日限山4丁目日記

横浜市港南区日限山4丁目は美しい町です。美しい庭・家は町を美しくし、人々を幸福にします。まちびと

母の形見のような白イチジクの木

2022年09月04日 | 社会

1945年のことではないかと思いますが、終戦前、地方にあった母方の祖父の家がアメリカ軍の爆弾で全壊しました。防空壕に避難していた祖父母は危うく助かりました。おじおば達が全員集まり、祖父母を助け、敷地を片付け、あるものでバラックを建て、とりあえずの祖父母の寝る場所をつくりました。

私の父の家は祖父の家から歩いて15分ぐらいのところにあったので母は私と兄を連れてよく祖父母を訪問しました。門を入って右手に大きく育った白イチジクの木がありました。爆弾に耐え、季節になれば実をたくさんつけました。母はその枝をもらって自分の家の庭にさし、大きく育てました。私は毎年白イチジクの実を食べました。食べ時がむずかしいのですが、熟した実は非常においしいものでした。

私は30代後半で日限山4丁目に土地を買い、家をつくりました。やがて母が移住してきましたが、そのとき白イチジクの枝を持ってきました。白イチジクは横浜でもよく育ち、たくさん実をつけました。母にとって思い出深いものであった上に、おいしかったので母は枝を近所の人に分け、近所の2軒の家でも実がとれるようになりました。

ところがある年、カミキリが大繁殖し、枝のどこを切っても幼虫が出てくるほどでした。あまりにもひどいので木全体を処分しました。近所の2軒の家でもカミキリの被害を受けていました。そのうち1軒は木をすぐ処分しました。残りの家も処分すると言ったので、枝をたくさん切ってもらいました。1本々々カミキリの幼虫がいないか調べ、いないと思われる2本をさし、再生を期待しました。亡き母の形見のような木でしたから祈るような気持ちでした。幸い、どちらも発根に成功しました。しかし、1本はカミキリの幼虫がいました。すぐ、農薬を買ってきて幼虫を退治しました。

庭に2本は多いので今は1本にしてカミキリが来ていないかよく注意して育てています。カミキリが来ているとパッと手でつかまえて、コンクリート面にたたきつけ、可哀そうですが、踏みつぶします。丈夫な虫で簡単に死にません。鎧を着た虫のようです。

今日は新しい枝になった実を今年初めて1個とりました。母を思い出しながら、こぶりでしたが朝おいしく食べました。イチジクの木は、徒長枝をすべてはらい、実に栄養が行くようにしました。

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