我が家にとって、初の犬の出産。
それは1999年4月24日の事だった。
マービンが5匹のチビーグルを出産した。
一番目はサンタ。二番目はジロー。
三番目にマリノ。四番目がリュウ。最後がラスカル。
とっても安産だったマービンは、
5匹を30分間隔で出産する スピード出産だった。
ただ、レントゲンでも確認できていたが 結構大きい子がいて
その子が出てくる時、若干時間がかかった。
それがリュウ。
離れて暮らしていても
私は彼とも家族だと感じている。
リュウとマリノはそれぞれ実家と我が家で暮らすことになったが
生後3ヶ月までは実家で一緒に暮らしていた。
2匹はいつも一緒にくっついていて
ライバルになったり慰め合ったり・・・
寄ると触ると
あっちへコロコロ、こっちへコロコロ・・・
本当に良い遊び相手で
人間が相手をしてやらなくても
子犬同志で事足りてくれたので
こちらも大助かりだった。
そんな姉弟達も、ある日を境に遊ばなくなった。
離ればなれに暮らし始めてから数ヶ月経ったある日
マリノに初ヒートが来た。
それから更に数ヶ月して実家に行くと
いつもと変わらぬリュウは、大はしゃぎ。
「マリノ!今日も思いっきり遊ぼうぜい!!」
と遊びを一生懸命けしかけているのに
ヒートが来たことを境に、まったくノリの悪いマリノだった。
あの時のリュウの「???」だらけの顔
いまでも忘れられないな~。
女の子の事情なんて、男には解らないモンね~。
リュウは今9歳だけど、とっても遊びが大好き。
私が遊びに行ったときだって
「コレで遊んでよ。ポ~ンって投げて!」
とでも行ってるように
デロデロになったオモチャを口でくわえてきて
ポ~ンと投げてみせる。
そしてまた私の所へ持ってきて、同じ事を繰り返す。
だから「仕方ないァなぁ~」と私も応じる。
でも、その意思表示が、
マービンにもマリノにも無いものなので
とりわけ可愛い・・・。
リュウは私の母が大好きだ。
きっと居ないと生きていけないんじゃないか・・・って程。
かなり依存してるのも問題なんだけど。
散歩の時にグイグイ引っ張ること以外は
ビーグルのわりには良く言うことを聞いている。
いつかも・・・
夕ご飯を目の前に、リュウは「待て」をしていた。
これは、母が決めたルールで
「よし」と言われなければ、食べてはいけない。
「待て」をしている途中で電話が鳴り、話をし
良い気分でそのままお風呂に入ってしまった母。
お風呂から出てきてあらまぁ~ビックリ!!
リュウがヨダレたらたらで、まだ「待て」をしているじゃなの!!
母は慌てて「よし」と言って、「待て」を解いてやった。
我が家にホームステイに来るときだって
「よし」って言わなきゃ食べないんだから
そんな律儀なリュウって、やっぱりかわいい。
そんなお母さん大好きリュウに、ライバルが現れた!
3年前に私が保護して来た、三毛猫のみぃ~ちゃんと
去年やってきた、マリノの娘のグリシーヌ。
彼女達が家族に加わることによって
「お母さん争奪大戦争!」が始まる~!!と思っていた。
だけど、意外に仲良くやっているのには、ちょっと以外だった。
リュウにリーダーとしての自覚が出てきたからかな??
そんなリュウが、突然倒れた。
1月末頃の事。
病院で検査をして貰うと、脾臓がパンパンに晴れているとのこと。
そのまま緊急オペになってしまった。
翌日、ドクターから母の携帯に、連絡があった。
「脾臓は摘出しました。
リュウちゃんは、今麻酔から覚めていて元気です。
ただ・・・
体中に腫瘍がありました・・・。
私達の見解では、恐らく悪性の腫瘍じゃないかと思います。
取った脾臓を病理検査に出しています。
詳しいことはまだ結果が出ないと解りませんが・・・」
電話を切った母は、そしてまず一番に私に連絡をくれた。
母も、私も
突然の出来事に、言葉を失ってしまった。
リュウの体の中に、悪性腫瘍・・・?
体中・・・いったいいつから?
お正月はとっても元気だったのに!?
あとどれくらい一緒にいられるの?
リュウ達のお誕生日が4月29日。
それまで生きられるの?
10歳のお誕生日を迎えることは出来るの?
治療はどうしよう?
苦しむの?痛むの?
選択肢があっても、どれを選択していいのか
判断が出来ない・・・。
情けない・・・。
「せめて、リュウが退院してきたときは、明るく迎えてやって。
手術頑張ってきたんだから。
皆が暗く落ち込んでちゃ、リュウが不安に思うから」
と私・・・
「うん、そうだね・・・」
と母・・・。
本当に突然の衝撃的な出来事で
現実をうまく受け入れられなかったけど
日が経つにつれて、ちょっとずつ冷静を取り戻しつつある。
病名は『脾臓がん』という事らしい。
そして、彼に残された時間も
もうあまり無いと言うこと・・・。
これからまずは、
リュウにとってのベストな状況を考えなければ・・・ね。
泣いても悔やんでも、何も状況は変わってはくれないのだし。
怖くても、生きている限りは、前に進むしかないのだから。
時々先のことを考えすぎて
リュウのいない生活を考えてしまって怖くなるが
そんな先のことは考えなくていいんだ!
今、一番ベストな状況を考えること・・・だよね。
それがお互いのためだと思う。
残された時間の中で、どういう方向に向かおうとも
その状況下でのベストを尽くしたい。
大好きなリュウのために。