャンペーンを生ぬるくさせる

*村長を買収して、村民の票田確保

*メディアを買収して、対立候補のネガティヴパブリシティ

*道路、学校、寺院建設に札束ばら撒き

*就職、大学、会社のポスト確保の約束

*学生に無償の本配布

*農夫に、無料の牛、種子と肥料配布

*カレンダー、財布、サリー、Tシャツ、バッグの無料配布 

*酒・ドラッグの無料配布

*候補者の経営する大学への無料入学

*地方のリーダーに車贈与

*冠婚葬祭、宗教集会の無料アレンジ


お酒と札束ばらまきのインド乱痴気総選挙、開票は来月16日!
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2014インド総選挙こぼれ話5

2014-04-23 18:52:32 | 政治・社会・経済
当オディッシャ州の海岸地帯で先般17日、13地方の下院議員11席と州議員77席が競われ、5地区で電子投票機が盗まれたが、その他の地域では平和裏に終了した。なお、第二局面の投票率は70%だった。
全国的を見ると、第五局面にあたり、12州121地区でいっせいに行われた。西ベンガル州はとくに投票率が高く、80%近くをマーク、一番低かったのはマドゥヤプラデシュ州の54%だった。

当地プリーは現在すべてのキャンペーン活動も終了し、また平和と静けさが戻っている。
酷暑の中を遊説に走り回った候補者もリラックスし、人心地ついている昨今、あとは来月16日の開票結果を待つのみだ。
以下、第5弾の総選挙こぼれ話。

*投票所は学校を公開した場所が多いが、折柄の炎暑、投票後のシャーベットやバターミルクなどのジュースのサービスを欠かさない所も。
電子投票機でお気に入りの政党のキャンペーンシンボルを押した後は、青インクを左手の人差し指の爪に塗ってもらって、冷たいアイスで一息、権利を行使した誇らしさがじわりと胸のうちに沸きあげる。18歳の初投票者はじめ、年長では100歳のお年寄りまで。
当オディッシャ州のケンドラパラ地区では、独立運動の闘士で1952年から投票を欠かさないプルショトム・ナヤックさんも半麻痺した体を家族支えられながら参加、これが最後になるだろう一票を投じた。

*五年前の2009年の総選挙に比べ、人々の権利意識は確実に高まっており、投票率は現時点で、5%もアップ。政権交代を望む声を反映してのこと。とくに汚職撲滅運動が盛り上がりを見せた近年だけに、十年間中央政権を掌握した与党国民会議派(congress I)の悪政への失意が高まり、野党インド人民党(BJP)の圧勝はほぼ間違いないだろう。ダークホースの庶民党(Aam Aadmi Party)がどこまで票を伸ばすか。
庶民党党首ケジリワル(Arvind Kejriwal)は、インド人民党の中央首相候補、ナレンドラ・モディ(Narendora Modi)の対抗馬として、内陸部のウッタルプラデシュ州、ヴァラナシから出馬する。

*札束と酒ばら撒きの違反横行の乱痴気選挙戦、4クロール(croreは一千万の単位、約6800万円)分の金と、40ラーク(lakhは百万の単位、約680万円分の酒類)分のアルコールも、さる候補者から没収された。これまでで最大の没収額。
なんと現時点では計40億ルピー(1ルピー=約1.7円)近く、1320万リットルの酒類が押収されたそうな。

*名門政治家一家、ガンジー家の長女プリヤンカ(Priyanka Gandhi、暗殺された父Rajivとイタリア生まれの未亡人Sonia=与党国民会議派総裁、の一女)は例年のごとく、兄のラフール(Rahul Gandhi, 与党副総裁)の応援演説に借り出され、話題を振りまいている。
ウッタルプラデシュ州のアメティ地区で、報道陣のインタビューに答え、近年夫ロバート・ヴァドゥラ(Rbert Vadra)の土地買収疑惑問題が持ち上がっていることに対して、弁明、政敵の攻撃の矢にさらされている夫を擁護した。また、野党の首相候補モディについては、女性にパワーをと言いながら、その裏で電話盗聴しているのは女性への侮辱と、糾弾した。盗聴については内輪筋の情報か、新聞などでは報道されていなかったが、モディ自身は既婚であったにもかかわらず、妻とはすぐ別居にいたったため、これまで未・既婚を明らかにしてこなかったとががあり、女性活動家の槍玉にあがったりもしていた。
プリヤンカは祖母の暗殺された鉄腕女性首相インディラ(初代首相ネルーの娘)似で、兄よりカリスマ性があり、与党内にも出馬を望む声が高いが、本人は今のところその気はなさそうだ。
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2014インド総選挙こぼれ話4

