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かんたん解説 NBAなんでもとーく

Draft Measurements

2010年05月24日 | ドラフト・新人

ドラフトで最も重要視される指標が“サイズ”です。
ポテンシャル重視で、金の卵の発掘を狙うというドラフトの性格上、どうしてもサイズに重きが置かれます。
実際のプレー面よりもサイズが優先されてしまうことも多いため、後から振り返ると2巡目やドラフト外の選手が活躍をしていたり、1巡目の選手が鳴かず飛ばずだったりということも頻繁に起こっています。

ドラフトは、実力のある順番に上から取られていってるんだろうと思いがちですが、実際はそうじゃないんですね。
まあ、その良し悪しは別としても、サイズがドラフト順位を占う上で重要な指標であることは間違いありません。
毎年、プリドラフトキャンプという場で選手の身長・体重や腕の長さなどを測定します。
今年のドラフト候補生たちの身体測定の結果はどうだったのか、見ていきたいと思います。

比較しやすいように、各ポジションごとに有力選手を分け、それぞれ3つの数値を並べていきます。
最初が“身長”、次が“ウィングスパン”、一番右が“スタンディング・リーチ”です。
ウィングスパンとは腕を左右に広げた長さのことで、一般に身長と同じぐらいの長さになるのが標準的と言われています。
身長が180cmの人なら、ウィングスパンも180cm前後になるということですね。
スタンディング・リーチは読んで字のごとくなんですが、立って上に腕を伸ばした時に届く高さのことです。

バスケットでは身長が高い方が有利なことは確かなんですが、顔や頭が大きくてもあまり意味がありません。
それよりも、実際のプレー時に役立つのは腕の長さになります。
腕が長ければ、リバウンド争いやブロック、スティールといったディフェンス面で有利に働きますし、ダンクやジャンプシュートのリリースポイントなどオフェンス面でも有用です。
そんなわけで、各選手の“身長”、“ウィングスパン”、“スタンディング・リーチ”を見ていきます。

【PG】
ジョン・ウォール(ケンタッキー大1年) 6-4(193cm) 6-9(206cm) 8-6(260cm)
エリック・ブレッドソー(ケンタッキー大1年) 6-2(188cm) 6-8(203cm) 8-2(250cm)
ウィリー・ウォーレン(オクラホマ大2年) 6-4(193cm) 6-6(198cm) 8-4(255cm)
シェロン・コリンズ(カンザス大4年) 6-0(183cm) 6-3(191cm) 7-10(238cm)

【SG】
エバン・ターナー(オハイオ・ステイト大3年) 6-7(201cm) 6-8(203cm) 8-8(265cm)
ゼイビア・ヘンリー(カンザス大1年) 6-7(201cm) 6-11(211cm) 8-9(268cm)
エイブリー・ブラッドリー(テキサス大1年) 6-3(191cm) 6-8(203cm) 8-3(253cm)
ジェームズ・アンダーソン(オクラホマ・ステイト大3年) 6-6(198cm) 6-9(206cm) 8-8(265cm)
テリコ・ホワイト(ミシシッピ大2年) 6-5(196cm) 6-9(206cm) 8-5(258cm)
ランス・スティーブンソン(シンシナティ大1年) 6-6(198cm) 6-11cm(211cm) 8-7(263cm)

【SF】
ウェスリー・ジョンソン(シラキュース大3年) 6-7(201㎝) 7-1(216cm) 8-10(270cm)
アル・ファルク・アミヌ(ウェイクフォレスト大2年) 6-9(206cm) 7-3(221cm) 9-1(278cm)
ポール・ジョージ(フレズノ・ステイト大2年) 6-9(206cm) 6-11(211cm) 8-11(273cm)
ルーク・バビット(ネバダ大2年) 6-9(206cm) 6-11(211cm) 8-9(268cm)
ゴードン・ヘイワード(バトラー大2年) 6-8(203cm) 6-8(203cm) 8-7(263cm)
ダミオン・ジェームズ(テキサス大4年) 6-8(203cm) 7-1(216cm) 8-11(273cm)

【PF】
デリック・フェイバーズ(ジョージア・テック大1年) 6-10(208cm) 7-4(224cm) 9-2(280cm)
グレッグ・モンロー(ジョージタウン大2年) 6-11(211cm) 7-2(218cm) 9-1(278cm)
エド・デイビス(ノースカロライナ大2年) 6-10(208cm) 7-0(213cm) 9-0(275cm)
エクペ・ユドー(ベイラー大3年) 6-10(208cm) 7-5(226cm) 8-11(273cm)
パトリック・パターソン(ケンタッキー大3年) 6-9(206cm) 7-1(216cm) 8-11(273cm)
ラリー・サンダース(バージニア・コモンウェルス大3年) 6-11(211cm) 7-6(229cm) 9-4(285cm)
クレイグ・ブラキンス(アイオワ・ステイト大3年) 6-10(208cm) 7-0(213cm) 9-1(278cm)
キース・ギャロン(オクラホマ大1年) 6-10(208cm) 7-5(226cm) 9-2(280cm)
デリック・キャラクター(テキサス大エルパソ校3年) 6-10(208cm) 7-0(213cm) 8-11(273cm)

