両面テープクランプ加工法の①考え方編の解説に続いて、②貼り付け編の説明に入りたいと思います。
③工程作成編もあります。
両面テープクランプ加工法の基本をおさらいしておきます。------
・(両面テープの接着力)>(加工時にかかる荷重)
ならば(ワークが動かない、加工成功)
・そのための2つの要素は↓
① 両面テープの接着力を高める段取り。
② 加工時にかかる荷重を少なくする工程を作成。
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さて、今回の記事では①の両面テープでの接着について解説したいと思います。
両面テープを使ってワークを貼り付けようとしてもワークが張り付かない、ワークが振動してしまう、これはそのような失敗をしないための記事です。
両面テープ貼り付け時に注意することは以下のことです。
・僕が使っている両面テープは「日東電工の510番」です。このテープはアルミ、ベーク、塩ビ、POM、ポリカーポネイト、アクリル、ABS、エポキシ、どんな材料でもしっかり接着してくれます。
・貼り付けるときはしっかり圧力をかけること。体重をかけて最低でも10秒ぐらいは圧力をかけます。圧力をかけないとくっつきません。
・素材によって貼り付き方が違います。貼りつき過ぎる材料もあれば、貼り付きにくい材料もあります。塩ビやアクリルなどはテープがこびり付いて困るほど貼りつきます。
・貼り付け面にゴミや汚れがなく、平らな状態であることも重要です。貼り付け面の状態によって貼り付き方も違います。下の写真はABSの表面を撮影したものですが、左側は板厚そのままの状態。ヘアラインのような細かな縦線が無数に入っています。右側は材料をフルバックで一なめしたもの。良く見るとカッターのひき目がみえるが、工場出荷時のものよりきれいな平面になっている。右側の平らな面の方が両面テープはくっつきやすく、くっつき過ぎてはがすのに苦労するほどです。
・気温によっても貼り付き具合が違います。気温が高いと良く貼り付き、低いと貼り付きにくい。気温30℃にもなればよく張り付き、10℃以下なら張り付きにくい。
・材料をクランプする力は貼り付け面積に正比例します。当たり前ですが貼り付け面積が小さいばあい弱いクランプ力、貼り付け面積が広いばあい強いクランプ力を発揮します。
・貼り付け面にかかる加工荷重の方向(ベクトル)によって貼り付け面が受ける影響が変わります。
・加工後にはがすことを考慮しながら貼ること。塩ビやアクリルなど貼り付き過ぎる材料を貼る場合はシッカロール(ベビーパウダー)を薄くぬって全面に伸ばす、それをエアーで吹き飛ばし、そのあとに両面テープ貼り付けるとこびり付かず、はがしやすい。ワークとテープの間にシッカロールの薄い膜を挟むようなイメージ。
・シッカロールを塗ることは両面テープの接着力を適度に弱める効果があり、テープをきれいにはがすことが出来ます。
・両面テープの貼り付けは「しっかり張り付く」か「張り付かない」の2択しかありません。「適度に弱く張り付く」ってのはありません。接着力を弱めたいときはシッカロールをまぶしてからしっかり圧力をかけて貼り付けましょう。
・加工後にワークをはがすときは無理やりはがしてはいけません。ワークが変形したり、傷ついたり、割れたりします。貼り付け面の端の方から、少しずつ、少しずつ、ゆっくりとはがします。
・ワークをはがすときは、アルコールで両面テープをふやかしたり、シンナーでテープを溶かすとはがしやすくなります。ただワークの材料によってはシンナーで溶ける材料もあるので注意が必要です。また溶けた両面テープが材料にこびり付いて汚れたりするので、何もつけないで剥がれるならそれが一番良いです。
・はがすときにシンナーやアルコールを使うぐらいなら、貼る前にシッカロールを塗るほうをお勧めします。
・材料に反りがある場合は貼り付きにくいです。反りの谷側に両面テープを貼って貼り付けたほうが張り付きます。山側を貼り付け面にすると貼り付け面の端が浮きますが、谷側を貼り付け面にすると面の中央が浮きます。貼り付け面の端は接着力が分散して弱いのに対して、貼り付け面の中央は接着力が集中して強く、谷部分をしっかり矯正して接着することができます。
↓材料を厚みの側からみると反りの具合がわかります。このPOMの板もほんの少しだけ右カーブに反っています。
以上、両面テープを使ってワークを固定するコツについて解説してきました。次回の記事では加工工程で荷重を少なくすることについて解説します。
