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多摩、ときどき山

多摩の暮らしと山のブログ

広島人 雲取山を行く

2012-05-02 22:04:54 | 山のこと

4/29~5/1日、広島の山仲間が上京し、東京都最高峰・雲取山(くもとりやま、2017.1m)周辺を案内しました。

かつて、岩や雪でともに遊んだH氏とI氏、そして初対面のS氏とともに、早春の奥多摩をのんびり歩き、旨い酒を酌み交わすことができました。

■4/29日? 晴れのち曇り

JR奥多摩駅7:00-石尾根登山口7:50/8:00-六ツ石山10:35/10:50-鷹ノ巣山12:40/13:00-鷹ノ巣山避難小屋13:20(ビバーク)

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西多摩郡奥多摩町、氷川渓谷(ひかわけいこく)。緑が萌え始めました。この辺りで標高350mほど。(氷川大橋より)

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50分の車道歩きを経て石尾根登山口着。雲取山へ続く長い道のりの始まりです。

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標高800m付近の広葉樹林。新緑前線はちょうどこの辺りまで上がっており、青い空との競演が気持ちいい。

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ミズナラ(水楢/ブナ科)の巨樹から熟年パワー?をもらおうと抱き付くH氏。(笑)

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東京都水道水源林の防火帯になっている石尾根縦走路。この開放感が魅力です。前方に鷹ノ巣山(1736.6m)。

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鷹ノ巣山頂上は80人ほどの登山者で賑やか。さすがゴールデンウイークです。


ただ、1700m越えでも気温21℃。思わぬ暑さの洗礼に、広島の皆さん、少し疲れ気味のようでした。

私もかつてそうでしたが、地方からアルプスや八ヶ岳など中央の山へ来るのは“大遠征”です。現地への足は主に車。交代で運転しながら十数時間…山中の行動日程に加え、現地までの往復でほぼ二日を要します。休みの関係や旅費のことも考えると、なかなか出て来られません。ですから、広島に限らず地方の岳人はしぶとい?ちょっとやそっとではあきらめない(あきらめられない)事情があるのです。(笑)

西に…

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目指す雲取山(右)~飛龍山(ひりゅうやま、2077m=左奥)の稜線。この頃には、雲が厚くなっていました。

本日のビバーク
(露営)は、鷹ノ巣山避難小屋前で。
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当然の宴会突入!?広島の銘酒・白牡丹が久しぶりに身に染み入りました。

■4/30日? 曇り
鷹ノ巣山避難小屋6:20-七ツ石山8:20/8:35-奥多摩小屋9:23/9:30-雲取山10:30/10:55-雲取山荘11:20(幕営)

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朝食の図。

鷹ノ巣山避難小屋周辺は、快適な避難小屋と広い平坦地あり、水場あり…で、当日は10張以上のテントが張られていました。もちろん避難小屋も満杯。ただこの一帯は、自然度の高い秩父多摩甲斐国立公園・第一種特別地域であり、「指定幕営地ではない」ことも知っておいてくださいね。

水源林火災の恐れなどからも、焚火は厳禁です。

出発するといたる所に…
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広葉樹や針葉樹の皮がはぎ取られた跡が…いずれも新しく、痛々しい。

ニホンジカの仕業です。本ブログで何度も取り上げていますが、奥多摩や山梨県の大菩薩嶺周辺では被害が深刻。やはりシカに食い尽くされ下層植生がほとんどない森林(もり)の姿に、3氏はショックを受けていました。

「広島でも多少の被害は出ているがここまでひどくはない」とのこと。ただ、「目の前で(植栽樹木の)固形肥料をボリボリ食べられた」経験のあるH氏の話に、「何でも食べてしまう」この動物の怖さを実感しました。


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1800m付近、カラマツ(唐松/マツ科)のつぼみはまだ固い。新緑が稜線に達するまで、もう少しかかりそう。

来し方を振り返る。

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御前山(ごぜんやま、1405m=右奥)の左、大岳山(おおたけさん、1266.5m=真ん中)~御岳山奥ノ院(みたけさんおくのいん=左端)の連なりが、人の横顔のように見えませんか?

