其蜩庵井蛙坊

井戸の底より見たり聞いたり喋ったり

絵具屋の女房

2008-01-11 15:07:49 | 日常雑記
絵具屋の店先を眺めるのはわたくしも好きです。ことに数多くの顔料の瓶の並びを眺めると、これが自由に使えればと幾度も思いました。買って見たものの、しかし結局使わず仕舞いでした。
丸谷才一著「絵具屋の女房」は、常のように博学多識に曳きずられて面白く読みました。中でも「英雄色を好む」は時節柄いい読み物でした。著者の博学は人助けであります。
寄る年並みとともに、とみに脳の皺が伸びきり、記憶力の助けがないと駄目な外国種もあれこれ含まれ、著者の雑知識の披露は有難いと思っています。世間には、珍説愚説辞典など奇特な本もありますが、それを孫引きするのはちょっと安直過ぎます。元になる本が残念ながら読めませんから。
「英雄色を好む」のなかの「馭戎慨言」は、日本語ですから、読んでみることにしました。解題者大久保 正氏の傍注あっての覚束ない読みでした。本居宣長の国学には、大東亜戦争中であれば別として、今日日触れる機会はなかったことでしょう。しかしお弟子さんを含めた同時代の人は、どう読んだものでしょうか。
「絵具屋の女房 文藝春秋社版平成十五年十月三十日発行」の「英雄色を好む」は一読の価値があるようです。

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