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ブラッド・ダイヤモンド◆紛争ダイヤをめぐる社会派娯楽大作

2007-04-17 23:26:50 | <ハ行>
 

「ブラッド・ダイヤモンド」 (2006年・アメリカ)
  監督・製作:エドワード・ズウィック
  音楽:ジェイムズ・ニュートン・ハワード
  出演:レオナルド・ディカプリオ/ジャイモン・フンスー/ジェニファー・コネリー

劇場で購入したパンフレットを開くと、まずダイヤモンドの画像に添えて、購入時にチェックすべき4つの「C」の説明書きがある。「Color(カラー)」、「Cut(カット)」、「Clarity(透明度)」、「Carat(カラット)」――ダイヤの価値を決めるこれらの「C」に加えて、ページの最後には次のような一文が書き添えられている。「私たちがチェックすべきCが、実はもうひとつある。それは、Conflictの、"C"――」。作品の本質をとらえた、うまいコピーだと思う。

宝石の中でも最高位にランクされる、あのきらびやかなダイヤモンドの一部が、過酷な労働や血みどろの紛争と無縁ではなかったという事実に、まず衝撃を受けた。世界のダイヤモンドのおよそ6割を産出するアフリカ諸国のなかで、とくに内戦で疲弊している中部や西部の地域では、ダイヤモンドが反政府ゲリラの資金源として違法に取引されている。こういう出自のダイヤモンドは「紛争ダイヤモンド」(Conflict Diamond)または「ブラッド・ダイヤモンド」と呼ばれ、現在では取引の撲滅をはかるための制度「キンバリー・プロセス(証明制度)」の規制の下に置かれている。この映画は、まさにそうした制度を成立させるきっかけとなった、1990年代末のシエラレオネ共和国の内戦と、紛争ダイヤをめぐる男女三人の運命の交錯を描いている。

まずは傭兵上がりのダイヤの密売人、ダニー・アーチャーを演じるディカプリオの、やさぐれた風体に驚かされた。「ディパーテッド」の時よりも明らかに脂肪を蓄えてひと回り大きくなった体と、眉間に深く刻まれた皺。密輸に手を染める男の汚れた過去が浮かび上がるような、みごとな役作りだ。アーチャーがねらうのは、反政府ゲリラRUF(革命統一戦線)の採掘場で見つかった巨大なピンク・ダイヤモンド。その隠し場所を知るメンデ族の漁師ソロモン(ジャイモン・フンスー)は、RUFの襲撃で離れ離れになった家族を探している。アーチャーはソロモンの家族への思いを利用して、ダイヤを手に入れようと画策する。一方、ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)は、紛争ダイヤの流通ルートをあばくためにアーチャーに近づく。ソロモンとマディーがそれぞれ抱く真摯な思いが、しだいにアーチャーを感化していくプロセスは、この映画の大きなみどころだ。

RUFはもちろん実在の組織であり、彼らが村を襲って村人を強制労働に狩り立てたり、年端のいかない少年たちを兵士に仕立て上げるエピソードには、この国の惨状が巧みに織り込まれている。終盤で流れるアーチャーの血は、繰り返される流血に赤く染まったアフリカの土壌に滲み込んでいく。白人でありながら、結局はアフリカでしか生きられなかったアーチャーの末路は、なんともせつない。豊かな鉱物資源に恵まれながら、それを生かす手立てを持たないアフリカの不幸な現実が、血まみれのダイヤとも呼ばれる紛争ダイヤモンドを生み出した。ダイヤの流通先には、必ずそれを購入する先進諸国の市場があり、そこには利権を貪る大企業の影がちらつく。こうした生々しい真実が作品の底に流れていることを、ディカプリオの熱演ともども心に留めておきたいと思う。




満足度:★★★★★★★★☆☆




<参考URL>
 ■映画公式サイト「ブラッド・ダイヤモンド」
 ■WDCホームページ「DIAMOND FACTS ORG.」
 
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6 コメント

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こんにちは (ズィロ)
2007-04-18 04:29:44
はじめまして(かな?)

私のブログで
ここの記事を紹介させていただきました。

紹介記事は
http://blog.livedoor.jp/zero_kids01/archives/53871534.html
です。

よろしくお願いいたします。
こんにちは (プチセレブのススメ)
2007-04-18 05:16:56
はじめまして^^

私の「プチセレブのススメ」というブログ
こちらの記事を紹介させて頂きましたので
ご連絡させて頂きました。

紹介記事は
http://puchiserebubu.blog96.fc2.com/blog-entry-327.html
です。

これからもよろしくお願いいたします^^
こんにちは (芸能ナンデモどっとcom のJun)
2007-04-18 09:51:07
おじゃまします!
どうもでーす^^

僕のサイトでこちらの記事ですが
紹介させて頂きました。
また遊びに来ますネ!

紹介記事・・・
http://geinoudotto.blog99.fc2.com/blog-entry-71.html
コメントありがとうございます (masktopia)
2007-04-19 14:26:17
●ズィロさん

はじめまして!

ディカプリオ関連ブログとして当記事を紹介していただきまして
どうもありがとうございました。

こちらこそどうぞよろしくお願いします。



●プチセレブのススメさん

はじめまして♪
「ブラッド・ダイヤモンド」関連記事として当ブログをご紹介いただき
どうもありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いします。



●芸能ナンデモどっとcomのJunさん

はじめまして~
娯楽大作ブログのひとつとして紹介してくださいまして
どうもありがとうございました。

どうぞよろしくお願いします。
衝撃的でした (ことら)
2007-04-24 21:23:56
こんにちは。

うちにもダイヤモンドがいくつかあるのですが…私は物運ある方なので、大丈夫と確信しています!
…なんの根拠もないですが。。。

キンバリープロセス実施後の現在でさえ、紛争ダイヤモンドの流通は完全に止められていないということに恐怖を覚えずにはいられません。

それにしても、まだまだハリウッドはいい映画を作れるんですね。
この方向で行って欲しいと願って止みません。
●ことらさん (masktopia)
2007-04-25 14:33:38
お久しぶりです!

>ダイヤモンドがいくつかある

おぉ~それはうらやましいですね(笑)

それにしてもダイヤが血にまみれた紛争とこれほど
密接にかかわりがあったことが驚きです。
わたしも自分のダイヤ(一つだけ!)は紛争ダイヤで
ないことを祈りたいです。

>まだまだハリウッドはいい映画を作れるんですね。

同感ですね。このところリメイクばかりで
さすがのハリウッドも斜陽期に入ったかと思わせる
要素がありましたが、こういう作品が生まれる活力が
まだあるというのはうれしいことですね。

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