【C】
ディマーカス・カズンズ(ケンタッキー大1年) 6-11(211cm) 7-6(229cm) 9-5(288cm)
コール・オルドリッジ(カンザス大3年) 6-11(211cm) 7-5(226cm) 9-4(285cm)
ハッサン・ホワイトサイド(マーシャル大1年) 7-0(213cm) 7-7(231cm) 9-5(288cm)
ダニエル・オートン(ケンタッキー大1年) 6-10(208cm) 7-4(224cm) 9-3(283cm)
ソロモン・アラビ(フロリダ・ステイト大2年) 7-1(216cm) 7-5(226cm) 9-5(288cm)

これだとただの数字の羅列で、何のことかわからないかもしれません。
でもちょっと考えていただくと、なんとなくイメージが沸いてくると思います。
バスケのリングの高さって何cmでしたっけ?
10-0(305cm)ですよね。
例えば、ディマーカス・カズンズのスタンディング・リーチを見てください。
9-5(288cm)とあります。
それが何かと言うと、カズンズがゴール下に立って腕を伸ばしたら、ジャンプせずともリングまであと7インチ(約17cm)しかないんです(!)

17cmって考えてみてください。
手のひら1個分ですよ。
だいたい、みなさんの手首から指先までの長さがそのくらいになると思います。
リングまで手のひら1個分しかないリーチがあったら、ゴール下で相当有利ですよね?
ダンクするにしてもブロックするにしても、ちょっとジャンプしたらリングを超えてしまいます。
カレッジもNBAもリングの高さは変わらないんですから、その高さは確実にNBAでも武器になるわけです。
だからサイズが重視されるっていう部分もあるんですけどね。

それとザザッと見ていただけるとわかりますが、だいたいどの選手もウィングスパンが長いです。
さっき、一般的には「身長とウィングスパンは同じ長さになる」と言いました。
でもNBAのドラフト候補生ぐらいになると、みんな身長よりもはるかに長いウィングスパンを持っています。
これは好条件として評価されます。
例えば、Cならカズンズやホワイトサイド、PFだとサンダースやユドーといったところが身長に比して腕が長いと言えます。
アミヌなんかは、SFなのに7フッター並みのウィングスパンを持っていることになるんですね。

No.1ピックが予想されるジョン・ウォールは、6-4(193cm)とPGとしては長身でウィングスパンも6-9(206cm)と長く、前評判に違わぬ一級品の素材であることを示しています。
TOP3候補のフェイバーズも、6-10(208cm)の身長に7-4(224cm)のウィングスパン、スタンディング・リーチも9-2(280cm)とPFとして文句のないサイズです。
パトリック・パターソンは、実力はあるものの上背が6-8(203cm)しかなく、NBAではアンダーサイズなPFになると見られていましたが、実際は6-9(206cm)でウィングスパンも7-1(216cm)と十分なサイズであることが証明され、今後ちょっと評価が上がってきそうです。

SFでは、先ほど紹介したアミヌのサイズが素晴らしいです。
今ドラフトでも最も身体能力が高い1人であるアミヌですが、6-9(206cm)の身長に7-3(221cm)のウィングスパンとサイズでも規格外であることが実証されました。
またシューター系では、ポール・ジョージとルーク・バビットがいずれも6-9(206cm)と、当初言われていたサイズよりも大きかったことが判明。
サイズが大きければ、場合によっては複数のポジションをこなすなど使い勝手も広がるため、指名に有利な材料となります。

ここではサイズの話ばっかりしてますが、もちろん実際に活躍できるかどうかはサイズではありません。
でも、とにかくまず「上位で指名される」という目的を果たすためには、「大きいことはいいことだ」の世界なんですねw
そしてそのおかげで、本当は力のある選手が2巡目に落ちることも多々あります。
カルロス・ブーザー、デビッド・ウェスト、ポール・ミルサップ、カール・ランドリー、グレン・“ビッグベイビー”・デイビス、ブランドン・バス・・・・といった選手たちは、みんな「サイズが足りない」とみなされたがために、実際の実力よりもはるかに下位で指名されることになったカレッジ選手でした。

さて、今年のドラフトはどんなドラマが待っているのでしょうか?
またもやサイズだけで上位指名される選手、サイズ不足で順位を下げる選手も出てくるでしょう。
そんな裏事情も図りながら、あーでもないこーでもないと予想しつつ楽しむのがドラフトのおもしろさです。
近いうちに今度は、ジャンプ力やスピードなどを測定する運動能力テストの結果もやってくると思うので、またご紹介できればと思います。
そんなデータを照らし合わせながら、選手の評価が上がったり下がったりする変遷を追っていき、各チームがどの選手を狙っていくのか見ていきたいと思います。

