シンプルな線で描かれているのに、かわいくてとても魅力的な絵の 『 しずくのぼうけん 』
私がまだ幼かった頃、大好きで何度も何度も読み返していた絵本の一冊です。
見た目よりも お話は長いのですが、その長さを全然感じさせない 魅力的なお話で
読み始めると 夢中になって ぐいぐいとお話に 引き込まれていきます。
ひとしずくの水の旅を通して、水の性質を物語として わかりやすく伝える 物語と科学が融合した絵本です。
太陽が照りつけて 温度が上がり、蒸発して 雲となり、雨になって また地面へ落ちていく。
そして 寒い夜を迎えて氷になって、また朝の太陽に照らされて しずくにもどり……。
まさに この水の変化を 『 しずくのぼうけん 』 に見立てて、わかりやすく描かれています。
幼稚園や低学年くらいだと、少し言葉が難しくて 理解しづらい部分もありますが、
それでもなぜか 何度も読みたくなる 魅力的な絵本です。
線だけで描かれた シンプルなお顔なのですが、くるくると変わる豊かな表情が
とっても愛らしくて 目が離せません。
この絵を手がけたのは、ポーランドの絵本作家 ボフダン・ブテンコさん。
現在、日本では残念なことに、この 『 しずくのぼうけん 』のみしか出版されていないそうですが
母国のポーランドでは 250冊を超える絵本を制作され 79才の現在も 精力的に作品を発表し続けているのだそうです。
読み聞かせで 6分30秒程度で読める1冊です。
作: マリア・テルリコフスカ
絵: ボフダン・ブテンコ
訳: 内田 莉莎子
出版社: 福音館書店
税込価格: 945円
発行日: 1969年8月10日
■ おはなし
おばさんのバケツから 水がひとしずく 飛び出して ひとりぼっちで 長い旅に出た。
旅のはじめは裏庭で、どっちへ走ってもほこりがいっぱい。
きれい好きのしずくは クリーニング屋さんやお医者さんに行って きれいにしてもらおうと思ったけれど、
外へ飛び出したとき、たちまち水の中に はまってしまった……。
おひさまが、ギラギラ照りつけて、どんどんしずくは やせていく。
さあ、しずくはどうなった?
水の中に入っても しずくはしずくで 生きて行くのが おもしろいです。
絵本って ありえないはずのことを堂々と書いてあるのを 絵があるおかげで 子どもたちは あるものとして想像を膨らませて行くところが 魅力ですね。
絵本は、文字があまりなく 絵だけで想像を膨らませるものや
文字がたくさんあって、簡単な絵だけで その情景を思い浮かべるものなど
いろんなものがあって、本当に楽しいですね。