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好きな映画だけ見ていたい

劇場映画やDVDの感傷的シネマ・レビュー

日食観察レポート◆皆既日食 in 屋久島

2009-07-25 20:24:21 | 雑文
「今世紀最大の天体ショー」という言葉に誘われて、皆既日食を見に屋久島へ。結果はご存知のとおり、用意した日食グラスも役立たずの雨模様。黒い太陽は拝めませんでしたが、月の影の中に身を置くという貴重な体験をすることができました。以下は屋久島での皆既日食のレポートです。

   ◆◇◆

鹿児島港から屋久島へ渡ったのは前日の7月21日。文句なしの快晴だったのがなんとも皮肉。翌22日は梅雨前線が南下した影響で朝から断続的に雨が降ったり止んだり。10時ごろにはかろうじて上部の欠けた太陽が薄い雲の向こうに見えたものの、その後は空全体が雲に覆われてしまいました。観測場所に選んだのは、宮之浦の宿泊先のホテル入口付近にある高台。ウィルソン株のレプリカのある小さな空き地で、周囲を低い藪に囲まれていて、置き石に乗るとフェリーターミナルが見える好位置です。

    

屋久島の玄関口、宮之浦港は撮影場所の高台から見ると、南というよりかなり東方向の位置だったので、食が進んでもなかなか暗くなりませんでした。10時過ぎに5割ほど欠けたころ、手前の藪の中からヤクシカが現れて小道を横切りました。あわててシャッターを切るのも束の間、すぐに反対側の藪へと姿を消しました。日食の影響で人里まで下りてきたのかなと思いましたが、後日付近の林をねぐらにしている群れがいると判明。シカが出現してから周囲の藪が気になって時々見回してみましたが、それ以降はカラスが3羽ほど飛び立ったほかはいたって静か。頭の上を飛び回っていたトンボの大群もどこかへ消えていました。

    

いよいよ皆既日食の瞬間が近づいてきました。港にはターミナルの照明と着岸した高速船の明かりが光っています。食が最大になる午前11時前。あたりにすとんと闇が落ちてきました。先ほどシカが消えた藪も、目の前のウィルソン株のレプリカも光を失い、しばし沈黙の時が流れます。レインスーツのせいで汗ばんだ顔に、どこからか涼しい風が吹いてきました。これが日食時に吹く「伝説の風」かと、ひとり興奮。

    

明るさを残していた海上もすっかり光を失い、港全体が闇に包まれます。観測場所の高台も周囲の藪も真っ暗に・・・・・・。いま南海の離島に夜が覆いかぶさっています。

    

真昼の夜よ、終わらないでという思いもむなしく、2分あまり続いた皆既日食は終わりに近づきました。直径が約400倍もある太陽を、小さな月が覆い隠すという壮大な天体ショーの一端を、じかに感じることができた瞬間でした。

    

皆既日食帯の中ではぎりぎりの北端にある屋久島。しかも宮之浦はそのまた端っこです。月の影が移動すると同時に、あっという間に光が戻ってきました。

    

「日常の中に、非日常が入り込む瞬間」、「人生観を変える神秘体験」――皆既日食を体験した人が口にするこれらの言葉が今回、屋久島を訪れるきっかけになりました。自分にとってそこまでの衝撃はなかったことが、意外であり残念でしたが、それはたぶん天候や観測地などの諸条件が影響しているのではないかと思います。しかし皆既の瞬間に周囲が暗くなり、何が起きるかまったくわからない状況に自分が置かれていることに気づいたとき、心細さと不安を感じたのも事実です(高台で最後まで粘っていたのは私ひとりでした)。日食の起きるメカニズムなどまったく知らなかった大昔の人々が、この神秘的な現象に畏怖の念を抱いたのはもっともだろうなと感じました。国内での次の皆既日食は26年後。きっと待てない私は、雨模様の屋久島での体験も貴重な思い出として心にとどめようと思いました。

 