2014-04-15 17:16:01 | 政治・社会・経済
4月7日からスタートしたインド総選挙。当地プリーでも日増しに、キャンペーンは熾烈になるばかりである。
早朝から、選挙カーのスピーカーが候補者名をがなりたて、表の路を行き過ぎる昨今、当海岸部は来る17日に投票を控えている。全土で何十万単位の買収用札束が没収され、金ばかりでなく、酒やサリーをばらまいて有権者の気を惹く違反も横行、候補者の対抗馬批判の舌鋒も鋭くなる一方で、コミュナルな(宗教寄りの)偏向発言をして、選挙管理員会から注意を受ける政治家も。
以下、こぼれ話第四弾。

*最大野党・インド人民党(BJP)の中央首相候補、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)や、最大与党・国民会議派(Congress I)の副総裁、ラフール・ガンジー(Rahul Gandhi, 名門政治家一家・ガンジー家の長男)らの大物政治家は、ジェット機やヘリコプターで全土遊説に回る日々。
サービス提供会社は利用率が35-40%もアップし、うはうは。ちなみに、ヘリコプターのレンタル代は一時間日本円にして12,3万円、ジェット機が50万円とか。需要が高まる中、便乗しての値上げもあるだろう。空のキャンペーンに二大政党が浪費する金は70億円にものぼるそうな。
なお、地方党では、内陸部の人口最大(2億余)の要州・ウッタルプラデシュ州ベースのラシュトリヤ・ジャナタ・ダル(Rashtriya Janata Dal)党首、ラルー・プラサド・ヤダヴ(Lalu Prasad Yadav)のヘリ利用率が三番手に上がっている。

*ガンジー家の長女、プリヤンカ(Priyanka Gandhi)は二児の主婦、立候補を望む党の期待を裏切り、今回も兄ラフールと母ソニア(Sonia Gandhi, 暗殺されたラジヴ=Rajivのイタリア生まれの未亡人、与党国民会議派総裁)の応援演説に走るのみ。
「ラフール兄さんからは、立候補しろって薦められているんだけど、名乗り出ないのは私の中でまだ機が熟していないから。出たいとの気持ちが高まった時点で立候補します」と、報道陣にざっくばらんに胸のうちを明かした。

ママっ子でいまいちやわな印象の兄ラフールに比べ、祖母の暗殺されたインディラ(Indira Gandhi, 初代首相Nehruの娘)似のプリヤンカはカリスマ性があり、弁も立ち、党内に立候補を望む声は長年(91年の父の暗殺以降から)あった。が、当面は主婦業に徹するようだ。兄ラフールの選挙区アメティ(Ameti, ウッタルプラデシュ州、母のソニアは同州Rae Bareliから出馬)には、夫(Robert Vadra, 近年土地転がし疑惑に絡む汚職の槍玉に)や11歳の娘と共に付き添い(息子は北東山間地デラドンの名門寄宿舎ドゥーン・スクールに通学中)、車で遊説中、支持者から薔薇やジャスミン、マリーゴールドの花の雨を祝福に浴びせかけられた。

*テレビの報道番組で取り上げられる政治家のトップは意外や、庶民党(Aam Aadmi Party)の党首、ケジリワル(Arvind Kejriwal)。3月1日-15日の午後8-10時の時間帯で、429分、28.19%を占めた。次点がインド人民党の首相候補、モディ(356分、23.98%)、三番目が国民会議派のラフール(72分、4.2%)。
パブリシティという意味では、ケジリワルが注目独り占め、が、支持者のふりをした有権者に平手を張られたりの暴行を五度も受けるなど、いいニュースばかりではない。

