マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

HIGHLANDPARK 16yo

2014-09-30 14:56:58 | グルメ
極上のなかの極上クライヌリーシュを頂いて若干放心状態に陥り、
その次なぞないのですが、気分を入れ替えて次の一本を選ぶのなら
やはりハイランド・パークになるでしょうね。

highlandpark16yo.jpg

先のクライヌリーシュと同じ、シングル・モルツ・オヴ・スコット
ランドのカスク物で、1990年3月19日蒸溜、ホッグズヘッド
熟成、2007年3月13日瓶詰めの16年物。アルコール度数は
53.2%です。

こういうボトルを試すことになると、いわゆるハイランド・パークの
オフィシャルが、いかに良くできたブレンドなのかということを思い
知らされます。けだし、ピート、シェリー、ヘザー、バニラ、フルーツ、
などが混然一体となりつつも見事に次々に姿を現すからです。

しかし、本当の本当に生一本のこのカスクでも、ピートにヘザー、
バニラ、フルーツまで認識することができ、またフロアモルティング
の複雑な舌触りも生きていて、ハイランド・パークここにあり、と
高らかに謳わんばかりの存在感を示しています。

現代のウィスキー作りは、どんどん科学的アプローチが進み、生産も
機械化と合理化が進んで、どちらかといえば安定した、別の言い方を
すれば画一化した味わいになってきていますが、これなどはウィスキー
に画一など害でしかない、と切って捨てるかのような、孤高の生き様
のようなテイストを示してくれています。

先のクライヌリーシュといい、このハイランド・パークといい、ここ
の選択眼には頭が下がる思いです。と同時に、こういうものこそ、
本当に本物の「ザ・ブランド・オヴ・ブランズ」というものでしょう。

本物を愛する人だけが味わうことを許される一本だと思います。
 

感謝!
 
 

CLYNELISH 35yo

2014-09-29 17:01:02 | グルメ
ハイランドのモルト好きにとって、クライヌリーシュは最も誇らしく
最も秘密にしておきたい蒸溜所のひとつだろう。麦芽が活きており、
水は清らか、樽熟成感も信頼でき、若干のオリーブオイルと塩も感じ
ることができる。

モルトウィスキー好きも好事家になってくると、経験を誇りたいのか
どうか、ボトラーズのシングルカスクが美味しくて、オフィシャルの
シングルモルトは・・・という御仁が多いものだが、ウィスキーは
ウィスキーだし、造られた蒸溜所が特定なら麦芽も水も樽も同じだ。

そういう通好みの蒸溜所になってくると、反対に好事家御用達のボト
ラー・シングルカスクに出会うご縁の方が少なくなってくるという
もので、このクライヌリーシュもそのひとつだろう。だからこそ、
密かに誇っていいプライドのような蒸溜所だ。

そのクライヌリーシュの35年物があるというので、もしかしたら
一生に一度のご縁かと思って出掛けて行ったら、まさに後生ではもう
出会えないかもしれないような極上のなかの極上で感極まってしまっ
た一本がこれ。

cynelish35yo.jpg

ズワイガニ、タラ、ホタテのような豊かな海産物の香りが漂い、花の
ブーケ、果実味、石焼きいもの甘さ、メロウな熟成感、干し草のサス
ティーンが銀幕一杯に広がる映画のようだ。

ピートで殴るのではなく、シェリーで口説くのではなく、アルコール
で襲うのではなく、果実で笑わせるのではなく、オイルで怒らせる
のでもない。そうした「特徴」と呼ばれるものをすべて内包しつつも
超越した熟成感が35年間ゆっくり時間をかけて達成したものを奥
ゆかしく見せてくれる。熟成の前には、味付けやブレンドや能書き
など全てが無言にならざるを得ない神聖さがある。それこそがこの
ウィスキーだ。

周知のとおり、クライヌリーシュはディアジオ系列の蒸溜所だから、
この先このような複雑でかつ圧倒的な大仏殿か大聖堂のようなウィ
スキーが作られる可能性は低いだろう。20世紀に生まれた幸運を
噛み締める人生の機微を感じる一杯だ。

記録としてラベルの記載を転記しておきたい。

「1972年12月13日蒸溜、2008年4月22日瓶詰め。
ホッグズヘッド樽、樽番号12631、273本のボトリング。
アルコール度53.7度」

決して大げさではなく、生きていてよかったと思う。
 

感謝!
 
 

マッサン効果?

