造の記 ~つくりのしるし~

楽居の現場日記や、大工の日々の日記です。。

茶室

2011-05-11 23:06:33 | 材木座 M邸

みなさんお久しぶりです。楽居 木村です。

楽しみにしていた方々、久しぶりの投稿で申し訳ありません。



さて、材木座M邸の茶室工事が始まりました。

久しぶりの本格的床の間で緊張と楽しみでいっぱいであります。



まず最初に床柱の赤松皮つきの向きを決めます。

少しの角度で表情や曲りが変わるので慎重に回転させながら
決めていきます。

ここだ!という所で糸を張り、芯を決めていきます。

 

べニアに原寸図を描き、床柱、床框、畳寄せがどう取り合うか確認し

微妙な調整を繰り返します。

茶室の床の間は 一般の和風の床の間と納まりが違う所があり注意が必要です。

 

全体の雰囲気を確認するため仮に組んでみます。

 

こんな感じでスタートしました。

またご紹介します。

 

 


御引渡

2010-12-27 18:34:12 | 材木座 M邸

 

皆さん年末のお忙しい中どうお過ごしでしょうか?

10月20日のブログ更新を最後にぱったりと音信不通となった楽居 木村です。

 

突然の展開ですが、昨日 材木座M邸の御引渡となりました。

あれから怒涛の2か月が過ぎこの日となりました。

それでは外観完成写真から。

 

勝手口横の梅の頬杖と、銅の樋、そしてかっこいい照明。

 

玄関は千本格子の引き違い戸。葦と藤蔓で編んだ下地窓。
曲った下がり壁が柔らかさを醸し出します。
かっこいい照明と、その横に木庇。

 

居間の掃き出し口には、雨戸も装備。
今では見なくなりました。木製雨戸。

 

裏玄関は升格子の引き違いで、戸袋に引き込めるようになっています。
戸袋は杉の網代。庇には杉皮。垂木にも北山杉海布丸太。杉づくしです。

 

玄関に入ると正面には下駄箱と飾棚が。
舞良戸がかっこいいです。



土間の方を眺める。



内部に入りまして、2階、4畳半。
4枚の引き違いを開け放つと、4畳半が二間続きとなります。
壁は、漆喰押さえ。天井には土佐和紙を貼りました。
 


6畳間。天井には杉中杢稲子天井。美しいです。

 

二階板の間から、トイレ階段方向を眺める。
床板には檜。

 

階段には、段板には松、蹴込板には杉柾目、側桁には檜を使いました。
 


一階置き水屋上の天井。晒し竹の竿縁に杉の白太を稲子張りし、上品に仕上げました。

 

トイレの洗面台。
M様の友人の焼いた備前焼に穴をあけました。



お風呂には、鉄平石を乱張りし温泉気分に。

 

 洗面台にはサワラの木を使いました。


台所にはスタディオンの物を。
檜の枠組みに、檜の扉です。
かっこいいです。
吊り戸棚には造作で舞良戸を仕込みました。




台所天井は焼き杉を大和張りしました。
台所床も檜です。


居間。松柾目の床板に、壁は土壁を中塗仕上げとしました。
天井は磨き丸太の竿縁に、埋め込みの照明。
 


以上、バーと紹介しました。
まだまだ紹介し足りないですが、またの機会に。



ハッと気づくと、もう年末ではないですか?
一年、本当に早いですね。

今年お世話になった皆様、本当にありがとうございました。
また来年も楽居 木村をよろしくお願い致します。


土壁塗り始め

2010-10-20 22:07:03 | 材木座 M邸

こんばんは、楽居 木村です。

さて土壁が塗り始められました。

荒壁という行程です。

 

土がいい具合に発酵しているため、牛小屋の中で仕事をしているようです。
土が乾くにつれ匂いもなくなります。

 

まずは、このように

梁が写っていませんが、M邸は天井が付くにも関わらず、
土台から二階床梁まで塗りあげられています。
これは、通し貫と土壁で面としての力をつけるため。

 

 

下駄箱の部分


丸太の束が浮き出てきて、数寄屋ぽくなってきました。

 

 

 

