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makoto's daily handmades

日々暮らすだけの生き方
写真の二次使用は許可しませんので悪しからず

漫画「よつばと!」15巻を読む

2021-03-01 17:50:56 | 読書

あずまきよひこ著。

前巻から1年11か月ぶりの新刊です。

1巻発行から18年、漫画の中ではまだ4か月ちょっとしか経っていないです。

 

ネタバレせずに感想を書きたいのですが、少しは内容に触れるので、ネタバレしたくない方は、ここから先を読むことはおすすめしません。

 

さて感想。

今回はどういうわけか、今の流行りものの描写があります。

普遍的な日常系とはいいつつ、連載開始時にはまだ存在しなかったアイテムが出てきます。

いや、今までも少しは出てきていたのですが。

そして9月には風花ちゃんは2つ折りのガラケーだったのに、何気にスマホを使っていましたよ。

ああ、時代がねぇ、そりゃあ変わるよねぇ。

そして「ミロ」という商品名が出てきます。

現実世界では、ミロは今日から販売再開だったのですが、タイムリーにミロの登場にビックリしました。

今回は表紙の海岸を訪れています。

この海岸、私も物凄く昔(幼児の頃)に行ったことがありますが、ちょいとまた行ってみたくなりました。

でも春の終わり頃はアオバトの繁殖期になるので、近づけなくなるような報道を見たことがあるのだけれど、今はいいのかな?

そしてよつばちゃんと同じ体験をしてみたいです。

この巻を読んだら、もしかしてもうこの漫画は折り返し地点に来ているのかな?と思ってしまいました。

1巻は、7月20日頃で1学期の最終日によつばちゃんととーちゃんが引っ越してきたことが始まり。

当初はよつばちゃんの1年間を追うのかと思ったのですが、いまは4月始めなのかもしれない、と思うようになりました。

そうなるとこの巻では12月始め頃なので、あと4か月分で終わりかな?と。

そう思うとこの巻が折り返し地点を少し過ぎたところ。

なにしろ発刊が遅めですからね、「よつばと!」の最終巻を読めずに、私の寿命が来ませんように。

そして作者のあずまきよひこさんの絶筆になりませんように。

そう願わずにはいられません。

 


地図とにらめっこ

2021-01-25 13:31:19 | 読書

古い地図とにらめっこしています。

この地図は、13年くらい前に横浜市歴史博物館で購入した地図で、明治14年測量、同18年製版したもの。

作成者は参謀本部陸軍測量局。ただし量の字は難解読なので当時の組織図から同定。

地図のタイトルは、程ヶ谷及厚木近傍第一號(第一軍管地方迅速測圖)。

地方の地域は登戸村。

縮尺は二万分一之尺(2万分の1)。

 

登戸村とは、神奈川県橘樹郡登戸村のことで、現在の神奈川県川崎市多摩区登戸のこと。

中央上側の真ん中~右下がりの天の川のような帯は、現在の多摩川。

多摩川の上(北)の土地は、現在の東京都狛江市~世田谷区の端。

右端の真ん中あたりの少し黒っぽいところが高津区溝口周辺(大山街道の溝口宿)。

下端の真ん中あたりが、現在の横浜市青葉区美しが丘のはずれ。

左端の真ん中あたりが、小田急線新百合ヶ丘駅あたり。

 

まだこの辺りは鉄道がなくて、鉄道を利用するなら川崎駅まで行かないと見ることもなかったと思います。

この辺りは、東急電鉄の多摩田園都市開発で、地形そのものが変わっています。

多摩田園都市開発は、元を辿れば昭和初期の渋沢栄一氏の洗足田園都市の構想から発展させたものです。

まだ未開の地だった川崎市北部の地図と言うわけです。

いまやスーパー堤防の多摩川も、これは低い土手しかないなぁ、と一目で分かります。

今回は、他の史料を読み解くために、この地図とにらめっこしてマーキングしましたが、いやはや文字が小さいです。

目が疲れましたが、地図から分かることも多くて、かなかな面白かったです。


漫画「瑠璃の宝石」1巻を読む

2020-12-23 12:22:03 | 読書

渋谷圭一郎著。

瑠璃ちゃんという女子高生が、大学院生の凪ちゃんに誘われて岩石の世界に足を踏み入れる物語です。

ネタバレには気をつけますが、ネタバレを好まない方は、ここから先はお読みにならないことをお勧めします。

 