③工程作成編もあります。
両面テープクランプ加工法の基本をおさらいしておきます。------
・(両面テープの接着力)>(加工時にかかる荷重)
ならば(ワークが動かない、加工成功)
・そのための2つの要素は↓
① 両面テープの接着力を高める段取り。
② 加工時にかかる荷重を少なくする工程を作成。
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さて、今回の記事では①の両面テープでの接着について解説したいと思います。
両面テープを使ってワークを貼り付けようとしてもワークが張り付かない、ワークが振動してしまう、これはそのような失敗をしないための記事です。
両面テープ貼り付け時に注意することは以下のことです。
・僕が使っている両面テープは「日東電工の510番」です。このテープはアルミ、ベーク、塩ビ、POM、ポリカーポネイト、アクリル、ABS、エポキシ、どんな材料でもしっかり接着してくれます。
・貼り付けるときはしっかり圧力をかけること。体重をかけて最低でも10秒ぐらいは圧力をかけます。圧力をかけないとくっつきません。
・素材によって貼り付き方が違います。貼りつき過ぎる材料もあれば、貼り付きにくい材料もあります。塩ビやアクリルなどはテープがこびり付いて困るほど貼りつきます。
・貼り付け面にゴミや汚れがなく、平らな状態であることも重要です。貼り付け面の状態によって貼り付き方も違います。下の写真はABSの表面を撮影したものですが、左側は板厚そのままの状態。ヘアラインのような細かな縦線が無数に入っています。右側は材料をフルバックで一なめしたもの。良く見るとカッターのひき目がみえるが、工場出荷時のものよりきれいな平面になっている。右側の平らな面の方が両面テープはくっつきやすく、くっつき過ぎてはがすのに苦労するほどです。
・気温によっても貼り付き具合が違います。気温が高いと良く貼り付き、低いと貼り付きにくい。気温30℃にもなればよく張り付き、10℃以下なら張り付きにくい。
・材料をクランプする力は貼り付け面積に正比例します。当たり前ですが貼り付け面積が小さいばあい弱いクランプ力、貼り付け面積が広いばあい強いクランプ力を発揮します。
・貼り付け面にかかる加工荷重の方向(ベクトル)によって貼り付け面が受ける影響が変わります。
・加工後にはがすことを考慮しながら貼ること。塩ビやアクリルなど貼り付き過ぎる材料を貼る場合はシッカロール(ベビーパウダー)を薄くぬって全面に伸ばす、それをエアーで吹き飛ばし、そのあとに両面テープ貼り付けるとこびり付かず、はがしやすい。ワークとテープの間にシッカロールの薄い膜を挟むようなイメージ。
・シッカロールを塗ることは両面テープの接着力を適度に弱める効果があり、テープをきれいにはがすことが出来ます。
・両面テープの貼り付けは「しっかり張り付く」か「張り付かない」の2択しかありません。「適度に弱く張り付く」ってのはありません。接着力を弱めたいときはシッカロールをまぶしてからしっかり圧力をかけて貼り付けましょう。
・加工後にワークをはがすときは無理やりはがしてはいけません。ワークが変形したり、傷ついたり、割れたりします。貼り付け面の端の方から、少しずつ、少しずつ、ゆっくりとはがします。
・ワークをはがすときは、アルコールで両面テープをふやかしたり、シンナーでテープを溶かすとはがしやすくなります。ただワークの材料によってはシンナーで溶ける材料もあるので注意が必要です。また溶けた両面テープが材料にこびり付いて汚れたりするので、何もつけないで剥がれるならそれが一番良いです。
・はがすときにシンナーやアルコールを使うぐらいなら、貼る前にシッカロールを塗るほうをお勧めします。
・材料に反りがある場合は貼り付きにくいです。反りの谷側に両面テープを貼って貼り付けたほうが張り付きます。山側を貼り付け面にすると貼り付け面の端が浮きますが、谷側を貼り付け面にすると面の中央が浮きます。貼り付け面の端は接着力が分散して弱いのに対して、貼り付け面の中央は接着力が集中して強く、谷部分をしっかり矯正して接着することができます。
↓材料を厚みの側からみると反りの具合がわかります。このPOMの板もほんの少しだけ右カーブに反っています。
以上、両面テープを使ってワークを固定するコツについて解説してきました。次回の記事では加工工程で荷重を少なくすることについて解説します。
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