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三項加憲で制限規範から授権規範に豹変  その5

2018年01月08日 | 憲法守るべし
 法の世界には、後に定められた法が、前からある法に優越するという黄金律があるそうで、9条に新たな3項が加われば、これと矛盾・抵触する内容であれば、1項、2項さらにはその他すべての憲法条文は法的な意味を失います。
 すでに記したように、自衛隊明記の3項加憲で2項は直ちに死文となりますが、3項加憲後は、後法が優越する黄金律によって1項、2項、さらに憲法の他の条文や法律の改変を誘発する性格も併せてもつのです。
 通常の法律の立法でも、憲法改正という立法でも、それによって新たな法がつくられて、それまでは許されなかった行為を国家ができるようになるとか、新たな組織が創設されるなどの変動が生じます。何も変わらないなどということはあり得ません。昨年、衆議院憲法調査会の議員たちが、調査のためイギリスを訪れたとき、「自衛隊を明記するとどうなるのか」と質問されて、自民党議員が「何も変わらない」と答えたところ、イギリスの議員は「何も変わらないのであれば、憲法を変える必要はないのでは」と怪訝な顔をしたそうですが、それは当然です。何も変わらないなどということはあり得ないのです。
 授権規範になった憲法9条3項は、憲法以下の法律および創設される軍事に関する様々な制度の憲法上の根拠となります。
 現在の自衛隊法や武力攻撃事態法、重要影響事態法などは、現在の9条の下で「ここまでは許される」という建前(都合の良い理屈)でつくられています。自衛隊が憲法上の根拠をもたないために、その活動や権限を制限する仕組みが多々あります。しかし、3項加憲が実現すれば、当然のこととして制限を取り除くための法改正がすすめられることになるでしょう。
 自衛隊が憲法上認知されれば、その軍事活動に固有な刑罰法規(軍法)の制定と軍事裁判所(軍法会議)の設置が求められるでしょう。軍事秘密保護が強められる一方で、自衛隊の活動に対する国民の協力義務もより強化・拡大されるでしょう。その一方で、米軍と一体の軍事優先の自衛隊になることで、国民の期待が大きい災害救援活動は、これまでのように大規模に続けることが出来なくなるのではないでしょうか。  -おわりー