ローズバンク、リトルミルのローランド・メロウからエントリー
したので、次は何にしようかと思いを巡らして、もう少し塩っぽい
ものがよいということで、色々と探してもらったのですが、イメー
ジ通りのものがなく、スプリングバンクに落ち着きました。
モルトウィスキーの本場はスコットランドですが、当地の人は個性
の強い、ハッキリとした味わいが好みで、日本人ほど味覚は繊細で
はありません。
少々乱暴な例えでいうと、日本人がボクシングを好むとすれば、
スコットランド人はプロレスが好みです。
そういう意味で、このスプリングバンクのシングルカスクは、ちょっ
とらしくないというか、バッティングして作られるオフィシャルの
ボトルとそんなに大きく違わない個性の持ち主でした。
しかし、私がイメージした「もう少し塩っぽい」というのは、例えば
フィッシュ・アンド・チップスの塩鱈のような海の塩っぽさでした
ので、いささか役不足。キングズバリー社が胸を張ってラベルに
印字した「ゴールドで、海、シルク、塩、甘味、長く、美しい」と
いうテイスティング・ノートは、若干的外れだったことを告白しな
ければなりません。
ただし、予断なく楽しむには素晴らしいウィスキーと言ってよく、
オフィシャルのスプリングバンクを卒業するくらいお飲みの方には
最適の、囲炉裏で炙った烏賊でもなめながら飲むには最高のウィ
スキーです。
こういう一見穏やかでも、その実深い味わいを残しているウィス
キーがあることにこそ、本場の底力を見せられたような気がしました。
感謝!