maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

31-Birth Day-U.S.A.1964-No.31(7/23)

2022-05-10 15:43:07 | 虚々実々-U.S.A.-1964

七面鳥と初遭遇

「チョット待って」とガレージの横で太いフキの葉みたいなのを採っています。
「What?」と訊くと、これが何時ぞやのパイに入っていたのの正体。
「スパーブ?」初めて見ました。
これは日本には無いでしょうね、少なくとも私は見た事が有りません。
ひょっとして、又あのパイを作るのかな?と思ったら当たり。
フキみたいに筋を取って、ザクザク切っています。
ひとかけら貰ってかんでみたら、その酸っぱい事。
驚くほど大量の砂糖と一緒に煮ます。
すると、あのくすんだ緑色の甘酸っぱい得体の知れない物になるんですね。
冷凍庫からアルミ・フォイルの鍋のような物を取り出して、蓋を開けると、パイ生地が入っています。
親切にパイ生地で出来た蓋も有ります。
スーパーマーケットで売っているんですって。
それに、甘~く煮たスパーブをドテドテッと入れて、パイ生地の蓋をして、周りを指で押さえてくっ付けて、オーブンに入れて焼くだけ。
家でパイを焼くというから、少々感心していたのですが、これなら私にでも出来そう。

リビングでキャシーに英語を習っていると、「手伝って!」とお呼びが掛かりました。
「これをテーブルの上に運んでよ」と指差したのは、ガレージにある大きな冷蔵庫の中の、青白い 何やら異様な物体・・・。
七面鳥(Turkey)だそうです。
青白くて鳥肌が立っていて(鳥だから当然?)不気味、少し卑猥な感じも。
プラスティック・バッグに入っているから辛抱できますが、直に触ったり、頬擦りしたくなるような物ではありません。
ホントにデカイですねぇ、存在感が有りますね、まさか頭は付いていないでしょうね?
無念そうに白目でも剥いていたらイヤですね、夢に出てきますよ。
幸い、頭は無し、エンヤラ、エンヤラと冷たい気味の悪いのをキッチンへ。

大きなボールに、野菜、ドライフルーツ、ナッツのミジン切り、多分お米?その他何か判らない物をゴッタ混ぜにしてあります。
流しのゴミ溜めに入っていそうな代物ですね。
それを七面鳥のお尻から詰め込むんです。
コラリアが見て「わぁ、おいしそうね♪」って、こんなのをみて良くそういう風に思えますね!
七面鳥もさる事ながら、今詰めているのなんて、まるで〇〇みたいですよ。
皮には油が塗られてテラテラ光っています。
金串をブスブス刺すのは中に熱が伝わるようにと言う事ですが、ますます気味が悪い。
頭が付いていないから、まだ良いようなものの、暗闇でこんなのと出喰わしたら、腰をぬかしますね。
こんな凄いのに上手く火が通るんでしょうか?チョット不安です。

今日はガスのお誕生日なんだそうです。
後からロジャーとエフィも来て、皆でお祝いをするそうです。
「だから 七面鳥(Turkey)を食べるのよ!」とコラリアが面白そうに言います。
「だから?」って何が「だから」なのか??
クリスマスに七面鳥というのは、何処かで読んだような気もしますが、七面鳥って誕生日にも付物なんでしょうか?
説明してくれたところでは、Turkey はトルコと同じ綴り、ギリシャはトルコに散々な目に遭わされてきたんだそうです。
丸っきり占領されてた事もあるし、属国扱いされたり、今でも時々領土問題で小競り合いがあったりするそうです。
宗教もキリスト教と回教、言わば犬猿の仲ですって。
へ~!そうか。
「見てて御覧なさいよ、ガスが嬉しそうに、憎っくき Turkey をナイフで切り刻むから」
「じゃあコラリアもトルコは嫌い?」
「別に、や~ねぇ!ジョークよ」
歴史や色んな事を知っていないと、こういう話を理解するのは難しいなぁ・・・。
そもそも、私を相手にジョークを言うのが間違ってますよ。

ドロシーというのはあんまりギリシャっぽくない、と思ったら彼女はアイルランド系だそうです。
「ドロシーは何を切り刻むのが好きなんでしょうね?」と訊いたら、
「ガスよ!」って、それは悪い冗談ですよ。
しょっちゅう家にドロシーが現われるから、てっきりエフィの従姉妹がドロシー(Dorothy)だと思っていたら、ガスのほうが従兄弟なんだそうです。
Georgakas という姓は、なるほど如何にもギリシャ的ですね。
そういう事だったのか!