日本は資源が乏しい国だから素材を輸入して製造して輸出する、学校ではそう学びます。

でも地学の授業では、ユーラシア、フィリピン、太平洋、北米の4つのプレートがひしめき合うので、日本は地震や火山が多い国と学びます。

これに対して私は、石油とか化石燃料はムリでも、火山が多ければ常に鉱物が地中にあるンじゃないの?と思っていたっけ。

長じて、足尾銅山、佐渡金山、石見銀山を訪れて、あれ?やっぱり国内でも採取できるじゃあないのとちょいと不満に思ったものです。

単に世界にはもっと効率よく採取できる鉱山があるだけで、日本に資源がないとの認識はちょいと違うのでは?と思いました。

 

タイトルに「宝石」がつくだけあって、いわゆる貴石もいくつか出てきます。

日本各地では貴石も採取できます。

そういえば私は、山梨県甲府市の山梨ジュエリーミュージアムに行ったことがありますが、国内(主に山梨県)で採取された貴石もたくさん展示されていました。

しかも入館料が無料なのに展示が充実していたなぁ、と思い出してしまいました。

ヒロインの瑠璃ちゃんの住まいは明記されていませんが、埼玉県あたりかな?と思いました。

ちょっと遠出して、長野県でガーネットの採取に挑戦しているからです。

また巻末のあとがきには、私も行ったことがある埼玉県立川の博物館が登場します。

 

私は旅行すると、いつも土の色の違いに驚きます。

私が住んでいる神奈川県は、関東ローム層に代表されるだいたい赤茶色か黒ぼく土で、湧き水は、透明よりはうっすらと黄色く色がついています。

でも西日本では、土が黄色だと感じてなりません。

これがプレートの違いなんだろうな、と感じる瞬間です。

 

物語はまだ始まったばかりです。

ついつい先を知りたくなります。

とくに埼玉県は、和同開珎の製造場所があったところ。

銅等の鉱山も紹介してほしいです。

 

 


漫画「高校事変」1巻を読む

2020-07-14 17:52:58 | 読書

松岡圭祐原作。

オオイシヒロト漫画。

※なるべくネタバレなく感想を書いていますが、ネタバレを好まない方はこの先をお読みにならないことをお勧めします。

 

 

何度かこのブログでも取り上げている小説「高校事変」シリーズのコミカライズ(漫画化)版。

私が住んでいる地域が舞台なので、小説とは違って、本当に知っている町並みが登場します。

その描写も、よく取材しているな、そうそう、ここの風景はホンモノと一緒だな、と感じられる分、私にはリアルさがあります。

ゆえに、この道からは学校にはたどり着かないよ~とか、小説や漫画がいかに仮想空間であることも感じられました。

そのうち私の住まいも背景として登場するのかもしれません。

 

ただし小説とは違う描写もあるので、これは小説と漫画では、やはり背景の「映え」の違いでしょう。

また、多摩川の丸子橋が効果的にフェードインしているのは、漫画ならではの表現だと思います。

小説を読んでいると、これは映像化は大変難しいと思っていました。

理由は即席の殺人兵器(爆発物)の作り方が表現されていて、実際に大量に人が死にます。

とくに実写化はR指定は免れないだろうと思いました。

だから漫画とはいえ、画像での表現も少々難があるかと。

詳しい作成法は描写がありませんが、材料はバッチリ描かれているので、少々不安感もありました。

小説は7巻目ですが、漫画はまだ1巻目のほんの序盤です。

小説はスピード感ある展開なので、漫画が追いつくことは無いと思いますが、小説にはない表現なので漫画も楽しみに読んでいこうと思います。

 