ちなみに、ケジリワルは、ウッタルプラデシュ州のヴァラナシ(Varanasi)から、モディの対抗馬として出るため、勝算は低い。メディアには、シンボル的闘争とやじられ、支持者としては負けることがわかっている地区よりも、下院にあがる確立の高い地区から出てもらい、汚職撲滅を議会でぶちあげてもらいたい気持ちは山々なのだが、ケジリワルはシンボル闘争のつもりはない、選挙に出る以上勝たねば意味がないと煙に巻く、要はモディの票をどこまで食うかだろう。

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ネットニュースの伝えるインド総選挙

2014-04-12 00:51:50 | 政治・社会・経済
日本のネットニュースでは、インドの総選挙はどのように伝えられているのだろうか。
以下チェックしてみた。
産経ニュースの伝える2014インド総選挙速報。

最大野党に勢い インド総選挙、7日から投票

 【ニューデリー=岩田智雄】インドの下院(定数545)の任期満了に伴う総選挙の投票が7日から始まる。5月12日まで9回に分けて投票され、開票は同16日に行われる。最大与党、国民会議派は経済の低迷と汚職問題の批判にさらされ、各種世論調査は現在のところ、最大野党、インド人民党(BJP)の優勢を伝えている。

 選挙は、大統領指名の2議席を除く543議席を小選挙区制直接選挙で選ぶ。広大な国土を持つインドでは、選挙管理や人員確保のため、投票は通常、複数回に分けて行われる。有権者は約8億1400万人。

 インドの大手民間テレビ局2社は4日、投票開始を前に世論調査結果を発表した。それによると、NDTVはBJP中心の政党連合259議席、国民会議派中心の政党連合123議席、CNN-IBNはそれぞれ234~246議席、111~123議席と、いずれもBJP側の圧勝を予想した。両党とも単独で過半数を得るのは難しく、連立政権になる見通しだ。

 BJPは首相候補のナレンドラ・モディ・グジャラート州首相(63)が選挙戦を牽引(けんいん)している。モディ氏は地元州での経済政策への評価が高く、強力な指導者像もプラスに働いている。国民会議派は、知名度抜群のネール・ガンジー家の御曹司、ラフル・ガンジー党副総裁(43)が中心となり、巻き返しを図っている。


以下、インド在住者のわが定見

*ダークホース、庶民党の名があがってないが、インド人民党が圧勝することはほぼ間違いない。ただし、過半数を占めるかどうかは疑問。連立政権の可能性も大。私自身は、モディ旋風で、過半数いくような気もするのだが。ガンジー家の長男、ラフール・ガンジーはカリスマ性に乏しく、モディに比べると、政治歴からいっても霞む。妹のプリヤンカのほうが祖母のインディラ似でまだしもカリスマ性があるが、今のところ選挙支援のみで主婦業に甘んじている。とにかく、汚職三昧の国民会議派政権は、庶民党の選挙シンボル・ほうきで綺麗に掃き清めたい、この十年の失政で有権者がそっぽを向くことは間違いなし。

ちなみに、当オディッシャ州選挙では、与党ビジュ・ジャナタ・ダルが再選され、四期連続のナヴィーン・パトナイク州首相政権が誕生することは間違いないとの見方、ただ、モディ旋風で日ごろ振るわないインド人民党もやや票を伸ばすかもしれない。
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2014インド総選挙こぼれ話2

2014-04-11 16:51:51 | 政治・社会・経済
*4月10日、当オディッシャ州でも選挙がスタートした。まずは原住民地方の後背地・10地区で10下院議員議席と、70州議員議席が争われた(当地プリーは海岸部、17日施行)。一夜明けて、投票率は67%だった。新聞には、一般民と明らかに顔立ちの違う黒い肌の鼻に大きなワッカをつけた女性が、投票済みのシンボル左手の人差し指の腹の青いインク(下段の※参照)を誇示した写真が載った。
マルカンギリ・コラプート地方で電子投票機がマオイスト(毛沢東主義派の極左ゲリラ)によって横領される事件も起こったが(投票ボイコットを呼びかけるのが常の過激組織)、その他の地域ではおおむね、平和裏に終了した。

