本日は脱力系で、ノンアルコール飲料です。モルト表記に見事に
引っかかってしまってテストしました(笑)
改めて読めば当たり前なのですが、モルト以前にアップルと書か
れており、当然リンゴ味の炭酸飲料です。
ただ、リンゴはジュースもそうですけれど、炭酸飲料だととくに
後に引く感じに好き嫌いがあると思いますので、後に長く残る
甘味を断ち切るために、同じような甘味がありながらも、後に
引かずあっさりしている麦芽をスパイスとして採用したという
ことでしょう。
本来ならば、隠し味として表では語らないようなことでしょうが、
マーケティング上の理由で特徴として謳った方がプラスという
判断で、モルトという言葉が表に出てきたものだと思います。
肝心の味の方ですが、私のように甘いものが苦手で、いつまでも
口の中に甘味が残るのが気になるタイプには最高です。すっきり
とした炭酸入りで爽やかに甘く後も引かないとなれば、ちょっと
思い出したときには飲みたいな、と思ってしまいます。
私は今回初めて飲みましたが、できれば長く売れ続ける商品に
育っていってくれることを期待したいと思います。
感謝!
食べものも飲みものも同じだと思いますが、吊るしというかお仕着
せの味ばかり食べていると、違う味覚を求めるようになりまして、
それに飽きっぽい性格が加わると、取扱いの面倒な奴が生まれます。
はい、私のことです(笑)。
そうして、かれこれ6~7年くらい自分が飲みたいと思う味のウィ
スキーを作る(ブレンドする)とかいう、もう殆どアホな趣味をもって
いまして、どの世界でもよく言われるビギナーズ・ラックで一番
最初やその次くらいは出来たのですが、少し物事が分かってくると、
プロが言うように、ただレシピ通り混ぜたって決して美味いものは
作れないことに気づくようになります。
そうして5まで進んだあと、暫くぶりだと思って調べてみたら、
なんと5年ぶりでした。No.6です。
あるとき、思い立ってニッカの余市とメルシャンの軽井沢を混ぜて
飲みたくなったのですが、余市はヘヴィ・ピーテッドのホッグズ
ヘッド20年、軽井沢はゴールデン・プロミスのシェリー樽20年
ですから、どちらかといえば正反対の方向を向いた2つ(だけ!)を
混ぜてみようという、清水の舞台から飛び降りるような試みです。
最初に頭の中にあったイメージから、軽井沢4:余市6でブレンド
してみましたら、かなり余市のピートが強く軽井沢がグレーン原酒
のように感じられてしまって失敗。
2回目は5:5で混ぜてみましたら、今度はシェリーが強く余市が
霞んでしまうくらいシェリーシェリーなウィスキーになってしまい
ました。
そこで、3回目に両者の中間を取り、軽井沢45%:余市55%でブレン
ドしてみたら、非常に香り高く熟成感も豊かで、いわゆる「芳醇」
というポイントを見つけることができました!
おそらくは1%刻みでチューニングしていくと、この両者のベスト
マッチのポイントが見つかると思います。
ただ、両者ともシングルカスク原酒ですので、アルコール度は60
度くらいあり、フルに3杯飲んで酔いが回りましたので、この日は
これでお開きということにして。ベストマッチは、またそのうちと
いうことになりました♪
My Whisky No.6
メルシャン軽井沢20yo 樽番号2321 45%
ニッカ余市20yo 樽番号121910 55%
感謝!
いる樽買いのサービスが、オーナーズ・カスクと呼ばれるもの。
山崎蒸溜所と白州蒸溜所のお好きなウィスキーが樽で購入できます。
価格は150万円とか。

当初は100万円未満だったのですが、ウィスキーブームの高まりと
ともに価格も上昇基調にあり、そのうち200万円になるのではない
でしょうか。バットかシェリー樽ならアリだと思いますが、バレルや
ホッグズヘッドではどうでしょう。
買ったはいいですが、その後数百本のボトルをどうするか?という
話になりますから、蔵をもつお金持ちか流通をもつ業者か、あるいは
チェーン店の呑み屋などに限られてしまうのではないでしょうか。
私の価格感からすると、正直なところ高いと思っています。
さて、そんな下世話な話はどうでもよいとして、チルフィルター処理
前の白州が飲みたかったのでオーダーしたのですが、これまた若干
イメージとは異なりました。
写真背景に写っている能書きを転記すると「スコットランドの精麦
メーカー(筆者注:ディアジオ・ポートエレンか?)に特注した『ヘビ
リー・ピーテッド麦芽』を使用したと思う結構ピーティーなタイプ。
アイラ党はぜひお試し下さい。」とあり、大雑把な印象としては、
同じくヘヴィ・ピーテッドのカリラに近いです。
それこそカリラが大雑把なウィスキーになってきているので、こちら
の方が洗練度が高く、カリラだと思って飲めば美味しいでしょう。白
州だと思って飲むと明確に「違う」ということになりそうです。
10年ホッグズヘッド熟成の62度。ピーティで荒っぽい白州を
珍しいといって好む、個性を楽しみたい人向けだと思います。
感謝!
