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マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

LAPHROAIG 18yo

2014-10-09 10:10:51 | グルメ
1988年4月蒸溜、2006年9月瓶詰めのラフロイグ18年物。

laphroaig198804.jpg

先日まで書いていたシリーズの最後の酉を飾るアイラモルトだった
のですが、細かいディーテイルは忘却の彼方となってきております。

ご期待いただいた諸兄には、本当に申し訳ないです。

しかし最後の酉と書くくらいですから、非常に良い印象をもった
記憶がありまして、18年物という微妙な年数に比してバランスの
よい熟成度だったと記憶しています。

ラベルをみると6か月間ラムカスクでマリッジさせてフィニッシュ
とあり、それが奏功してラフロイグの尖がったピートとバニラを
中和させる効果があったのではなかったかと思いました。

決して珍しいものではなく、アイラ島南岸の3蒸溜所こそモルトの
ドン・ペリニョンと確信する皆さまには、白とロゼくらいの違いが
あると言ってよいでしょう。

もし見つけることがありましたら、ぜひお試しください。
アルコール度は50度でした。
 

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Bowmore 16yo

2014-10-03 10:54:13 | グルメ

ボウモアらしいボウモアってなんだろう?

bowmore16yo.jpg

例えば、マッカランなどは時代によって味わいが大きくことなるから、
あれだけの巨大ブランドになると、どの時代が一番美味しいという
議論が自然発生する。

それと同じ理屈が、このボウモアにも当てはまるのではないか。

今では誰でも知るところとなっているけれども、モリソン=ボウモア・
ディスティルリーはサントリーの子会社だ。聞くところによれば、
サントリー傘下となったときに、かなりの生産管理技術が導入され
たらしい。

味わいが変わったのが同時期であったことで首肯できるだろう。
その味わいの変化が良いか悪いかは人の好みの問題である。

だから、ボウモアらしいボウモアとは、人によって違う味わいを
意味することとなり、BARのように仕入れた商品を提供するだけ
のサービスの場合、顧客の趣味趣向に合わせるのは大変で、とり
わけ日本人にはアイラ好き、ボウモア・ファンが沢山いるので
本当に神経をすり減らすようなことになる。

それでも、こうして色々なボウモアがボトラーズでリリースされ
るというのは、素人のクレームというリスクを乗り越えてなお、
市場性が高いからだろう。

私にとってのボウモアとは、恐ろしいことにかれこれ20年近く
前のボウモアで、フロアモルティングのピーテッド麦芽に、バー
ボン・ホッグズヘッドをリッチに使いつつも、シェリー樽原酒を
隠し味程度に混ぜ、全体として田舎家の囲炉裏の前にでも佇んで、
たき火を眺めているような味である。

大変ありがたいことに、今回のボトルはそのイメージにとても
近かった。

つくづくウィスキーとはご縁だと思う。

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Glen Garioch 22yo

2014-10-02 11:40:41 | グルメ

これまた難読蒸溜所のひとつですね。グレン・ギリーと読みます。

glengarioch22yo.jpg

あるハイランドのウィスキーを頼んだのですが、残念ながら在庫が
なかったので、じゃあ別のものをと言ってお願いした1本です。

豊かに干し草の風味が広がり、モルトの甘味、ローズの香り、そう
いえばローズともリリーともつかない、いわゆる花の蜜のテイス
トが流れるように味わえる「美味しい」という感想が思わずもれて
しまうウィスキーでした。

個人的には、もう少し辛いか、もう少しメロウか、どちらかに振った
個性が好みですが、例えばふだんスペイサイドのウィスキーを好ん
でお飲みの方でしたら、ちょっと違った風合いのお酒、ということ
で楽しいのではないでしょうか。