*4月10日から、11州・3連邦直轄領で91下院議席が競われているが、なかでも人口最大州(2億人以上)、内陸部のウッタルプラデシュ州の結果いかんが総選挙の行方を大きく左右するとあって、熾烈なキャンペーンが展開されていた。
宗教・カーストベースの政治が繰り広げられている地域で、ムスリム擁護のSP(Samajwadi Party= 社会党)、ダリット擁護のBSP(Bahujan Samaj Party=大衆社会党、Mayawati女党首は最下層のアウトカースト・ダリット出身)、社会主義派のジャナタ・ダル(Janata Dal)ら地方党の乱戦模様、与党国民会議派(Congess I)もムスリム寄りだが、勝算は低い。SPの党首ムラヤム・シン・ヤダヴ(Mulayam Singh Yadav)は、「強姦犯人の男たちは、うっかり行為を誤っただけ、死刑には反対する」などと失言をはいて、女性活動家の怒りを買っている。

*選挙ツアー目的で、海外からの旅行者が20%も急増、トラベルエージェンシーなどの旅行関係者は、キャンペーン活動観察、立候補者の遊説先訪問、選挙地区の投票所見学などのプランを目玉に、外人旅行者に売りつけている。何せ、有権者が八億人以上という、世界最大の民主主義国家の総選挙だけに、見学する側にも熱が入る。各国のジャーナリストはいうまでもないが、一般旅行者も物見遊山気分でエレクションツアーとしゃれ込むわけだ(しかし、選挙中は治安が悪化するので、要注意)。

*看板描きや、印刷業関係者も大繁盛。キャンペーン用の小冊子、選挙シンボルを刷った旗など、注文が相次ぎ、おおわらわ、しかし、技術の発達で近年はビニール製の選挙グッズが需要高、看板描きもかつては選挙シーズン中は荒稼ぎできた仕事の激減を嘆いている。

※2002年から全域で、省力化のため電子投票機(Electronic Voting Machine、通称 EVM)が用いられているが、二重投票を避けるため、事後左手の人差し指の腹に青いインクが塗られる(IDシステムが整っていない他国と同様)。なお、有権者には文盲もいるため、各党の選挙シンボルが大活躍、現与党・国民会議派なら右手、野党・インド人民党なら蓮という風に、支持政党の図を選んで、ボタンをプッシュすればいい仕組みになっている。あと、今年から、None of Above, NOTAという項目、上記以外の誰でもない、もできたので、いずれの候補者にも満足しない有権者は、NOTAを選べる。

▽以下は、インドの政治体制について。

インドの政治システムは英国式の議員内閣制度、共和制、連邦制が基盤になっている。29州と7連邦直轄地域である諸州の連邦であるインド共和国は、連邦議会(国会)と州議会から成る。

国家元首である大統領は、国会の上下両院と州議会議員で構成される選挙会によって選出され、任期5年、実権はないが、内閣の助言によって国務を行う。大統領の下、立法(国会)、行政(政府)、司法が独立した三権分立が明確に図られ、議院内閣制は、普通選挙によって政権交代可能で、首相と州知事は大統領によって任免され、州首相は州知事によって任免される。

国会は、上院のラジャ・サバ(州議院、250名、任期6年、2年ごとに3分の1改選)と、下院のロク・サバ(人民議院、545名、任期5年)の二院制から成り、下院が国民全体を代表し、上院が州を代表する仕組みになっている。12億の人口の3分の2の約8億人が18歳以上の有権者だけに、世界最大の民主主義国家を誇る由縁でもある。
首相は、人民による直接選挙で選ばれた下院議員の過半数を占めた第一党の長が任命されるのが一般的だが、現マンモハン・シン首相(2014年3月時点)は、与党(Congress I, 国民会議派)総裁のソニア・ガンジーが2004年、首相職を退けた代わりに指名、大統領によって任命されたものである。
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