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石尾根の名の由来になった七ツ石(人によって数え方が違いますが…)。「まるで剱岳・八ツ峰のミニチュア版のよう」と4人で笑いました。

登り切ったところが…

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七ツ石山(1757.3m)山頂。さらに…
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雲取山へ。
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自転車!?しかもこれ、普通のロード用です…この後マウンテンバイクも2台上がって来ました。

雲取山周辺は国立公園・特別保護地区に指定されており、これら「車両の乗り入れ」は遠慮してもらいたいところです。

山頂からは、厚い雲の向こうにうっすらですが富士山と南アルプスの姿を認めることができました。気温9℃。風も冷たく寒い。30分ほど頂上で過ごし、本日の幕営地・雲取山荘へ。


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雲取山西側を巻いて三条ダルミへ向かうルートは「通行禁止」。山荘に詰めていた埼玉県警山岳救助隊員によると「崩壊して危険なため」。

明日利用させてもらおうと考えていたのですが…残念。


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昼前にはテントを張り終えて…

もちろん、宴会二日目に突入です。いまだかつて、こんなに早くから山で酒を飲んだ記憶はありません。(笑)

担ぎ上げた奥多摩の地酒と…

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?…
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H氏特製手作りだんご汁の晩餐は、夕刻まで続きました。

当日は、埼玉県警に加えて警視庁・青梅警察署山岳救助隊員もGW警戒のため山荘に幕営しており、橋本副隊長や金指導員としばし談笑。入山者が一気に増えるGW以降、悲惨な事故が起きないことを願いつつ、床に就きました。

■5/1? 曇りのち雨
雲取山荘5:20-雲取山5:53/6:03-三条ダルミ6:25-狼平7:00-北天のタル8:21/8:33-三條の湯10:10/10:30-後山林道10:50-お祭13:15(~丹波山温泉のめこい湯~JR奥多摩駅)

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雨の夜が明けた雲取山荘。
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本日は9時間近いロングコースのため、早めの出発です。

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ところどころ残雪が凍結している雲取山東側直下。下りは要注意です。

この朝驚いたのは…
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前日見当たらなかったバイカオウレン
(梅花黄連/キンポウゲ科)が、あちらこちらで開花していたこと。

たったひと晩で…こんなことがあるのですね。自然の営みに感動。

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雲取山を越えて飛龍山を目指しましたが…
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北天のタルから先の歩道上に残雪と凍結があり、雨も落ち始めたため、ここから山梨県お祭
(まつり)へあっさりエスケープすることに。

三條の湯
(1100m)付近まで下りたところで、上空に突然…
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同県の防災ヘリコプターが飛来し救助隊員1名がホイスト下降。小屋の人たちと話をした後、再びヘリに収容されて飛び去って行きました。

小屋番の話では、三条ダルミから三條の湯へ下山する途中に4名パーティのうち一人が滑落した模様。確かに本日の歩道は雨と霧に濡れ、岩場や木の根、コケのついた木橋などは歩くのに神経を使いました。

危惧していた遭難がGW前半から発生。地上部隊の動きなどからヘリで無事救出され最悪の事態は免れたようです。雨天等、条件が悪い中での行動には細心の注意を払いましょう。

私たちは下山途中…
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ミズナラの枝先にあるクマ棚
(右上の黒い塊=クマがどんぐりを食べた枝をお尻の下に敷き詰めた跡)に、「よく落ちないもんやね」と全員で感心しきり。

高度を下げるにつれて…
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恥じらうかのようなニリンソウ(二輪草/キンポウゲ科)や…
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鮮やかで大輪のミツバツツジ(三葉躑躅/ツツジ科)
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ケマルバスミレ
(毛円葉菫/スミレ科)に…
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今年初めてのヒトリシズカ
(一人静/センリョウ科)

山に春の訪れを告げる多くの花々に出逢うことができ、懐かしいメンバーとの山行に華を添えることができました。

下山後、丹波山温泉のめこい湯
(丹波山村)で汗を流し、あきる野市の我が家近くのラーメン屋で締めの宴会を行ったことは言うまでもありません。(笑)

貴重な大型連休を使って、他の山域ではなく、わざわざ奥多摩まで出向いてきてくれたH、I、S氏に心から感謝します。






































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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいなー!いいなー! (にゃみにゃみ。)
2012-05-02 23:10:04
いいなー!いいなー!

奥多摩、いいですね。

行きたかったなー!!
返信する
にゃみにゃみ。さん (渋谷政道)
2012-05-03 20:19:38
にゃみにゃみ。さん

六甲周辺は春爛漫なのでしょうね。
奥多摩も、春夏秋冬問わず親しみやすい山域です。
ぜひまた、お好みの季節を選んで遊びに来てください!
返信する
おっさん3人、お世話になりました。 (hori)
2012-05-03 21:27:26
おっさん3人、お世話になりました。
どこの山もホンマ楽しいね!
ただ、
あの痛々しい鹿の食害は、何か良い方法を・・
人間の英知を結集して何とかしないと・・・

返信する
horiさん (渋谷政道)
2012-05-04 12:51:22
horiさん


こちらこそありがとうございました。
どこの山もそれなりの魅力があり、
行ってみないとわからないことがたくさんありますよね。


シカの脅威、南アルプスはもちろん北アルプスにまで広がりつつあります。
決して彼らが悪いわけではないのですが、
解決できる英知を持っているのは私たち人間しかいないんですよね。

特に、山を愛する登山者は大きな力になれると思っています。
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