伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
議会、市民ネットワーク千葉県、さくら・市民ネットワークの活動あれこれ、お知らせします

再々「マルクール事故 秘密のベールに包まれて」 山本節子さんブログより 

2011-10-10 18:40:52 | 放射能問題
今朝のブログに下記のコメントをいただいた。

 仏マルクール核廃棄物処理施設での爆発死亡事故:仏当局、事故現場の放射線レベルを当初発表値から約480倍上方修正」/CRIIRAD研究所(9月30日)

添付していただいたブログには、CRIIRAD研究所(放射能に関する独立研究情報委員会)のプレスリリースが載っていた。
  放射線量を、当初6万3千ベクレルと発表していたが、フランス原子力安全委員会(ASN)は9月29日、施設を運営する(フランス電力公社およびアレバ社の合弁子)会社が報告していた数値は誤りだったとして公式ホームページ上の数値を修正。当初発表値より476倍高い3千万ベクレルの放射線を測定していたことを事実上認めた。

 CRIIRAD研究所は、爆発発生当時に溶解炉の中にあった4トンの放射性金属廃棄物から発生した放射能について、放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が発表した放射線量が、爆発事故で死亡したジョゼ・マラン作業員の体から計測された毎時8.5マイクロシーベルトという放射線量(注)に比して異常に低い数値であると当初から指摘していた。


確か当初は「放射能漏れはない」と言うのが発表だったし、CRIIRADも同調していたはず。
また、炭化状態の遺体がたった8.5μSv/h?

と言うわけで、山本節子さんのブログを全文紹介する事にしました。↓

情報をどの様に解釈するか、それは個々に違うけれど、真実は一つでしょう。

マルクール事故③ 秘密のベールに包まれて

 昨日お伝えしたマルクール事故についての、スペインのプブリコ・エスパニョ―ル紙の全文(英訳)を見つけました。
スペインのメディアが詳しく報道したのは、死亡した作業員がスペイン籍だったからでしょうか。
以下、この記事をベースに、他のメディアの情報を加味して「マルクール事故」を再現しますが、実態はやはり、フランス政府の公式発表と正反対のようです。

 爆発後、現場に駆けつけた消防隊は、敷地内に入るのを拒否しています。
現場の状況がわからず(放射能濃度も爆発規模も不明)、危険だと判断したのでしょう。
地元の警察隊も、特別チーム(NRBC)が来るまで、現場入りを禁じられています。それにもかかわらず、ASN(原子力安全局)や環境NGOのCRIIRAD(クリラッド)は、「今のところ、放射能漏れはない」と発表していますが、これが何のデータを元にしているのかは明らかではありません(ASNは「事故は終わった」とまで言っています。
CRIIRADは後になって汚染があったと発表)。

 消防隊はやがて決死隊を送りこみ、怪我をした三人を救出しました。
しかし、うち一人は、1300℃に達する溶鉄の砲弾の破片を受け、体表の85パーセントが三度のやけどという重症で、生死の境にあり、モンペリエ大学中央病院の特別ユニットに担ぎ込まれました。
一方、ホセ・マリン氏(51)は、ソコデル社の溶融炉から「火山の噴火」のようにふきだした四トンの溶融金属に直撃されて即死し、遺体は炭化状態となっていたようです。
ソコデル社とはフランス電力公社(EDF)の子会社で、セントラルコ核廃棄物焼却炉の運営を請け負う会社です。

 この事故を受け、政府はすぐエコロジー・交通・ハウジング省のナタリー・コシウスコ=モリゼ大臣(彼女はこの少し前まで未来予測・デジタル経済開発担当大臣だった)を現地に派遣、彼女は、EDFと共に周辺を測定し、その結果、「放射能漏れはない」と発表しています。
それどころか、メディアを使って「放射能が関係する事故ではなく、産業事故に過ぎない」などとPRを始めています。
原発依存率は80パーセントにもなるフランスでは、何がおきても、まずは「人心安定」。
さぞかし、ウソも多くなることでしょう。

 ホセ氏の遺体は水曜日夜になって、ようやく裁判官3人が率いるNRBCチームに運び出され、救急ヘリでモンペリエの病院に運ばれました。
事故が起きた月曜昼から、実に48時間以上も現場に放置されていたわけです。
遺体には、放射能を帯びた榴散弾が発見されました。NRBCは、検察の解剖を省略する許可を得て、遺体を特別の棺に入れ、急いで特別防護部隊が守る格納庫に運びこみ、内部を「放射線防護ライト(?)」で照らして密閉した上で、チャスクランの教会に安置しています。
つまり、もう誰も、死者の体を見ることも、放射線を計ることもできなくなったのです。

