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かんたん解説 NBAなんでもとーく

Athletic Ability

2010年05月30日 | ドラフト・新人

いやあ~、ボストンは見事なファイナル返り咲きですね。
途中オーランドに盛り返される場面もありましたが、最終的には寄り切りました。
特にBIG3は、プレーオフに入ってからの動きがシーズン中とは別人のようでした。
優勝した2年前に戻ったかのようなキレを見せていました。

プレーオフになってから本気を出した?
やっぱりベテランだから、力の入れどこを知っている?
カッコよく解釈すればそう言えちゃいそうですが、実はそこへ至るまでには緻密な作戦があったようです。

ドック・リバースは、プレーオフ用にBIG3の体力を残しておけるように、あえてシーズン後半戦はBIG3の出場時間を絞ったそうです。
そう言われて調べてみると、確かにシーズン前半は35分前後あった出場時間が30分前後に減っています。
そのせいで落とすゲームもありましたが、目先の1勝やプレーオフのシード争いよりも、BIG3の体力温存とケガの防止を優先させたんですね。

なるほど、だからシーズン前半は突っ走っていたのに、後半は負けが増えていたんですね。
単にケガ人が多くてあまり長時間プレーさせられないのかと思っていましたが、そうではなかったんです。
ドックいわく、「それが唯一の勝つ方法だった」と。
スパーズがダンカンやまにゅ~に取っているやり方と同じですね。

でもシーズン中は、選手本人たちやアシスタントコーチたちから反対意見も出たそうです。
第3シードも狙える位置だったので、やっぱりもう少し出した方がいいんじゃないかとか、体力は温存できてもチームのリズムが悪くなるんじゃないか、という心配ですね。
でもドックは、頑として聞かなかったそうです。
これに賭ける、と。

そうできたのは、BIG3への揺るぎない信頼があったからでしょうね。
身体さえ万全の状態なら、必ずやってくれるという信頼感です。
実際、その通りでした。
キャブスとのシリーズで見せたKGのプレーなどは、まさに思い描いていた通りのものでした。

やはり、快進撃の裏には何かがあります。
たまたま調子が良かったとかいうレベルで話してはいけません。
こうなる状況を描いて、何ヶ月も前から準備して作り出したベンチの采配。
来るべき時を待ち、その力を一気に発揮した選手の集中力。
こういう戦いを見ると、プレーオフはおもしろいな、NBAってスゴイなと改めて実感させられます。


・・・・というわけでドラフトですw(どないやねん!)

前回チラっと言っていた、運動能力テストの結果が出ました。
これは身体測定(ブログ)と共に、非常に重要視されるデータとなります。
毎年この2つの結果で、ドラフトの評価が上がったり下がったりします。
チームにとっても、誰を選ぶかという判断材料が少ない中での貴重な資料となりうるわけですね。

数字は順番に、ジャンプ力(助走なし)、ジャンプ力(助走あり)、敏捷性(クイックネス)、ダッシュ力(スピード)となります。

【PG】
ジョン・ウォール(ケンタッキー大1年) 6-4(193cm) 75cm 97.5cm 10.8秒 3.1秒
エリック・ブレッドソー(ケンタッキー大1年) 6-2(188cm) N/A(データなし)
ウィリー・ウォーレン(オクラホマ大2年) 6-4(193cm) 57.5cm 78.75cm 11.2秒 3.5秒
シェロン・コリンズ(カンザス大4年) 6-0(183cm) 68.75cm 82.5cm 12.3秒 3.2秒

