「デイ・ウォッチ」 (2006年・ロシア)
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この作品はシリーズ第二作目なので、一作目の内容をご存知でない方は
前作「ナイト・ウォッチ」のこちらのレビューから先に読むことをおすすめします
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ロシア発のダーク・ファンタジー三部作の第二作目。前作の「ナイト・ウォッチ」がそこそこ楽しめたので公開を心待ちにしていたのだが、上映館は都内でも2館のみというあいかわらずの冷遇ぶり(しかもそのうちの一館、歌舞伎町の某館に漂うやるせなさは特筆もの。昭和エレジーといえば聞こえはいいが、時代の流れを感じさせる穴の開いた薄汚れたシートには正直辟易!)。ハリウッド発ならば、たとえ駄作であろうと莫大な資金を宣伝費に投入してヒットを飛ばすだろうに、哀しいかなロシア映画。国内では歴代の興行成績を塗り替える大ヒット作ではあっても、ファンタジー好きの日本の観客層にまで宣伝効果が行き届いたようにはみえない。こういうおもしろい娯楽映画が、もしこのまま埋もれていくとしたら、ハリウッド嫌いでなくても複雑な気持ちにさせられる。
前作は主人公アントン(コンスタンチン・ハベンスキー)が、偉大な異種である息子イゴール(ディマ・マルティノフ)を闇の側に奪われたところで話は終わった。続編では、この息子とアントン、アントンに心を寄せる光の異種、スベトラーナ(マリア・ポロシナ)を軸に、激しさを増していく光と闇の抗争を描いている。二つの勢力の均衡を左右する偉大な異種、イゴールを味方につけた闇の将軍ザブロン(ビクトル・ベルズビツキー)は、光の異種との千年に及ぶ休戦協定を破棄しようともくろんでいた。一方、アントンに救われ光の側についた"渦の女"スベトラーナは、イゴールの力に匹敵する強力な異種として認められる一方で、アントンへの思いをしだいに募らせていく。息子を取り戻したいというアントンの思いと、アントンの愛を得たいというスベトラーナの思い、さらにはバンパイアとなった若者に恋したザブロンの愛人アリサ(ジャンナ・フリスケ)の思いがそれぞれ横糸となって、光と闇の目もくらむ抗争が織り上げられていく。
ロシアという風土の重々しさ、呪術的フォークロアの怪しさを背景に持ちながら、これほど切れのいい展開と斬新な映像で押しまくるアクション映画を、はたしてロシア映画と呼べるのだろうか。土俗的なテーマに深く根ざしながら、その実きわめて都会的でスタイリッシュなこの仕上がりは、もちろんハリウッド映画と同じVFX技術によって支えられている。この視覚効果の面だけをとっても、たとえば"異界"の不思議なイメージや終盤のモスクワ市街の崩壊シーンなど、ロシア映画の映像技術が、すでにハリウッドとくらべてなんら遜色のないレベルに達していることを思わせる。三作目の「Twilight Watch」(原題)にはハリウッドの資本が入るとも言われていて、いずれこのシリーズが世界的ヒットを飛ばす日も来るかもしれない(すでにベクマンベトフ監督のハリウッド進出は決まっているそうだ)。
乗りのいいテクノやロックをBGMに、魅惑の映像マジックで描かれる異種たちの世界は、見る者を幻惑し、まさに異界へと誘い込む。そこに織り込まれた親子愛や異性への思慕の情は、異種たちがわたしたちと変わらない人間であることを思い出させはするものの、アップテンポな展開は前作とまったく変わらない。冒頭で名将ティムールが手にした「運命のチョーク」が、異種たちの運命を今後どのように変えていくのか、次回作が楽しみだ。
満足度:★★★★★★★☆☆☆
<作品情報>
監督・共同脚本:ティムール・ベクマンベトフ
原作・共同脚本:セルゲイ・ルキヤネンコ
出演:コンスタンチン・ハベンスキー/マリア・ポロシナ/ウラジミール・メニショフ
ガリーナ・チューニナ/ビクトル・ベルズビツキー/ジャンナ・フリスケ
<参考URL>
■映画公式サイト「デイ・ウォッチ」
■前作「ナイト・ウォッチ」の情報はこちらのオフィシャル・サイトで
■「ナイト・ウォッチ」のレビュー「ナイト・ウォッチ◆ロシア発のダーク・ファンタジー」
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