ちょっと自慢。

母の介護を始めてから、

僕は、家庭的な男になった。

そう思うと、亡くした妻は、

可哀相だ。

だって、家庭的とは、

無縁の男だったから。


ところで、自慢とは、何か。

それは、自宅の冷蔵庫の、

製氷器を、自力で、直した事。

最初、メーカーへ電話すると、

面倒くさそうな声で、

２週間待ちで、２万円位だと言う。

僕は、気に食わなかった。


２万円あれば、４回は、

居酒屋へ行ける。

しかも、この冷蔵庫は、

派遣アルバイトから、契約社員へ、

成り上がった時の、記念の品で、

物凄く愛着がある。

大容量の、大型冷蔵庫だ。


修理屋の電話を切って、自力で、

直し始めた。

先ずは、水道水中の、カルキ成分、

あの、白く固まる、塩素成分のゴミを、

綺麗にしてみようとした。

クリスマスの飾り付けのモールを、

出して来て、毛羽の付いた、

細い針金を、水の通り道に、

差し込んで、かき回し、水垢を取った。

それから、熱湯を、何回か通して、

配管の中も洗った。


一晩かかって、中に入れた熱湯が、

出終わった時、一旦、氷受けが、

薄汚れた一枚の氷になってしまったが、

これを綺麗に洗って、新しい水を補充し、

もう一晩待ったら、何と、次の朝から、

綺麗な氷が大量生産された。


大した事では無いが、自分では、

何だか、大満足なのである。

意地でも、居酒屋に、４回は行こうと、

心に決めたのであった。


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