この話は、宇宙計画での自動制御という夏期研究からはやや逸脱しており、確かにNASAが耳を貸す理解の範囲を超えてしまっていた。
しかしこのチームが、これらの自己複製する機械を作ることの哲学的、倫理的、さては宗教的な考察まで行なう決定をしたとき、彼らはまだ海図にものっていない想像の地へと旅立っていたのだ。
彼らの提起した問題の範囲は驚くべき広がりを持っており、ある人には途方もないものに思えるかもしれない。
しかしレインは現在、こうした論議を呼ぶ探究に対し、「われわれはそうした疑問を呈する義務を感じていた」と言っている。
彼らはアリストテレスの時代にまでさかのぼって、その時代の人たちが機械は魂を持ちうると思ったのか、はたまた魂を持っていると〈考えた〉か、論じている。
「自己複写し進化する機械は、神という概念を持ちうるのか?」と彼らは問うた。
「それとも人類は彼らにとって、進化におけるただの先駆者に過ぎないのか?」
それに対する答えはたぶん、自己複写システム検討チームの「人工生命機械は、われわれとただ共生する対象の仲間以上のもので、未来永劫にともに進化するものである」という、われわれを最も不安にする考察の中にあるのかもしれない。
彼らの主張によれば、人類は万物の大きな体系の中の「生物学的な中間駅」か、そうでなければ、「進化の壁に突き当たっている」のだった。
自己複写システムを介してのみ「真の知的にも物質的にもわれわれの子孫は」、進化の行き止まりという不毛な道を回避できる。
これらのシリコンと鉄でできた子孫たちが、人類ばかりか炭素を基礎にした他の生物をも時代遅れにしてしまう可能性を知りつつも、これを書いた人びとは、その状況をもっと楽観的に捉えていた(われわれこそが、そうした機械を作り始める張本人だ、と彼らは主張していたのだから、それは驚くにあたらない)。
彼らは、人類がもっと大きなシステムの1部に融合することで、ほとんど永遠に共生して「自分自身の力で不死を得ることができる」と期待していた。
人類が滅亡する可能性を指摘し、少なくとも「地球上で植物と動物の王国が何十億年も前に分かれて生じた」のと同じくらいの重要性がある岐路に立って、NASAの自己複写システム検討チームはこの提案を実際の軌道に乗せるための財政の裏付けをじっと待っていた。
第1段階としては、MIT〔マサチューセッツ工科大学〕やカーネギー=メロン大学やフォード・アエロスペース社などの研究所による、技術と実現性の検討が必要だろう。
彼らは、それに関する研究を申し出る申請書の見本まで用意していた。そして、その間にNASAがすぐに簡単な自己複写機能を持ったロボットを、研究所で開発しはじめるよう提案していた。
レインによれば、NASAの担当官はその考えに好意を持ち、それを開始する可能性を持ち出したという。
83年にRonald Wilson Reaganロナルド・レーガン大統領が宇宙での大きな構想を発表すると聞いて、彼はそれに自己複写する月面工場の集中的な開発が含まれると期待していた。
しかし、レーガンの演説はそうではなく、スターウォーズの提案だった。
しかしこのチームが、これらの自己複製する機械を作ることの哲学的、倫理的、さては宗教的な考察まで行なう決定をしたとき、彼らはまだ海図にものっていない想像の地へと旅立っていたのだ。
彼らの提起した問題の範囲は驚くべき広がりを持っており、ある人には途方もないものに思えるかもしれない。
しかしレインは現在、こうした論議を呼ぶ探究に対し、「われわれはそうした疑問を呈する義務を感じていた」と言っている。
彼らはアリストテレスの時代にまでさかのぼって、その時代の人たちが機械は魂を持ちうると思ったのか、はたまた魂を持っていると〈考えた〉か、論じている。
「自己複写し進化する機械は、神という概念を持ちうるのか?」と彼らは問うた。
「それとも人類は彼らにとって、進化におけるただの先駆者に過ぎないのか?」
それに対する答えはたぶん、自己複写システム検討チームの「人工生命機械は、われわれとただ共生する対象の仲間以上のもので、未来永劫にともに進化するものである」という、われわれを最も不安にする考察の中にあるのかもしれない。
彼らの主張によれば、人類は万物の大きな体系の中の「生物学的な中間駅」か、そうでなければ、「進化の壁に突き当たっている」のだった。
自己複写システムを介してのみ「真の知的にも物質的にもわれわれの子孫は」、進化の行き止まりという不毛な道を回避できる。
これらのシリコンと鉄でできた子孫たちが、人類ばかりか炭素を基礎にした他の生物をも時代遅れにしてしまう可能性を知りつつも、これを書いた人びとは、その状況をもっと楽観的に捉えていた(われわれこそが、そうした機械を作り始める張本人だ、と彼らは主張していたのだから、それは驚くにあたらない)。
彼らは、人類がもっと大きなシステムの1部に融合することで、ほとんど永遠に共生して「自分自身の力で不死を得ることができる」と期待していた。
人類が滅亡する可能性を指摘し、少なくとも「地球上で植物と動物の王国が何十億年も前に分かれて生じた」のと同じくらいの重要性がある岐路に立って、NASAの自己複写システム検討チームはこの提案を実際の軌道に乗せるための財政の裏付けをじっと待っていた。
第1段階としては、MIT〔マサチューセッツ工科大学〕やカーネギー=メロン大学やフォード・アエロスペース社などの研究所による、技術と実現性の検討が必要だろう。
彼らは、それに関する研究を申し出る申請書の見本まで用意していた。そして、その間にNASAがすぐに簡単な自己複写機能を持ったロボットを、研究所で開発しはじめるよう提案していた。
レインによれば、NASAの担当官はその考えに好意を持ち、それを開始する可能性を持ち出したという。
83年にRonald Wilson Reaganロナルド・レーガン大統領が宇宙での大きな構想を発表すると聞いて、彼はそれに自己複写する月面工場の集中的な開発が含まれると期待していた。
しかし、レーガンの演説はそうではなく、スターウォーズの提案だった。