マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

メルシャン軽井沢蒸留所

2011-10-31 12:57:18 | グルメ

「世界に誇る日本の小さな蒸留所」

WEBで「メルシャン軽井沢蒸留所」と検索すると「キリン軽井沢
蒸留所」がトップに表示されますが、現地にはどこにもキリンの
文字はありませんでした。

メルシャン軽井沢蒸留所

軽井沢というところは、明治時代に英国国教会の宣教師だったアレ
キサンダー・クロフト・ショーが「スコットランドに似ている」と
して愛好したところから現代に発展してきたわけですが、発展史は
別としてもスコットランドとよく似ていれば、ウィスキー熟成には
最適地ということになります。

その、品質にこだわったウィスキーを作り続けてきた、日本でも
1,2を競う最高級の蒸留所がもうまもなく閉鎖となります。
今週末まで。

私は何度か蒸留所の前を通ったことがあったのですが、なにぶん
いつもクルマを運転していたので訪問することができず(蒸留所を
訪問して試飲せずに帰れません)、今年3月にメルシャン軽井沢
美術館閉鎖のリリースに触れてから、秋までに見ておかなければと
思ってきました。

日本で一級のウィスキー蒸溜所に違いないのですが、会社の資本関
係や製品ポートフォリオ等のビジネス上の理由からでしょう、既に
数年前に蒸溜を停止していたためか、麦汁やウィスキー香がほとん
どしない寂しい場所になってしまっていました。

それでも何故かウィスキー蒸溜設備は撮影禁止でしたので、蒸溜棟
外から少しだけ姿を覗くポットスチルで精一杯です。

メルシャン軽井沢蒸留所

蒸留所見学ツアーは1日に数度行われていましたけれども、各製造
設備の前で決められた解説原稿が読み上げられる内容で見学という
よりは散歩のような印象でしたが、見学ツアー後にヴィジターハウ
スで振舞われる試飲ウィスキーは一級の価値があり、このまま歴史
に埋もれさせてしまうのはあまりに惜しいです。

私が軽井沢の実力を知ったのは、意外にもプレイン・オーク仕込み
のプライベートカスクだったのですが、オフィシャルのシェリーバッ
ト仕込み同様に、ゴールデンプロミス種ならではのピュアなモルト
と樽熟成香とのバランスが際立って美味しく新鮮なまま熟成している、
正にウィスキーらしいウィスキーだったのを今でもよく覚えています。

世界中のウィスキー蒸溜所でオプティック種が一般的になるなか、
頑固にゴールデンプロミス種とシェリーバットに拘ってきた、日本
が世界に誇る高品質ウィスキーを何とか存続させることはできない
ものかと思い、製品側から見れば十分にそれは可能と外から見ても
(おそらく蒸留所の皆さまも)考えられますが、キリンのような大会
社の食品事業からみれば些細な低成長事業に見えてしまうのかもし
れません。

もしマッカランが閉鎖となれば世界が黙ってはいないだろうに、軽
井沢が閉鎖となるも日本国内の玄人だけが淋しがっている。至極残
念です。

そういえば、メルシャン軽井沢蒸留所と美術館は同一敷地内にあり
ますが、別なんだそうですよ。

ということは、軽井沢蒸留所だけを事業体として外部から考えるこ
とができるということじゃないですか。

ポットスチル4器、ウォッシュバック5器、ウェアハウス3棟。

蒸留所を買収できれば存続の可能性はあるんじゃないの?

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PORT ELLEN 28yo

2011-10-28 12:24:20 | グルメ

いよいよアイラ島。28年ものはおろかローズバンク同様にこちら
も蒸溜所が閉鎖されています。ディアジオ系列なのも同じ。

PORT ELLEN 28yo

普通に英語読みして通じるところでホッとしたりしますが、ローズ
バンク、ティーニニックと穏やかなモルトで酔いが回ってきたので
荒々しいのが欲しくなったのだと思います(すみません、もう随分前
のことで覚えてません、笑)。

マスターは同じようなボトルを二本持ってきて「どっちにします?」
とカウンターパンチで攻めてきました。

同じ28年熟成ですが、緑の方は1982年蒸溜で2011年のボト
リング、赤の方は確か1年違いだったように思います。

断って香りを嗅がせてもらって、緑の方を選びました。
いわゆる「らしい」ポートエレンです。

閉鎖された蒸溜所の後、現在はディアジオ社のポートエレンモルティ
ングというモルトスター工場として毎日燻煙を上げています。

Port Ellen

Port Ellen

アイラ島に行くと、ポートエレンの港(というかエレンの港)から東に
ラフロイグ、ラガヴーリン、アードベッグと蒸溜所が並んでいるので
すが、ちょっと乱暴にラフロイグとアードベッグが似ているとするな
ら、ポートエレンはラガヴーリンと似ていると言っていいのではない
でしょうか。アルコールの上に荒々しい磯の香りが広がります。

赤いボトルの方は、香りの限りですが、比べてみるとやや穏やかだっ
たように記憶しています。すみません、もう酔っていましたので。金
曜日ということでお許しください(笑)


