多摩、ときどき山

多摩の暮らしと山のブログ

身近な3000m 魅力と心配/乗鞍岳

2012-07-24 17:28:23 | 山のこと

23日、仕事の下見で北ア/乗鞍岳(のりくらだけ・3025.6m=剣ヶ峰)を訪れました。長野県松本市・岐阜県高山市。

「頂がたるんで馬の鞍の形をしている」ことが名の由来。「新日本山岳誌(日本山岳会編著)」によると、乗鞍岳は四つの火山体がほぼ一列に並ぶ複合火山帯。南北6kmに及ぶ山頂部には山名のある山だけでも23座、7つの湖、8ヶ所の平原が含まれており、裾野まで含めると北の安房峠から南の野麦峠まで15km、東西は30kmにも及ぶ巨大な山体とのこと。

一方で、バスで畳平(たたみだいら・2702m)まで入れば、3時間ほどで最高峰・剣ヶ峰を往復できる日本一登りやすい?3000m峰。平日にも関わらず、登山者から観光客まで、老若男女で賑わう光景に、この場所にしかない魅力を感じると同時に、心配ごとも頭をもたげました。

今回も、植物好きのFさんとPさんが同行。


・天候/晴れ時々曇り
・行程/
(22日JR新宿駅23:03~夜行バス/さわやか信州号~新島々~路線バス~)畳平7:03/7:27-肩ノ小屋8:45/9:00-蚕玉岳9:45-剣ヶ峰9:58/10:25-肩ノ小屋11:12/11:50-お花畑木道-畳平12:53(/13:07~路線バス~乗鞍温泉・湯けむり館~新島々~さわやか信州号/高速バス~新宿駅20:55)

P1130074

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バスで入ることができる日本の最高所・畳平。周辺は、中部山岳国立公園の特別保護地区に指定されています。

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鶴ヶ池の西側より登山開始。気温15℃は、まさに高原の爽やかさ。

いきなり出迎えてくれたのは…
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イワツメクサ
(岩爪草/ナデシコ科)

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コマクサ
(駒草/ケマンソウ科)

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ヨツバシオガマ
(四葉塩竈/ゴマノハグサ科)

いずれも高山の強風砂礫地や岩礫地に生育する植物たち。今年初めて。

畳平周辺は、日本における森林限界を示すハイマツ林も広大。車窓から、あるいはバスを降りてすぐに、こうした高山植物にお目にかかれる体験は私も記憶になく、感動しました。


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不消ヶ池
(きえずいけ)
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歩道脇には、まだ厚さ2mほどの残雪も。

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肩ノ小屋
(2770m)。14℃。
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この先から本格的な登山道に。左奥は蚕玉岳
(こだまだけ・2979m)

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コイワカガミ
(小岩鏡/イワウメ科)の淡紅色が眩しい。

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蚕玉岳山頂から剣ヶ峰を望む。この頃から上空に雲が湧き始めました。

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乗鞍岳最高峰・剣ヶ峰。西に
屏風岳(びょうぶだけ・2968m=左奥)。13℃。

朝のうちは見えていた穂高連峰や八ヶ岳、南アルプスなどは、残念ながら雲の中。


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山頂に鎮座する乗鞍本宮神社・奥社。

昔から「愛宝山
(あぼうやま)」「位山(くらいやま)」などと呼ばれ、信州側から、飛騨側から、霊山として崇められていた歴史を感じます。

下山を始めると…
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多くの人たちが、次から次に登って来ました。
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こちらは100人単位の学校登山。いずれも長野県内の中学生らしく、3校とすれ違いました。

ハイカーの中には空身やジーパン姿の人もあり、「もし天候が急変でもしたら…」と他人事ながら心配になりました。

最後に…
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気になっていた畳平直下の「お花畑」へ。

例年遅くまで雪が残ると思われる草原を
白く飾るのは、ハクサンイチゲ(白山一華/キンポウゲ科)

その下には…
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アオノツガザクラ
(青の栂桜/ツツジ科=真ん中の白い壺型の花)とイワカガミ(岩鏡/イワウメ科)

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チングルマ
(稚児車/バラ科)に…
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ミヤマキンバイ
(深山金梅/同)

そして…
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クロユリ
(黒百合/ユリ科)

コマクサやイワツメクサとは違い、雪田周辺の湿った環境を好む植物たちが、競うように咲き誇っていました。

美しい高山環境を、誰でも身近に体感できる畳平と乗鞍の自然は素晴らしい。反面、あまりにも簡単にアプローチできることによる弊害も、気にかかります。オーバーユース、植生の踏みつけ、木橋やロープを乗り越えて入り込む悪意のない人たち
(今回も見かけて注意)、外来種の侵入、山岳遭難…。

とりわけ「氷河期の生き残り」高山植物に代表される貴重な自然に、人間がさらなる痛手を与えることがないよう、一人ひとりが強く意識してこの場所を楽しみたいものですね。












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