2014-09-26 13:41:01 | グルメ
いよいよ来週月曜日から、NHKの連続テレビ小説で竹鶴政孝夫妻を
モチーフにした「マッサン」の放送が始まるわけですが、その影響な
のかどうなのか、今月半ばを過ぎたころからのブログのアクセスが
急増しています。

taketsurumasataka.jpg

先日の秋分の日に書店へ入りましたら、マッサンの関連書籍が数多く
発売されており、一角にコーナーができていて、放送前から盛り上
がる気配がしてきています。

竹鶴政孝は、ニッカの創業者ですが、寿屋(サントリー)山崎蒸溜所
の初代蒸溜長も務めていますので、まさしく日本のウィスキーの父
の物語が半年の間毎日放送されるわけです。

ドラマはドラマとして脚本と俳優さんの演技を楽しめばいいのです
が、竹鶴政孝が発したであろう台詞の奥にウィスキー作りの秘訣が
隠れているのではないかと、そちらの方が気になっています(笑)。

この放送を受けて、余市の北海道工場はおそらく大賑わいの盛況に
なると思われますが、これから寒く雪の降る季節になりますので、
私は少し冷却期間を置いてから再訪したいと思っています。

いずれにしても楽しみですね。

malts.jpg
 
 

感謝!

 


駒ヶ岳2011

2014-09-25 12:32:53 | グルメ
長野の伊那谷にある本坊酒造・信州マルス蒸留所が3年前に再稼働
した、その第一号記念ボトルです。

komagatake2011.jpg

以前に、磁器にボトリングされたここのシングルモルトを飲んだこ
とがありますが、それは19年前に稼働していたころのもので、新
たに最近稼働したものでは初めてでした。

私はこの蒸溜所へいつか行ってみたいと思っているのですが、クル
マでないと行かれないことに加え、地理的にも日帰りが困難なので、
ちょっと気安くいけないのが辛いところです。

しかしながら、意図的に里から遠い場所を選んでいるかのように、
ウィスキーには雪解け水の味が確かに残り、それは例えば北海道・
余市のウィスキーとは違う個性があって、今後大いに化ける可能
性を秘めています。

テイストや熟成感には、私ならというところもありますが、それは
また別の話ですので、ラベル裏面の説明を転記しておきましょう。

「日本アルプス山系、駒ヶ岳の麓から湧き出る清らかな水、
豊かな自然の息づく標高798mに、信州マルス蒸留所は
静寂の中たたずんでいます。『THE REVIVAL 2011
シングルモルト駒ヶ岳」は、恵まれた自然と綺麗な水、バーボン
バレルで静かに熟成の時を重ねたモルト原酒から、霊峰
「駒ヶ岳」の名を冠し、信州マルス蒸留所の”復活”を期して
誕生しました。

2011年、19年ぶりに蒸留されたモルト原酒は、三度の
四季を経て、若々しい淡い琥珀色を身にまとい、モルトの
香りと爽快な果実香が、わずかに漂うピート香とバランス
良く調和しており、バニラのような甘く華やかな香味が
口の中に広がるウィスキーです。

2014年”復活”を期して、ジャパニーズウィスキー創生の
一翼を担った岩井喜一郎から始まるマルスウィスキーの
歴史に、造り手の技と情熱が、新たな時代を切り開きます。」
 

感謝!
 
 

 


The Arran Malt 17yo

2014-09-24 12:11:03 | グルメ

アラン島唯一のウィスキー蒸溜所のシングルモルト17年物です。

arran-malt.jpg

穏やかでメロウなテイストが特徴ですが、ややもすると没個性と映っ
てしまうリスクもあります。特に強烈な個性が歓迎されるシングル
モルトやシングルカスクの分野では。

しかしながら、穏やかでメロウということは、非常によく熟成して
いるということであり、尖った甘さや辛さや臭さがないからといって
良くないウィスキーではありません。むしろ、ウィスキーのなかの
ウィスキーと言っていいほど、通好みと言っていいでしょう。

作り手というのは、当然にそういったことを熟知したうえで製品を
リリースしていますので、ここの蒸溜所のオフィシャルボトルは、
すべてノン・チル・フィルタードです。なんと微笑ましいことでは
ありませんか。

12年でも十二分に味わい深いのですが、17年物はより一層の熟成
感を豊かに感じさせ、ウィスキー愛好家が独りで静かに飲むのに最適
です。

涼しくなって、そろそろ季節でもありますので、常備しておいて時々
飲みたい一本ですね。

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感謝!