一応ラベルのスペックを転記しておくと、1990年10月24日
蒸溜、2013年10月4日瓶詰めの22年物。リフィル・シェリー・
ホッグズヘッドとあります。色、フィルタリングの処理をしていない
ため、樽内堆積物の小さな形跡が混ざっている可能性ありと、親切
に書かれているのは時代でしょうか。アルコール度は58度でした。

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HIGHLANDPARK 16yo

2014-09-30 14:56:58 | グルメ
極上のなかの極上クライヌリーシュを頂いて若干放心状態に陥り、
その次なぞないのですが、気分を入れ替えて次の一本を選ぶのなら
やはりハイランド・パークになるでしょうね。

highlandpark16yo.jpg

先のクライヌリーシュと同じ、シングル・モルツ・オヴ・スコット
ランドのカスク物で、1990年3月19日蒸溜、ホッグズヘッド
熟成、2007年3月13日瓶詰めの16年物。アルコール度数は
53.2%です。

こういうボトルを試すことになると、いわゆるハイランド・パークの
オフィシャルが、いかに良くできたブレンドなのかということを思い
知らされます。けだし、ピート、シェリー、ヘザー、バニラ、フルーツ、
などが混然一体となりつつも見事に次々に姿を現すからです。

しかし、本当の本当に生一本のこのカスクでも、ピートにヘザー、
バニラ、フルーツまで認識することができ、またフロアモルティング
の複雑な舌触りも生きていて、ハイランド・パークここにあり、と
高らかに謳わんばかりの存在感を示しています。

現代のウィスキー作りは、どんどん科学的アプローチが進み、生産も
機械化と合理化が進んで、どちらかといえば安定した、別の言い方を
すれば画一化した味わいになってきていますが、これなどはウィスキー
に画一など害でしかない、と切って捨てるかのような、孤高の生き様
のようなテイストを示してくれています。

先のクライヌリーシュといい、このハイランド・パークといい、ここ
の選択眼には頭が下がる思いです。と同時に、こういうものこそ、
本当に本物の「ザ・ブランド・オヴ・ブランズ」というものでしょう。

本物を愛する人だけが味わうことを許される一本だと思います。
 

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CLYNELISH 35yo

2014-09-29 17:01:02 | グルメ
ハイランドのモルト好きにとって、クライヌリーシュは最も誇らしく
最も秘密にしておきたい蒸溜所のひとつだろう。麦芽が活きており、
水は清らか、樽熟成感も信頼でき、若干のオリーブオイルと塩も感じ
ることができる。

モルトウィスキー好きも好事家になってくると、経験を誇りたいのか
どうか、ボトラーズのシングルカスクが美味しくて、オフィシャルの
シングルモルトは・・・という御仁が多いものだが、ウィスキーは
ウィスキーだし、造られた蒸溜所が特定なら麦芽も水も樽も同じだ。

そういう通好みの蒸溜所になってくると、反対に好事家御用達のボト
ラー・シングルカスクに出会うご縁の方が少なくなってくるという
もので、このクライヌリーシュもそのひとつだろう。だからこそ、
密かに誇っていいプライドのような蒸溜所だ。

そのクライヌリーシュの35年物があるというので、もしかしたら
一生に一度のご縁かと思って出掛けて行ったら、まさに後生ではもう
出会えないかもしれないような極上のなかの極上で感極まってしまっ
た一本がこれ。

cynelish35yo.jpg

ズワイガニ、タラ、ホタテのような豊かな海産物の香りが漂い、花の
ブーケ、果実味、石焼きいもの甘さ、メロウな熟成感、干し草のサス
ティーンが銀幕一杯に広がる映画のようだ。

ピートで殴るのではなく、シェリーで口説くのではなく、アルコール
で襲うのではなく、果実で笑わせるのではなく、オイルで怒らせる
のでもない。そうした「特徴」と呼ばれるものをすべて内包しつつも
超越した熟成感が35年間ゆっくり時間をかけて達成したものを奥
ゆかしく見せてくれる。熟成の前には、味付けやブレンドや能書き
など全てが無言にならざるを得ない神聖さがある。それこそがこの
ウィスキーだ。

