経済(学)あれこれ

経済現象および政策に関する意見・断想・批判。

参院合区制、絶対反対

2015-05-25 02:12:53 | Weblog
参院合区制、絶対反対

 現在自民党の一部で参議院の選挙区の一部が府県単位を越えて融合された合区制にすべしという意見がある。絶対反対である。具体的には高知県と徳島県、島根県と鳥取県が合併融合されて一つの選挙区になるという話である。合区の理由は議員一人を選ぶのに要する選挙民の数の差異にあるという。仮に東京で議員一人当たり選出するのに100万人かかるとし島根県では10万人だとする。東京都民の選挙権は島根県民のそれに比べて1/10になる、だから違憲だ不合理だ不正義だという。1/10という数値は不合理だろうか。逆に考えてみよう。東京を標準にとり、島根県の選挙民数は少ないから、議員はゼロという提案も可能だ。そうなれば島根県の政治的意義あるいは政治への発信力はセロになる。これは政治の担体としての島根県の存在を抹殺するものだ。合区案はそういう意味を含む。
 問題は選挙民一人当たりの議員選出比重を判断の基準にすることだ。ここからおかしな結論が出てくる。議員選出の基準は二つある。人口数と地域だ。現行の都道府県を単位とする限り、すべての府県に最低一名の議員は振り当てなければならない。でなければ特定の府県の政治的抹殺を招来する。
 各府県にはそれなりの伝統と文化そして慣習があり府県民はその伝統文化に誇りを見出しまた帰属意識を持っている。特定の府県の選挙民数が少ないからといって、議員定数をゼロにすることは、この府県の伝統と帰属性を抹殺することであり、府県民を侮辱することであり、その府県の伝統を破壊することだ。
 島根県と鳥取県を合区とすると、東は鳥取から西は津和野まで東西約350キロメ-トルの広大な面積から一人の議員が選ばれることになる。特定の地域を代表しその地域に帰属意識を持つ議員が果たして選ばれうるだろうか。高知と徳島に関しても同じだ。合区すると四国の端から端までの地域になる。加えて両県の間にはかなり峻険な山脈が聳えている。日本人の地域帰属性が形成されたのは江戸時代だ。高知徳島の両県は共に山内蜂須賀という国持ち大名の領土であり、また両県は旧国(土佐と阿波)がそのまま県となっている。このように地域帰属性の強い両県を合区することに意味があるだろうか。私は兵庫県在住だが、この県は日本海と瀬戸内海に挟まれ、摂津の西半分、但馬播磨淡路の三国そして丹波の一部を加えて100年前に県となった。極めて多彩な地方の集合体だが、現在では県民は県に対してそれなりの誇りと帰属意識を持っている。
 逆に大都市を抱える府県特に東京都は圧倒的に多数の議員を選出できる。このこと自体が既に特権ではないのか。
 要は議員は人口を代表するのか地域を代表するのかの差だ。アメリカでは上院は地域を下院は人口を代表している。
 若干の提案がある。私は現行の参院に満足している者でもない。抜本的改革の案はあるが、せめて参院を明確な地域代表の選抜機関にできないだろうか。府県ごとに定数を固定してしまうのだ。
 あるいは参議院議員の選出に際して最低一名は選出可能とし、その総数(当然府県数になる)を差し引いた残りの数を人口比で割りふればいい。この方式は衆院にも適用可能だ。
 衆議院議員選出に関しても一言。衆議院議員の数は多いとか言われているが私はそうも思わない。最近英国で総選挙が行われたが下院議員の総数は550名を超えていた。英国の人口は日本の半分だ。日本でももっとふやしていいのかも知れない。
 もう一つ提案。現在軍事基地(航空に限る)と原発設置でもめているが原発と基地を抱える府県の議員定数は一名追加してもいいのではないのか。私はそう思う。
 繰り返す。合区案には絶対反対だ。違憲の理由を聴きたい。地方が衰退し創生創生と掛け声はいいが、逆に地方の誇りと帰属意識を破壊して地方創生もへちまもあるまい。

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (やまだ)
2015-07-23 22:37:07
私も絶対反対です。徳島は徳島の、高知は高知の利益を追求しなければなりません。下層の三流市民には関係ありませんが、既得権益が奪われてはなりません!
返信する

コメントを投稿