レビューというより……記録?!(笑)
書いてるうちにヒートアップしてきまして、こんなん長くなってしまいました。
つーか、あまりにも長すぎるので、前編と後編に分けます!
といっても、今もまだ書き終わってないので、もしかすっと、前編、中編、後編になるかもしれません!
にしても前後編に分けるなんて、「姿三四郎」のレビュー以来だよ。
(あ、ちなみに「姿三四郎」レビューはパスワードがないと見られないんですけども「ウチの人」の誕生日を西暦から入力してくださいね)
最初に舞台のセットからですが、どこかの公園という設定でしょうか。
上手にベンチ。下手に交番。舞台上には夏らしくひまわりの花などがあしらわれてます。
前の感想にも書いたような気がするけど、今回のショーは「花」と「色」がテーマなんですね。これはパンフレットにも書いてあるんだけど、まあ説明しないと分かってもらえないと思ったらしく、20日の公演のMCでそれぞれのストーリーに使われている花を説明してくれました。のちにその意図が浸透してきたのか、後半の舞台では説明していませんでしたが。
それから、舞台の上部真ん中にスクリーン。
開演前の諸注意連絡もシゲがやってます。ケータイの電源はお切りくださいとかのあれね。これは今、三谷さんの舞台とかでもよくやってますけど(三谷さんご本人が)、なんかこれって舞台への気分が盛り上がって嬉しいよね。
これが聴きたくて、2回目以降から30分前には劇場に着くようにしてました。
「洗濯とかしないでくださいねー」って注意もあったけど…大阪でもやったの?ウケたの?
「もうすぐ始まっちゃうかも。ロビーにいる方は早く席についてください」というシゲのアナウンスのあと、しばらくすると場内が暗くなってオープニングがスタート。
スクリーン映像で見せるオープニング。パンフレットにも使われているセルフシャッター写真のシゲが連続で出てきて、めっちゃテンションがあがりましたね。
あのオープニングの音楽もカッコよくてよかったなー
それから、チラシやクリアファイルでお馴染みの緑の着物を着て、なにやら手をくねくねさせてるシゲ。これ、20日のMCによると、「唯一踊っている」んだとか。客席からは「ええ?(あれ踊りなの?)」といったカンジのビミョーな反応。「歌わない、踊らない」はずの今回のショーだけど、本人によるとちょーっとだけ踊ってるということで。実際にはスタッフから「いいねー」とノセられて、もっと踊ったらしいんだけど、実際映像に使われたのはほんの数カット(笑)
でもって、次に書道やってるシゲ。パッチにサラシ姿のシゲが巨大な筆を両手に、まっ白い床と壁になぐり書き。墨が飛び散ってシゲの全身墨だらけ。
うーん、これ書道なの? つかシゲ的書道なのか?
この書道の間に、それぞれのタイトルの演目が紹介されてたような気が。
「落し物」「定休日」「愚問」「湿度なき声で壊れる程の愛となれ」「鬱憤トイレ」「絆」「オレンジの花びら」
そして最後に筆を肩にのせてキメるシゲ。うん、カッコイイ。
ここで、タイトルクレジット、バーン! 「こんなんやってみました。」
ちなみに、このタイトルクレジットはチケットにも使われてますけども、シゲの自筆なんですよね。パンフレットに、左手で何枚も書いてるオフショット写真が載ってます。つか左で書いてんだ。バリバリ左利きの私だって筆だけは右なのに。
それでは、ここからそれぞれの演目について。てか、オープニングだけで語りすぎだ、自分。
「落し物」
ところで、各演目の前に、タイトル紹介も兼ねた楽屋映像がちょろっと入ってます。
ここではシンプルに「こんなんやってみました」と言って、小道具の軍手と財布をカメラに向けるシゲ。
そして舞台に照明がついて、下手からシゲが登場!
客席からキャーと予想外の黄色い声があがるので、なんか嬉しい。
「あらま、ウチの人、けっこう人気あるじゃん?」みたいな?