周知のとおり、クライヌリーシュはディアジオ系列の蒸溜所だから、
この先このような複雑でかつ圧倒的な大仏殿か大聖堂のようなウィ
スキーが作られる可能性は低いだろう。20世紀に生まれた幸運を
噛み締める人生の機微を感じる一杯だ。

記録としてラベルの記載を転記しておきたい。

「1972年12月13日蒸溜、2008年4月22日瓶詰め。
ホッグズヘッド樽、樽番号12631、273本のボトリング。
アルコール度53.7度」

決して大げさではなく、生きていてよかったと思う。
 

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マッサン効果?

2014-09-26 13:41:01 | グルメ
いよいよ来週月曜日から、NHKの連続テレビ小説で竹鶴政孝夫妻を
モチーフにした「マッサン」の放送が始まるわけですが、その影響な
のかどうなのか、今月半ばを過ぎたころからのブログのアクセスが
急増しています。

taketsurumasataka.jpg

先日の秋分の日に書店へ入りましたら、マッサンの関連書籍が数多く
発売されており、一角にコーナーができていて、放送前から盛り上
がる気配がしてきています。

竹鶴政孝は、ニッカの創業者ですが、寿屋(サントリー)山崎蒸溜所
の初代蒸溜長も務めていますので、まさしく日本のウィスキーの父
の物語が半年の間毎日放送されるわけです。

ドラマはドラマとして脚本と俳優さんの演技を楽しめばいいのです
が、竹鶴政孝が発したであろう台詞の奥にウィスキー作りの秘訣が
隠れているのではないかと、そちらの方が気になっています(笑)。

この放送を受けて、余市の北海道工場はおそらく大賑わいの盛況に
なると思われますが、これから寒く雪の降る季節になりますので、
私は少し冷却期間を置いてから再訪したいと思っています。

いずれにしても楽しみですね。

malts.jpg
 
 

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駒ヶ岳2011

2014-09-25 12:32:53 | グルメ
長野の伊那谷にある本坊酒造・信州マルス蒸留所が3年前に再稼働
した、その第一号記念ボトルです。

komagatake2011.jpg

以前に、磁器にボトリングされたここのシングルモルトを飲んだこ
とがありますが、それは19年前に稼働していたころのもので、新
たに最近稼働したものでは初めてでした。

私はこの蒸溜所へいつか行ってみたいと思っているのですが、クル
マでないと行かれないことに加え、地理的にも日帰りが困難なので、
ちょっと気安くいけないのが辛いところです。

しかしながら、意図的に里から遠い場所を選んでいるかのように、
ウィスキーには雪解け水の味が確かに残り、それは例えば北海道・
余市のウィスキーとは違う個性があって、今後大いに化ける可能
性を秘めています。

テイストや熟成感には、私ならというところもありますが、それは
また別の話ですので、ラベル裏面の説明を転記しておきましょう。

「日本アルプス山系、駒ヶ岳の麓から湧き出る清らかな水、
豊かな自然の息づく標高798mに、信州マルス蒸留所は
静寂の中たたずんでいます。『THE REVIVAL 2011
シングルモルト駒ヶ岳」は、恵まれた自然と綺麗な水、バーボン
バレルで静かに熟成の時を重ねたモルト原酒から、霊峰
「駒ヶ岳」の名を冠し、信州マルス蒸留所の”復活”を期して
誕生しました。

2011年、19年ぶりに蒸留されたモルト原酒は、三度の
四季を経て、若々しい淡い琥珀色を身にまとい、モルトの
香りと爽快な果実香が、わずかに漂うピート香とバランス
良く調和しており、バニラのような甘く華やかな香味が
口の中に広がるウィスキーです。