 


SPRINGBANK 9yo GAJA BAROLO

2014-09-22 14:51:24 | グルメ
イタリア・ピエモンテ州にバローロという高級ワインがありますが、
その空き樽で熟成させたという触れ込みのスプリングバンクに出会
いました。

springbank9yo-gajabarolo.jpg

9年熟成と少し若いのですが、2004年2月に蒸溜して最初の4年を
リフィル・バーボン樽で熟成させ、後半5年をバローロの樽で熟成
させ2013年10月に瓶詰めされたものです。アルコール度は54.7度で
11000本ボトリングされたようですので、かなり大量に作られたも
のと思われます。

こういう実験的な試みというのは、当たり外れの幅が大きいものの
一方で新しい発明的な発見があるかもしれないという期待も大きい
のですが、それでも11000本ボトリングされる規模というと、スプ
リングバンクのポットスチル1回の蒸溜分に相当しますので、実験
というには似つかない本格的な取り組みを思わせます。

肝心の味の方は、たしかにワインの風味がついており、モルトの
香水と呼ばれるスプリングバンクの味わいを赤ワインの風味がコー
ティングしており、鼻を抜けるフラワリーではなく口の中に広がる
フラワリーなテイストのウィスキーです。

やはり9年熟成ですので熟成感はなく、スプリングバンクらしい
穏やかさも弱く、ラベルが貼ってなければ特段に話題にはならない
かもしれません。

その他、蒸溜までの工程はオフィシャルボトルと同等のようで、
特に変わったことはなく、純粋に熟成だけ変えたバリエーション・
テストと思われます。

しかしながら、このボトルはバーボン樽で4年/バローロ樽で5年
ですから、このまま熟成させればバーボン樽で4年/バローロ樽
6年、7年、8年となっていきますし、手間をかければバーボン
樽5年/バローロ樽5年とか、バーボン樽6年/バローロ樽4年
とか、いろいろテストできるともいえます。

ですから、スプリングバンクという蒸溜所のウィスキーを求める
というよりも、ユニークな熟成法のウィスキーを楽しむという意
味で興味深い試みです。

もし私が蒸溜所のオーナーならば、生産技術が確立した段階で、
クオーターカスクなどと共に、まっさきにテストしてみたい手法
だと思いました。
 

感謝!
 
 

HighlandPark 18yo

2014-09-19 12:31:31 | グルメ
ときどき無性にハイランド・パークが飲みたくなることがあります。

なんと言いますか、上手く表現する自信はありませんが、故郷へ帰り
たくなるような心境に似ていると言えるかもしれません。

長年のモルト好きが嵩じて、やはりシングルカスクの強力な風味と
味わいが最高だなどと言うようになると、とかくどれが美味いとか、
どちらの方が美味いとか、能書きを垂れるようになるわけですが、

ピートだのシェリーだの言う前に、やはり酒であり人が造るもの
ですから、丁寧な仕事を経たウィスキーこそ美味しいのだと思い
ます。

私がときどきハイランド・パークを飲みたくなるのは、けだしそう
いう理由だからでしょう。北の巨人と言われる所以ではないかと
昔から思ってきました。

highland-park18yo.jpg

ハイランド・パークがオールラウンダーと言われるのは、オーク
ニー独特の若いピーテッド・モルトをバーボン樽とシェリー樽で
熟成させ、もちろんホッグズヘッドも含み、複雑でありながらも
クリアに風味が変化する、しかもフロアモルティングによる麦芽
のエッジを現在に残しているからだと思いますが、しかしながら
昨今のモルト・ブームによるシェリー樽枯渇の影響は免れず、
豊かなシェリー樽熟成の味わいはオフィシャルの12年からは
消えつつあります。

そういうなかで頂くこの18年物は、昔ながらのハイランド・パー
クの良さを伝え「ああ、こんなだったか」と思い出さずにはいら
れないくらい素晴らしく、昔だろうと何だろうと好いものは好い、
と断言させるだけの説得力をもっています。

これから先なお一層世界がグローバル化し、世界中のあちこちで
モルトウィスキーが飲まれるようになれば、当然いまの在庫では
不足する事態を迎えることが予想されますが、そういうときでも
北の巨人は健在だと示すような頑固なウィスキー作りを、ぜひ
続けていただきたいと思います。

スコットランド独立投票の日に。

Highland Park Distillery
 
 
感謝!

