maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

138-Guadalajara-04-U.S.A.1964-No.138(9/22)-再録

2003-09-29 18:26:45 | 虚々実々-U.S.A.-1964

歩けや歩け

何ーんにもない公園で、NIKON のセルフ・タイマーを使って写しました。
かっぱらいが出たらぶつけてやろうと足元に石ころを用意してるんですねぇ。
幸いそんな奴は居ませんでした。

昨夜は帰ってきから落着いて地図を眺めて今日の目標を考えました。
当たり前ですが地図の表記はスペイン語。
iglesia=教会 satuario=教会? palacio=宮殿?jardin=庭、庭園 parque=公園 paseo=散歩?何やら判ったような判らないような。

カサカサと物音がすると思ったら、アブラムシ(ゴキブリ)それもデカイ黒いのと細身の茶色いのとがそこいら中に居ます。
ムカデも厭ですがゴキブリも好きになれませんね。
靴で引っ叩いても敵は大勢、殺虫剤をフロントで借りようと思ったのですが、説明がややこしそう。
現物を見せるのが早道と殺したのを数匹ヒゲを指で摘んでフロントに行きました。

チンチン、とベルを鳴らすとおっさんが出て来たので、ゴキブリを見せると怪訝な顔をしています。「ゴキブリが部屋に沢山居る!殺虫剤は有りますか? (Many many cockroachs in the room!Don't you have any insecticide?)」
「ラ・クカラッチャ!(La Kucaracha)」
ワッ、喋れるんですねぇ!
ウンウンとうなずいて、ヤシの葉っぱで編んだ頼り無さそうな「ハエ叩きらしき物」を持ってきました。
「ハエ叩きは要らない、殺虫剤が欲しい!(Noneed a flyswatter, I want a insecticide!)」
ウンウンとうなずくとヒュン、パシッと机を叩いて見せてくれます。
ハエ叩きの使い方ぐらいは知ってます。
「ハエ叩きじゃなくて、殺虫剤!(No flyswatter,insecticide!)」
ヒュン、パシッ、ヒュン、パシッ
「Very good!」
これは幾ら頑張っても無駄だと諦めて、ハエ叩きをもって部屋に帰りました。
しかし一体何処から入り込んでくるのか?
数が多いから適当に叩きまわっても、1撃で1匹や2匹は仕留められます。
少なくとも20匹以上は始末したのに、一向に減った気がしません。
次々に新手が参戦してくるみたいです。
人海作戦ならぬゴキ海作戦。
さすがのこれだけ叩き殺すと部屋がなにかゴキブリ臭い!
窓を開けてゴキブリの死骸を裏の路地にバラバラと始末しました。
一晩中ゴキブリ退治をしてはいられないので、もうヤケクソでシャワーを浴びて寝ました。

電気を消すと気のせいか「ザワザワッ」とゴキブリが這っているような気がします。
電気を点けると、バタバタッとゴキブリが乱舞!
これはたまりません!一しきり飛び回ると落着くんですが、居なくなったわけでは有りません。
目に付く奴を叩き殺して、もう一度寝る事にします。
空耳だといいんですが頭の近くをガサガサ張っているような音がします。
たまらずに電気を点けるとバサ、バサ、バサッと飛び交います。
ゴキブリという奴は飛行技術があまり優れていないのか?神経が図太いのか?
平気で人間にぶつかるんですね。
ゴキブリは平気かも知れませんが、こちらは平気ではいられません。

本腰を入れてゴキブリと対決する事にしました。
その内殺気を感じたか、あまり目につかなくなりました。
電気を消してしばらくするとザワザワ。
起きているから気になるんで、眠ってしまえば判らないから、早く寝ようと思うと眠れないんですね。
眠るまいと思っているのに眠ってしまった経験は有っても「眠ろうと思っても眠れない」などというのはあまり経験がありません。
何度か繰り返している内に、さすがに疲れ果てて眠ってしまいました。

そうか!今夜安眠するには、ゴキブリを気にせずにバタン・グーと眠るくらい昼間に疲れておけばいいのです。
眠ってしまえば、ゴキブリが飛び回っていようが、顔を這われようが、判らなければ居ないのと一緒です。
明日は朝早くから飛行場に行きますから、今日が実質メキシコ最期の日。
乏しいお金をやりくりして、やっと何とか保ちました。
中途半端に一日中空腹でいるよりも、朝飯の分を昼と夜に回して満腹感を味わおうと、朝飯抜きで出かけました。
市場も近いし、階下は食堂、ゴキブリが居ても不思議は無いんですか、物には程度と言う物が有りますよねぇ。
そう言えば、アメリカではゴキブリが居ませんでしたね?
牧場なんかには居そうなもんですがね。