漫画「片喰と黄金」3巻を読む

2020-05-28 19:22:45 | 読書

北野詠一著。

タイトルが読みにくいですが、「片喰と黄金」で「かたばみとおうごん」と読みます。

ここ最近の漫画の中ではお気に入りの作品です。

なるべくネタバレはしないように感想を書こうと思いますが、時代設定や地名などには言及しますので、ネタバレを知りたくない方は、以下は読まないでください。

 

 

1849年のアイルランドにおけるジャガイモ飢饉が物語の発端です。

どうにもならなくなった飢饉が逃げるために、アイルランドからアメリカ合衆国に渡った女農場主(まだ少女)とその下僕の青年の旅路です。

片喰は、アイルランドの国花。

彼らがゴールドラッシュに沸くアメリカの西部開拓地(フロンティア)を目指します。

 

今回はボルチモアに到着します。

私が住む川崎市は、ボルチモア市と姉妹都市の関係にありまして、場所や地名は知っていましたが、私はその風土や歴史となるとからっきし興味を持っていませんでした。

 

でも知らないからこその楽しみ方もありまして、例えば鉄道が出てきます。

19世紀の鉄道ですから、先日私が山北鉄道公園で見てきたD52形機関車とは全然違います。

もっと旧式で日本初の機関車よりももっと小さいです。

私は鉄道史には疎いので、ネット検索で調べるとアイルランドは鉄道の導入が遅かった??らしいです。

イギリスの植民地支配時代があり、ダブリン(アイルランドの港町)からの陸運で当然当時最先端のイギリスの鉄道技術を輸入していたと思っていました。

ところがそう言った記述が見つかりません。

あれ?アイルランドは19世紀に鉄道が無かった?

これはもう少し調べてみたいです。

 

それと今回、パーコレータが出てきます。

パーコレータはコーヒーを抽出する道具です。

私が子どもの頃、西部劇を見ていると焚き火の端に除けたヤカンからコーヒーを入れるシーンを見ました。

アメリカ人は、ヤカンに直接コーヒーを入れてコーヒーカスごと飲むのか…ガサツだなぁ、と思ったモノでした。

ところが大人になってそれがパーコレータというコーヒーメーカーの一種と知って、びっくりしました。

私が物心ついた頃には、インスタントコーヒーもあったし、焙煎したコーヒー豆を買ってくるモノで、自分で生豆を炒るのは余程コーヒー好きの人という印象でした。

でも19世紀半ばは生豆を自分で炒るのが当たり前。

 

これまでも偶然の出会いから様々なストーリー展開になって、これがまた面白い要素になっています。

主人公たちは旅人ですから、様々な人々に出会っても必ず別離があります。

次から次へと出会いと別れを繰り返すので飽きる暇がありません。

 

この漫画の時代設定からすると、ローラ・インガルス・ワイルダーさんの作品「大草原の小さな家」のローラではなく、ローラの両親が幼児~子ども時代のです。

南北戦争よりも10年以上前なので、これまで私がまったく興味のかけらも持たなかった地域の歴史を取り上げています。

今後北アメリカ大陸の中央部に向かっていきますが、どんな人々と出会って、どんな展開になっていくのか、とても楽しみです。


新書「椿井文書―日本最大級の偽文書」を読む

2020-05-15 22:03:46 | 読書

馬部隆弘著。

人生で何度か出会うであろう衝撃の1冊。

私にとっては野口悠紀雄さんの「超・整理法」や磯田道史さんの「武士の家計簿」がそれに当たります。

そして今回の「椿井文書」(つばいもんじょ)は、やはりその時と同じ衝撃で頭をフル回転させても、理解を追いつかせることがやっとです。

 

30年近く前、凡庸な大学生だった私は、歴史学を学んでいても、学者を志せるほどの探究心はありませんでした。

でも一貫して歴史学が好きです。

歴史研究はしていないので、歴史愛好家や歴史好きが1番近いと思っています。

歴史学の学生なら「偽文書(ぎもんじょ)」の存在は必ず習うはずです。

偽文書は、偽書(ぎしょ)とも言いますが、とくにニセの古文書をさします。

 