NHKの「マッサン」のおかげか、僕の周囲はウィスキー・ブーム
到来の様相です。
今回の連続テレビ小説で面白いのは、このシリーズは「若い女の
子がさまざまな艱難辛苦を乗り越えて成長する物語」なのにも拘
らず、もちろんエリーという女性が主役とはいえ、伴侶である政
春が主人公となっている、いわば脱線路線にあります(笑)
視聴者にそういう可笑しさを感じさせないのは、脚本も演出もキャ
スティングも、もちろん俳優さんの演技も素晴らしく、あっとい
う間に感情移入してしまって楽しんでいるからに他ならないの
ですが、当方は竹鶴政孝の人生物語だと思って観ているため、興味
関心は幸か不幸かウィスキーのことばかりです。
とはいっても、ブームにはあまり関心がなく、いま目の前の一杯が
美味しければそれでOKですので、飲みたいものを飲んで美味し
ければハッピーという能天気ぶりでおります。
さて、今回は1989年のハイランド・パーク。

「ウィスキーがお好きでしょ」という石川さゆりさんが流れてくる
ような気分のときにはハイランド・パークが間違いないのですが、
今回はそれよりも1989年の方が大切です。
なんといっても1989年はウィスキーだけでなく、ワインも
クルマも経済も何もかも良かった年ですので、そのヴィンテージ
が目の前にあるというのは、何かの幸運を感じられずにはいられ
ません。
しかも、信濃屋さんが樽買いしてボトリングしたINSTRU-
MENTAL SOLO SELECTIONと呼ばれる、いわゆる
楽器シリーズの一本。
昔懐かしいといえば爺臭くなりますが、素材の品質と作りの良さ
が熟成を経てマリッジする、往年のウィスキーの味わいが残って
いて微笑ましいです。
19年熟成で、アルコールは55.6度。
幸いなことに、まだあちらこちらのBARで見かけることがあり
ますので、「間違いないのが欲しい方」も「芸の肥やしに勉強し
ます」というプロも、間口広く優しいいつものハイランド・パー
クでした。
やっぱり秋の夜長はこれかな、と思います。
感謝!
ローズバンク、リトルミルのローランド・メロウからエントリー
したので、次は何にしようかと思いを巡らして、もう少し塩っぽい
ものがよいということで、色々と探してもらったのですが、イメー
ジ通りのものがなく、スプリングバンクに落ち着きました。
モルトウィスキーの本場はスコットランドですが、当地の人は個性
の強い、ハッキリとした味わいが好みで、日本人ほど味覚は繊細で
はありません。
少々乱暴な例えでいうと、日本人がボクシングを好むとすれば、
スコットランド人はプロレスが好みです。
そういう意味で、このスプリングバンクのシングルカスクは、ちょっ
とらしくないというか、バッティングして作られるオフィシャルの
ボトルとそんなに大きく違わない個性の持ち主でした。
しかし、私がイメージした「もう少し塩っぽい」というのは、例えば
フィッシュ・アンド・チップスの塩鱈のような海の塩っぽさでした
ので、いささか役不足。キングズバリー社が胸を張ってラベルに
印字した「ゴールドで、海、シルク、塩、甘味、長く、美しい」と
いうテイスティング・ノートは、若干的外れだったことを告白しな
ければなりません。
ただし、予断なく楽しむには素晴らしいウィスキーと言ってよく、
オフィシャルのスプリングバンクを卒業するくらいお飲みの方には
最適の、囲炉裏で炙った烏賊でもなめながら飲むには最高のウィ
スキーです。
こういう一見穏やかでも、その実深い味わいを残しているウィス
キーがあることにこそ、本場の底力を見せられたような気がしました。
感謝!
