Ring-A-Ding 日々ロック,R&B,そしてゴスペル〜💋

おばちゃんがココロに浮かぶ由無し事を、気ままにつぶやく。ロックな時間。

世間体

2021-01-26 04:36:00 | その他
亡くなった母の妹たちも生き残っているのはもう後2人となってしまった。
先日、その叔母の1人が心筋梗塞で入院した。このコロナ禍の中、直ぐに入院先が決まったのは幸運だったが、叔母の一人息子でさえ、未だ主治医に会って説明を聞くことすら出来ない有様らしい。
私よりは少しは情報を持っていそうなもう1人の叔母に電話すると、心配もあってか大変な剣幕で私に愚痴り始めた。

そもそもは何か病気の前兆は無かったのか?という私の疑問に「普通、あるでしょ」「馬鹿なのよ」とにべもない…。
叔母は続ける…そもそもあの一人息子がだらしがない、三十過ぎていつまでも母親べったりで、ろくに役にも立たず、結婚もせずああやって母親に寄生しているのだ、だからああしてT子ちゃんも老体に鞭打って働かなきゃならないんだから…と。


T子ちゃんというのは倒れた叔母の事で、この叔母の夫は何年か前に亡くなっている。もともとこの夫がずっと当てにならない人物だったので、T子叔母は若い頃からずっと働いてきた。婚家の家業が潰れてからは、実家を改装して喫茶店を営んできた。夫が無年金だったそうだから、もし彼女が自分で国民年金に入っていたとしてもそれだけで生活できるわけがないだろう。


息子に甲斐性が有れば、確かにT子叔母も生活は楽だったろう。でも、他人の幸せなど いったい誰に推しはかることが出来るのだろう?と、私は考えた。

夫の亡き後、甲斐性のある息子の扶養となり、息子の新築のマイホームに一部屋もらって慎ましく邪魔にならない存在に徹して生きている知り合いもいる。
比べるわけではないが、店主として毎日の営業を張り合いとして、売り上げを上げるとか、仕入れのコストダウンのために少々遠出もして安い業務スーパーまでリュックを担いで行ったりするT子叔母は不幸なのだろうか?



息子の結婚…と言えば、ウチのアホ3兄弟も誰一人として結婚する気配すらない。
彼女が居た様子は時々はあったのだが、すぐにアホがバレるせいなのかどうやら長続きはしないようだ。

それにしても「結婚」とは幸せの代名詞なのか?

昔は結婚して子供の1人でも出来ないと一人前とカウントされなかった。それって今でもそうなの?

最近は息子の同級生などの女子が結婚したりして 新婚夫婦でウチの店に食べに来たりする。あと、息子と同い年の姪が結婚して挨拶に来たりするのを見ると、何とまあ今時の女の子の選ぶ相手の似ている事よ。顔かたちで無く雰囲気ね。いかにも彼女達の言いなり、全て主導権は取られても「べつに〜」と何の抵抗もなく、ただ、今まで母親に決められてきたものが、妻に代わっただけ…みたいなタイプ。大人しめ。女の子も結婚となると、操縦しやすい相手を求めるんだね。


いかにも"やんちゃ"な手合いは、堅実派の女子には敬遠される傾向を見て取れる。
特に、家庭的(親)に苦労した家の娘は賢いと、感ずる。女の子はエラいよ。命燃やす恋 とか、親の心に背いてまでも…とか、昔の演歌みたいな事はさらさらお呼びでないのだ。


昭和の女の子は、なんか今思うと「私バカよね〜、お馬鹿さんよね〜」的な恋愛をする人も多かった。苦労すると分かっていてヤンチャな男、あるいは夢に向かって行く男…そんな男について行く…なんか母性愛?っていうの?そんなもんに溢れてたっていうか…。生活の不安定さなど、どうにかなるさ!若いんだ!なあんて事で吹き飛ばせた。


でも、結局、結婚すると1番大切なものは「安定」なんだよね。「安定」が傾けば「愛情」も薄れる。
今時 ちゃんと結婚するような女の子はその辺はシビアに勘定してるんだよね。そしてしっかり自分が手綱を握れるような相手を選ぶ…っと。1世代前の女達の苦労は母から娘へと語り継がれて、あぶない男に引っかからない!という鉄則を刻んだのだろう。

私の周りの息子の友達らはほとんど結婚とは無縁のような連中ばかりだ。安定した生活も無く、ちょっと小難しい個性の連中に今時ついてくるような奇徳な…というかそそっかしい娘はいないんだろう。


色々電話口で叔母の話を聞きながら、ではこの人の「結婚生活」は幸せだったのか考えていた。実は、キツイ姑と同居して、それはそれは壮絶な日々だったのだ。
もちろんそんな地獄の中で、しだいに夫との仲も不仲。晩年、介護が必要となった夫を看取るまで非常に事務的な態度で接していたのを私自身目にしている。
そんな経験者でも「結婚」を推奨するのかね。そんな冷たい夫婦仲で育った娘は温かい家庭を築き、余り実家に寄り付かないではないか。
それに、彼女のご自慢のその娘だって、この先何が起きて離婚とかしないとも限らない。そんな事は誰にも分からないし、そしてそうなったとしてもどうという事はないじゃないか。



世間体というもの。
そういう体裁の良いものばかりに価値を置いているといったい誰のための人生なのか分からなくなる。
本当にやりたい事ばかりで人は生きていけるわけではないけれど、他人に迷惑さえかけなければどのように生きようといいんじゃないの?
勉強出来なくたって、大学出てなくたって、一流企業に勤めてなくたって、フリーターだって、結婚しなくたって、子供いなくたって、オタクだって、ゲイだって、なんだっていいじゃないか。


世間体。
いわゆる世間ってなんだ?
私は結婚する時親の大反対にあって、半ば縁切りのように言われて家を出た。
その時母親は、私の結婚を「世間体が悪い」と言ったんだ。そんなの気にするような立派な家でもあるまいに。
確かに相手(夫)は町の評判の悪い不良ではあった。まっ確かに母親の意見も「まんざら無駄ではない」と思える事件も多々あったけど、別れもせずに結婚35年も経つ。

人の幸せなんて他人が推しはかれるものじゃない。
そして、絶対の「安定」なんてこの世に無い。この歳まで生きて私は分かった。

なのにこの叔母はもう80近くまで生きているというのにまだ分かっていないのだろうか。
電話を切って、その後2〜3日気分が悪かった。
ああいうの、老害っていうんだわ。