「落し物を見つけたとき、あなたはどうしますか?」
よくあるハンカチ、なぜか片手だけ落ちてることが多い軍手、そして折りたたみ傘の傘袋。
20日に観に行った時、軍手を拾ったところで、シャツの後ろがパンツから出てしまったシゲ。観ているこっちもなんとなくその状況が気になりつつ、そのままでいっちゃうんかなと思っていたら、そのあと、何気なく片手を後ろにまわして入れてたんだけど、それを見ていた客席から笑いが起きる。
「なーんで笑うんですか!だって(シャツ)出ちゃったんだから!」とお客さんの笑いにすかさずツッコむシゲ。そうそう、こういうところが大好きなのよ。
これ、そのあとの公演でも何度かあったのかな、25日に観に行った時も軍手、傘袋を拾ったあたりで笑いが起こって、シゲが「ん?なんですか?」と、ちょっと笑いながら聞いてました。シャツが出ちゃうのを見たのは、私は20日が最初で最後だったな。
で、傘袋ですが、何度か落としながら「ヒャー!」というシゲ。
「これ、落ちる傘袋の気持ちね」とわざわざ説明までしてくれるシゲ(笑)
何回も見ているうちにその姿がやたらと可愛く見えてきた。
このあと、もしも財布を拾ったら?という肝心の話に。ここでは、財布を届けたあとの警官とのやりとり(もちろん一人芝居)が面白かった。
連絡先を書いてくださいという警官に、「いやいやいや。そういうつもりじゃないんで、けっこうです」「いやいや。恥ずかしいことじゃありませんから」「いやいやいや」「いやいや」……以下「いやいや」が続いて最後に、「そう、ですか。それじゃあ……ところで……何割くらいもらえるんでしたっけ?」
ねえ、シゲ、このくだり毎回面白かったからいまさらツッコミたくないけど、(報酬が)何割もらえるかなんて、警官に聞かないだろ、普通。
まあ、これはあまりいただけないということで、シゲは警察に何かを届けたときは、こんな風に言うのだそうです。
「いえ」ここでいきなし声のトーンが変わる。しかもカッコよくきめてるはずなのに笑いが起きる。「けっこうです。ただ…」 なんとなくカメラ目線? 「落し主が現れたらこうお伝えください。もしも、あなたが誰かの大事な何かを拾ったときには、必ず警察に届けてあげてください……ってね」
この最後の「ってね」でまたもや笑い。2枚目なのにもう完全に3枚目の扱いだよね。どんだけおまえ、笑われてんだってことですよ。てか、私も思いっきり笑ってたけど。
見た目カッコイイのにカッコよくきめて笑われる人って……ある意味、貴重な人材かもなー
ここまでの流れが導入となって映像へ。ある日、財布をなくしてしまった俺、というストーリー。
最初の展開部ではけっこう笑い所があって、カフェを「かっふぇー」(文字のニュアンス的に)と言ったり、コーヒーにむせってカップの中をのぞきこんだり、一人で公園で楽しそうにブランコしてたり……してたり……つか、これ、一人で観覧車で、はしゃいでた私とおんなじじゃん!
そっか、鹿児島の旅レポを読んだ会長が「ねえさん、シゲっぽいです」って言ってたのはこれのことかー!!
「あれ、なんで、俺一人でブランコ乗ってんだろ?」
「あれ、なんで、私一人で観覧車乗ってんだろ?」
って、こんなとこ同じだなんてヤーーダーーー!!!
…話を戻します。
で、心当たりのある場所を探しても見つからなくて交番に行ったら、届いてたわけですよ。「いいカンジに味のある」シゲの長財布が。
届けてくれた人にお礼がしたいと言ったら、警官いわくその人は連絡先も言わずにメモだけを残していったのだと。それが前振りの話につながるわけです。
「…今度あなたが誰かの大切な何かを拾ったときには、かならず警察に届けてあげてください」
映画「ペイ・フォワード」を例に出して、落し物を拾って警察に届けるということが、誰かの幸せにつながっていくことを説くシゲ。
そう。うっかりなくしてしまった大事な何かが、自分の手元に戻ってきたときのあの幸せな気持ち。それを思えば、地面に落ちている誰かの何かを見つけたときに、素通りすることなど出来はしない。
落ちていたものを拾って警察なりに届けるということは、大なり小なり誰かの不幸を幸せに変えてあげることが出来る簡単な行為なんですよね。ほんの心づかいが、優しさの連鎖を、目に見えない絆を、作っていくことを教えてくれた「落し物」。
こうして私たちを感動させて終わらせるのかと思いきや、最後にオチが。