【SG】
エバン・ターナー(オハイオ・ステイト大3年) 6-7(201cm) 68.75cm 86.25cm 11.0秒 3.3秒
ゼイビア・ヘンリー(カンザス大1年) 6-7(201cm) 71.25cm 91.25cm 11.1秒 3.2秒
エイブリー・ブラッドリー(テキサス大1年) 6-3(191cm) 78.75cm 93.75cm 11.5秒 3.1秒
ジェームズ・アンダーソン(オクラホマ・ステイト大3年) 6-6(198cm) 75cm 88.75cm 11.9秒 3.2秒
テリコ・ホワイト(ミシシッピ大2年) 6-5(196cm) 77.5cm 100cm 11.4秒 3.2秒
ランス・スティーブンソン(シンシナティ大1年) 6-6(198cm) 67.5cm 82.5cm 11.4秒 3.4秒

【SF】
ウェスリー・ジョンソン(シラキュース大3年) 6-7(201㎝) 80cm 92.5cm 11.4秒 3.1秒
アル・ファルク・アミヌ(ウェイクフォレスト大2年) 6-9(206cm) 67.5cm 83.75cm 11.3秒 3.3秒
ポール・ジョージ(フレズノ・ステイト大2年) 6-9(206cm) N/A(データなし)
ルーク・バビット(ネバダ大2年) 6-9(206cm) 73.75cm 93.75cm 11.0秒 3.4秒
ゴードン・ヘイワード(バトラー大2年) 6-8(203cm) 76.25cm 86.25cm 11.7秒 3.2秒
ダミオン・ジェームズ(テキサス大4年) 6-8(203cm) 72.5cm 82.5cm 10.9秒 3.2秒

【PF】
デリック・フェイバーズ(ジョージア・テック大1年) 6-10(208cm) 78.75cm 88.75cm 11.7秒 3.3秒
グレッグ・モンロー(ジョージタウン大2年) 6-11(211cm) 62.5cm 72.5cm 12.1秒 3.4秒
エド・デイビス(ノースカロライナ大2年) 6-10(208cm) 77.5cm 90cm 11.7秒 3.2秒
エクペ・ユドー(ベイラー大3年) 6-10(208cm) 77.5cm 83.75cm 11.2秒 3.3秒
パトリック・パターソン(ケンタッキー大3年) 6-9(206cm) 71.25cm 83.75cm 11.1秒 3.3秒
ラリー・サンダース(バージニア・コモンウェルス大3年) 6-11(211cm) 63.75cm 70cm 12.5秒 3.3秒
クレイグ・ブラキンス(アイオワ・ステイト大3年) 6-10(208cm) 65cm 87.5cm 11.7秒 3.4秒
キース・ギャロン(オクラホマ大1年) 6-10(208cm) 58.75cm 71.25cm 13.4秒 3.7秒
デリック・キャラクター(テキサス大エルパソ校3年) 6-10(208cm) 62.5cm 76.25cm 12.8秒 3.6秒

【C】
ディマーカス・カズンズ(ケンタッキー大1年) 6-11(211cm) 58.75cm 68.75cm 11.4秒 3.5秒
コール・オルドリッジ(カンザス大3年) 6-11(211cm) 57.5cm 70cm 11.48秒 3.35秒
ハッサン・ホワイトサイド(マーシャル大1年) 7-0(213cm) 67.5cm 78.75cm 11.8秒 3.5秒
ダニエル・オートン(ケンタッキー大1年) 6-10(208cm) 60cm 76.25cm 12.3秒 3.4秒
ソロモン・アラビ(フロリダ・ステイト大2年) 7-1(216cm) 56.25cm 65cm 13.2秒 3.7秒

TOP5圏の選手で評価を上げたのは、ジョン・ウォール、デリック・フェイバーズ、ウェスリー・ジョンソン。

特にウォールは、ジャンプ力、敏捷性、スピードの3つでほぼトップの成績。
“3冠”とも言える身体能力の高さを披露しました。
これでサイズも運動能力も超一級品であることが証明されたんで、No.1ピックは間違いないでしょう。
ちなみに、デリック・ローズとの比較はこんな感じ。