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TEANINICH28yo

2011-10-27 12:50:09 | グルメ

TEANINICHと書いて、「ティーニニック」と読む。
お恥ずかしながら初めて知りました。しかもディアジオ社製です。

J's Bar Ikebukuro

私がハイランドのアルコール辛いタイプが好みとかいうものだから、
マスターが気を利かせて珍しいものを出してくださる。こういう
間合いが楽しめるのは人生の大切な楽しみのひとつだ。

ピートやヨードの話でなく、モルトやヘザーの話をしていたから
これを選ばれたのだろうと思った。「ベルギーワッフルみたいな
香ばしさ」とのこと。

当時、もちろん日本では経験済みだけれども、本場のベルギーで
ワッフルを食べたことがなかったから、このテイストはそういう
ものなのかと素直に思ったけれど、実際にベルギーでワッフルを
食べてみると確かにこういう味わいがある。

ちょっと脱線してワッフルの話に切り替えると、いわゆるワッフ
ルという、小麦粉の粉を溶いて専用の焼き金型で焼いた菓子では
ベルギーの味にはならない。これはフランスのクレープも同じ。

ベルギーとフランスは別の国とはいえ隣国だし、両方ともフラン
ス語が公用語だからテレビ番組まで共通だということから乱暴な
話を許してもらうと、向こうの小麦粉はもっと轢きが荒く不均一
だから水で溶いて焼いても口当たりが荒い。この荒さが美味しさ
の秘密である。ホルスタインとジャージーでは脂肪の大きさが違
うから乳の味が違うでしょう?あれと同じ、って私は牛乳嫌いで
飲まないですが(笑)。

それに加えて、日本のワッフルやクレープには入っていないある
ものが入っているから生地自体が別物です。そこにほら、もうひ
とつ本場のチョコレートが掛かっている訳ですよ!それが本場ベ
ルギーでいう「ワッフル」というやつ。

さて、そのベルギーワッフルの味わいだけれども、突き詰めて言
えば焦げた小麦の匂いでしょう。但し、その焦げ具合が絶妙だか
らハイランドパークやアードベッグのような焦げ臭さがストレー
トパンチで出てくるタイプではなく、むしろこれらの両者も持つ
モルトの甘みが前に出てきて、還す波が干し草っぽい。そういう
ナイーブなテイストの豊かさこそがこのウィスキーの魅力だった。

ディアジオが作るウィスキーでナイーブなものなどあるのかとも
思うけれども、28年前は違ったのかもしれない。おそらくこれ
から28年後に、こういったタイプのティーニニックは現れない
だろう。

だから今がチャンスだったのだ。

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ローズバンク1991 ギリシャ文字ラベル

2011-10-26 12:28:37 | グルメ

夏に訪れた名物バーの最初の1杯がローズバンクでした。

J's Bar Ikebukuro

なににしましょうか?

大抵のお店は、客の希望を訊いてくれる。私はメニューをみて迷
う方ではないのですが、こういう店に来ると「なにか面白いもの
ありますか?」と聞きたくなる。

そしてローズバンクを頼んだ。

ローズバンク1991 ギリシャ文字ラベル

モルトウィスキーがお好きな方なら、ローズバンクが1993年に
閉鎖されたことを知っているだろうから、これを頼むのは寿司屋で
シンコを頼むようなことかもしれない。しかし、バーの主はシンコ
のなかでも極上のものを出してくれた。

普段(といっても稀だけれど)見られるローズバンクは、半オフィシャ
ルといっていい花と動物シリーズで、3回蒸溜のメロウでスムーズ
な高バランスのウィスキーが好事家の舌を巻かしており、蒸溜所閉
鎖とともに今後出荷されるのがストックだけという希少性から、そ
の陽炎のような幻を追いかけているところがある。

こちらのギリシャ文字ラベルのボトルは、19年熟成にしては若干
荒々しく、メロウというよりはスペイサイドのような麦の主張が荒
波の上に乗ってやってくるウィスキーだった。もちろんそれはロー
ズバンクの基準での話で。

こんなローズバンクがあるんだと思うとウィスキーは面白い。先の
12年のボトルは瑞々しい青草の草原に吹く風のようなウィスキー
だけれども、こちらの19年は稲刈りの終わった田んぼもとい麦畑
のような干草のフレーバーが香る秋の味だ。ビールの秋味がキリン
ならウィスキーの秋味はローズバンクといいたい。

そういう秋の収穫を祝う酒として、極上のシンコに感謝しながら味
わうと、より美味しくなるだろうと思う。

ところで、蒸溜所についてディアジオが売りに出しているという情
報をみつけた。一方、すでに蒸溜設備は破却されているという話も
聞いた。

世界中に復活を待ち望むファンがいる蒸溜所なのだから、長期の時
間が経過して「当時」が失われてしまう前に「復活」をさせること
にまだ希望がある。

ビジネスとしては「有り」な話だろう。なにせ蒸留酒ビジネスは儲
かる業種として有名であるし、世界中のファンが待っている蒸溜所
だ。

企画書さえあれば資金調達はできるの?
一緒にやろうという人が出てくると面白いね。

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