 


ABERLOUR 15yo

2014-09-18 11:49:27 | グルメ
読み方の難しい蒸溜所(地名)のひとつだと思います。アベラワー
と読みます。オフィシャルの15年物。

aberlour15yo.jpg

ハイランドの干し草の香りが漂う、モルトの甘いエステリーなウィ
スキーをお願いしたら出てきたのがこれでした。イメージどんピシャ
リではありませんが、外角低めでストライクゾーンに入っています。

要するに「ハイランドの干し草の香りが漂う、モルトの甘いエステリー
なウィスキー」というのは、メロウなバーボン樽熟成の落ち着いた
テイストという訳ですが、そういうイメージを共有できるバーテン
ダーは実をいうとそうそういるものではありません。

モルトウィスキーが流行するようになって、シングルモルトやボト
ラー物を置くバーが増えたのは良いことですが、モルトを知らない
オーナーが単に売上だけを見込んで置いておく店はスタッフにも
付加価値がなく、こちらも注文の仕方をあれこれ変える必要がある
ものです。

そこのところ、飲み手の意図を汲んで出してくれるバーというのは、
また寄りたいなという気持ちになりますし、長く続いてもらいたい
と思います。

アベラワーは、その名前からも取っつき難い蒸溜所のひとつですが、
そのテイストは長く続いてもらいたいと思わせる、豊かな熟成感を
もった「良いウィスキー」と自信をもってお伝えできます。
 

感謝!

 


WILSON & MORGAN BARREL SELECTION Highland Blended Malt 1997

2014-09-17 12:41:51 | グルメ
シングルカスクが売りのBARで、何か珍しいものをと頼んだら、
ブレンド物が出てきて「そっちかよ!」と思わず突っ込んでしまっ
た一本です。

highland-blended-malt1997.jpg

そもそもおかしいなと思ったのは、ラベルの一番下をご覧ください、
バットNo.3358359と樽を特定している番号が印字されて
いるのに気付いたことでした。ブレンデッド(=複数原酒混ぜている)
にも拘らず、樽番号が固有なんて通常はあり得ません。

あれ、と思ってマスターに尋ねてみたところ、じつは「おそらくは
グレン・モーレンジでは?」とのことでした。「モーレンジの名前を
出せないので、ごく僅かに別の酒が入っている」ということです。

そのまま視点を右に移動していただくと、アルコール度が48%で
あることが分かりますが、これなどは明らかに加水されたことを
示しており、瓶詰めされるまでに通常とは異なるプロセスを経て
いることを暗示しています。

しかしながら、ひと口含んだ印象は能書きとはまったく別に素晴ら
しいもので、恐れながらグレン・モーレンジは普段まったく飲ま
ないモルト(要するに好みではない)のところ、非常にピュアでバ
レルの香りが上品についており、いわゆる上等なウィスキーとなっ
ています。

グレン・モーレンジといえば、多種多様なブレンドを夫々幅広い
商品ラインナップで展開しているところですから、オフィシャルを
買えばどうしたって「混ざった味」になるところを、この「ブレン
デッド・モルト」は、シングルカスクのような味わいです。

つたない経験を白状しますと、グレン・モーレンジのシングルカ
スクは飲んだことがなく、それだけ原酒は余ってはいないという
ことだと理解していたのですが、それならこういう方法があるよ、
というスコットランドの方々の知恵でしょうか。

いずれにせよ、貴重な機会であったことは間違いありません。
 

感謝!
 
 

LAPHROAIG SELECT CASK

2014-09-16 12:32:48 | グルメ

今年の夏は確かに暑かったのですが、8月に入ったら朝晩は涼しく
なり、前線による長雨があったりして、ひと足早く秋に入ったよう
な陽気です。

かれこれ1月以上涼しかったりすると、酷暑を忘れてしまいますが、
暑かったことも確かです。

その暑い夜に出掛けた先で試してみたのが、ラフロイグのノンエイ
ジ物でした。

laphroaig-selectcask.jpg

ラフロイグ自体あまり飲まない方ですが、ノンエイジならなおさら
「ふ~ん」といって通り過ぎてしまうところ、あまりに暑くてバー
ボンの甘さが欲しかったのと、ハイボールとは違う「涼」を求めて
いたので、よい機会とばかりにクラッシュを作ってもらって、飲み
楽しみました。

いわゆる10年ほど前の全世界的シングルモルト・ブームあたり
から、その後の日本のハイボール・ブームによって、モルト・ウィ
スキーが注目を集めていることは素晴らしく良いことですが、この
ブームの特徴として甘い原酒が求められるようになります。モルト
ウィスキーで甘いといえば当然シェリー樽仕込みですが、只でさえ
シェリー樽の価格が高騰していることに加えて、熟成に長期間の
時間が必要ですから、簡単に「はい、増産します」というわけには
いかないでしょう。

そういう生産側の事情があって、最若年数物の下にエントリー商品を
ラインナップする動きが出てきました。このセレクトカスクもその
一端かと思われます。

味については、どうこう触れる必要もありませんが、ラフロイグ独特
のピーテド・モルトとバーボンバレルの甘さがハーモニーになって
いる約束は守られており、熟成年数の若さはクラッシュ・ミストの
氷の食感がフォローしてくれて、求めていた「涼」を提供してくれ
ました。

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