雑感◆新型インフルエンザ

2009-05-20 16:26:28 | 雑文
  
長らく更新を怠ってしまったのは、連休ごろから始まった新型インフルエンザ(H1N1)騒動に踊らされて、日々備蓄やら情報検索に追われていたため、というのが半分。あとの半分は、こういう時期のためか、のんびりと映画のレビューを書こうという意欲が湧かなくなってしまったというのが正直なところ。連休明け以降の危機感をあおる報道や、厚労省をはじめとする当該機関のものものしい対応ぶりを見ているうちに、こちらもマスクや消毒薬の備蓄を急がなければという気持にさせられたわけですが、いざ蓋を開けてみれば、豚に由来する今回の新型インフルエンザは、これまでさんざん聞かされてきた、例の高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の人人感染とはまったく別物だったというお話。まだまだ安心はできませんが、夏場に向かう北半球では取りあえずやれやれという感じです。

それにしても気がかりなのは、近所の薬局でマスクや消毒用エタノールが品切れ状態になったこと。オンラインショップでも「抗ウイルス」を売りにする某メーカーの備蓄用マスクがまたたく間に完売。再入荷は6月以降、いや未定というところもあります。不織布マスクは使い捨てが鉄則らしいので、もし毎日着用する場合は最低でも一ヶ月で一人あたり25枚~30枚。一箱50枚の備蓄用マスクは2か月弱で底をつきます。家族全員の分となるとさらに大変な量になるし、補充することを考えると、この先順調にマスクが市場に出回るかどうかまで心配になってきます。

海外では日本人のマスク信仰に首をかしげる風潮もあり(人口密度からいえば一概にそうとも言えないのですが)、実際マスクだけでウイルスを防ぎきれるかというと、個人的には疑問も感じます。使用したマスクの外側にはウイルスが付着しているので、外したら密閉して捨てるようにという注意をよく聞きますが、それならマスクで覆われていない目や皮膚、頭髪、衣類にもウイルスが付着しているわけで、それらを適切に洗い流す、もしくは消毒しなければ感染の危険性はなくならないと思います。もしマスクの有用性を力説するのであれば、こういった点も併せて知らせるべきではないでしょうか。

感染力は脅威的なものの、健康体であれば季節性インフルエンザと同程度の症状しか引き起こさない今回の新型に、もしタミフルなどの貴重な抗インフルエンザ薬がどんどん消費されているとしたら、備蓄という観点からはとても気がかりです(少なくとも係留措置下にあった初期の患者さんには投与されていたと思われます)。しかし、もっと気になるのは、ときどき見聞きする“現時点でのタミフルの過剰投与が、耐性株出現の引き金になるかもしれない”という意見でしょうか。新型インフルエンザの動向がこれからどうなっていくか、わからないことだらけですが、できるだけ偏りのない情報に接していけたらいいなと、今回の一部の過剰反応を見るにつけ思います。

さて、新作レビューの更新には劇場へ出向くのが必須なのですが、困ったことに映画を楽しみたいという気持ちにいまひとつなれないのが現状です。感染するかもしれないという不安感よりも、むしろ社会全体が危機に向かっているかもしれないという陰鬱なムードが、私のお気楽な日常に多分に影響しているのではないかと(?)映画くらい、晴れやかな気分で見に行きたいものですよね。


とりあえず、数日中には試写会で鑑賞した「重力ピエロ」の記事を更新する予定です。
お楽しみに。


                
  

新年雑感

2009-01-03 15:45:15 | 雑文
     
      「謹賀新年」


 一昨年の秋ごろ一時停止したこのブログですが、皆様の足跡に励まされて
 無事に一年間続けることができました。日々のご訪問、ありがとうございました。
 今年も(もし続けば)、牛並みにスローペースの更新になると思いますが、
 引き続きお付き合いくださるとうれしいです。