「いえ、けっこうです」の決めゼリフを言い残して、交番から立ち去ろうとしたシゲが「え?…」と怪訝そうに立ち止まる。
そしてベンチの方に近づいて拾い上げたものは、「こんなんやってみました。」のパンフレット。
「ええぇ?パンフレットって…(交番を振り返って)あのお…こんなん落ちてたんですけど…!」
ちなみに。この「落し物」では、最初の方の映像に花がいろいろ出てきます。意識して見ていないとスルーしちゃいますけど。
「定休日」
導入映像では、ボールペンをおでこでカチカチカチカチカチカチさせて(痛くないんかな)、ちょっと笑いをとってましたが、この演目、実は笑いとは無縁の内容。
ちなみにパンフレットの「Photo&Essay」には、この原案となったエッセーが載っています。
一番最初の「落し物」も原案のエッセーがパンフレットに載っていますが、シゲがたくさん書いた原案の中から7つだけチョイスして今回のオムニバスストーリーとなっています。
ところで、パンフレットの写真撮影にも使ってるローライフレックスのカメラは、シゲの自前なのかな。
だって、中古でもめちゃ高いカメラじゃないですか。でも、カメラに凝ってるシゲのことだから自前なんだろうな。その2眼レフで撮影した写真をスクリーンに映し出しながらの朗読。
静かに語る朗読を聴いてると、シゲの声って低いけれども、こもったりしない、非常に聞き取りやすい声だなあって思う。歌……のときはともかく(笑)、声のレンジが高低ともバリエーションにも富んでる。
だから、やっぱりシゲは舞台向きなんじゃないかって思うんですよ。もちろん、グローブ座は小劇場なので、ハッキリと断言はできないんだけど、シゲの声は、カンでしまったセリフも含めて(笑)、早口でも聞き取りやすい。だから新感線の舞台でもぜんぜんイケるって思うんだけどなあ。……え?しつこいですか?
「定休日」は、そのタイトルどおり、ある日、写真を現像しようと思って出向いた写真屋さんが定休日だったことから始まる話。
僕はせっかく現像しようと思ったのに定休日かよと、ちょっとイライラしながら歩いていた。すると目が悪いのか、杖をつきながらよろよろ歩いているおじいちゃんを見かける。どうやら道に迷っているらしい。何度か躊躇ってから、やっと勇気を出して声をかけると、おじいちゃんは病院を探しているのだという。その病院はあと50メートル先だ。僕は、おじいちゃんの手をとって病院へと案内した。すると、おじいちゃんは「ありがとう」言って病院の中へと入っていった。「ありがとう」って言いたいのは僕のほうなのに……
困っている誰かを助けたことは初めてで、思わず嬉しくなってこぼれた笑み。
つないだおじいちゃんの手から伝わってきた温もり。
ハズレだった定休日に、思いがけず「優しさ」を知った僕。
そして後日談。ふたたび写真屋さんに行った僕は、お店のおばあちゃんに現像をお願いしていると、店の奥にあの日のおじいちゃんの姿を見つけた。あの定休日、おばあちゃんは病院に行く日で、おじいちゃんはおばあちゃんを迎えに病院に行ったのだ。おじいちゃんのおばあちゃんへの優しさを知る僕。
ほんの小さな優しさが心に幸せを与えてくれる話。
その優しさに対して「ありがとう」とたった一言伝えるだけで、また得られる幸せ。
現像してもらった写真には、可憐で小さな白い花、「かすみ草」が映っている。
その花言葉は「ありがとう」……
毎回、シゲのエッセイやWEBの日記を読むたびに、真面目な文章でも、お気軽な日記でも、起承転結の構成がしっかりしてるよなあと感心させられるのだけど、この「定休日」も、そのシゲの文才がいかんなく発揮されている話だと思う。
ただ、その完璧さは、下手すると説教じみて聞こえたり、芝居がかった感じを受けたりすることにもなりかねないが、そんなことは微塵も感じさせず、シゲの言葉はすんなり心に入ってくる。それはきっと、そこに何もてらいも飾りもないからなんだと思う。シゲって、本当に素直に、反抗期がたったの3日で終わってしまうほど、まっすぐスクスクと育ったんだなあと、つくづく思うのです。
彼をこんなふうに育ててくれたご両親の話が出てくるのは、もう少しあとで。
さて。
3つめは、雰囲気がガラッと変わって、スポーツ誌の記事でも、芸能ニュースでも話題になっていた、オリジナル落語「愚問」。
…なんですが、ここまでで前編とします。
自分で言うのもなんだけど、長いな!
