マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

GLENFIDDICH 12yo(old bottle/三楽)

2012-08-23 14:41:05 | グルメ

世界一のシングルモルト・ウィスキーの座をグレンモーレンジと
競うグレンフィディック。緑色した三角形のボトルがおなじみ
ですね。


グレンフィディック12年

先日、初めて覘いたバーで、例によって(笑)「なにか面白いもの
ありますか?」と尋ねて出てきたのが、この緑色の瓶でした。

え、とちょっと驚いてバーテンダーさんのお顔を覗くと「じつは
これ、三楽が入れたボトルなんですよ」と。

嗚呼と感嘆するのはこのことかと思いました。ラベルの下には
「特級ウィスキー」と書かれています。失礼ながら、まだこの
ボトルがあったのか、という徳川埋蔵金でも発見したような衝
撃でした。

グレンフィディックが一番売れているシングルモルトだという
のは、昔からあまり変わらない地位ですけれども、それ以外の
要素、例えばボトルの大きさ、ラベルデザインといった外形要
素だけでなく、ブレンド、アルコール度数、おそらくは原材料も
昔と今ではまったく違うというほど変化してしまっています。

特にリーマン・ショック前くらいにやってきた世界中のモルト・
ブームには、あのいつも厳つい顔をしているスコットランドの
皆さまだか、本社があるイングランドの人たちだかも、どこかの
ねじが緩んだような商品に変化して、それがそのまま日本でも
「ウィスキーの地酒」とか言われて導入され、現在に至ってい
るのは広告宣伝でおなじみですね。

グレンフィディックは、私がシングルモルトに足を突っ込んだ
最初の1本ですので、とても重要な蒸溜所なのですが、そういう
経緯があってEU法適用40度のボトルになってからというもの、
一度も口をつけてきませんでした。

さて、うやうやしく香りを嗅ぐと、グレンフィディックとは
こういうウィスキーだったか!と思い出させられる、純粋な麦の
香りがスペイサイドに吹く風よろしく鼻腔を通り抜け、はよ飲め
と咽が急かします。

いやいや一寸待て。あれ、これ、こんなだったか。と思いながら、
色を眺めると、確かに今は失われてしまった輝かしいゴールド
色を持っています。

確かに昔はあった風情を思い出しながら、ひと口含むと麦の
ボディが口全体に広がり、そうだそうだそうだったとばかりの
田舎の麦畑で取れた作物から造る、余計な混ぜ物や余計な演出
とは無縁の、正直で真面目な麦芽の味がきらきらと流れていき
ました。

毎週、バイト代の1千円札を握り締めて酒の量販店に走っていた
学生当時は、この極上エントリーモデルがわずか2,500円余りで、
風邪を引いたときには「ウィスキーを飲んで風邪を治すんだ」
と嘯いて2日で1本空けていた愚かな自分も、この正直な味と
ともに遠い過去になりました。

「人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、
がっかりするほど見ていなくはない」という言葉があります
けれども、ウィスキーについても同じことが当てはまるような
気がします。

その丁度良い按配のところにあると、人もウィスキーも一番良い
状態なのかも知れません。

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