離婚、再婚をしていると親戚関係を理解しにくいですね。
ロジャーの義弟というのは、以前ロジャー実の妹と結婚していたけれど、今は別れて別の人と再婚しているそうです。
まるで血縁関係無し。
気が合ったのか、妹が離婚した後も付き合ってて、私には 「brother in low」って紹介したんです。
奥さんはフランス系だと言うし、訳が判らなくなって悩みました。

キャシーに「プレゼント用意した?」と聞いたら、
「勿論」
「へ~、何?」 「秘密!」
キャシーはチョット恥かしがりだから、無闇に抱きついてこないので安心です。

キィー、キィーと雄叫びをあげてモーリスが到着しました。
「Oh、キャシー!」とロジャーがキャシーを抱きしめて、グルグル振り回して、エフィにたしなめられています。
キッチンからドロシーが現われました。
七面鳥が焼ける8時過ぎにはガスが帰ってくるそうです。
ん?焼けるのに2時間半も掛かるんですか?
それにしても、このメンバーであの七面鳥は、どう考えても大きすぎると思いますがね。
コラリアに訊くと、半分以上はご近所にお裾分けするんだそうです。
そうでしょうね。

I'm ho~me!♪」とガスがご帰宅。
脚に紙の飾りをつけられた七面鳥がドロシーとエフィに担がれて、威風堂々と出てきました。
焼き上がって、少し小さくなったとはいえデカイ!
こんがり焼けて、青白かった時とは全く雰囲気が変わって美味しそうです。
スパーブのパイはコラリア、私はサラダの運搬役。

ロジャーが手こずりながらワインの栓を抜いて「乾杯~!」。
夫々がプレゼントを渡します。
ドロシーはネクタイ、相当勇気のある人がデザインしたらしいですね。
クラクラするような強烈な色彩ですが、皆は口々に素晴らしいと誉めそやします。
アメリカの人達は誉め上手ですねぇ。
誉めるとなったらためらい無く、トコトン誉めて、誉めて、褒めちぎります。
残念ながら、半分くらいしか判りませんが、誉め言葉の多彩な事には感心しますね。
今度、コラリアに落ち着いて教えてもらおう。
私は「Beautiful!」が精一杯。
ガスがドロシーを抱きしめて熱烈なキッス。
恥かしがっているのは私だけ、皆平然としています。
根性が据わってますね!私はまだ、修行がたりません。

今飲んだワインはロジャーのプレゼントだそうです。
コラリアとエフィは花束。
注目のキャシーは?はてな、可愛い布で作ったお手玉?1ッ個?
尻尾らしきものが付いているから、ネズミの縫いぐるみ?
「ステキなペーパーウエイトだ!こんな素晴らしいのは見たことが無い!」
キャシーが凄く喜んでガスの首に抱きつきました。
ペーパーウエイト?そうか文鎮か!
しかし、一目で用途を見抜くとはたいしたもんですね。
ドロシーから密かに情報を得ていたのかも知れません。
それにしても、アメリカの父親というのは子供の気持を大事にします、真剣勝負、立派ですね。
私、知らなかったから、何も用意してない・・・。
こうなりゃぁ、仕方が無い。
「私のプレゼントは歌!♪Happy birthday to you!」と歌い出すと、皆も一緒に歌ってくれたのでホッとしました。
けどガスというのが短すぎて「Dear Gus!」のところは声が揃わずにバラバラ。

七面鳥の解体はガスのお仕事、先ず、もう一度ドロシーにまともに長い間キッスをしてから、腕まくりして解体開始。
その手際の良さには惚れ惚れします。
関節のところにナイフを入れて、苦も無く綺麗に捌きました。
見事なナイフさばき。
先ずは、ご近所へ配る分を形良く切り分けて、別の大皿へ。
大きな切り身と、正直いうと少し見た目がかなり汚らしい詰め物を、ドッカンとお皿に頂きました。
皆さんは七面鳥を絶賛しているけど、何だかバサバサしてノドに詰まりそう。
それに、この得体の知れ無い甘酸っぱい赤黒いソースは何なんでしょうね?
見てくれの悪い中の詰め物が、実は美味しかったので、抵抗無く「美味しい!」と言えて助かりました。
何時もは21:00にベッドへ行かされるキャシーも、今日は特別の計らいで、30分延長。
ドロシーに言われてキャシーがしぶしぶベッドへ行ってからも、夕食は続いて、押すな押すなでモーリスにのって帰ってきたのは真夜中。

アメリカンというか、ギリシャ人、スウェーデン人、アイルランド人は本当にタフですねぇ・・。

2003/05/03:初出
2022/05/10:再録

32-Movie-U.S.A.1964-No.32(7/24)
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