左官の佐々木さん。

塗面戸を塗ってもらています。

左官でやると少し侘びた雰囲気が出ます。

面戸とは垂木と垂木の間に通常、木の板で入れるものです。

名前の通り、木で入れるのも、左官で塗るのも面倒です。
「面戸は左官と大工で痛み分け」 という言葉もあり
今回は左官屋さんにも担当してもらいました。


 

それではまた。


土塗り前

2010-10-14 21:58:29 | 材木座 M邸

こんばんは、楽居 木村です。

やっとなんとか土を塗る準備ができました。

この竹だけの壁の状態が一番美しく見えます。

 

まずは玄関の下地窓辺りから。

 

写真左下は以前紹介した下地窓。
敷居と鴨居、そして杉磨き小丸太の方立が見えます。
写真右は玄関戸です。戸の上にも下地窓があります。

 

私が注意しているのは、それぞれ不規則な配置の中にも
何か規則性があり、幾何学的な美しさを出せたらと考えながら仕事をしています。

 

次は複雑で入り組んでいる玄関天井。

 

この写真だけでは少しわかりにくいですが、
いろいろな天井、壁、梁が交差していて
心地よい圧迫感があり私が気にいっている場所です。

 

 

茶室から裏玄関を臨む。

 

9尺の鴨居の上にも下地窓。
吊り束の両側に6分5厘の障子が二本引きでつきます。

このお茶室及び裏玄関の内法の高さは5尺7寸(173センチ)で
現在よくある高さ2メートルと比べると非常に低く感じますが
日本の住宅にはバランスがよく、非常に落ち着きます。
他の部屋は5尺8寸(176センチ)で統一しています。

 

 

玄関脇の蔀戸(しとみど)の枠

 

ここには突上げる板戸がつきます。
渋いです。

 

 

茶室 床の間の無双釘

高さのバランスが非常に難しく
床框、落とし掛け、天井の高さ、床の間の大きさ等を
検討し、3尺6寸5分の高さにしました。

 

 

裏玄関上の折釘

ここには扁額と呼ばれる額が掛かります。

 

このようにM邸には様々な和釘が仕込まれます。
他にも変わった釘を使っているのでご紹介します。

 

 


まずは



こちらは、

左が頭巻釘(かしらまきくぎ)

真ん中と右が巻頭釘(まきがしらくぎ)


名前が非常に似ており何が違うのかといいますと、
頭の大きさが違います・・・・。
それだけです。
金物屋さんに注文する時も非常にややこしいことになりました。

 



現代版の目鎹釘(めかすくぎ)

これは貫から鴨居を釣るのに使います。
貫を入れなくなった現代の建築では使わなくなりました。

 

 

現代版 合釘(あいくぎ)



板と板の接合等に使います。
いろいろ応用が利きます。

 

他にもいろいろありますが
其の都度紹介していきたいと思います。

 

それではまた。


銅板、下屋、玄関

2010-09-25 20:56:42 | 材木座 M邸

こんばんは、楽居 木村です。

急に寒くなりました。みなさん風邪などひいてませんでしょうか?

今日は写真盛り沢山です。

 

 

さて、今回はこの間の裏玄関の庇に銅板を葺いてもらいました。
加藤板金さんに無理を言って銅板の一枚一枚の大きさを小さくしてもらいました。

急遽一枚一枚刻んでもらいました。
加藤さんも久しぶりにやったとのこと。

 

 

でもわがままを聞いてもらったおかげで素晴らしい
屋根ができました。

 

びかびかです。

 

暫くすると銅板が緑青をふき、いい味が出てきます。
楽しみです。

 

 

 

続いては玄関の屋根です。
広小舞と木小舞が終わったところです。

 

 

 

土間側から見上げる。
上の屋根に銅板の色がが反射しています。

 

 

 

 

軒先には化粧の杉の野地板と、室内側には角萩を張っていきます。

こんな感じに。玄関入ってすぐの駆け込み天井です。

 

 

 

 

 

裏玄関の駆け込み天井には

垂木に海布丸太
尺八に晒し竹、 
小舞に晒し竹の吹寄せ、
それを藤蔓で巻き
野地板に杉の粉板(へぎいた)を稲子張りしました。

 

 

 

 

さてこれは何でしょう?