 さてさて私も年末に、2008年に鑑賞した「劇場映画ベスト10」などを
 人様のブログ並みにやってみようかという誘惑にかられたわけですが、
 一年間に鑑賞した作品のあまりの少なさに意気消沈。企画は没となりました。
 昨年鑑賞した劇場公開の新作映画は、レビューを書いたもので40数本。
 鑑賞しただけで記事にしなかった数本を含めても50本程度。
 これでベスト10を選ぶのはおこがましいと猛省のタネになったしだい。
 DVDとCATVでの視聴も入れると、鑑賞した作品は100本程度になるでしょうが、
 まじめに映画を語ろうとすれば、とても足りない数だと感じます。
 “見るべき作品”の数が膨大すぎて、とても追いつけません。
 映画という遺産の爪の先ほども、映画を見ていない自分には
 ほんとうはレビューを書くのはこわいです。
 なのに畏れ多くも書いてしまう。あらかじめの敗北感の中から・・・・・・
 なので、このブログは諦めの残骸が積み重なる場所です。

 四方田犬彦氏は「若き映画批評家への手紙」の中でこう言っています。

   「映画評論家は誰でもできる・・・映画評論家がバカだと思ってはいけない。
    バカが映画評論家になるのだ。とりあえずなんのメチエもない、
    ただモノを書きたいだけの連中は、映画のコラムを書くのがいちばん簡単なのだ」
                      ―――別冊宝島「映画の見方が変わる本」


 ネット上では誰もが“映画評論家”になれます。
 とりあえずなんのメチエ(技術)もない、
 ただモノを書きたいだけの私は、だから映画のコラムを書こうと思ったのです。
 そんな「バカ」の一人であることを自覚させてくれた四方田氏に感謝しつつ
 新年のご挨拶といたします。



レビューなき作品/4月~11月

2008-12-01 23:58:28 | 雑文
早いもので今日から12月。
今年みた映画でレビューを書かなかった作品のタイトルを並べてみることにします。
といっても1月から3月までは宅配レンタル入会前で履歴が残っていません。
メモもなく記憶もあやふやなので、この期間は省略。
ほとんどがDVDでの鑑賞ですが、CATVで視聴したものも入っています。
旧作もけっこうありますね・・・

      ■エリン・ブロコビッチ
      ■あるスキャンダルの覚え書き (老教師が異彩を放つ)
      ■ナショナル・トレジャー
      ■地球外生命体捕獲 (途中で挫折・・・)
      ■31km (いまひとつだったスペインホラー)
      ■ブレイブワン 
      ■28週後・・・ (もうご勘弁を)
      ■オフサイド・ガールズ
      ■サラエボの花 (佳作です)
      ■大統領の理髪師
      ■再会の街で (リブ・タイラーにびっくり)
      ■ヒトラーの贋札
      ■ジェシー・ジェームズの暗殺 (途中で入眠)
      ■アメリカン・ホーンティング 
      ■正体不明・THEM(ゼム) (あまりの結末)
      ■チーム・バチスタの栄光 (ドラマでもいいかと)
      ■アメリカン・ギャングスター
      ■ドミノ (実在の人物とは!)
      ■アイランド 
      ■ダークネス (まちがって2度目の鑑賞)
      ■君のためなら千回でも (細部を除けばよい作品でした)
      ■ジャンパー 
      ■クローバーフィールド/HAKAISHA 
      ■雲のむこう、約束の場所 (廃墟好きの心、満たされる)
      ■紀元前1万年
      ■呪怨パンデミック (怖いけど、どうもね)
      ■ブラックサイト
      ■靖国YASUKUNI (途中で見る気失せました)
      ■ラスト、コーション
      ■ラスベガスをぶっつぶせ (教授も実話ですか?)
      ■クイーン
      ■エリザベス (すべてを堪能)
      ■エリザベス:ゴールデン・エイジ
      ■ブラック・ダリア
      ■4ヵ月、3週と2日 (うーん、ダメでした)
      ■ラン・ローラ・ラン(軽快なテクノが最高)
      ■ピンポン
      ■狂気の桜 