 これについて、調査の責任者の一人(警察官)は、「遺体を見せようとすれば、前もって除染作業を行うしかなかったが、そうすると体そのものが溶け出しかねなかった。
だから、事実上、できなかった」と述べています。二次被曝を恐れたとか、解剖できる状態になかったとかいうより、遺体に残った榴散弾について詮索されるのと、遺体の放射線の高さがばれるのを避けたのかもしれません。

 「放射能漏れのおそれがない」なら、測定すれば済んだはずなのに、それをパスしたわけだから、これは怪しい。
地元の人々だって、政府の大本営発表なんか信じてはいません。
地元住民らは、1956年の稼動から50年以上も、「マルクールの秘密」―原発で働く人々のガンや、放射能のリスクなど―は、ずっと噂の種でした。(続く)2011.10.5

再び 「マルクール事故 死者は被ばくしていた」山本節子さんブログより

2011-10-10 18:15:14 | 放射能問題
山本さんのブログは今脚光を浴びていますね。
「院長のひとりごと」でも取り上げられていました。

今朝「マルクール事故①」だけを全文紹介したが、その後コメントをいただいた。(公表済み)
しかし、何だか腑に落ちない。

まずは②を読んでいただきます。

マルクール事故② 死者は被曝していた

マルクールの爆発事故の続き。あまりにも情報が少ないので、しつこく検索したら、ありました!!この事故、やはり情報規制が相当厳しいようで、私が入手したのは、スペイン語の元記事を英訳したものです。
以下はその簡約、( )は、フランスの事情をよく知らない筆者が勝手に入れた注ですが、詳しい方、ぜひ教えて下さい。

マルクール爆発事故の死亡者は被曝していた、政府はデータ出さず
 プブリコ誌(スペインのニュースサイト、元記事②は写真つき)は、マルクール核複合施設爆発事故の詳細を明らかにした。
事故で死亡した作業員はかなり強い被曝を受けており、家族は遺体に近づくことさえ許されなかった。
解剖も行われず、遺体は放射能を遮断する棺に密閉されて、葬儀場に運ばれた。

 現場に48時間置かれていた遺体には、放射性の砲弾が食い込んでいた。
この遺体を収容するために、政府のNRBCチーム(核-放射能-化学-細菌武器の処理部隊のよう)が召集されたが、チームは遺体の解剖を省略することを求めている。

 消防団員は、1300℃の砲弾を浴び、全身の85%以上のやけどを負ったもう一人の作業員の救出に成功し、軍の病院に搬送した。
この作業員は初め民間病院に担ぎ込まれたが、後に軍の病院に移されたことから、さまざまな憶測を呼んでいる。


 EDF(フランス電力公社、日本でいえばTEPCO)とフランス政府は事故による放射能もれはなかったと主張し、クリラッド(CRIIRAD、放射能に関する調査と情報提供を行う仏の環境NGO)もこの仮定を支持している。

 政府は、(事故が起きた時)処理していた廃棄物はどの企業のものだったのかについて公表を拒んでいる。
処理対象物を特定する手がかりになるため、フィルターやセンサーのデータ公表も拒否している。
また、この事故の前に焼却施設でも事故がおきているが、その問題を含め、作業員の安全問題、また(現施設を)廃止のためにはより大規模な施設が必要だという発言の意味など、さまざまな問題がある。(2011年9月23日)①


 ・・・ん? マルクールでは核兵器を処理していたの?
遺族が近づけないほど高濃度の放射能を浴びていたとしたら、この施設は単なる「低レベル放射性廃棄物の溶融炉」などではありえません。
記事に使われている”sharpnel”(榴散弾)という用語は、何かしら「放射性物質を装てんした弾頭」を意味します。

 武器弾薬の類は、老朽化すると「処理」(破壊、焼却、溶融)しなければなりません。
そのため、武器・戦争大国のアメリカなどでは、その処理をめぐりよく激しい反対運動が起き、軍を悩ませています。
日本人は、核兵器といえば、せいぜい原爆とか劣化ウラン弾くらいしか思い浮かびませんが、実は核兵器は大から小までそのラインアップは大変なもので、世界には処理を待っている核兵器は相当多いはずです。
原発を作る、というのは、核兵器の生産と処理とも無関係ではありません。「原子力の平和利用」なんてうそっぱちだって。2011.10.4