書いてるうちにヒートアップしてきまして、こんなん長くなってしまいました。
つーか、あまりにも長すぎるので、前編と後編に分けます!
といっても、今もまだ書き終わってないので、もしかすっと、前編、中編、後編になるかもしれません!
にしても前後編に分けるなんて、「姿三四郎」のレビュー以来だよ。
(あ、ちなみに「姿三四郎」レビューはパスワードがないと見られないんですけども「ウチの人」の誕生日を西暦から入力してくださいね)
最初に舞台のセットからですが、どこかの公園という設定でしょうか。
上手にベンチ。下手に交番。舞台上には夏らしくひまわりの花などがあしらわれてます。
前の感想にも書いたような気がするけど、今回のショーは「花」と「色」がテーマなんですね。これはパンフレットにも書いてあるんだけど、まあ説明しないと分かってもらえないと思ったらしく、20日の公演のMCでそれぞれのストーリーに使われている花を説明してくれました。のちにその意図が浸透してきたのか、後半の舞台では説明していませんでしたが。
それから、舞台の上部真ん中にスクリーン。
開演前の諸注意連絡もシゲがやってます。ケータイの電源はお切りくださいとかのあれね。これは今、三谷さんの舞台とかでもよくやってますけど(三谷さんご本人が)、なんかこれって舞台への気分が盛り上がって嬉しいよね。
これが聴きたくて、2回目以降から30分前には劇場に着くようにしてました。
「洗濯とかしないでくださいねー」って注意もあったけど…大阪でもやったの?ウケたの?
「もうすぐ始まっちゃうかも。ロビーにいる方は早く席についてください」というシゲのアナウンスのあと、しばらくすると場内が暗くなってオープニングがスタート。
スクリーン映像で見せるオープニング。パンフレットにも使われているセルフシャッター写真のシゲが連続で出てきて、めっちゃテンションがあがりましたね。
あのオープニングの音楽もカッコよくてよかったなー
それから、チラシやクリアファイルでお馴染みの緑の着物を着て、なにやら手をくねくねさせてるシゲ。これ、20日のMCによると、「唯一踊っている」んだとか。客席からは「ええ?(あれ踊りなの?)」といったカンジのビミョーな反応。「歌わない、踊らない」はずの今回のショーだけど、本人によるとちょーっとだけ踊ってるということで。実際にはスタッフから「いいねー」とノセられて、もっと踊ったらしいんだけど、実際映像に使われたのはほんの数カット(笑)
でもって、次に書道やってるシゲ。パッチにサラシ姿のシゲが巨大な筆を両手に、まっ白い床と壁になぐり書き。墨が飛び散ってシゲの全身墨だらけ。
うーん、これ書道なの? つかシゲ的書道なのか?
この書道の間に、それぞれのタイトルの演目が紹介されてたような気が。
「落し物」「定休日」「愚問」「湿度なき声で壊れる程の愛となれ」「鬱憤トイレ」「絆」「オレンジの花びら」
そして最後に筆を肩にのせてキメるシゲ。うん、カッコイイ。
ここで、タイトルクレジット、バーン! 「こんなんやってみました。」
ちなみに、このタイトルクレジットはチケットにも使われてますけども、シゲの自筆なんですよね。パンフレットに、左手で何枚も書いてるオフショット写真が載ってます。つか左で書いてんだ。バリバリ左利きの私だって筆だけは右なのに。
それでは、ここからそれぞれの演目について。てか、オープニングだけで語りすぎだ、自分。
「落し物」
ところで、各演目の前に、タイトル紹介も兼ねた楽屋映像がちょろっと入ってます。
ここではシンプルに「こんなんやってみました」と言って、小道具の軍手と財布をカメラに向けるシゲ。
そして舞台に照明がついて、下手からシゲが登場!
客席からキャーと予想外の黄色い声があがるので、なんか嬉しい。
「あらま、ウチの人、けっこう人気あるじゃん?」みたいな?