みなさんがご存じの偽書もいえば、アマビエが登場するかわら版です。

かわら版(印刷物)であることは、本物です。

でも内容は、アマビエという未知の海洋生物が予言をしたというフェイクニュースで、これが偽書たるゆえんです。

ただしアマビエは、分かりやすいフェイクニュースなので、現代人は騙されることはないです。

 

一方で椿井文書。

著者の解釈では、偽文書を作成した椿井政隆(つばいまさたか)1人が、江戸時代後期に様々な中世(室町時代等)文書を捏造しました。

その捏造した文書は、時代を経て、じつは自治体史等に採用されていて、それを元に地元の文化財指定の根拠になっていた…。

 

これは歴史学を学ぶ上では、これはちょっといただけないです。

20年ほど前ですが、旧石器捏造事件という考古学界を揺るがした大捏造事件が発覚しました。

これは現代の発掘現場で捏造が明るみになったのですが、その捏造が発覚しないまま100年、200年と経てば、嘘も真実になってしまったかもしれません。

椿井文書も最初は戯れ言と言い訳できるような内容だった可能性が高かったのに、余りにも精巧に歴史の穴を埋めてしまう大量の偽文書作成によって、正史の根拠になってしまったのです。

また最初の数ページで、著者自身への興味がガッチリとホールドされてしまいました。

大学で歴史学を学ぶ際、だいたい入学当初から学びたい時代というのは大まかに分かれます。

著者は元々近世を選択していたそうですが、自治体の正史編纂に関わる中で中世に鞍替えをします。

この専門とする時代を変更するのは、まずそうそうないはずです。

私の大学時代の同級生達で、入学当初に学びたいと思った時代を変更した人はいなかったはず。

1度時代を選択したら、ずっとその時代を追ってその道の専門家になっていくモノ…それが私には当たり前すぎて疑う余地がありませんでした。

しかも著者は「他の自治体や郷土史研究会で引用されている椿井文書は偽文書だ」と見破ったのが27歳のとき。

これも大学院出たての駆け出し研究者が、先達の研究を全否定するなんて、学会から抹殺されちゃうようなことに着想してしまうのです。

しかも椿井文書の対象地域は、滋賀県を中心とした広範囲に影響を及ぼしたのです。

調べれば調べるほど、椿井文書が壮大な偽文書だと気付き、先行研究では疑問を抱く研究者もいたことも確認しました。

でも「椿井文書」の信憑性の検証自体は、放置されてきたことが続いてきたそうです。

そりゃあ、先輩研究者達が「椿井文書」を引用や根拠にした研究をしていたら、偽文書もはなかなか疑いにくいです。

しかもその史料が巧妙に歴史の穴を埋めるように、絵図、家系図、関連する文書まで揃っていて矛盾点を見つけづらいように一式全部揃っていたらムリです。

一方で本人は戯れ言と言い訳できるような書き方をしていても、子孫はそれを知らなければ

次第に嘘も真実になってしまうのでした。

 

そして偽文書であることを見抜けなかった研究者達が引用することで、地域史を形づくる根拠になり、自治体史の史料集に掲載されていきました。

自治体史の史料集は活字化されるので古文書解読には、自治体の史編纂室、教育委員会、公立博物館、公文書館等が専門家が関わります。

そこでも見抜けなかったことで、活字化された史料は、各地の図書館等に収蔵されます。

そう思うと、偽文書を作成した椿井政隆は、作成してから180年ほど経って偽文書とやっと見抜かれたことをどう思っているのだろう。

この本に出会えて、常識、普遍的と思っていることを疑うや違和感への気付きの大切さを再確認しました。

 


漫画「BADON」2巻を読む

2020-03-30 16:37:51 | 読書
オノ・ナツメ著。
元服役囚4人が共同経営する煙草屋のお話の2巻目です。
4人は店の奥で共同生活もしていて、家事はお手伝いの少女が住み込みで担っているので、正確には5人の共同生活です。

元服役囚達なので、酒も煙草も当然のとおりやりますが、物語の世界観が少しファンタジーです。
煙草がとても高級品で、富裕層の象徴になっているのです。
酒は安価から高価なものまであり、飲んだくれの元亭主と表現される人も登場します。

