<初出:2007年の再掲です>
巻二の三 五郎左衛門、再び動き始めること
桶狭間の戦後処理も一段落し、丹羽五郎左衛門長
秀は織田上総介信長・柴田権六勝家と打ち合わせた
任務を実行すべく準備に入る。状況に応じて柔軟に
動けるように、三人はあまり杓子定規な業務分担は
していなかったが、実質上それぞれの特性が生きる
よう、
*織田信長:政治・経済・文化・軍事に関する最高
意思決定、及び他国との連関の方向性指示
*丹羽長秀:他国との連関を取次ぎ衆としてとりま
とめ、及び諜報・謀略を含めた情報活動
*柴田勝家:主に軍事活動の最前線と本城の間の兵
站、本城からの戦略指示の実行と指導、及び優秀
な軍兵の募集・訓練
となりつつあった。特別な案件はその都度打ち合わ
せを行なうこととなる。丹羽長秀は予定通り、美濃
方面の調略に取り掛かる。黒田城は、表向き城主和
田定利が「信長に忠誠を尽くす」旨の言質をよこし
ているので問題なし。於久地城は、中嶋豊後守が城
主として在城しているが、和田がにっこりと「お任
せを」と申上してきているので特に問題なかろう。
問題は犬山城の織田信清であるが、家系図から行け
ば信長の従弟にあたるので、時間をかければ説得で
きるはず。それよりも、「『父殺し』の主斎藤義龍の
元では働きたくない」と申上する家臣が美濃に多く
出てきており、兵員の士気が極端に下がっているら
しい。黒田城の和田定利のいうとおり、「織田軍に
軽く攻められてから降参し、すぐに織田信長に従い
たい」という兵が多く、「美濃の各地域が織田軍か
ら攻められるのを待っている」といった異常な状況
である。こんな様子ではまじめに主のために命をな
げうつ者などいない。逆に言えば織田信長・丹羽長
秀・柴田勝家三人の考え付いた『敵を内部から崩壊
させる戦略』は、表面的に武器を使って攻め込むよ
り、敵にはるかに甚大で残酷な被害を与えていた。
おそるべき青年たちである。
また、一般的に諜報・謀略というと、何か「人に
わからないように・隠密に」という印象があるが、
かえって近隣各国に名の知れた超有名な武将が、相
手からわかるような場所を動き回るというのも、
「本当に何か調査しているのか、それとも陽動作戦
か」と敵を疑心暗鬼に陥れる戦略として効果的であ
った。
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<JR岐阜駅前の黄金の信長公像>
巻二の三 五郎左衛門、再び動き始めること
桶狭間の戦後処理も一段落し、丹羽五郎左衛門長
秀は織田上総介信長・柴田権六勝家と打ち合わせた
任務を実行すべく準備に入る。状況に応じて柔軟に
動けるように、三人はあまり杓子定規な業務分担は
していなかったが、実質上それぞれの特性が生きる
よう、
*織田信長:政治・経済・文化・軍事に関する最高
意思決定、及び他国との連関の方向性指示
*丹羽長秀:他国との連関を取次ぎ衆としてとりま
とめ、及び諜報・謀略を含めた情報活動
*柴田勝家:主に軍事活動の最前線と本城の間の兵
站、本城からの戦略指示の実行と指導、及び優秀
な軍兵の募集・訓練
となりつつあった。特別な案件はその都度打ち合わ
せを行なうこととなる。丹羽長秀は予定通り、美濃
方面の調略に取り掛かる。黒田城は、表向き城主和
田定利が「信長に忠誠を尽くす」旨の言質をよこし
ているので問題なし。於久地城は、中嶋豊後守が城
主として在城しているが、和田がにっこりと「お任
せを」と申上してきているので特に問題なかろう。
問題は犬山城の織田信清であるが、家系図から行け
ば信長の従弟にあたるので、時間をかければ説得で
きるはず。それよりも、「『父殺し』の主斎藤義龍の
元では働きたくない」と申上する家臣が美濃に多く
出てきており、兵員の士気が極端に下がっているら
しい。黒田城の和田定利のいうとおり、「織田軍に
軽く攻められてから降参し、すぐに織田信長に従い
たい」という兵が多く、「美濃の各地域が織田軍か
ら攻められるのを待っている」といった異常な状況
である。こんな様子ではまじめに主のために命をな
げうつ者などいない。逆に言えば織田信長・丹羽長
秀・柴田勝家三人の考え付いた『敵を内部から崩壊
させる戦略』は、表面的に武器を使って攻め込むよ
り、敵にはるかに甚大で残酷な被害を与えていた。
おそるべき青年たちである。
また、一般的に諜報・謀略というと、何か「人に
わからないように・隠密に」という印象があるが、
かえって近隣各国に名の知れた超有名な武将が、相
手からわかるような場所を動き回るというのも、
「本当に何か調査しているのか、それとも陽動作戦
か」と敵を疑心暗鬼に陥れる戦略として効果的であ
った。
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