① Marcoule Explosion Deceased Worker Irradiated, Government Not Releasing Data

②revealed details of the Marcoule nuclear complex explosion in France


9/12 「マルクール事故(フランス)放射能もれなし、ってほんと?」山本節子さんブログより

2011-10-10 10:24:49 | 放射能問題
9月12日発生 フランスの低レベル核廃棄物処理施設での爆発事故について
ジャーナリストの山本節子さんが記事を翻訳してブログにupしていた。

山本節子さんは、ゴミを燃やして処理することの問題点を警鐘していて、ゴミ処理問題学習会でお会いした。
「ゼロウェイスト宣言」予定の葉山町長との面談にも同席させていただいたことがある。

山本さんブログ「WONDERFUL WORLD」より

マルクール事故(フランス)① 放射能もれなし、ってほんと?
 遅くなりましたが、フランスで起きた原発関連施設の爆発(9月12日)について一言。

 仏南部の核施設で爆発、1人死亡 4人負傷

2011年09月13日 14:41 発信地:コドレ/フランス

【9月13日 AFP】フランス南部マルクール(Marcoule)の放射性廃棄物処理施設で12日、爆発があり、1人が死亡、4人が負傷した。
仏原子力庁(CEA)によると、爆発があったのは仏電力公社(EDF)の子会社SOCODEIの低レベル放射性廃棄物処理施設セントラコ(CENTRACO)。
フランス原子力安全局(ASN)は事態は収束したと発表する一方、負傷者のうち1人は重体であると明らかにした。(①後略)


 爆発したのは、ごみ問題に関わる人ならおなじみの「溶融炉」のようです。
フランス政府はすぐに、「放射能漏れなし」[負傷者に被曝もない」と発表、各紙も「廃棄物貯蔵施設の火災」「産業事故に過ぎない」などと伝えましたが、原因は不明。
死者の遺体が完全に炭化していたとの報道もあり、爆発による放射能汚染も強く疑われますが、以後、続報は見当たりません。

 報道規制も強いようです。
これはおそらく、マルクールが「国防施設」だからでしょう。
マルクールはフランスの「核」武装のための材料供給基地として1956年に開設されました。
プルトニウム生産のデータ提供を皮切りに、より強力な破壊力を持つ核兵器の開発が求められるに伴い、熱核爆弾の燃料として、トリチウムを生産する原子炉も設けられたのです。②

 今は、高速増殖炉(フェニックス実験炉)、Mox燃料製造工場(使用済み核燃料使用、メロックス)、高レベル核廃棄物の研究所(アタランタ)、そして今回事故をおこした、核廃棄物の処理センター(セントラコ)など、官民入り乱れた一大核コンビナートのようですが、事業の中心はおそらく、核廃棄物の処理でしょう。
つまり、東海村と六ヶ所村、敦賀が一緒になったような場所です。

 爆発した溶融炉では、防護服や手袋など可燃物と共に、バルブやポンプ、工具などの金属も一緒に処理していたというから、炉温も1000℃以上はあったはず。
実は日本でも、1997年、動燃(東海村)のアスファルト固化施設でよく似た事故が起きています
溶融固化物を詰めたドラム缶から2メートルの火花が上がり、いったん消火したものの、しばらくして建屋が爆発したという事故。
当然、このときも放射能漏れと作業員の被曝が報告されていますから、マルクールで放射能漏れがなかったなんてありえない

 核廃棄物の「焼却」「溶融」処理は、こうして潜在的な危険がつきまとっているため、立地も限られます。
マルクールでも、各地の原発から押し寄せる大量の核廃棄物をせっせと処理していたのでしょうが、それが「危険」なことがばれると、フランスでも「原発ノー」の声が高まりかねない。だから、政府も産業界も(もちろん御用学者も)、完全に情報を遮断し、環境汚染や人体被害については口を閉ざしているのです。
原発をとりまく状況は、どの国も同じなんですね。2011.10.3

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2826822/7761376
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-14879557

続きは
マルクール事故② 死者は被曝していた

マルクール事故③ 秘密のベールに包まれて

原発推進を国策とするフランスは何より「人心安定」を優先し、「ダイジョウブ」「問題ない」を連発している。
もっと被害が深刻なこの日本でも、同じ状況が、現在進行形。