「落し物を見つけたとき、あなたはどうしますか?」
よくあるハンカチ、なぜか片手だけ落ちてることが多い軍手、そして折りたたみ傘の傘袋。
20日に観に行った時、軍手を拾ったところで、シャツの後ろがパンツから出てしまったシゲ。観ているこっちもなんとなくその状況が気になりつつ、そのままでいっちゃうんかなと思っていたら、そのあと、何気なく片手を後ろにまわして入れてたんだけど、それを見ていた客席から笑いが起きる。
「なーんで笑うんですか!だって(シャツ)出ちゃったんだから!」とお客さんの笑いにすかさずツッコむシゲ。そうそう、こういうところが大好きなのよ。
これ、そのあとの公演でも何度かあったのかな、25日に観に行った時も軍手、傘袋を拾ったあたりで笑いが起こって、シゲが「ん?なんですか?」と、ちょっと笑いながら聞いてました。シャツが出ちゃうのを見たのは、私は20日が最初で最後だったな。
で、傘袋ですが、何度か落としながら「ヒャー!」というシゲ。
「これ、落ちる傘袋の気持ちね」とわざわざ説明までしてくれるシゲ(笑)
何回も見ているうちにその姿がやたらと可愛く見えてきた。
このあと、もしも財布を拾ったら?という肝心の話に。ここでは、財布を届けたあとの警官とのやりとり(もちろん一人芝居)が面白かった。
連絡先を書いてくださいという警官に、「いやいやいや。そういうつもりじゃないんで、けっこうです」「いやいや。恥ずかしいことじゃありませんから」「いやいやいや」「いやいや」……以下「いやいや」が続いて最後に、「そう、ですか。それじゃあ……ところで……何割くらいもらえるんでしたっけ?」
ねえ、シゲ、このくだり毎回面白かったからいまさらツッコミたくないけど、(報酬が)何割もらえるかなんて、警官に聞かないだろ、普通。
まあ、これはあまりいただけないということで、シゲは警察に何かを届けたときは、こんな風に言うのだそうです。
「いえ」ここでいきなし声のトーンが変わる。しかもカッコよくきめてるはずなのに笑いが起きる。「けっこうです。ただ…」 なんとなくカメラ目線? 「落し主が現れたらこうお伝えください。もしも、あなたが誰かの大事な何かを拾ったときには、必ず警察に届けてあげてください……ってね」
この最後の「ってね」でまたもや笑い。2枚目なのにもう完全に3枚目の扱いだよね。どんだけおまえ、笑われてんだってことですよ。てか、私も思いっきり笑ってたけど。
見た目カッコイイのにカッコよくきめて笑われる人って……ある意味、貴重な人材かもなー
ここまでの流れが導入となって映像へ。ある日、財布をなくしてしまった俺、というストーリー。
最初の展開部ではけっこう笑い所があって、カフェを「かっふぇー」(文字のニュアンス的に)と言ったり、コーヒーにむせってカップの中をのぞきこんだり、一人で公園で楽しそうにブランコしてたり……してたり……つか、これ、一人で観覧車で、はしゃいでた私とおんなじじゃん!
そっか、鹿児島の旅レポを読んだ会長が「ねえさん、シゲっぽいです」って言ってたのはこれのことかー!!
「あれ、なんで、俺一人でブランコ乗ってんだろ?」
「あれ、なんで、私一人で観覧車乗ってんだろ?」
って、こんなとこ同じだなんてヤーーダーーー!!!
…話を戻します。
で、心当たりのある場所を探しても見つからなくて交番に行ったら、届いてたわけですよ。「いいカンジに味のある」シゲの長財布が。
届けてくれた人にお礼がしたいと言ったら、警官いわくその人は連絡先も言わずにメモだけを残していったのだと。それが前振りの話につながるわけです。
「…今度あなたが誰かの大切な何かを拾ったときには、かならず警察に届けてあげてください」
映画「ペイ・フォワード」を例に出して、落し物を拾って警察に届けるということが、誰かの幸せにつながっていくことを説くシゲ。
そう。うっかりなくしてしまった大事な何かが、自分の手元に戻ってきたときのあの幸せな気持ち。それを思えば、地面に落ちている誰かの何かを見つけたときに、素通りすることなど出来はしない。
落ちていたものを拾って警察なりに届けるということは、大なり小なり誰かの不幸を幸せに変えてあげることが出来る簡単な行為なんですよね。ほんの心づかいが、優しさの連鎖を、目に見えない絆を、作っていくことを教えてくれた「落し物」。
こうして私たちを感動させて終わらせるのかと思いきや、最後にオチが。
