世界遺産・宮島に生息する鹿は、飢えている。
奈良の健康な鹿を想像して宮島に渡ると、痩せ衰えた鹿がふらふらとさまよい、ゴミをあさる姿を目にすることができる。
この日も鹿は厳島神社の大鳥居周辺の海に出て、ポスターのような紙類が落ちているのを見つけると、それを3頭の鹿が奪い合うように食べていた。ポスターの表面に貼ってある薄いビニールのようなものも一緒に食べている。見るに見かねてポスターを鹿たちから奪い取った。
6000年前から宮島に住んでいた鹿。
いろいろと鹿にまつわる歴史はあるが、ほとんど絶滅しかかった戦後には、わざわざ別の場所から鹿を連れてきて繁殖までしている。
厳島神社と並ぶ観光資源として、鹿を餌付けしてきた歴史もある。
しかし今、宮島の人たちは「鹿の餌やりを禁止」した。
街中で長年餌付けされた鹿に突如、鹿せんべい業者を島内から追い出し、観光客にもエサを与えないよう呼びかけている。
「山に帰すため」らしいが、山には鹿の食べる芝や低草などはほとんど生えていない。
これが世界遺産・宮島の足元で起こっている現実だ。
誰か英訳して世界に発信してもらえないだろうか?