百物語改め「九一三・六物語」

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グリーンジャンボの期待値と損得

2012-02-20 | 数学
ねぇ、チーちゃん。

なぁに、ミーちゃん。

どこぞのブログ(注1)で見たんだけど、今年のグリーンジャンボの当選金の期待値は137.99円なんだって。

ふうん。

それって、グリーンジャンボを買うと損するってこと?

損するかどうかは分からないねぇ。
1枚買った場合、だいたい89%の確率で外れる。つまり損する。約10%の確率で損も得もしない。約1%の確率で得をする。

じゃあ、たいていは損するの?

そうだよ。ただし損は最大で300円だけど、得する場合は最大2億9999万9700円得する。
たいてい損するけど当たったらいっぱい得するかも。こう聞くと宝くじってお得に思えるでしょ。
それは期待値を計算するまでもなく分かるね。

じゃあ、期待値ってなにが分かるの?

えーとね、数学では大数の法則というのがある。それによれば十分たくさん回数を重ねると、ほぼ確実(注2)に
「起こる確率」と「実際に起きた割合」が近くなる。

確率と割合って違うの?

うん。違う。0.5の確率でおもての出るコインを2回投げたからといって1回表が出るとは限らない。確率は0.5でもおもての割合は0.5とは限らない。

そっか。

大数の法則を使うと、
「十分たくさんグリーンジャンボを買うと1枚あたりの当選金は137.99円に近くなる」
と言える。1枚あたりの出費は300円だから「十分たくさん」グリーンジャンボを買うと確実に損することになる。

「十分たくさん」ってどれくらい?

グリーンジャンボに限って言えば1ユニット1000万枚を30億円だして買い占めたら「十分たくさん」といえるね。(注3)

そんなお金持ってない。

うん、私も。
「1000万枚買うと損する。ゆえに1枚買うのも損だ。」という論理を認めるならグリーンジャンボを1枚買うのは損ってことになる。
でも「1000万枚買うと損する。ゆえに1枚買うのも損だ。」ってのが正しい論理なのかは数学では分からない。哲学者の領分かな?
期待値は137.99円ですと言うことはできるけど買うべきかどうかは個人で判断するしかない。
受験数学ではたいてい期待値で損得を計ってるけどね。
量子力学してた人なら「当選番号を観測するまでは、この宝くじは137.99円が当選している」って言うのかもね。

ああ、「この猫は2分の1死んでいる」(注4)みたいな?

買う人にとって期待値がどれくらい重要かは分からないけど、売る側にとっては重要。
売るのは大量だから、収益には期待値が如実に反映される。宝くじを200円くらいで売ったとしても十分収益があるだろうね。
それを300円で売るから宝くじは収益が大きい。今回は収益を震災の復興支援に充てるらしいね。
だから若干当選金期待値が小さいのかもね。当たったらラッキー、外れたら被災地支援のための寄付をしたと思うのがいいかもね。

そうだね。少し買ってみようかな。もし3億円が当たったら、一緒に旅行に行こうね。

うん。

(注1)今ご覧のブログ「百物語」の2月10日の記事

(注2)似た言葉に「ほとんど確実に」という数学用語がある。最初数学書でこの言葉に出会うと面食らう。

(注3)宝くじは1ユニット買い占めると1枚あたりの当選金は100%の確率で期待値に完全に一致する。これはくじを買うという施行がそれぞれに独立でないことに起因する。

(注4)シュレディンガーの猫のこと。蛇足ながらsakiのアニメに登場した絵本の「2分の1回死んだ猫」というタイトルは秀逸。
さらに余談だが、シュレディンガーとレディ・ガガは無関係。




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