平成徒然草(萩原 希仁)

毎日の喜怒哀楽をストレートに表現してゆく。

僕の一番好きな男。

2011-07-26 19:29:49 | 日記
一時、生活に困って、新宿の雀荘に住み込んだ。

その時親しんだ、麻雀の世界で、

この男は、一際輝く、巨星だった。

麻雀の世界では、阿佐田哲也(あさだてつや)。

小説家の世界では、色川武大(いろかわぶだい)。

彼の麻雀放浪記は、ある意味で、僕のバイブルであった。

彼が麻雀をするときは、畑正憲や、筑紫哲也、

花登筺(はなとこばこ)、小島武夫、

タモリ、何かが、集まってきていた。

2位抜けで、延々と遊び続け、

卓を離れた者は、酒を飲み続ける。

僕の早稲田の、大先輩の、古川凱章(ふるかわがいしょう)プロも、

この爽爽たるメンバーの中では、一番の若手だった。


タモリも、単なるお茶くみであったし、

僕なんかは、まともに付き合っては貰えなかった。

みんなが、憧れの人だったから、麻雀にも憧れた。

いつも麻雀で、徹夜をするから、

もう朝か、徹夜か、で、阿佐田哲也である。

しかも、彼は、ナルコプレシーと言う、

いつでも、急に眠ってしまう、奇病でもあった。

彼の持論では、一番の生き方は、雀士であって、

賭博で生きることこそが理想であって、

人気作家になるなんて、正に、堕落であった。

でも、奥さんは大切にしていた。

賭博の世界にいても、どこか優しい目をしていた。

新宿の片隅で生きている僕にとっては、

憧れの男だったのである。


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