19日、東京都山岳連盟遭難対策委員会・救助隊のメンバーとして、奥多摩/棒ノ折山(ぼうのおれやま・969m)周辺の行方不明者捜索に出ました。沢沿いや支尾根を中心に探しましたが、手掛かりは得られませんでした。入山から2週間が経過。
奥多摩では、同委員会・救助隊による行方不明者の捜索がもう1件行われています。こちらは登山計画書がなく、どこの山へ入ったのかも絞り切れない状態。手がかりは、東日原(ひがしにっぱら)に残されたレンタカーのみ。こちらも発生から2週間近くになります。
警察による捜索が打ち切られた後も、「毎日捜索してほしい」と民間の救助隊に依頼をされるご家族の心境を思うと、居たたまれない気持ちになります。
一日も早い発見を願うばかりです。
私たちは、安全で楽しい山登りの普及・啓発をする立場にあります。そのベースとしていつもお話しするのが、登山計画書の作成・提出と山岳保険への加入。それは「万が一の保険」という意味だけではありません。「遭難の予防」にも大きな効果があると考えているからです。
登山計画書は、遭難捜索の手がかりになることはよく知られています。しかし、それ以上に大きなメリットがあります。地図やガイドブックを見ながら目指す山域の下調べを行い、行程や必要装備、エスケープルートなどの計画を立て、それを具体的な書式にまとめて行く過程で計画を客観的に把握できるとともに、行程や装備に無理がないかをチェックすることができます。さらにその繰り返しが、登山者としての力量アップにもつながります。
山岳保険は、「自分のため」だけではなく「家族のため」に入りましょう。万が一遭難して救助要請をした場合、現在は警察・消防などの行政による救助活動が主流になっており、「費用はかからない」という声を聞くことがあります。が、人員の関係で行政だけでは対応できない場合や特殊な技術が要求されるような場所では、プロ・ガイドや山岳団体関係者、山小屋の従業員など民間の救助隊員が出動するケースも多々あります。今回の奥多摩の事例のように捜索が長引いた場合も、然り。
その費用を、「北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会」のケースを例に示してみます。
①出動手当:遭難事例の軽重に関わらず遭難出動1日につき、20000円/人
②危険手当:夜間・早朝の出動、山小屋繁忙期の出動、悪天候の中の出動…等、項目毎に5000円/人を加算
③保険代金:隊員が出動の際にかける山岳保険代金、13540円/人
④その他:交通費・消耗品等の実費
1回の遭難で、平均して4~5万円/人の費用が掛かります。
(同協会「救助要請時における出動手当の概要」より)
さらに、ヘリコプター救助が常識の現在、民間ヘリが飛べば約1万円/分のチャーター料(約60万円/1時間)が発生すると言われています。
遭難しようと思い、遭難する人はいないでしょう。しかし警察庁のデータによると、最近のブームに乗って山岳遭難は年々増加傾向にあり、2011年度は全国で1830件発生し2204人が遭難、275人の方が現実に亡くなっています。
多くの人にとって、山登りは遊び。ただそれは、一歩間違えば「死ぬこともある遊び」です。その遊びで窮地に陥った人を救う救助隊員たちも、仕事とはいえ、山岳という厳しい現場で多大なリスクに晒されながら活動しています。遭難者の家族は重い精神的負担を負うことになり、保険に入っていなければ、愛する家族に経済的追い打ちをかけることにもなります。
登山計画書と山岳保険は、「自己責任」という認識と自覚を私たちに与えてくれる点でも、最悪の事態を避ける力になり得るものです。今や、山を楽しむ人の最低限のマナーと心得ましょう。
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あとは、いつもの、しぶやさんに会う可能性がある登山バージョンです。
山岳保険への加入は素晴らしい。でも、登山計画書を出していない、親にも言っていない…いざという時、誰が捜索願いを出し、救助隊はどこを探せばよいのでしょう?涸沢でも、筑波山でも、高尾山でも遭難は発生してますよ~
あと、アホらしい理由なので(山頂でアルコールを飲みモノレールやロープウェイに乗らず、自力下山しようとして転んで骨折などの怪我したとか…)
これらのルートであまり危険地帯が感じられず、まあ、いいっかって(すみません)
高山病も無理そうなら下りちゃうし…。無理だったことは今まで4回富士山に登ってるけどなかったですが…。
次は我が身ってこともあるんですけど…。
すみません。