煙草が高級だと喫煙率も低ければ、富裕層のごく一部しか吸わないので、煙草の吸い方さえも、ドラマの演技指導が必要になります。
この喫煙者が登場するテレビドラマが今回の肝になります。

さて、著者のオノ・ナツメさんの作品は、独特の雰囲気があるストーリー展開があります。
ゆったりとした、本当に煙草の煙みたいにユラユラと話の展開が深まります。
一方で突風が吹けば、煙が飛び去るように突然展開が開けていきます。
いやはや、すごいとしか言えません。
魅力的なストーリー展開で、これは下地になっている設定がとてもしっかりしているからでしょう。
これからもたくさんのストーリーが紡がれますように、ととても期待しています。

さて、COVID-19で志村けんさんがお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。
私は志村さんが回復して、1か月くらいしたらその体験談をテレビや新聞等の報道を通じて語ってくれるモノだと思いました。
志村さんらしく面白おかしく、でも元患者として誰の心にも残る方法で伝えてくれる唯一無二の存在になると思っていたのです。
私が物心ついた頃からテレビ等でご活躍されていた志村さん、楽しい時間をたくさんいただきました。
ありがとうございます。
闘病お疲れさまでした。

今回、ご紹介する漫画は、喫煙者で酒も飲む登場人物が殆どなのですが、私は喫煙しないし、飲酒もしません。
好む漫画の中では、登場人物がどのような人物であっても、私はファンタジーと現実を混同はしていません。
この時期にこの漫画を発表することが、批判に繋がりませんように。


漫画「東京城址女子高生」3巻を読む

2020-03-24 15:46:06 | 読書
山田果苗著。
女子高生が部活で城址めぐりをする漫画です。
だいたい東京都内の城址をめぐるのですが、今回は神奈川県小田原市の小田原城も取りあげられていました。
都内からも日帰りできる城址としては、かなり本格的ですし、何よりも総構(そうがまえ)という防衛設備を巡検できるのも楽しいです。

今回、練馬区のとしまえん遊園地が取りあげられていました。
私もとしまえんが城址だと聞いたことはあったのですが、遺構は失われているとのことでした。
でもこの漫画では僅かに残る遺構めぐりをしたり、近くの神社の御神木を見上げるシーンがあります。

最近、私は一ノ宮めぐりをする中で、大きな御神木を目にする機会があります。
こういった御神木は、たくさんの事柄を静かに受け止めていたのだな、と改めて思いが至りました。

学生時代に日本城郭史の授業も履修しましたが、当時は城郭にあまり大きな興味を持たなかった自分に、今さらながら「もう少し視野を広げておけばよかった…」と思っています。

学生時代の私は真面目な学生でした。
でも万事のんびり屋で卒業してからもっと深掘りして学ぶべきだった、と思うとともに一生歴史を学ぶ姿勢を維持したいと思うばかりです。

さて、漫画に戻って、失われた城址や遺構が多いのは、東京だけの話ではありません。
私が生まれた育った所も地形からいえば山城があったし、住所の字名や屋号からも城を想定できるモノがあります。
そこそこ近い場所には古代には牧があるので、交通面でもそこそこ往来があったことも想定できます。
しかし今では何も残っていません。
破壊されてしまったのか、それとも見つかっていないだけなのかは分かりません。
漫画では文化祭で失われた城址の巡検レポートが展示されているシーンがありました。
私が高校生だった頃、こう言う部活は歴史オタクの男子が数人いたくらいで、女子は見かけなかったな、と。
城址めぐりを楽しめるのは、高校生には少し渋い趣味や興味のベクトルだと思ってしまいます。

一方で私が高校時代に小田原城総構を見ることがあったら、日本史に対してまた違った方向性を持っただろうとも感じています。

各地に城址はありますが、小田原城は天守閣だけではなく総構も歩いてみると、その圧倒的な構造にただ驚くばかりです。
この漫画は、おひとりでも歴史好きの方々が増えてくださるきっかけになったらいいな、と思う内容です。