ウォール 6-4(193cm) 97.5cm 10.8秒 3.1秒
ローズ 6-3(191cm) 100cm 11.69秒 3.05秒

遜色ないですね。
というか、ウォールの方がさらにダイナミックでしょう。
ローズの時もとんでもないのが出てきたなあ~と思いながら見てましたが、さらにすぐそれを上回る人が出てくるとは・・・・
サイズも身体能力も抜群に優れる新時代のPGが、また1人出現しました。

フェイバーズも、ビッグマンとしては申し分ない数値を叩き出しました。
6-10(208cm)のサイズにして、ジャンプ力90cm近くは驚異的です。
アマレに似たタイプと紹介しましたが、数値的にはアマレをも超え、ドワイト・ハワードに匹敵する数字なんだそうです。
ちなみに最高到達点は370cm近くに及び、センターも含めたテストを受けた全選手の中でトップでした(!)

ウェスリー・ジョンソンは、ショーン・マリオンに例た運動能力の持ち主と評されていましたが、ジャンプ力92.5cm、スプリント3.1秒という好結果を残して、それを証明しました。

逆に評価を下げそうなのが、エバン・ターナー、ディマーカス・カズンズ、アル・ファルク・アミヌ。

ターナーは、身体測定でウィングスパンの短さがマイナス評価となりましたが、運動野力テストも悪くはないが良くもないという標準的な結果。
伸びしろがないのでは?という疑問の声を払拭することができませんでした。

カズンズは、身体能力で劣ると見られていた白人センターのオルドリッジとほぼ同じ数値。
せっかくサイズやウィングスパンで評価を上げましたが、思わぬマイナスポイントとなってしまいました。
ちなみに、最高到達点はチームメイトのジョン・ウォールやパトリック・パターソンと同じ(!)
まあ、ウォールとパターソンの数字が良かったんですけどね。。

アミヌは、“抜群の身体能力を誇る”という触れ込みだったんですが、テストの結果はそれほどでもありませんでした。
そうなってくると、“抜群の身体能力を持つ”と思われていたがゆえにスルーされてきた、シュート力のなさといったマイナス面がクローズアップされてきそうです。

TOP5圏以降で評価を上げた選手は、エド・デイビス、ルーク・バビット、エイブリー・ブラッドリー。

デイビスは、同じPFとしてフェイバーズに匹敵する数値。
6-10(208cm)の上背にして、ジャンプ力90cmで最高到達点365cmの高さがありました。
これは、ゴール下のリバウンドやブロックにおいて大きなアドバンテージとなりますので、評価をグッと上げることになるでしょう。

バビットは白人のシューターで、身体能力は高くないと見られていました。
しかし、まず6-9(206cm)と長身であることがわかっただけでなく、93.75cmとジャンプ力もあることがわかりました。
最高到達点は、アスレティック能力が売りのSFアミヌと同じ高さです。
シュートが売りだったバビットに、思わぬ“特典”がつきました。

ブラッドリーは、93.75cmのジャンプ力と、3.1秒のスピードに優れた結果を残しました。
上背のなさがネックのブラッドリーですが、サイズと運動能力はラッセル・ウェストブルックやジョージ・ヒルとほぼ同じだそうです。
PGにうまくコンバートすることができれば、得意のディフェンスを生かすことができそうです。



ジョン・ウォールはサイズ・運動能力ともに申し分なし



フェイバーズはドワイト/アマレ級の貴重なビッグマン



カズンズ&ターナーは平凡なテスト結果を挽回できるか


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17 コメント

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ヘンリー (クリポ)
2010-05-30 17:15:54
スピードがないとか言われてた気がしたんですが、特にそんなことなかったですね!