2014年”復活”を期して、ジャパニーズウィスキー創生の
一翼を担った岩井喜一郎から始まるマルスウィスキーの
歴史に、造り手の技と情熱が、新たな時代を切り開きます。」
 

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The Arran Malt 17yo

2014-09-24 12:11:03 | グルメ

アラン島唯一のウィスキー蒸溜所のシングルモルト17年物です。

arran-malt.jpg

穏やかでメロウなテイストが特徴ですが、ややもすると没個性と映っ
てしまうリスクもあります。特に強烈な個性が歓迎されるシングル
モルトやシングルカスクの分野では。

しかしながら、穏やかでメロウということは、非常によく熟成して
いるということであり、尖った甘さや辛さや臭さがないからといって
良くないウィスキーではありません。むしろ、ウィスキーのなかの
ウィスキーと言っていいほど、通好みと言っていいでしょう。

作り手というのは、当然にそういったことを熟知したうえで製品を
リリースしていますので、ここの蒸溜所のオフィシャルボトルは、
すべてノン・チル・フィルタードです。なんと微笑ましいことでは
ありませんか。

12年でも十二分に味わい深いのですが、17年物はより一層の熟成
感を豊かに感じさせ、ウィスキー愛好家が独りで静かに飲むのに最適
です。

涼しくなって、そろそろ季節でもありますので、常備しておいて時々
飲みたい一本ですね。

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SPRINGBANK 9yo GAJA BAROLO

2014-09-22 14:51:24 | グルメ
イタリア・ピエモンテ州にバローロという高級ワインがありますが、
その空き樽で熟成させたという触れ込みのスプリングバンクに出会
いました。

springbank9yo-gajabarolo.jpg

9年熟成と少し若いのですが、2004年2月に蒸溜して最初の4年を
リフィル・バーボン樽で熟成させ、後半5年をバローロの樽で熟成
させ2013年10月に瓶詰めされたものです。アルコール度は54.7度で
11000本ボトリングされたようですので、かなり大量に作られたも
のと思われます。

こういう実験的な試みというのは、当たり外れの幅が大きいものの
一方で新しい発明的な発見があるかもしれないという期待も大きい
のですが、それでも11000本ボトリングされる規模というと、スプ
リングバンクのポットスチル1回の蒸溜分に相当しますので、実験
というには似つかない本格的な取り組みを思わせます。

肝心の味の方は、たしかにワインの風味がついており、モルトの
香水と呼ばれるスプリングバンクの味わいを赤ワインの風味がコー
ティングしており、鼻を抜けるフラワリーではなく口の中に広がる
フラワリーなテイストのウィスキーです。

やはり9年熟成ですので熟成感はなく、スプリングバンクらしい
穏やかさも弱く、ラベルが貼ってなければ特段に話題にはならない
かもしれません。

その他、蒸溜までの工程はオフィシャルボトルと同等のようで、
特に変わったことはなく、純粋に熟成だけ変えたバリエーション・
テストと思われます。

しかしながら、このボトルはバーボン樽で4年/バローロ樽で5年
ですから、このまま熟成させればバーボン樽で4年/バローロ樽
6年、7年、8年となっていきますし、手間をかければバーボン
樽5年/バローロ樽5年とか、バーボン樽6年/バローロ樽4年
とか、いろいろテストできるともいえます。

ですから、スプリングバンクという蒸溜所のウィスキーを求める
というよりも、ユニークな熟成法のウィスキーを楽しむという意
味で興味深い試みです。

もし私が蒸溜所のオーナーならば、生産技術が確立した段階で、
クオーターカスクなどと共に、まっさきにテストしてみたい手法
だと思いました。
 

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HighlandPark 18yo

2014-09-19 12:31:31 | グルメ
ときどき無性にハイランド・パークが飲みたくなることがあります。

なんと言いますか、上手く表現する自信はありませんが、故郷へ帰り
たくなるような心境に似ていると言えるかもしれません。

長年のモルト好きが嵩じて、やはりシングルカスクの強力な風味と
味わいが最高だなどと言うようになると、とかくどれが美味いとか、
どちらの方が美味いとか、能書きを垂れるようになるわけですが、

