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形容詞の敬語について

2010-07-15 | 日本語・言葉
 「形容詞+です」の敬語は,正しくないと時々言われる.たとえば,「嬉しいです」,「美しいです」.これらの表現の不完全さは,「です」を「だ」「だった」「でした」なんかに置き換えてみれば,すぐに判る.

 古来の形容詞の敬語は,ウ音便を使って,「嬉しゅうございます」「美しゅうございます」といったものだ.しかし,これは今やほとんど使われない「化石語」であり,また,ちょっとした会話のなかで用いるには丁寧すぎるという難点がある.
 そのうえ,戦後の国語審議会が「形容詞+です」を認めてしまった以上,今になって目くじら立てて指摘するモチベーションにも欠けるのが正直なところである.しかも,文法的な誤りが生じているのかどうかも,厳密には微妙な議論なのだ.

 形容詞の語尾を直接いじって,「嬉しかります」「美しかります」などと言えたら一番いいのにと思う.このクニの国語学者は,こういうことにこそ目を向けて欲しい.いくらでも言い換えの利く言語であるはずの日本語に,日常的レベルにおいて大きな欠損があるのだから.

 僕自身,つねづね「形容詞+です」の形には違和感を覚えながら,やむなく使っているが,昨日ケーキ屋のレジで,僕より年少と思われる店員に「よろしゅうございますか」と不意に言われて驚いた.この表現を守る若者がいたということに,半分で嬉しく,もう半分で自戒の思いがした.

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