ズです。

ローランドの蒸溜所といえば数えるほどしかなく、アイラ島よりも
少なかったりするわけですが、これまでもっぱらローズバンクばか
りを追いかけ、オーヘントッシャンはアレなので、このリトルミルを
飲むのは、なんと初めて(だったか?2度目だったか?)でした。
このスコットランド最古と言われる蒸留所ですが、残念ながら1994
年に操業を休止しており、現在では蒸留設備も取り外されて、建物も
売却されたとのことですから、もう復活の見込みはないでしょう。
同じように希少なウィスキーということになりますが、ローランドで
ウィスキーが作られなくなりつつあるのは、何故なのでしょうか。
グラスゴーやエディンバラといった大都市に近く、流通も便利な土地
にも拘らず、日本でいう山崎と同じように順風満帆とならないのは、
そのメロウな特徴をして市場に通じず、市場でもてはやされるのは、
もっぱらピーティだったり、シェリーだったりするものだからなの
でしょうか。
だとしたら、それは重大な資産の損失であり、多様性というモルト
ウィスキーの胆力を失う大事件ということになります。
このリトルミルをみると、ローズバンク同様もはやオフィシャルは
幻となってきて、ごく限られたボトラーズのみご縁があれば、とい
うことになってきました。
限られたご縁に感謝しつつ、ありがたく味わうことにいたしました。
250本のうちの1本でアルコール度は55.1度でした。
ローランドの至宝ローズバンク。惜しまれつつも道路計画策定の影響
により1993年に閉鎖。もう20年以上前になるのですね。
当時は、花と動物シリーズの人気が高騰し、その後ときどきロットが
本邦に入ってきて、心あるモルト・バーが割当分をストックする、と
いう状況が続きましたが、もうそろそろそういったこともなくなり、
ごくごく限られた入荷を争奪するような状況だそうです。ちなみに
現在では1本5万円になっているとか。
閉鎖した蒸溜所ですから、もともと残された在庫を手に入れる段階で
争奪戦が起こることは想像に難くないわけですけれども、折りから
の全世界的金融緩和によるグローバル・インフレ経済の環境では、
その価格にプレミアムがついているようです。
ローランドのモルト・ウィスキーは3回蒸溜が特徴ですが、一般的
なウィスキー蒸溜に比べて1回多い蒸溜回数によって、より高度に
洗練された風味と早期熟成の軽やかな華やかさとが魅力となって、
またバラの丘という魅力的な地名も相乗しているに違いありません
が、それはアイラやシェリー樽が脚光を浴びるモルト界にあって
月見草のような魅力を湛えていたと思います。
こういう一見地味なウィスキーですが、いわゆる通という御仁は
事情をよくご存知ですから、これからますます希少になるでしょう。
残りの人生で、あと何回飲めるかと思わずにはいられませんが、
諸行無常で飲めば消えてなくなるからこそ酒だとも言えるかも
しれません。
感謝しかありません。

先日まで書いていたシリーズの最後の酉を飾るアイラモルトだった
のですが、細かいディーテイルは忘却の彼方となってきております。
ご期待いただいた諸兄には、本当に申し訳ないです。
しかし最後の酉と書くくらいですから、非常に良い印象をもった
記憶がありまして、18年物という微妙な年数に比してバランスの
よい熟成度だったと記憶しています。
ラベルをみると6か月間ラムカスクでマリッジさせてフィニッシュ
とあり、それが奏功してラフロイグの尖がったピートとバニラを
中和させる効果があったのではなかったかと思いました。
決して珍しいものではなく、アイラ島南岸の3蒸溜所こそモルトの
ドン・ペリニョンと確信する皆さまには、白とロゼくらいの違いが
あると言ってよいでしょう。
もし見つけることがありましたら、ぜひお試しください。
アルコール度は50度でした。
感謝!
ボウモアらしいボウモアってなんだろう?
例えば、マッカランなどは時代によって味わいが大きくことなるから、
あれだけの巨大ブランドになると、どの時代が一番美味しいという
議論が自然発生する。
それと同じ理屈が、このボウモアにも当てはまるのではないか。
今では誰でも知るところとなっているけれども、モリソン=ボウモア・
ディスティルリーはサントリーの子会社だ。聞くところによれば、
サントリー傘下となったときに、かなりの生産管理技術が導入され
たらしい。
味わいが変わったのが同時期であったことで首肯できるだろう。
その味わいの変化が良いか悪いかは人の好みの問題である。
だから、ボウモアらしいボウモアとは、人によって違う味わいを
意味することとなり、BARのように仕入れた商品を提供するだけ
のサービスの場合、顧客の趣味趣向に合わせるのは大変で、とり
わけ日本人にはアイラ好き、ボウモア・ファンが沢山いるので
本当に神経をすり減らすようなことになる。
それでも、こうして色々なボウモアがボトラーズでリリースされ
るというのは、素人のクレームというリスクを乗り越えてなお、
市場性が高いからだろう。
私にとってのボウモアとは、恐ろしいことにかれこれ20年近く
前のボウモアで、フロアモルティングのピーテッド麦芽に、バー
ボン・ホッグズヘッドをリッチに使いつつも、シェリー樽原酒を
隠し味程度に混ぜ、全体として田舎家の囲炉裏の前にでも佇んで、
たき火を眺めているような味である。
大変ありがたいことに、今回のボトルはそのイメージにとても
近かった。
つくづくウィスキーとはご縁だと思う。
感謝!
これまた難読蒸溜所のひとつですね。グレン・ギリーと読みます。
あるハイランドのウィスキーを頼んだのですが、残念ながら在庫が
なかったので、じゃあ別のものをと言ってお願いした1本です。
豊かに干し草の風味が広がり、モルトの甘味、ローズの香り、そう
いえばローズともリリーともつかない、いわゆる花の蜜のテイス
トが流れるように味わえる「美味しい」という感想が思わずもれて
しまうウィスキーでした。
個人的には、もう少し辛いか、もう少しメロウか、どちらかに振った
個性が好みですが、例えばふだんスペイサイドのウィスキーを好ん
でお飲みの方でしたら、ちょっと違った風合いのお酒、ということ
で楽しいのではないでしょうか。
一応ラベルのスペックを転記しておくと、1990年10月24日
蒸溜、2013年10月4日瓶詰めの22年物。リフィル・シェリー・
ホッグズヘッドとあります。色、フィルタリングの処理をしていない
ため、樽内堆積物の小さな形跡が混ざっている可能性ありと、親切
に書かれているのは時代でしょうか。アルコール度は58度でした。
感謝!