なんかいよいよ、この季節が来たって感じすねえ~
楽しいw



ウォールは評判通りの大型PGということが保証されました



腕の長さで7フッターの高さを持つことがわかったカズンズ



フェイバーズはサイズも一級品


今ドラフトNo.1ビッグマンの呼び声高いフェイバーズの動画を。
イメージ的にはアマレを想像していただければ。
サイズも身体能力も似ていると思います。
高校オールスターの時の映像ですが、これが高校生なのか・・・・
ビデオビデオ


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17 コメント

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Unknown (メロメロ)
2010-05-24 18:51:06
注目のフェイバース、手ぇ長くてよかったです。
逆にターナーは……、ガードでは十分なんでしょうけど。

さすがビッグマン・ドラフトですね。だいたいPFが208、Cが211以上だとは。
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Unknown (GAGA)
2010-05-24 19:25:08
気になるターナーはサイズが今一つ伸びなかったので、ますますロイにそっくりだといわれてますね笑
その他では、ホワイトサイドのポテンシャルには注目していたのですが、サイズも大きいとなるとますます注目です。
カズンズは体脂肪率がケビンラブよりも高かったということで、その管理の甘さが指摘されているようです。
身体能力の測定結果分析も楽しみにしてまぁす^^
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なーるほど (むらさき)
2010-05-24 19:30:40
いやー良い切り口の記事ですね!他のブログにはない素晴らしい情報ですね!勉強になりました。

知らない名前ばかりですが、今年のルーキー候補たちは有力なインサイド選手が多いそうですね。
昨年度は、偏り過ぎってぐらいガード豊作年でしたから
余計に楽しみです。
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Unknown (DW)
2010-05-24 22:51:20
ついついサイズや運動能力だけで選手のポテンシャルを判断しがちですが腕の長さは重要ですよね。今のレイカーズが相手にとって凶悪なのは単純に高さだけでなく長さがあるからですもんね。ガソル、バイナム、オドムとサイズがあり手が長く、能力のある選手をよくあれだけ揃えたものです。

あとは手が大きいのも結構なポイントになるそうですね。捕球やハンドリングなどあらゆる面で相当有利なようです。あまりに大きすぎるとアウトサイドシュートのコントロールが困難になるようですが。
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初コメです。 (gaso)
2010-05-25 11:31:40
ウォール、聞けば聞くほどですね。そういえば、初めてウイングスパンを意識したのは、AIで、でした。どうしてるんだか…
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ダンクシュート (teru)
2010-05-25 14:32:06
相変わらず盛りますね~。ザビエル・ヘンリー、NBAで言うとレイ・アレンって…


今回の記事関連で質問があるのですが、横幅…というか体重って重要視されないんですか?パワーを量る指標にはなると思うのですが(-.-??)
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メロメロさんへ (manu)
2010-05-26 09:18:12
そうですねえ~
そんなわけで、フェイバーズの評価はやや↑
ターナーの評価はやや↓です。

もちろん、有望選手だけ拾っているわけなんですが、ビッグマンはサイズも軒並みいいですね。
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GAGAさんへ (manu)
2010-05-26 09:27:02
ロイ・・・・ですか。
僕はあんま似てると思わないんですけどねw
ああいう力強さはないですね。
もちっとフィジカルはヒョロい感じで、逆にテクニックは上という感じです。
プレースタイルもSGというよりも、SFに近いですし。
体格はSGなのが懸念ですが。。

ホワイトサイドの“素材”はスゴイですねえ~
ブロック2ケタでのトリプルダブルが3回あるという成績にも納得です。
今ドラフトで、ウォール、フェイバーズと並んで、将来“化ける”ポテンシャルを秘めていると言われてます。

カズンズも素材は一級品なんですが、中身が問題視されてますね。
メンタル面や体調管理といった部分は、心というかヤル気の問題ですからね。
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むらさきさんへ (manu)
2010-05-26 09:29:56
僕も全部わかって書いてるわけではないんでw
でも何度か名前を聞いていくうちに、「知らない名前」が「あ、聞いたことあるぞ」に変わってくんじゃないかと思います。
そしたら、いつも以上にドラフトが楽しめるようになりますよ。
知ってる名前が多い方が身近に感じますからね。
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DWさんへ (manu)
2010-05-26 09:37:33
そうです、そうです、そういうことです。
レイカーズはよく“length”と表現されてますね。
高さもそうなんですが、“長さ”がディフェンス面で有利に働いています。

手の大きさはポストアップするタイプのビッグマンなんかにとっては重要と言われてますね。
ロブパスを吸いつくように片手キャッチできるような感じが大事だったりします。
かつてのクリス・ウェバーとかそんなタイプでした。
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