ピートだのシェリーだの言う前に、やはり酒であり人が造るもの
ですから、丁寧な仕事を経たウィスキーこそ美味しいのだと思い
ます。

私がときどきハイランド・パークを飲みたくなるのは、けだしそう
いう理由だからでしょう。北の巨人と言われる所以ではないかと
昔から思ってきました。

highland-park18yo.jpg

ハイランド・パークがオールラウンダーと言われるのは、オーク
ニー独特の若いピーテッド・モルトをバーボン樽とシェリー樽で
熟成させ、もちろんホッグズヘッドも含み、複雑でありながらも
クリアに風味が変化する、しかもフロアモルティングによる麦芽
のエッジを現在に残しているからだと思いますが、しかしながら
昨今のモルト・ブームによるシェリー樽枯渇の影響は免れず、
豊かなシェリー樽熟成の味わいはオフィシャルの12年からは
消えつつあります。

そういうなかで頂くこの18年物は、昔ながらのハイランド・パー
クの良さを伝え「ああ、こんなだったか」と思い出さずにはいら
れないくらい素晴らしく、昔だろうと何だろうと好いものは好い、
と断言させるだけの説得力をもっています。

これから先なお一層世界がグローバル化し、世界中のあちこちで
モルトウィスキーが飲まれるようになれば、当然いまの在庫では
不足する事態を迎えることが予想されますが、そういうときでも
北の巨人は健在だと示すような頑固なウィスキー作りを、ぜひ
続けていただきたいと思います。

スコットランド独立投票の日に。

Highland Park Distillery
 
 
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ABERLOUR 15yo

2014-09-18 11:49:27 | グルメ
読み方の難しい蒸溜所(地名)のひとつだと思います。アベラワー
と読みます。オフィシャルの15年物。

aberlour15yo.jpg

ハイランドの干し草の香りが漂う、モルトの甘いエステリーなウィ
スキーをお願いしたら出てきたのがこれでした。イメージどんピシャ
リではありませんが、外角低めでストライクゾーンに入っています。

要するに「ハイランドの干し草の香りが漂う、モルトの甘いエステリー
なウィスキー」というのは、メロウなバーボン樽熟成の落ち着いた
テイストという訳ですが、そういうイメージを共有できるバーテン
ダーは実をいうとそうそういるものではありません。

モルトウィスキーが流行するようになって、シングルモルトやボト
ラー物を置くバーが増えたのは良いことですが、モルトを知らない
オーナーが単に売上だけを見込んで置いておく店はスタッフにも
付加価値がなく、こちらも注文の仕方をあれこれ変える必要がある
ものです。

そこのところ、飲み手の意図を汲んで出してくれるバーというのは、
また寄りたいなという気持ちになりますし、長く続いてもらいたい
と思います。

アベラワーは、その名前からも取っつき難い蒸溜所のひとつですが、
そのテイストは長く続いてもらいたいと思わせる、豊かな熟成感を
もった「良いウィスキー」と自信をもってお伝えできます。
 

感謝!

 


WILSON & MORGAN BARREL SELECTION Highland Blended Malt 1997

2014-09-17 12:41:51 | グルメ
シングルカスクが売りのBARで、何か珍しいものをと頼んだら、
ブレンド物が出てきて「そっちかよ!」と思わず突っ込んでしまっ
た一本です。

highland-blended-malt1997.jpg

そもそもおかしいなと思ったのは、ラベルの一番下をご覧ください、
バットNo.3358359と樽を特定している番号が印字されて
いるのに気付いたことでした。ブレンデッド(=複数原酒混ぜている)
にも拘らず、樽番号が固有なんて通常はあり得ません。