「いえ、けっこうです」の決めゼリフを言い残して、交番から立ち去ろうとしたシゲが「え?…」と怪訝そうに立ち止まる。
そしてベンチの方に近づいて拾い上げたものは、「こんなんやってみました。」のパンフレット。
「ええぇ?パンフレットって…(交番を振り返って)あのお…こんなん落ちてたんですけど…!」
ちなみに。この「落し物」では、最初の方の映像に花がいろいろ出てきます。意識して見ていないとスルーしちゃいますけど。
「定休日」
導入映像では、ボールペンをおでこでカチカチカチカチカチカチさせて(痛くないんかな)、ちょっと笑いをとってましたが、この演目、実は笑いとは無縁の内容。
ちなみにパンフレットの「Photo&Essay」には、この原案となったエッセーが載っています。
一番最初の「落し物」も原案のエッセーがパンフレットに載っていますが、シゲがたくさん書いた原案の中から7つだけチョイスして今回のオムニバスストーリーとなっています。
ところで、パンフレットの写真撮影にも使ってるローライフレックスのカメラは、シゲの自前なのかな。
だって、中古でもめちゃ高いカメラじゃないですか。でも、カメラに凝ってるシゲのことだから自前なんだろうな。その2眼レフで撮影した写真をスクリーンに映し出しながらの朗読。
静かに語る朗読を聴いてると、シゲの声って低いけれども、こもったりしない、非常に聞き取りやすい声だなあって思う。歌……のときはともかく(笑)、声のレンジが高低ともバリエーションにも富んでる。
だから、やっぱりシゲは舞台向きなんじゃないかって思うんですよ。もちろん、グローブ座は小劇場なので、ハッキリと断言はできないんだけど、シゲの声は、カンでしまったセリフも含めて(笑)、早口でも聞き取りやすい。だから新感線の舞台でもぜんぜんイケるって思うんだけどなあ。……え?しつこいですか?
「定休日」は、そのタイトルどおり、ある日、写真を現像しようと思って出向いた写真屋さんが定休日だったことから始まる話。
僕はせっかく現像しようと思ったのに定休日かよと、ちょっとイライラしながら歩いていた。すると目が悪いのか、杖をつきながらよろよろ歩いているおじいちゃんを見かける。どうやら道に迷っているらしい。何度か躊躇ってから、やっと勇気を出して声をかけると、おじいちゃんは病院を探しているのだという。その病院はあと50メートル先だ。僕は、おじいちゃんの手をとって病院へと案内した。すると、おじいちゃんは「ありがとう」言って病院の中へと入っていった。「ありがとう」って言いたいのは僕のほうなのに……
困っている誰かを助けたことは初めてで、思わず嬉しくなってこぼれた笑み。
つないだおじいちゃんの手から伝わってきた温もり。
ハズレだった定休日に、思いがけず「優しさ」を知った僕。
そして後日談。ふたたび写真屋さんに行った僕は、お店のおばあちゃんに現像をお願いしていると、店の奥にあの日のおじいちゃんの姿を見つけた。あの定休日、おばあちゃんは病院に行く日で、おじいちゃんはおばあちゃんを迎えに病院に行ったのだ。おじいちゃんのおばあちゃんへの優しさを知る僕。
ほんの小さな優しさが心に幸せを与えてくれる話。
その優しさに対して「ありがとう」とたった一言伝えるだけで、また得られる幸せ。
現像してもらった写真には、可憐で小さな白い花、「かすみ草」が映っている。
その花言葉は「ありがとう」……
毎回、シゲのエッセイやWEBの日記を読むたびに、真面目な文章でも、お気軽な日記でも、起承転結の構成がしっかりしてるよなあと感心させられるのだけど、この「定休日」も、そのシゲの文才がいかんなく発揮されている話だと思う。
ただ、その完璧さは、下手すると説教じみて聞こえたり、芝居がかった感じを受けたりすることにもなりかねないが、そんなことは微塵も感じさせず、シゲの言葉はすんなり心に入ってくる。それはきっと、そこに何もてらいも飾りもないからなんだと思う。シゲって、本当に素直に、反抗期がたったの3日で終わってしまうほど、まっすぐスクスクと育ったんだなあと、つくづく思うのです。
彼をこんなふうに育ててくれたご両親の話が出てくるのは、もう少しあとで。
さて。
3つめは、雰囲気がガラッと変わって、スポーツ誌の記事でも、芸能ニュースでも話題になっていた、オリジナル落語「愚問」。
…なんですが、ここまでで前編とします。
自分で言うのもなんだけど、長いな!