 

 

 

皮つきの葦(よし、または あし)です。

 

 

 

これを使ってこのように編んでいきます。

これは下地窓と言って、内側には障子がつきます。

この下地の影が障子に美しく映り込みます。

 

 

 

M邸は土壁のため、壁の下地には竹が張りめぐらされています。

 

 

 

勝手口の割竹の腰張り

 

 

今日はだいぶ長くなってしまいました。

それではみなさん、また来週~。


丸太と杉皮の庇

2010-09-09 21:54:44 | 材木座 M邸

こんばんは、楽居 木村です。

久々の更新です。

現在材木座M邸は、内法(うちのり)の取り付けと、庇をやっています。

今やっている庇は裏玄関の庇で、茶室の三本引きと裏玄関の引き戸をを開け放つと
どーん、と見えてくる気合いの入る場所であります。

北山杉の末口2寸(60mm)の丸桁に、同じく北山杉の末口1寸(30mm)の海布丸太
をまず、据え付けます。

 

垂木の上に晒竹で小舞を2本吹寄せで取り付けます。
そして尺八(垂木の丸太と丸太の間の竹)を藤蔓で編んでいきます。

 

下から見るとこんな感じです。
美しいです。


そしてお次にこの杉皮を上に張っていきます







 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうすると、このように。

 

数寄屋では定番の杉皮の化粧野地です。

普通の屋根に比べると非常に手間がかかりますが
出来上がり、見栄えは素晴らしいです。

 


近況報告

2010-06-20 17:09:01 | 材木座 M邸
こんにちは、楽居 木村です。

最近の近況報告です。

現在材木座M邸は2階荒床が終わっています。


これから通し貫、筋交い、間柱を入れていきます。


それと同時に湯河原の作業場 頑固堂にて下屋の墨付け刻みも行っています。
下屋部分はは丸桁、丸柱、石の光付けと難しい仕事のオンパレードです。
玄関に使う北山杉磨き丸太です。





こちらは床の間の柱となる赤松です。
お猿さんと、記念撮影。





そしてこちらは葉山W邸です。
外壁の杉板を張り始めました。
赤身の杉を大和張りで張っています。



内部の写真はまたご紹介します。


それでは、木村でした。


屋根工事

2010-05-21 21:51:29 | 材木座 M邸
こんばんは、楽居の木村です。

今日は暑かったですね。
そんな中材木座M邸の屋根工事をしていました。

さて一枚目はこんな感じで、
垂木の状態からです。





この後に木小舞と呼ばれる細い木を等間隔で並べます。





そして、杉の化粧野地を張っていきます。





ベランダとなる下から見上げるとこの様に。





外部に出る軒先等はこの様な仕上がりになっていきます。
すっとしていてとても美しいです。

無事 上棟!!

2010-04-27 19:50:34 | 材木座 M邸

こんばんは、楽居 木村です。

先日行われた材木座 M邸の上棟式の様子です。

まずご覧いただくのは、肝心な建物全景です。

そして小屋組みの様子

そして肝心な餅まきは大勢の人がスタンバイ。

撒ききれんばかりのお餅が天高く・・

ほんとに沢山の方にご参加いただきました。
M様にも大変喜んで頂きホッとしました。

最後に私の反省すべき失敗はホッとしすぎて日本酒飲んでしまい
最後のご挨拶がグダグダになってしまったことです。
M様すみませんでした。

なにはともあれ無事終わってよかったです。

 


告知 材木座 M邸上棟式 餅投げ

2010-04-17 07:25:15 | 材木座 M邸

おはようございます。

楽居 木村です。

材木座 M邸の刻みもいよいよ大詰めに入り
柱や桁梁、垂木等を仕上げる段階に入っています。

さて、表題の通りM邸も葉山W邸に続き、
上棟式、餅まきを行うことになりました。

餅まきの時間は

4月25日 15時頃

詳しい場所等は
info@rakkyo.co.jp までお問い合わせください。

おっと もうこんな時間だ。

さ~これから仕事です。行ってきまーす。