あれ、と思ってマスターに尋ねてみたところ、じつは「おそらくは
グレン・モーレンジでは?」とのことでした。「モーレンジの名前を
出せないので、ごく僅かに別の酒が入っている」ということです。

そのまま視点を右に移動していただくと、アルコール度が48%で
あることが分かりますが、これなどは明らかに加水されたことを
示しており、瓶詰めされるまでに通常とは異なるプロセスを経て
いることを暗示しています。

しかしながら、ひと口含んだ印象は能書きとはまったく別に素晴ら
しいもので、恐れながらグレン・モーレンジは普段まったく飲ま
ないモルト(要するに好みではない)のところ、非常にピュアでバ
レルの香りが上品についており、いわゆる上等なウィスキーとなっ
ています。

グレン・モーレンジといえば、多種多様なブレンドを夫々幅広い
商品ラインナップで展開しているところですから、オフィシャルを
買えばどうしたって「混ざった味」になるところを、この「ブレン
デッド・モルト」は、シングルカスクのような味わいです。

つたない経験を白状しますと、グレン・モーレンジのシングルカ
スクは飲んだことがなく、それだけ原酒は余ってはいないという
ことだと理解していたのですが、それならこういう方法があるよ、
というスコットランドの方々の知恵でしょうか。

いずれにせよ、貴重な機会であったことは間違いありません。
 

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LAPHROAIG SELECT CASK

2014-09-16 12:32:48 | グルメ

今年の夏は確かに暑かったのですが、8月に入ったら朝晩は涼しく
なり、前線による長雨があったりして、ひと足早く秋に入ったよう
な陽気です。

かれこれ1月以上涼しかったりすると、酷暑を忘れてしまいますが、
暑かったことも確かです。

その暑い夜に出掛けた先で試してみたのが、ラフロイグのノンエイ
ジ物でした。

laphroaig-selectcask.jpg

ラフロイグ自体あまり飲まない方ですが、ノンエイジならなおさら
「ふ~ん」といって通り過ぎてしまうところ、あまりに暑くてバー
ボンの甘さが欲しかったのと、ハイボールとは違う「涼」を求めて
いたので、よい機会とばかりにクラッシュを作ってもらって、飲み
楽しみました。

いわゆる10年ほど前の全世界的シングルモルト・ブームあたり
から、その後の日本のハイボール・ブームによって、モルト・ウィ
スキーが注目を集めていることは素晴らしく良いことですが、この
ブームの特徴として甘い原酒が求められるようになります。モルト
ウィスキーで甘いといえば当然シェリー樽仕込みですが、只でさえ
シェリー樽の価格が高騰していることに加えて、熟成に長期間の
時間が必要ですから、簡単に「はい、増産します」というわけには
いかないでしょう。

そういう生産側の事情があって、最若年数物の下にエントリー商品を
ラインナップする動きが出てきました。このセレクトカスクもその
一端かと思われます。

味については、どうこう触れる必要もありませんが、ラフロイグ独特
のピーテド・モルトとバーボンバレルの甘さがハーモニーになって
いる約束は守られており、熟成年数の若さはクラッシュ・ミストの
氷の食感がフォローしてくれて、求めていた「涼」を提供してくれ
ました。

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Ballantines 17 yo

2014-08-01 12:53:14 | グルメ
ピートとシェリーのマリアージュ。

Ballantines17yo.jpg

ピートとシェリーなどと言うと、英国紳士と淑女の話のように
聞こえるかもしれないが、ピートは泥炭のことで、シェリーは
アンダルシア・ヘレースの白ワインの樽のことだ。

先日、とある(としておこう)BARで、ハイランド・パークを頼
んだら、ちょうど最後の数十ml(要するに最後のちょっと)だった
ので、マスターが「いいよ、これ上げますよ」といってグラスに
注いでくれたのは、オフィシャルの18年だった。