漫画「銀の匙」15巻を読む

2020-02-21 19:06:39 | 読書



荒川弘著。

今回が最終巻です。
この漫画は、北海道の十勝地方にある農業高校に入学した札幌出身の男の子の話です。
高校3年間の軌跡が中心で、この最終巻ではその後進学した農業大学での後日談が半分くらいありました。

私は普通科高校に進学したので農業高校の授業や雰囲気は全然知らなかったのでとても衝撃的でした。
私が住む神奈川県にも農業高校はありますが、少なくとも私の周りで県立農業高校に進学した人はいませんでした。

川崎市に住んでいると県立農業高校には通いにくい立地であることと、私の父くらいの世代(70代後半)では都立園芸高校に進学する人がたまにいたくらいと聞いたことがあります。

それにしても主人公の同級生は、高校生ながら就職や起業という視点に限るととても視野が広くて将来を語る姿が眩しいです。
私は高校時代には何も考えてなくて、ボーッと生きていたことを思い知ります。
漫画の連載当初は、農業大学を舞台にした「もやしもん」もあり、今、農業が熱いな、と思ったモノです。
※「もやしもん」は農業もいうよりも細菌や発酵等が中心、「銀の匙」は酪農と6次産業が中心。

「銀の匙」にはかなり影響を受けるとともに、私も農家の子時代を過ごしていましたが、地域差をとても大きく感じました。
本作品の舞台である北海道は、私の実家がある周辺とはまったく営農方法が違います。
まず、国の政策からして全然違います。
北海道と本州以南では基本的な土地の単位が違っていて、北海道はだいたい本州以南の10倍単位で政策が取り組まれます。

MIFさんのご先祖様は北海道の屯田兵でしたから、そのご先祖様に関してまとめた資料(MIFさんのご親戚がまとめた本)でも、土地の単位がなんだかだだっ広いのです。
昨年放送された朝ドラ「なつぞら」でも、十勝地方の農地がだだっ広い印象でしたが、少なくとも神奈川県では、広大な農地なんてもう見られない風景です。

さて本作品の結末は思っていた通りでした。
でも主人公の同級生(ただし高校1年で中退)の結末は意外でした。
私は通信制か定時制高校に進学して、起業するかと思っていました。
高校生活は将来への夢を繋げる希望に満ちあふた時代なのだと改めて思わされた作品でした。
私のような人間には、眩しくて直視できないくらいです。

それと荒川弘先生、とても楽しい作品を有難うございました。
連載中の「百姓貴族」も楽しく読んでいます。
そして次回作も楽しみにしています。


エッセイ「暮らしは、ちいさく」を読む

2020-01-28 19:29:21 | 読書
大原照子著。
著者は2015年1月にお亡くなりになっています。
この本は2012年の初版で買い求めたもので、先日MIFさんスペースからレスキューしたモノの中に含まれていました。
初めて読んだ時は本当に衝撃的で、自分が年を取って行くことを意識せざるを得ない内容でした。

大原さんは「きょうの料理」等でご活躍されていた料理研究家です。
私は「きょうの料理」にご出演されていた頃を存じあげませんが、「おしゃれ工房」(現在の「すてきにハンドメイド」)で、ライフスタイルの提案として取りあげられた回を見たことがありました。
モノを持たない生き方ではありますが、ミニマリストではなくてシンプルライフを実践されていました。
その時は、私にはできないなぁ、という感想でした。
でもたまたま手にした本書で、私も生き方や考え方を変えなければ、本当にマズいと思いました。
今から思えば、わが家にはモノがあふれていてどうしようもない、と感じたのです。

あれから数年が経ち、私のモノはだいぶ整理できました。
MIFさんのモノは全然分かりませんが、多少は変わったかもしれません。
今回、本書を再読して思うのは、大原さんほどのすてきな生活は送っていませんが、モノの多さは幸せには繋がらないことを再確認できました。
大原さんのような本当に気に入ったモノばかりに囲まれている訳ではありませんが、私の生活はだいたい気に入ったモノが多いです。
まだまだモノは多いけれど、少しずつでも減らしながら生活できているので、まずまずだと思います。
またまだ工夫できるところはたくさんあるな、と気づかせて貰いました。
再読して励みになるので、これからも時々読み返したいと思いました。