涼宮ハルヒの暴走 雪山症候群の数式解説 【オイラーの多面体定理の高次元版】
ハルヒシリーズの短編「雪山症候群」に数学的クイズが出てきたので解説します。
ネタバレはしない方針であくまで数式中心に話します。
まず出題されたのが
「x-y=(D-1)-z」「x=□,y-□,z=□」
です。
ヒントとしてあるのが
このような4の字の平面グラフです。x,y,zを求めよというわけです。
推理途中で古泉が言及している「ケーニヒスベルクの橋問題」は平面グラフの一筆書きができるか否かの問題です。
結果としては以下です。
ある連結グラフが一筆書き可能な場合の必要十分条件は、以下の条件のいずれか一方が成り立つことである。
・すべての頂点の次数(頂点につながっている辺の数)が偶数 →運筆が起点に戻る場合
・ 次数が奇数である頂点の数が2で、残りの頂点の次数は全て偶数 →運筆が起点に戻らない場合
(ウィキペディア丸写しです)
ただし、クイズの解答に使用しているのは頂点、辺などの個数の関係に関する定理ですので、
この結果は直接関係しません。(古泉の言い方はわりと誤解を生む言い方です)
使う定理はまず「オイラーの多面体定理」です。
内容は
穴の開いていない多面体、すなわち球面に位相同型な多面体については、頂点、辺、面の数について
頂点の数 - 辺の数 + 面の数 = 2
が成り立つ。これをオイラーの多面体定理(オイラーの多面体公式)という。(ウィキペディア丸写しですってば)
です。
そしてもう1つは平面グラフに関する「オイラーの関係式」で、内容は
「頂点の数」+「(辺で囲まれた)面の数」=「辺の数」+1
です。
上記2式について、前者を2次元すなわちD=3、後者を2次元すなわちD=2、頂点数=x、辺の数=y、面の数=z、
とすると
x-y=(D-1)-z
と一本化できます。(4次元以上については成立しません)
ヒントの4の字の平面グラフについては、頂点=5、辺=5、面=1、次元=2なので答えは
x=5,y=5,z=1,D=2となります。
実際等式を満たしています。
ただし、オイラーの多面体定理とオイラーの関係式を一本化するのは数学的な一貫性がないですし(関連はありますが)、一般的に知られた式ではありません。
作者が参考にしたという「図形がおもしろくなる(岩波ジュニア新書)」ではほぼ同じ式が出るので間違いでもないですが・・・。
※記事内で「オイラーの関係式」として紹介していますが、この平面グラフに関する結果はいまいち一貫した名称がないようです。
というかオイラーの名を関する式は多いのでもうちょい名称を整理して統一してほしいものです。
※「オイラーの多面体定理」については高次元についても拡張されていて名前はシュレーフリの公式というようです。
おおざっぱな言い方をすると・・・
n次元の多面体について、表面の構成要素について
(頂点の数)-(辺の数)+(面の数)-(立体の数)+(4次元図形の数)-・・・・(n-1次元図形の数)
=(nが偶数なら0、nが奇数なら2)
です。
ハルヒシリーズの短編「雪山症候群」に数学的クイズが出てきたので解説します。
ネタバレはしない方針であくまで数式中心に話します。
まず出題されたのが
「x-y=(D-1)-z」「x=□,y-□,z=□」
です。
ヒントとしてあるのが
このような4の字の平面グラフです。x,y,zを求めよというわけです。
推理途中で古泉が言及している「ケーニヒスベルクの橋問題」は平面グラフの一筆書きができるか否かの問題です。
結果としては以下です。
ある連結グラフが一筆書き可能な場合の必要十分条件は、以下の条件のいずれか一方が成り立つことである。
・すべての頂点の次数(頂点につながっている辺の数)が偶数 →運筆が起点に戻る場合
・ 次数が奇数である頂点の数が2で、残りの頂点の次数は全て偶数 →運筆が起点に戻らない場合
(ウィキペディア丸写しです)
ただし、クイズの解答に使用しているのは頂点、辺などの個数の関係に関する定理ですので、
この結果は直接関係しません。(古泉の言い方はわりと誤解を生む言い方です)
使う定理はまず「オイラーの多面体定理」です。
内容は
穴の開いていない多面体、すなわち球面に位相同型な多面体については、頂点、辺、面の数について
頂点の数 - 辺の数 + 面の数 = 2
が成り立つ。これをオイラーの多面体定理(オイラーの多面体公式)という。(ウィキペディア丸写しですってば)
です。
そしてもう1つは平面グラフに関する「オイラーの関係式」で、内容は
「頂点の数」+「(辺で囲まれた)面の数」=「辺の数」+1
です。
上記2式について、前者を2次元すなわちD=3、後者を2次元すなわちD=2、頂点数=x、辺の数=y、面の数=z、
とすると
x-y=(D-1)-z
と一本化できます。(4次元以上については成立しません)
ヒントの4の字の平面グラフについては、頂点=5、辺=5、面=1、次元=2なので答えは
x=5,y=5,z=1,D=2となります。
実際等式を満たしています。
ただし、オイラーの多面体定理とオイラーの関係式を一本化するのは数学的な一貫性がないですし(関連はありますが)、一般的に知られた式ではありません。
作者が参考にしたという「図形がおもしろくなる(岩波ジュニア新書)」ではほぼ同じ式が出るので間違いでもないですが・・・。
※記事内で「オイラーの関係式」として紹介していますが、この平面グラフに関する結果はいまいち一貫した名称がないようです。
というかオイラーの名を関する式は多いのでもうちょい名称を整理して統一してほしいものです。
※「オイラーの多面体定理」については高次元についても拡張されていて名前はシュレーフリの公式というようです。
おおざっぱな言い方をすると・・・
n次元の多面体について、表面の構成要素について
(頂点の数)-(辺の数)+(面の数)-(立体の数)+(4次元図形の数)-・・・・(n-1次元図形の数)
=(nが偶数なら0、nが奇数なら2)
です。