「キングコング」(2005年・ニュージーランド/アメリカ)
監督:ピーター・ジャクソン
出演:ナオミ・ワッツ/エイドリアン・ブロディ/ジャック・ブラック/アンディ・サーキス
3時間に及ぶ長い映画だった。
物語の世界にひたって映像を堪能するには、これくらいの長さがあってもいいのだろうが、スカルアイランドに着く前の、少なくとも船が港を離れるまでが、全体のバランスからするとやや冗長に感じられた。
しかし、その後の展開は実にスピーディーで、画面から一瞬 たりとも目が離せない。大画面で見ても、ほとんど違和感のないコングや恐竜は圧巻。コングにさらわれたアンの、肝の据わった芸人根性に苦笑しながらも、大ザルに振り回されても怪我ひとつしない超人ぶりにはやや驚き(笑)
クロロホルムで眠らせたコングをどうやってNYまで 運んだかとか、鬱蒼としたジャングルの中でアンを捜索する男たちは、巨大昆虫と戦いながらどうやってアンのもとまでたどり着けたのかなど首を傾げるシーンもあったが、すべては野獣と美女との切ないラブストーリーで氷解する。
セントラルパークの凍った池の上で戯れるコングとアンは、まるで恋人どうしのように楽しげだったが、夢のような時間はまたたくまに過ぎ去り、コングを追い詰める軍の攻撃が始まる。なんともせつない展開だ。スカルアイランドの断崖の上で二人が夕焼けを見たとき、アンは美しさを言い表すジェスチャーをコングに教えた。エンパイヤステイトビルの上で最後の朝を迎えたとき、コングは胸に手を当てて朝焼けの美しさをアンに示す。二人の心が通い合う、美しいシーンだった。
異なる世界に住む者どうしの、破局へと誘われていく愛の悲劇は胸に迫る。
見ごたえのある娯楽作品だった。
満足度:★★★★★★★★★☆