先月までに見逃してしまった劇場公開作品も幾つかあり、
いずれDVDで鑑賞したいと思っています。
おすすめの作品などありましたら、コメント欄へよろしくです。


訃報◆ヒース・レジャーの早すぎる死

2008-01-24 20:40:07 | 雑文
                


悲しいことが起きてしまった・・・。わたしの大好きな俳優のひとり、ヒース・レジャーが1月22日にニューヨークの自宅で急死した。享年28歳。今のところ、睡眠薬の過剰摂取が死因とみられているが、自殺か事故かの判断も含めて、詳しくは検死結果を待つしかない。関連記事を検索すると、肺炎を患っていた、不眠に悩まされていたなどの記述もあり、心身の健康に不安を感じていた様子もうかがわれる。仕事の面では順調のようで、今年のGWにはボブ・ディランを描いた「アイム・ノット・ゼア」、また夏には「ダーク・ナイト/The Dark Knight(原題)」(「バットマン・ビギンズ」の続編)の公開が予定されていただけに、ショックだし、悲しい。彼はまた、2009年公開予定のテリー・ギリアム監督によるファンタジー映画「The Imaginarium of Dr. Parnassus(原題)」の撮影中で、先週もロケを行っていたそうだ。この映画もヒースの急死で撮影が続けられるのかどうか・・・。「ロック・ユー!」のやんちゃな若者から「ブロークバック・マウンテン」の鬱屈したゲイ役まで演じ分けた若い才能が失われたのは、とても残念だ。

ヒース・レジャーのご冥福を心からお祈りします。


おそらく彼の遺作となってしまう「ダーク・ナイト」の劇場版トレイラーは、YouTubeの以下のサイトで視聴できます。凄みのある白塗りのジョーカーを演じるヒースを見ていると、ブランドン・リーがやはり遺作となった「クロウ/飛翔伝説」で見せた、あの復讐の白マスクに重なるような気がします。

    ■YouTube The Dark Knight Official Theatrical Trailer
      (「ダーク・ナイト」の劇場版トレーラー)




<訃報に関する記事>
    ■映画ニュース「ヒース・レジャーが28歳で死去」
    ■ABC振興会「俳優ヒース・レジャー死体で発見」  
    ■シネマトゥデイ「父親が声明!ヒース・レジャー、司法解剖では死因を特定できず」

<ヒース・レジャー関連記事>
    ■シネマトゥデイ「ヒース・レジャー」
    ■ABC振興会「ヒース・レジャーとミシェル・ウィリアムズが破局」
    ■映画ニュース「ギリアム監督の新作ファンタジーにヒース・レジャーが再出演」
    ■The Terry Gilliam FanzineThe Imaginarium of Dr. Parnassus-a Terry Gilliam film
    




お久しぶりです

2007-12-29 13:09:34 | 雑文
  長らく更新もないまま時が過ぎてしまいました。
  みなさん、お元気でお過ごしでしょうか?
  突然の失踪(?)、ほんとうにすみませんでした(汗;
  不在のあいだも訪ねてくださった方々、ありがとうございました。

  この秋ごろから体調がすぐれず、医療機関へ行ったところ病気が見つかりました。
  薬剤で治療できる程度の病気でしたが、副作用の心配やらなにやらで
  気力が一気にダウンして、ブログに記事を上げることが億劫になってしまいました。
  映画館へもここ数ヶ月、足を運んでいませんでした(自分でも信じられないの
  ですが、劇場へ出向くことすら面倒に感じるようになっていました)。

  ここへきて深刻な副作用の起こる期間もようやく過ぎ、病状のほうもだいぶ
  安定してきました。この調子でいけば、更新意欲もまもなく戻ってきそうです。
  気力、体力を考えると、以前にもましてスローなペースになるとは思いますが、
  また思い出した時にでも、ご訪問していただけるとうれしいです。

  なにはともあれ長らくの放置状態をお詫びするとともに、ご訪問してくださったことを
  心から感謝します。ありがとうございました!!