かれこれ7,8年前になるけれども、ハイランド・パークは何を
思ったかブランド・リニューアルを行い、お世辞にもそれまでの
市場認知を引き上げることに成功する試みだったとは言い難いの
だけれど、現在販売されているこの18年物は、かつての上質な
シェリー樽仕込みが4割強ブレンドされていた豊かな味わいを
残しており、お互いに大きく一口ずつ飲んで10年くらい前の
古き良き昔を懐かしんだ。

ということで、豊かな味わいを求めてハイランド・パークを買う
のは、もうそろそろ長続きしない楽しみだが、もし同じ骨格の
ウィスキーが手に入るのなら、それを選べば場合によっては本家
よりも良いものが楽しめる。少なくとも理屈のうえではそうだ
けれど、それが見つかったりするのがウィスキー趣味の別の楽
しみでもあるだろう。

そうして封を開けたのが、バランタインの17年物。

「あれ?ブレンデッドは飲まないんじゃないの?」という声が
聞こえてきそうだけど、そんなことはありません(笑)。アマチュ
ア・ブレンダーの末席を汚している身だから、当然ブレンド物も
グレーンもテイスティングはする。

さて、このバランタイン。非常に興味深いことに、ひと口味わって
みると見事にハイランド・パークが姿を現してくれる。しかもシェ
リーが豊かだった10年ほど前の頃のそれだ。

スコットランドのウィスキー蒸溜所は、系列化がすすんでいるから、
ハイランド・パークの原酒はグループのカティ・ザークに使われ、
別系列のバランタインに使われることはない。なのに、ブレンデッ
ド・ウィスキーのバランタインを飲んで、シングルモルトのハイ
ランド・パークを感じるのはなぜか?その答えは簡単で、真実は
難しい。

その答えは両者とも原酒をブレンドしてできた製品で、難しい
真実とはブレンドのレシピは門外不出ということだろう。どちら
が本家でどちらが分家だということではない。互いに良くできた
原酒を美味しいと思う割合で混ぜたら、結果似たような味になっ
た、ただそれだけという可能性だってスコットランドの田舎なら
十分ありうる。

この興味深い現象にもし興味があるなら、バランタインの構成原
酒をお調べになると近道になるかもしれない。少なくとも同じ
オークニー・メインアイランドのスキャパ蒸溜所と、グレートブ
リテン本島最北端のプルトニー蒸溜所、同じくハイランドのバル
ブレア蒸溜所などはバランタインに原酒を供給している。

残るはヘヴィ・ピートとシェリーだが、これらもアイラ島のアー
ドベッグが供給していることを考えれば、点と点は繋がっていく
だろう。

こうして、一見永遠に失われたかと思われるオールラウンダーの
北の巨人は、これからも若干姿かたちを変え、我々のテーブルの
前に姿を現してくれる。

だから、私たちが飲んでいるウィスキーとは、ブランド価値や蒸
溜所の名前などではなくブレンダーの仕事、その結果なのだと
思い知らされる。

短いスコットランドの夏に乾杯したい。
 
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竹鶴17年世界最高賞受賞

2014-06-16 16:16:02 | グルメ
以前に、竹鶴21年ポートウッドフィニッシュについて書いた
際に「もしこれをスコットランドのコンテストに出したら受賞
すること請け合い」って書いたら、なんと17年で最高賞を
取っちゃったんだそうです。

taketsuru17yo-wwa.jpg

日本のウィスキーが世界で認められた、しかも本場スコット
ランドではとうの昔に廃止された伝統製法で作られたウィ
スキーが本国に戻って最高賞を受賞したというニュースです
から、素晴らしいの一言です。おめでとうございます。

聞くところによると、ウィスキーのコンテストというのは、
通年発売されているレギュラー商品でないといけないそう
なのですが、先の21年ポートウッドの方は、これより4倍
くらい美味しいんだけど、もしコンテストに出していたら
どうなっちゃうんでしょうね?(笑)

感謝!