次から次と教会や庭園を見て廻って、カテドラル前の屋台でトルティーヤの豆大盛とレモネードで昼ご飯。
豆のトルティーヤにもお世話になったけれどこれが食べ納めです。
この安くて腹持ちの良い食べ物がなかったら、とても今日までメキシコで粘れなかったでしょうね。
アメリカでならハンバーガー1つが買えるか買えないかのお金で、2日は食いつないでいるのですから豆のトルティーヤには恩義が有ります。
そもそも7日の予定だったのを、6日も延長して、13日間居たのですから上出来といえます。
ただし、成り行きでそうなった部分が多いので、私の手柄にはなりませんね。

地図に印をつけた名所とおぼしき所を回りながら、西へ西へドンドン歩いていったら車も少なくなってなって来て、だだっ広い何にも無い公園に来てしまいました。
あまりにも何にも無いので、セルフタイマーで記念写真を撮って、これ以上行っても面白く無さそうなので、回れ右。
今度は来た道から南へドンドン歩いていると Satuario De Nuestra という教会みたいな建物のところに出ました。
これから先は普通の町並みが続いているようなので、今度は東の方向へ。
Igresia De San Juan De Dios というこれ又教会。
この街は教会だらけですね!
これだけ教会ばかり次から次に見ると、もうどれもこれも同じような気がして、後で思い出そうにもゴチャゴチャになるでしょうね。
大通りの左手に Plaza Tapatia が見えます。
すると、ここを右へ行けば Mexicana のオフィスですね。
という事は、大好きなリベルタ市場も近い。
ヨシ、最期の晩飯は市場の屋台で有り金を使って豪勢に食べてやろう!
大きなことを言ってますが、3ペソとちょっと、日本円で150円ほどしか無いんです。

薄切り牛肉味付け燻製のCECINA(セシーナ)を発見、確かこれも観光案内で見ました。
50センタボ分買うと、ほんの少ししかなかった。
しかし、これは美味しいなぁ。
肉入りトルティーヤ春巻きのフラウタと、トマト・トンガラシ・タマネギ・豆入りスープ。

飲み物はメキシコといえばチョコレート(CHOCOLATE)の原産地?それは定かではないけれど、とにかく大きなコップに並々と入った、泡だらけの濃厚なココアという感じのCHOCOLATEと、箸箱くらいの芋羊羹みたいな甘いカモーテ(CAMOTE)を3つ。

ん??カモーテ(CAMOTE)ってまるっきりサツマイモと言う単語ですねぇ?
「カモーテ何とか」という「何とか」を聞き漏らしたのかなぁ?
赤、緑、薄い黄色とあるんですが、皆んな同じ味。
そう言えばポッソレのスープも赤、緑、白の3種類でしたね。
メキシコの国旗の色を意識しているのかな?

これで綺麗サッパリと空港行きのバス代+緊急用資金の1ペソを残してスッカラカン。
1ペソ(約29円)有った所でどうなるもんでも無いでしょうが、気休め。

食後はタパティア広場にマリアッチのただ聞きに行きます。
明日は飛行機に乗っているだけですから、幾らでも寝る時間は有ります。
ゴキブリまみれの部屋にいる時間を極力少なくしないといけません。
ゴキブリの歌(ラ・クカラッチャ)があるくらいですから、メキシコ人はゴキブリが好きで気にならないんでしょうかね?
一体どんな精神構造で、あんな陽気なゴキブリの歌が出来るのか?
しまった、タバコが無い。
空の袋をガサガサさせていると、隣に座ったオジさんがタバコを1本くれた!「ありがとう!(ムーチョ・グラシァス!)」
おや、アメリカのタバコです。
メキシコでは超高級品。
お礼にライターで火をつけさせてもらいました。

目が合ったので「美味しい(ヴォエノ!)」
「Japanese?」
あれ、英語をしやべるぞ? しかしよく日本人と判りましたね。
タバコにヴォエノを使うのは変だったかな?
「はい」
「私はヨット競技のチームのメンバーで、来月東京へ行くんだ」
えー?こざっぱりした服装で、クラーク・ゲーブルみたいなヒゲを生やして、中々格好イイけれど、そんな人が夜中に植え込みに座って、マリアッチのただ聞きをしてるかなぁ?
それとも私の聞き間違い?
しかしメキシコでは物凄く高価なマールボロを喫っていて、となりに座った日本人に気前良くくれるぐらいですから貧乏人の筈は無い。
アメリカタバコ1箱と私の1日分の食費と殆ど同じというのが情け無いなぁ。
適当に話していると、恐ろしいほどのグラマーな美人が現われて、何事か話すとオジさんと腕を組んでお金の要るテーブルの方へ行ってしまいました。
ひょっとしたら、本物か?

帰国してからオリンピックの記事に載ってないか探したけれど、似たような顔は見当たりませんでした。
そもそも、ヨット競技なんかは実況中継も無いし、上位はともかく、選手の顔写真もほとんど載りません。
まして、コーチとか競技連盟の関係者、コックなんかやったら皆目記事にならん。
さて果たして、本当やったのか、どうやったのか??

真夜中まで広場で粘って、ホテルへ寝に戻りました。
荷物を整理して、シャワーを浴びて、目に付いたゴキブリを何匹か殺して、狙い通りバタン・グー。

2003/09/29
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