やはりホーネッツに必要な人材だ!!!w
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KINGS (kevinmartin)
2010-05-30 17:24:23
いつもながら詳細な分析勉強になります。
KINGSファンとしてはフェイバースがのどから手が出るほどほしいですが、5位まで落ちてきそうにないですね。ウェスリー・ジョンソンも良さそうですが、SFは余り気味ですし、無難にカズンズあたりをとるんでしょうか?なんか不発に終わりそうな予感・・・
しかしジョンウォールは末恐ろしいですね。ネックはアリーナスの行方ですね。とってくれるチームはあるのか???
どのチームも2010に向けて不良債権は出し切ってますからねぇ。
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初歩的… (teru)
2010-05-30 17:35:38
二つのジャンプ力の測定方法はわかるんですが、敏捷性(クイックネス)とダッシュ力(スピード)っていうのはどうやって測るんですか?

出てる数値がどんな競技から出たのかが気になりました。
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ひよこ?化け物 (KG好き)
2010-05-31 10:35:29
まず、ボストン勝利嬉しいですね。
2年前同様ファイナルも勝ってほしいです。

ドラフト予定のひよこ(NBA選手から言うとまだまだひよこだと思いますが)

運動能力は、化け物ですよね。
その運動能力をしっかりと生かして、怪我なく成長するのは誰なんだろうと思います。

ここのブログのおかげでオフシーズンも楽しみになってきました。
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クリポさんへ (manu)
2010-05-31 14:01:31
そんなこと言われてたんですか?
正しい情報だけを見た方がいいですよ~
いい加減なのも多いですから。。

今年は上位でスウィングマンを指名するチームも少ないと思うので、ヘンリー/バビット/ジョージのいずれかは11位で取れると思います。
あとはホーネッツがシューターを取るかどうか・・・・ですけどね。。
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kevinmartinさんへ (manu)
2010-05-31 14:23:55
5位っていう順位はビミョーですよねえ~
どうしても前のチームがどう動くかで左右されますからね。。

キングスはニーズからいけばビッグマンかなと思っているんですが、カズンズは確かにちょっと賭けですよね。
文中で触れたように、エド・デイビスの評価が上がってきそうなので、デイビスの方が安全パイかもしれません。

ジョン・ウォールは“Real Deal”ですね。
アリーナスの放出は簡単ではありませんね。
エディ・カリーに限らず、不良債権自体はまだ結構ありますよw
でもトレードできるかどうかはわからないですね。
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teruさんへ (manu)
2010-05-31 14:40:04
ハッキリしたことは忘れてしまったんですが

ダッシュ力(スピード)は“3/4 Court Sprint”なので、コートの3/4までダッシュするんだと思います。
つまり、瞬発力と縦へのスピード。

敏捷性(クイックネス)は“Lane Agility Drill”なので、反復横跳び的なテストかと。
こっちは、横への動きと敏捷性だと思います。
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KG好きさんへ (manu)
2010-05-31 14:42:57
うーん、ボストンやりましたねえ~
休養たっぷりでシリーズが長引かなければ、ボストンにもチャンスがあると思いますけどね。

ひよこ!(笑)
デッカイひよこがピヨピヨしていますw
立派なにわとりに成長するのはどのピヨコか。。
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Lane Agility Drill (GAGA)
2010-05-31 16:11:23
ttp://www.youtube.com/watch?v=R703evE0MW0

この動画の最初の方にあるペイントゾーンの外周を使うやつがLane Agility Drillじゃなかったかなぁ~。

間違ってたらスミマセン。


このテストでウォール1位は完全に確定しましたね。
フェイバーズは、ハワードに近いサイズと運動能力なので、走れるセンターになれるかもしれません。
ターナーかフェイバーズか?
まだ決定打はなさそうですね。
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Unknown (aandsua)
2010-05-31 16:50:21
angelwing改めaandsuaです。
別のバスケブログ等と名前を合わせておいた方がいいかなと思って改名しました。

Lane Agility Drillについてググったらこんなページがありました。
http://www.topendsports.com/testing/tests/agility-lane.htm
GAGAさんの言われるとおりかなという気がします。

しかし、ウォールはサイズも身体能力もわかりやすいくらい図抜けてますね。
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